飲食店を廃業したその後の生活は?必要な手続きも解説

飲食店を廃業する際は、行政や物件のオーナーに対する手続きと、その後の生活設計が必要となります。飲食店を廃業した後の生活は、同業種への転職や他業種への挑戦、新たなビジネスを始めるなど人によりさまざまです。ここでは、飲食店が廃業する理由や廃業の際の手続き、その後の生活について解説します。

目次

飲食店の廃業とは

飲食店の廃業は、経営者が自らの判断で事業を終了することを指します。廃業の際は、行政手続きや従業員の解雇、物件の契約解除などが必要です。

廃業と倒産の違いは、事業をやめるときに負債がないか、負債があっても返済能力がある場合は廃業手続き、返済能力がない場合は倒産手続きとなります。ちなみに「閉店」とは1つの店舗を閉めることを指し、他にも店舗を運営していれば廃業・倒産とはなりません。

飲食店が廃業する理由

飲食店が廃業する理由には、初期投資費用を回収しきれないことや、経営不振による資金不足が多いようです。飲食店ならではの理由として、食材費などのランニングコストの高さや、人手不足も廃業の要因として挙げられます。

1.初期投資費用を回収しきれない

飲食店の開業には大きな初期投資が必要で、初期投資費用を回収しきれない場合に廃業するケースが多く見られます。
初期投資には物件取得費用、内装工事費、厨房機器の購入などが含まれ、一般的に500万~1000万円の費用がかかるとされています。

この金額を回収するには、十分な売上と効率的な運営が求められますが、多くの店舗が軌道に乗るまでに収益を上げられず、回収を断念するケースが多いようです。

2.経営不振による資金不足

事業が経営不振に陥ることも、飲食店が廃業する理由となります。経営不振の原因は多々ありますが、飲食店では食材費、人件費、家賃などのランニングコストが高額になり、利益を確保できないケースが多いようです。また、近年では飲食業界の人手不足が問題となっており、人件費の高騰が原因で廃業することもあります。

飲食店を廃業する際の手続き

飲食店を廃業する際には、物件の解約や行政機関への手続きが必須です。加えて、仕入れ先への連絡や従業員に対する解雇通知も忘れずにしておきましょう。

1.物件の解約手続き

飲食店の廃業が決まったら、物件の解約手続きをします。一般的に賃貸契約では3~6ヵ月前に解約通知を出す義務があるため、早めの準備が必要です。

また、物件によっては原状回復費用が発生し、厨房設備や内装の撤去に多額のコストがかかることがあります。内装や設備をそのままに居抜きで造作譲渡をするなら、このコストを抑えることが可能です。ただし、造作譲渡のための手続きも必要となるため、早めに不動産業者と相談して売却計画を進めておきましょう。

2.行政機関への手続き

飲食店の廃業には、保健所や税務署など行政機関への届出が必要です。提出先と提出書類の一覧を以下にまとめました。各手続きには提出期限もあるため、余裕を持って行動しましょう。

■保健所

廃業日から10日以内に廃業届を提出し、「飲食店営業許可書」を返納します。提出期限は地域によって異なる場合があります。

■公共職業安定所

雇用保険に加入している場合は「雇用保険適用事業所廃止届」、「雇用保険被保険者資格喪失届」、「雇用保険被保険者離職証明書」を廃業の翌日から10日以内に提出します。その後日本年金機構に、「雇用保険適用事業所廃止届」のコピーと「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を廃業日から5日以内に提出します。

■税務署

個人事業主の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」を、従業員がいる場合は「給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書」を廃業日から1ヵ月以内に提出します。

■消防署

防火管理者に選任されていた場合は「防火管理者解任届出書」を提出します。期限は特に定められていませんが、廃業後すみやかに提出すると良いでしょう。

■警察署

「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出していた場合は、廃業日から10日以内に廃止届出書を提出します。


3.仕入れ先や従業員への連絡


飲食店の廃業時は、仕入れ先に契約終了の連絡をし、従業員には解雇通知を行います。仕入れ先に未払い金があれば清算しておきましょう。従業員には閉店の30日前までに解雇予告をします。30日前までに予告できない場合は、その日数分の平均賃金を日割りで支払うことになるため注意しましょう。

飲食店を廃業したその後の生活

飲食店を廃業したら、その後の生活が心配になる方も多いかもしれません。廃業した年度に所得が発生し、黒字になっていれば確定申告が必要です。ただし、赤字の場合は税金が発生しないので不要となります。

廃業時に自己破産した場合は、持ち家や車などの財産を手放さなければなりません。自己破産が認められると借金が帳消しになる代わりに、クレジットカードの発行や住宅ローンの申請が通りにくくなります。しかし、破産手続き開始後の財産は自由に所持でき、クレジットカードやローン以外の日常生活に影響を与えることはほとんどありません。


廃業後の人生は、同じ飲食店業界に再就職したり、他業種に挑戦したりとさまざまです。自己破産後5~10年は融資こそ受けられないものの、新しいビジネスに挑戦する経営者も少なくありません。飲食店経営で培ったスキルは転職や再挑戦に役立つでしょう。

飲食店を廃業したその後の生活も見据えて、計画的に手続きを進めよう

飲食店の廃業には多くの手続きや計画が必要です。特に行政への手続きは、忘れてしまうと余分に税金を払うなどのペナルティが発生する可能性もあるため注意しましょう。廃業したその後の人生も前向きな生活を送れるよう、計画的に進めていきましょう。

飲食店の廃業時に物件を解約すると、原状回復費用が必要となりますが、居抜きのまま引き渡す造作譲渡を選択することでコストの削減が可能です。「買取の神様」は300店舗以上の買取実績を持ち、仲介手数料不要で造作譲渡による売却のサポートを承っております。無料査定相談も行っていますので、飲食店の廃業をお考えの際はぜひ一度お問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

首都圏在住・ライター歴7年。東京近郊の食べ歩きが趣味です。路地裏にあるような穴場の名店を見つけると嬉しくなります。元マスコミ勤務の経験を活かし、正確で読みやすい情報提供を心がけています。

コメント

コメントする

目次