居酒屋を居抜き物件で開業するには?スケルトン物件との違いやメリット、費用を解説

居酒屋の開業を考えているものの、初期費用の高さに悩んでいませんか。

スケルトン物件でゼロから内装を作り上げる場合、内装工事費だけで1,000万円以上かかることも珍しくありません。

そこで注目されているのが「居抜き物件」です。ただし、「居抜き物件とスケルトン物件は具体的に何が違うのか」「本当にコストを抑えられるのか」「どんな注意点があるのか」など、わからないことも多いでしょう。

この記事では、居酒屋を居抜き物件で開業する際のメリット・デメリットや、開業にかかる費用を詳しく解説します。この記事を読めば、物件選びや資金計画を立てる際の判断材料が得られ、安心して開業準備を進められるでしょう。

なお、居酒屋の開業手順や成功させるポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

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目次

【基礎知識】居抜き物件について

居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備などがそのまま残された状態で引き継げる物件のことです。

飲食店の開業では、通常であれば内装工事や厨房設備の導入など、多額の費用と時間がかかります。しかし、前テナントが飲食業態の居抜き物件を選べば、営業に必要な設備がすでにそろっているケースも多く、追加投資を最小限に抑えられるのが特徴です。

スケルトン物件との違い

スケルトン物件とは、内装や設備がすべて撤去され、コンクリートの躯体だけが残された状態の物件のことです。

居抜き物件とスケルトン物件の主な違いをまとめると以下のようになります。

比較項目居抜き物件スケルトン物件
1. 内装の状態前テナントの設備や内装がそのままの状態コンクリートむき出しの状態
2. デザインやレイアウトの自由度低い高い
3. 設備の故障リスク高い低い
4. 開業費用抑えられる高い
5. 開業までの期間最短1か月程度3~6か月程度
6. 物件の数多い少ない
7. 退去時の原状回復義務(※)不要スケルトン渡し
(※)退去時に、借りたときの状態に戻す義務のこと

スケルトン物件は、デザインやレイアウトの自由度が高く、理想の店舗づくりが可能です。しかし、すべてをゼロから作り上げるため、工事費用が高額になり、開業までに3〜6か月程度の期間を要します。

一方、居抜き物件は初期費用と開業までの期間を大きく抑えられます。ただし、前テナントの内装に制約されるため、デザインの自由度は低いです。

また、既存設備の劣化状況によっては、故障リスクを考慮しなければなりません。

それぞれの特徴を理解したうえで、自身の開業コンセプトや予算などに合った物件を選ぶことが重要です。

居抜き物件とスケルトン物件の違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

居酒屋を居抜き物件で開業するメリット・デメリット

居酒屋を居抜き物件で開業する際のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

メリットデメリット
1.開業費用を大幅に削減できる
2.早期オープンを実現できる
3.前テナントの内装・設備を活用しやすい
4.前テナントの顧客を引き継げる可能性がある
1. 理想のコンセプトを実現しにくい可能性がある
2. 設備の故障や追加コストのリスクがある
3. 前テナントのイメージが残りやすい

居抜き物件の最大のメリットは、前述のとおり開業費用を大幅に削減できる点です。居抜き物件は、前テナントの厨房設備やカウンター、テーブル席などをそのまま活用できるため、数百万円単位でコストを抑えられます。

また、内装工事期間が短縮されるため、最短1か月程度でオープンできる可能性があります。工事期間中の家賃負担も軽減されるため、経済的な負担を最小限に抑えながら早期の売上確保が可能です。

さらに、前テナントの常連客を引き継げる可能性もあり、開業初期から一定の集客が見込めるケースもあるでしょう。

一方で、居抜き物件は前テナントの内装やレイアウトに制約されるため、理想とする店舗コンセプトを実現しにくい点がデメリットです。厨房設備の配置や客席のレイアウトを大幅に変更する場合、追加工事費がかさむ可能性もあります。

また、既存設備の使用年数や劣化状況によっては、開業後に故障するリスクも考えられます。他にも、前テナントの評判が悪かった場合、そのマイナスイメージを払拭するためには広告宣伝に注力しなければなりません。

これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、自身の開業計画に照らし合わせて物件を選ぶことが重要です。

居抜き物件のデメリットとその対策について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

居抜き物件で居酒屋開業にかかる主な費用

東京都心近辺で居酒屋を居抜き物件で開業する場合、以下のような費用がかかります。

名目内訳金額
1.物件取得・初期費用敷金・仲介手数料・造作代金(※)などの契約諸費用約850〜1,100万円
2.内装・設備投資費厨房機器追加やインフラ工事費など約250〜300万円
3.運転資金仕入れや人件費など約200〜250万円
4.開業準備・その他許認可申請や税務関連など約50〜100万円
5.予備資金想定外の修繕など約50〜100万円
合計約1,400〜1,800万円
(※)造作代金:前テナントの内装や設備を次の借主に引き継ぐ際に支払う費用

