居抜き物件は、前テナントの設備や内装をそのまま引き継ぐことができるため、初期費用を大幅に抑えられます。内装や設備のないスケルトン物件と比較すると、内装工事費を数百万円単位で抑えられ、工事期間も短縮できるため、コスト削減や早期開業が実現しやすいのがメリットです。
しかし、居抜き物件にはデメリットも存在します。デメリットを理解せずに安易に契約してしまうと、開業後に予想外のトラブルに見舞われ、経営が行き詰まるリスクも高まるでしょう。
この記事では、居抜き物件の6つのデメリットとその対策について詳しく解説します。
デメリットを正しく理解し、適切に対策を講じることで、居抜き物件のメリットを最大限に活かした開業を実現できるでしょう。
なお、居抜き物件で実際に起こりやすいトラブル事例について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

居抜き物件の6つのデメリットと対策

居抜き物件には、主に以下のようなデメリットが存在します。
- 店舗の内装やレイアウトの自由度が低い
- 設備の故障リスクがある
- 追加コストがかかる可能性がある
- 前テナントのイメージが残りやすい
- 契約が複雑になりやすい
- 競合店との差別化を図りにくい
それぞれのデメリットと対策について詳しく見ていきましょう。
なお、居抜き物件のトラブル例について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

1. 店舗の内装やレイアウトの自由度が低い
居抜き物件は、基本的に前テナントの設備や内装をそのまま活用することが前提となります。そのため、スケルトン物件と比較すると、内装のデザインやレイアウトの自由度が低くなってしまうでしょう。
たとえば、厨房設備の配置や給排水設備の位置は、前テナントの仕様に依存するため、イメージする店舗の実現が困難になる可能性があります。電気容量や空調設備なども、前テナントの仕様になっているため、希望の改装ができるとは限りません。
以下の記事では、居抜き物件とスケルトンの違いやメリット・デメリットについて詳しく解説しています。こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

