飲食店における厨房機器のリース契約とは?仕組みやメリット・費用相場を解説

飲食店での厨房機器のリースは、導入費用を抑えて設備投資ができる便利な仕組みです。月々の利用料のみで高額な厨房機器を扱えるものの、契約期間中に売却や閉店を検討する場合には注意が必要です。 飲食店の居抜き売却を検討中の方に向けて、厨房機器のリースの仕組みからメリット・デメリット、費用相場を解説します。

目次

飲食店の厨房機器のリース契約とは?

飲食店経営では、リース会社が所有する冷蔵庫やフライヤーなどの厨房機器を、月額利用料を支払って借りることがよくあります。 まずは、リースの基本的な仕組みや購入・レンタルとの違いなどを確認しましょう。

飲食店の厨房機器のリース契約の仕組み

厨房機器のリース契約とは、リース会社が購入した厨房機器を一定期間、月々のリース料を支払って借りるものです。数十万円~数百万円する高額な機器でも、リース契約なら月々の利用料に分散できるため、開業時や機器入れ替え時の負担を大きく軽減します。

契約期間は一般的に、3年~7年度に設定されるのが主流です。リースの契約形態はおおまかに分けて2種類あり、厨房機器の所有権がリース会社にある「オペレーティングリース」と、契約終了後は所有権が契約者へ移る「ファイナンスリース」があります。

特徴向いているケース
オペレーティングリース所有権はリース会社にあり。原則、中途解約が可能。固定資産計上が不要。短期間で機器を入れ替えたい場合。
ファイナンスリース所有権は契約終了後に契約者へと移行。原則、中途解約は不可。減価償却や固定資産税が必要。中長期的に同じ機器を使用する場合。契約終了後に機器を買い取る形で利用したい場合。

厨房機器のリース契約は、単に初期費用を抑えるだけではなく、固定資産税などの経理処理にも影響します。事業計画と照らし合わせて最適な方法を選びましょう。

厨房機器のリースと購入・レンタルの違い

厨房機器の調達方法には、リース以外に「購入」と「レンタル」がありますが、どれが適しているかは状況により異なります。 厨房機器を購入した場合、初期費用が高額になるものの、契約期間などの取り決めはありません。ただし、機器が自社の資産となるため、減価償却によって数年かけて費用計上する手間が発生します。

一方、リースでは原則として、全額をリース期間中の経費として処理できるため、経理処理が非常にシンプルです。3年~7年度の長期的な利用を前提としているので、日々の営業などで継続的に使う厨房機器の導入に適しています。レンタルは、一般的に数日~数ヵ月の短期利用を前提としており、繁忙期やイベント出店、期間限定店舗などの一時的な利用に最適です。

リース対象となる厨房機器の例

リース契約の対象となるのは、業務用の冷蔵庫や冷凍庫、製氷機、ガスレンジ、フライヤーなどの厨房機器です。 スチームコンベクションオーブンや食器洗浄機といった、比較的高額な機器もよくリースで導入されます。

さらに、POSレジシステムや作業台、エスプレッソマシンなどもリースの対象に含まれることが多いです。 一方で、鍋やフライパンなどの消耗品や、建物と一体化して取り外しが困難な内装設備は、通常リース契約の対象外となります。

厨房機器のリース契約の流れ

厨房機器をリースで導入する際は、審査から納品まで所定の手順を踏む必要があります。

  1. 販売店を通してリース会社に相談
  2. リース会社による審査
  3. 審査通過後、契約の締結
  4. 機器の搬入・設置

最初に導入予定の厨房機器をリストアップし、販売店を通してリース会社への見積もり依頼と審査の手続きを進めます。次に、リース会社による審査が行われ、経営状況や信用情報が確認されます。審査に通過したら、リース契約書に署名・捺印を行い、契約を締結します。

その後、販売店から店舗へ機器が搬入・設置され、納品完了の検収を行うとリース開始です。 一般的に、申し込みから納品までは数週間~1ヵ月度かかるため、使用したい日から逆算して早めに準備しましょう。

飲食店で厨房機器をリースするメリット

飲食店経営で厨房機器をリースにすると、導入費用を大きく削減できるのが最大のメリットです。 特に、手元の現金を残しておきたい開業時や、急な設備の故障時に役立ちます。 ここでは、リース契約を選ぶ具体的なメリットを紹介します。