上記はあくまで目安であり、物件の立地や規模、前テナントから引き継ぐ設備の状態などによって金額は変動します。居抜き物件を選べば、スケルトン物件と比較して開業費用を大幅に抑えられますが、それでも1,500万円前後の資金が必要となるケースが一般的です。

ここからは、各費用について詳しく見ていきましょう。

1.物件取得・初期費用

居抜き物件を契約する際には、通常の物件取得にかかる初期費用に加えて、前テナントへの造作代金の支払いが発生するケースがあります。

具体的な費用と金額の目安は以下のとおりです。

費用説明金額の目安
敷金・保証金貸主への預け金物件退去時には原状回復費用に充当される家賃6〜10か月分
礼金貸主へ謝礼として支払う費用家賃1〜2か月分
仲介手数料不動産会社への手数料家賃1か月分
造作代金前テナントの内装や設備を引き継ぎにかかる費用無償〜800万円程度
その他費用火災保険・鍵交換費用・保証料などの費用数万円〜数十万円
※東京都23区内の相場(2025年11月現在)

敷金・保証金は、家賃の6〜10か月分が一般的です。たとえば、月額家賃が30万円の物件であれば、敷金だけで180〜300万円が必要となります。

造作代金は、前テナントが残した内装や設備を引き継ぐ対価として支払う費用です。

金額は物件によって大きく異なり、無償で譲渡されるケースもあれば、800万円程度かかるケースもあります。造作代金は前の借主との交渉で決まるため、事前に内容を十分確認しましょう。

物件取得・初期費用は、開業費の大半を占めるため、入念に資金計画を立てることが重要です。

2.内装・設備投資費

内装・設備投資費は、居抜き物件の補修や追加投資にかかる費用です。具体的には以下のような費用を指します。

  • 厨房機器の追加購入費
  • 既存の内装や設備の修理費
  • 看板やメニュー表などの製作費

既存の設備を引き継ぐため、総額300万円程度で抑えられるケースが多いでしょう。

ただし、前テナントから引き継いだ厨房機器が劣化している場合、修理や買い替えが必要となり、予想以上に費用がかさむ可能性もあります。想定外の出費を避けるためにも、居抜き物件を契約する前に専門業者に現地調査を依頼すると良いでしょう。

なお、居酒屋の内装工事費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

3.運転資金

運転資金は、開業から売上が安定するまでの期間に必要な資金です。

居酒屋の開業時には、開店前の準備期間から営業開始後の数か月間、売上が思うように上がらない可能性を考慮して、十分な運転資金を確保しておく必要があります。

運転資金の主な内訳は、以下のとおりです。

費用項目説明金額の目安
仕入れ費用初回仕入れ+1〜2か月分の食材・飲料の費用50〜100万円
人件費オープン前の研修期間とオープン初月分の費用(従業員数によって変動)50〜100万円
家賃・水道光熱費開業初月分+予備1〜2か月分30〜50万円
広告宣伝費オープン告知チラシ・SNS広告・グルメサイト掲載費など20〜50万円

居酒屋の場合、仕入れ費用は生鮮食品やアルコール類の仕入れが中心となるため、50〜100万円程度を想定しておくと良いでしょう。

人件費は、オープン前のスタッフ研修期間と開業初月分の給与を確保する必要があります。従業員の人数や雇用形態によって変動しますが、アルバイトを数名雇用する場合でも50〜100万円程度は見込んでおきましょう。

家賃や水道光熱費は、開業初月から発生します。売上が安定するまでの期間を考慮して、最低でも1〜2か月分の予備費を確保しておくことが望ましいです。

広告宣伝費は、新規オープンを周知するために必要な費用です。オープン告知のチラシ配布やSNS広告、グルメサイトへの掲載など、効果的な集客施策を実施するために20〜50万円程度を予算として確保しておきましょう。

運転資金が不足すると、開業後すぐに資金繰りに苦しむことになります。余裕を持った資金計画を立てることが、安定した経営の基盤となるでしょう。

4.開業準備・その他費用

開業準備・その他費用は、営業許可の取得や売上管理システム(POSシステム)の導入など、開業に必要な手続きや準備にかかる費用です。

具体的には、保健所への営業許可申請や税理士への報酬などが挙げられます。会計ソフトなどを導入する場合は、初期費用や月額利用料が必要です。

これらの開業準備・その他費用は、個々は小額でも積み重なるとまとまった金額になります。あらかじめ50〜100万円程度を準備しておくと、スムーズに開業準備を進められるでしょう。