【対策】事前の現地調査やシミュレーションを入念に行う
内装やレイアウトの制限で後悔しないためには、事前の現地調査と運営シミュレーションを入念に行うことが重要です。
居抜き物件の内見時には、実際の営業をイメージしながら、細かい部分まで確認する必要があります。具体的には、以下のような内容をチェックしましょう。
- 厨房と客席の配置
- 残されている設備の種類や動作状況
- インフラ設備の容量や位置
- 立地(外観)および周辺環境
確認すべきポイントがわからない場合は、設計士や施工業者と一緒に現地確認を行い、改装の必要性や概算費用を事前に把握しておくと、契約後のトラブルを防げます。
居抜き物件でも、工夫次第で理想に近い店舗づくりは可能です。制約を理解したうえで、創意工夫を凝らすことが、成功への鍵となるでしょう。
2. 設備の故障リスクがある
居抜き物件では、前テナントが使っていた厨房機器や空調設備などをそのまま引き継ぎますが、設備の使用年数や劣化状況が不明なケースも多く、開業後の故障リスクが高いのがデメリットです。
厨房機器などが故障すると、予期せぬ修理費用が発生します。修理費用だけでなく、故障による営業機会の損失も考慮すると、設備の故障リスクは経営に大きなダメージをあたえる可能性があります。
【対策】設備点検の実施や保証期間の確認を行う
設備の故障リスクを最小限に抑えるには、設備の点検や保証期間の確認などを行いましょう。可能であれば、前テナントのオーナーと一緒に、各設備の状態を正確に把握することが望ましいです。
具体的には、厨房機器や電気設備の動作確認、給排水設備の詰まりや漏水チェックなどを行いましょう。
設備の点検内容や取り決め事項は、必ず造作譲渡契約書(※1)に明記しておきましょう。双方が納得したうえで契約すれば、トラブルを未然に防げます。
(※1)前の借主が店舗の内装や設備を次の借主に引き継ぐ際に締結する契約のこと
3. 追加コストがかかる可能性がある
居抜き物件は初期費用を抑えられますが、予想外の追加コストが発生する可能性があります。
たとえば、設備の入れ替えやレイアウトの変更などで、撤去費用や追加工事費が必要になるなどのケースです。追加で電気工事や水道工事が必要になる場合、想定よりも費用がかさむこともあります。
追加コストを考慮せず資金計画を立ててしまうと、開業前に資金不足に陥るリスクが高まるでしょう。
【対策】資金計画で予備費を設定しておく
追加コストに備えるには、資金計画において十分な予備費を確保しておくことが不可欠です。あくまで一つの目安ですが、総予算の5〜10%ほど想定しておくと安心です。
たとえば、開業費1,000万円を見込んでいる場合、予備費として100万円程度想定しておきましょう。余裕を持った資金計画を立てることで、想定外の追加コストにも対応できます。
4. 前テナントのイメージが残りやすい
居抜き物件は、外観や内装が前テナントと似てしまうことが多いため、近隣住民や既存顧客には前の店舗のイメージが残りやすいデメリットがあります。
もし、前テナントの評判が悪く、以下のようなマイナスイメージが定着していると、新しくオープンしても集客に苦戦する可能性が考えられます。
- 料理の質が低い
- サービスが悪い
- 近隣住民と騒音トラブルがあった など
さらに、グルメサイトの口コミや評価も、前テナントの情報が残っている場合があり、新規顧客の獲得に悪影響を及ぼすケースもあります。
【対策1】積極的な広告宣伝活動を行う
前テナントのイメージを払拭するには、新規オープンをアピールするために、積極的に広告宣伝活動をする必要があります。店舗の外観に大きな看板やのぼりを設置し、新しい店舗がオープンしたことを周知させましょう。
他にも、周辺地域に新規オープンの案内やチラシを配布し、メニューや営業時間、コンセプトなどを詳しく紹介します。開業記念の限定メニューや割引クーポンもつけることで、来店のきっかけを作れます。
また、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSで情報発信を行い、店舗の雰囲気や料理の写真を投稿するのも効果的です。グルメサイトへの登録も忘れずに行い、正確な情報を掲載することで、前テナントとの差別化を図りましょう。
【対策2】前テナントの撤退理由を確認する
居抜き物件を検討する際は、前テナントがなぜ撤退したのか、その理由を必ず確認しておきましょう。
撤退理由が立地条件の悪さである場合、同じ業態では成功が難しい可能性があります。駅から遠い、人通りが少ないなどの立地条件の問題は、簡単には解決できません。
また、近隣住民とのトラブルが原因の場合も、慎重に検討する必要があります。騒音や臭いなどで近隣からクレームが多発していた場合、同じ問題に直面する可能性が高いからです。
一方、経営者の個人的な事情(健康問題や後継者不在など)による撤退であれば、物件自体に問題はない可能性があります。不動産会社を通じて、できる限り詳細な情報を収集しましょう。
5. 契約が複雑になりやすい
居抜き物件の契約は、通常の賃貸借契約に加えて、造作譲渡契約(※1)を締結する必要があります。
口頭での確認だけでは、後々トラブルになる可能性があります。どこまでが譲渡対象なのか、何を撤去するのかなど、詳細に記載する必要があり、契約が複雑になりやすいでしょう。
(※1)前の借主が店舗の内装や設備を次の借主に引き継ぐ際に締結する契約のこと
【対策】契約書の記載内容を細かく確認する
契約トラブルを防ぐためには、契約書の記載内容を細かく丁寧に確認し、不明な点は契約前に解消しておくことが重要です。とくに造作譲渡契約では、譲渡対象物(※2)のリストを作成しておくことをおすすめします。
造作譲渡契約において確認すべき主な項目は以下のとおりです。
- 引き継ぐ設備の具体的な内容と状態
- 譲渡代金と支払い時期・方法
- 引き渡し日と引き渡しの方法
- 契約不適合責任の有無と期間
契約書の内容に不安がある場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談するのも良いでしょう。口頭での取り決めは避け、すべての合意事項を契約書面に記載するようにしましょう。
(※2)建物に付加された内装、設備、構造物のこと
6. 競合店との差別化を図りにくい
居抜き物件は、前テナントの設備やレイアウトを基に営業するため、スケルトン物件よりも店舗のオリジナリティを出すことが困難です。そのため、近隣の競合店との差別化を図りにくいデメリットがあります。
また、厨房設備のグレードによっては、提供できるメニューに制約が生じる可能性もあります。特殊な調理機器が必要な料理は提供できず、メニューの幅が狭くなってしまうことも考えられるでしょう。
【対策】オリジナルのメニュー開発やサービス向上に注力する
居抜き物件は、内装や設備での差別化が難しいため、メニューやサービスなどのソフト面で差別化に注力することが重要です。
具体的には、料理の質にこだわり、他店にはないオリジナルメニューを開発するなどが挙げられます。地元の食材を活用した地産地消メニューや、独自の調理法を開発できれば、味での差別化が可能です。
また、季節限定メニューや日替わりメニューなど、変化をつけることでリピーターの獲得にもつながります。サービス面においても接客の質を高めたり、予約システムの導入やデリバリーサービスなど、顧客に寄り添ったサービスを提供したりすることで、ファンを増やせるでしょう。
周辺の競合店の価格帯やメニュー構成、口コミ評価などを詳しく分析し、自店の強みを明確にすることで、効果的な差別化戦略を立てましょう。
居抜き物件を探すには「居抜きの神様」を活用しよう!

居抜き物件のデメリットと対策を理解しましたが、実際に好条件の居抜き物件を見つけるには、出回っていない物件情報をいかに入手するかが重要です。
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まとめ
居抜き物件の6つのデメリットとその対策について詳しく解説しました。
居抜き物件は初期費用を大幅に削減でき、早期に開業できますが、デメリットも存在します。
居抜き物件のデメリットと対策をまとめると、以下のようになります。
デメリット | 対策 |
1. 店舗の内装やレイアウトの自由度が低い | 事前の現地調査やシミュレーションを入念に行う |
2. 設備の故障リスクがある | 設備点検の実施や保証期間の確認を行う |
3. 追加コストがかかる可能性がある | 資金計画で予備費を設定しておく |
4. 前テナントのイメージが残りやすい | 1. 積極的な広告宣伝活動を行う 2. 前テナントの撤退理由を確認する |
5. 契約が複雑になりやすい | 契約書の記載内容を細かく確認する |
6. 競合店との差別化を図りにくい | オリジナルのメニュー開発やサービス向上に注力する |
事業を成功させるには、居抜き物件のデメリットを正しく理解し、対策を講じることが重要です。
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