導入費用を大幅に削減できる

厨房機器をリース契約する最大のメリットは、導入費用を大幅に抑えられる点です。 購入の場合は数十万~数百万円の機器代金を導入時に支払う必要がありますが、リース契約であれば月々のリース料のみで済みます。 これにより、浮いた費用を内装工事費や運転資金、広告宣伝費などに回すことが可能です。 開業時の資金調達のハードルを下げ、余裕を持った経営スタートを切れるのが大きな魅力です。

修理やメンテナンスの負担が軽減できる

リース契約には、修理やメンテナンスに関するサービスが含まれているケースが多く、利用者の負担が軽減されるのもメリットです。多くのリース契約には動産総合保険が付いており、火災や盗難、破損といったトラブルに対して保険金が適用されます。

さらに、契約内容によっては、故障時の修理費用や定期的なメンテナンス費用がリース料に含まれている「保守付きリース」も選択できます。 営業中に突然冷凍庫が故障した場合、購入品であれば修理費用や調達費用が自己負担となりますが、保守付きリースであれば迅速かつ低コストで対応が可能です。

最新の機器を扱える

厨房機器のリース契約を利用することで、常に最新の機器を導入しやすくなるのもメリットです。 厨房機器の技術は日々進化しており、最新の省エネモデルを使えば電気代や水道代を節約できることもあります。 リースであれば、契約期間が満了するたびに新しい機器に切り替えることができ、常に最新の技術やトレンドに対応した店舗運営が可能となるでしょう。

税務処理が簡単になる

リース料は全額を経費として処理できるため、税務上の手続きが非常にシンプルになります。 厨房機器を購入した場合、固定資産として計上し、毎年減価償却費を計算して経費化する必要があります。 また、固定資産税の申告や納付といった事務作業も発生します。 しかし、リースであれば毎月の利用料をそのまま経費に計上するだけで済みます。 固定資産税の支払いや事務手続きはリース会社が行うため、経営者は本業に集中しやすくなります。

飲食店で厨房機器をリースするデメリット

厨房機器のリース契約には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。特に、長期的なコストや途中解約に対する違約金、所有権に関しては事前に理解しておくことが重要です。

長期的に費用負担が増えることがある

厨房機器のリース契約は、初期費用を抑えられる一方で、長期的な総支払額は購入費用を上回るケースがほとんどです。 リース料には、機器本体の価格に加えて、リース会社の金利や保険料、固定資産税相当額、手数料などが含まれています。

例えば、100万円の機器を5年間リースした場合、総支払額が110万円から120万円度になることも珍しくありません。 経営が順調で資金繰りに余裕がある場合は、一括購入した方が長期的なコストは抑えられる可能性があります。

閉店や移転時に途中解約ができない

リース契約は、原則として契約期間中の途中解約ができません。 もし閉店や移転などの理由で機器を使わなくなったとしても、残りの期間分のリース料を支払う必要があります。

例えば、5年契約でリースした厨房機器が、3年目で店舗の閉店により不要になった場合でも、残り2年分のリース料相当額の違約金が発生します。店舗を居抜き売却する場合でも、リース機器は自分の所有物ではないため、勝手に売ることができません。 次のオーナーにリース契約を引き継ぐにもリース会社の審査が必要となり、スムーズにいかないケースもあります。

契約終了後に所有権が得られない

オペレーティングリースを選択した場合、リース期間が満了しても厨房機器の所有権はユーザーには移りません。 契約期間が終わった後は、機器をリース会社に返却するか、再リース契約を結んで使い続けるかを選ぶことになります。 何年支払い続けても資産にはならないという点は、購入との大きな違いです。 最終的に自分の資産にしたい場合は、所有権が自分に移るファイナンスリースか、分割払いでの購入を検討すべきです。

飲食店で厨房機器をリースする際の費用相場

飲食店で厨房機器をリースする際の費用相場は、機器の本体価格やリース期間によって変動します。ここでは、一般的な主要厨房機器について、目安となる月額費用とリース期間をまとめました。

種類リース費用(月額)の目安リース期間の目安
ガステーブル約4,000〜9,000円3年〜6年
フライヤー約4,000〜7,000円5年前後
食器洗浄機約8,000〜15,000円5年〜7年
縦型冷凍冷蔵庫約7,000〜12,000円5年〜7年
コールドテーブル約5,000〜10,000円5年〜6年
製氷機約5,000〜8,000円5年〜6年
作業台・シンク類約2,000〜5,000円3年〜5年