5.予備資金

予備資金は、開業してから想定外の出費に備えるための資金です。

居抜き物件で居酒屋を開業する場合でも、計画どおりに進まないケースは少なくありません。たとえば、引き継いだ厨房機器が開業直前に故障したり、オープン直後の売上が予想を下回ったりなどが考えられます。

このような想定外の事態にも対応できるように、予備資金として開業費全体の5〜10%程度を見込んでおくと安心です。たとえば、開業資金の総額が1,500万円の場合、75〜150万円程度の予備資金を用意しておきましょう。

予備資金があれば、突発的なトラブルにも冷静に対応でき、開業直後の経営を安定させられるでしょう。

居酒屋を居抜き物件で開業する際によくある質問​​

ここでは、居酒屋を居抜き物件で開業する際によくある質問を3つ紹介します。

  • 造作譲渡契約とはどのような契約?
  • 居酒屋を居抜き物件で開業する際の注意点は?
  • 居抜き物件を効率良く探すには?

それぞれ詳しく解説します。

造作譲渡契約とはどのような契約?

造作譲渡契約は、前テナントの内装や設備を次の借主に譲渡する際に締結する契約です。物件の貸主と締結する賃貸借契約書とは別に、前の借主と次の借主との間で締結されるケースが大半です。

造作譲渡契約では、どの設備や備品を譲渡するのか、譲渡金額の総額はいくらか、引き渡し日はいつかなどを詳細に取り決めます。

契約内容があいまいだと、引き渡し後に「約束した設備が撤去されていた」「設備が故障していたのに聞いていなかった」などのトラブルが発生する可能性があります。そのため、契約書には可能な限り詳細に記載し、双方が納得したうえで署名することが重要です。

造作譲渡契約について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

居酒屋を居抜き物件で開業する際の注意点は?

居酒屋を居抜き物件で開業する際は、引き継ぐ設備の動作確認や劣化状況の調査などを徹底的に行うことが重要です。必ず現地で確認し、可能であれば専門業者に立ち会ってもらい、詳細にチェックすることがおすすめです。

また、前テナントの撤退理由も確認しておきましょう。「立地条件が悪い」「騒音問題で近隣とトラブルがあった」など、物件そのものに問題がある場合、同じ業態では成功が難しい可能性があります。

不動産会社を通じて、できる限り詳しく情報を収集しましょう。

居抜き物件を効率良く探すには?

一般的な不動産ポータルサイトでは、居抜き物件の情報が限られていたり、すでに成約済みの物件が掲載されていたりするケースが少なくありません。居抜き物件を効率良く探したい方は、居抜き物件専門の検索サイト「居抜きの神様」の活用がおすすめです。

居抜きの神様」では、東京や大阪、福岡など都市部の居抜き物件を豊富に取り扱っており、掲載物件数は3,800件以上(2025年11月時点)にもおよびます。

「居抜きの神様」に無料会員登録すれば、一般公開前の新着物件や未公開物件の情報を優先的に受け取ることが可能です。物件見学の申し込みも、希望日時を選んでボタンを1回タップするだけで簡単にできます。

居抜き物件は、条件の良いものほど早く成約してしまう傾向があります。「居抜きの神様」に会員登録して、希望に合った物件情報を逃さないようにしましょう。

なお、飲食店の居抜き物件の探し方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

まとめ

居抜き物件で居酒屋を開業すれば、前テナントの内装や設備を引き継ぐことで初期費用を大幅に削減でき、早期オープンを実現できます。東京都心近辺で居酒屋を居抜き物件で開業する場合、1,400〜1,800万円程度の資金を見込んでおきましょう。

居抜き物件を選ぶ際は、設備の動作確認や前テナントの撤退理由のヒアリング、造作譲渡契約の内容の精査などを徹底することで、開業後のトラブルを未然に防げるでしょう。

効率的に好条件の居抜き物件を探すには、居抜き物件専門の検索サイト「居抜きの神様」の活用がおすすめです。無料会員登録をすることで、一般公開前の新着物件や未公開物件の情報を優先的に入手できます。

ぜひ「居抜きの神様」に会員登録して、理想の居抜き物件を見つけましょう。

居抜きの神様の会員登録はこちら

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この記事を書いた人

宅地建物取引士。
不動産会社2社で勤務。不動産仲介や新築・リフォームの営業および現場管理、分譲工事のプロジェクトリーダーなどに従事。不動産・建築業界で培った経験を活かし、現在は不動産ライターとして記事の執筆や監修を実施。

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