この費用はあくまで相場であり、実際のリース料は機器のメーカーやモデル、契約するリース会社などによって変動します。正確な費用については、複数のリース会社に見積もりを取って比較検討すると良いでしょう。

飲食店で厨房機器をリースする際の注意点

厨房機器のリース契約を検討する際には、契約後のトラブルを避けるためにいくつかの注意点があります。特に、費用に含まれる項目や、契約終了後の手続き、故障時の対応については慎重な対応が求められます。

事前に必要書類を整える

リース契約の申し込みには審査があるため、経営状態を証明する書類が必要です。 法人の場合は決算書や財務諸表、個人の場合は確定申告書や本人確認書類などが求められます。 新規開業の場合は、事業計画書や収支計画などが必要になることもあります。 審査に通らなければリースを利用できないため、不備のないよう早めに準備しましょう。

特に開業直後で実績がない場合は、代表者個人の信用情報や、事業計画の具体性が厳しく審査されるケースが多いため、綿密に作成した事業計画書を提出することが重要です。

搬入や設置費用が含まれているか確認する

リース契約に含まれるのは、基本的に「機器本体の価格」のみであるケースが多いです。 設置工事費や故障時の修理代、消耗品費などは、リース料に含まれず別料金になることもあります。

見積もりを取る際は、「どこまでがリース範囲で、どこからが別途費用か」を確認しましょう。 初期費用をゼロにするつもりでいたのに、設置費等の支払いで資金不足にならないよう注意が必要です。

契約終了後の流れを確認する

リース期間満了後の選択肢について、契約時に確認しておくことも大切です。 一般的には「機器を返却して終了」か「再リースして継続利用」のどちらかになります。しかし、中にはファイナンスリースなど、契約終了後に買い取れるパターンも存在します。

将来的に店舗の居抜き売却を検討している場合、契約終了後にリース会社から機器を買い取り、造作譲渡の対象とするという選択肢も考えられます。 リース会社によって対応が異なるため、将来の事業展開を見据えて最適な方法を探りましょう。

故障やメンテナンス対応について確認する

厨房機器は日々の業務に不可欠なため、故障時の対応やメンテナンス体制についても、リース契約前に確認しておく必要があります。 リース契約には動産総合保険が付保されていることが一般的ですが、補償範囲や免責事項はリース会社によって異なります。 例えば、自然故障は補償対象外で、保険が適用されるのは火災や盗難、突発的な事故による損害のみといったケースも存在します。

また、定期的なメンテナンスや故障時の修理サービスがリース料に含まれる「保守付きリース」なのか、それとも別途保守契約が必要なのかも大きなポイントです。 もし保守契約が含まれない場合は、故障が発生した際の修理窓口、修理費用、代替機の提供の有無など、緊急時の対応についても確認しておきましょう。

迅速な修理対応は営業停止のリスクを最小限に抑えるために重要であり、特に製氷機や冷蔵庫など、代替が効かない厨房機器については、手厚い保守体制を持つリース会社を選ぶことが望ましいです。

飲食店における厨房機器のリース契約の仕組みを理解しよう

厨房機器のリースは、導入時の費用を抑えられるため、飲食店経営にとって強力な味方です。 しかし、中途解約ができないという特性上、将来お店を売却する際には、残債の一括返済が必要になることがあります。 現在、お店の売却を検討されており、リース機器の残債や取り扱いに不安がある方は、ぜひ専門業者にご相談ください。 リース契約の引き継ぎや残債処理を含めた、最適な売却プランをご提案させていただきます。

居抜き売却に関するご相談や、リース契約中の機器の取り扱いについて詳しく知りたい場合は、「買取の神様」にご相談ください。「買取の神様」は、首都圏・東海・関西・九州で多くの飲食店オーナー様に選ばれている、居抜き買取のプロ集団です。売却に関する複雑な手続きも、経験豊富なスタッフが全面的にサポートするため、初めての売却でも安心してご利用いただけます。「まずは話だけ聞いてみたい」という移転や売却のご相談も大歓迎ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

首都圏在住・ライター歴7年。東京近郊の食べ歩きが趣味です。路地裏にあるような穴場の名店を見つけると嬉しくなります。元マスコミ勤務の経験を活かし、正確で読みやすい情報提供を心がけています。

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