カフェの廃業率は?潰れない店舗の特徴や成功させるポイント

カフェの廃業率は他の業態と比べても高く、3年で約50%、5年で約70%が廃業すると言われています。客単価の低いカフェは経営が難しいとされますが、コンセプトを明確にする、コスト管理を徹底するなどの対策で潰れない店舗にすることは可能です。この記事ではカフェの廃業率と潰れないお店の特徴、経営を成功させるポイントについて解説していきます。

目次

カフェの廃業率はどのくらい?

カフェの廃業率は飲食業界全体と比べても高く、「3年以内に約50%、5年以内には約70%が廃業する」と言われています。この数字は、開業から1~2年で半数近くが撤退し、さらに3~5年の間に多くの店舗が消えていくという厳しい現実を示しています。

高い廃業率の理由は、開業資金や運転資金が底をつく前に、事業を軌道に乗せられないケースが多いためです。これはカフェに限った話ではなく、飲食店全体の廃業率も、開業後1年以内で約30%、3年以内で約50%に達するというデータがあります。

そのため、カフェだけが特別厳しい状況にあるわけではありませんが、廃業率の低い和食や寿司は開業後1年以内で約10%、3年以内で約30%が閉店するという調査もあるため、それらの業態と比べるとカフェは生存率が低いと言えるでしょう。

カフェ経営が難しい理由

カフェは他の業態に比べて経営が難しいことが、廃業率の高さにつながっています。経営が難しい理由には、顧客の数に対して店舗数が多すぎること、客単価が低く売り上げを伸ばしにくいこと、出店計画が不透明になりやすいことが考えられます。

需要に対して店舗数が多すぎるから

カフェ経営が難しい大きな要因は、顧客の数に対して店舗数が多すぎることです。全国のカフェの店舗数は2016年の約20.9万店から、2023年には約4.7万店と急速に減少※1。しかし、市場規模は約1.13兆円から約1.18兆円に拡大しています※2。これは「売れるお店」は増えているものの、顧客が入る店舗数は大幅に減っていることを示しています。

カフェ業態はスタバ、タリーズ、ドトールなどの大手チェーンも多く、選択肢の多さから新規出店しても目立ちにくい状況です。人気のカフェは強いブランドイメージを確立しており、集客力も高いため、対抗できる実力や独自性を持っていないと淘汰されてしまう現実があります。

また、コロナ以降は通勤客が減り、オフィス街のカフェが苦戦したことや、物価高によりメニューの価格が上がり、顧客の足が遠のいたことも顧客数の減少につながりました。こうした市況では、「誰でも始められるから出店する」のではなく、「本当に選ばれるお店を出店する」必要があります。

※1参考:衛生行政報告例 / 平成28年度衛生行政報告例 統計表 年度報「許可を要する食品関係営業施設数・許可・廃業施設数・処分・告発件数・調査・監視指導施設数,営業の種類別」、衛生行政報告例 / 令和5年度衛生行政報告例 統計表 年度報「旧食品衛生法に基づく許可を要する食品関係営業施設数・許可・廃業施設数・処分・告発件数・調査・監視指導施設数,営業の種類別

※2参考:一般社団法人日本フードサービス協会 データからみる外食産業「外食産業市場規模推移

売上を伸ばしにくいから

カフェは他の業態と比べて売上を伸ばしにくいことも、経営が難しい理由のひとつです。飲食店の利益は客単価×客数×回転率で求められますが、ドリンクや軽食が中心のカフェは客単価が低い傾向にあります。さらに、ゆったり過ごす顧客も多く、回転率の悪さからなかなか売上を伸ばせません。人の入りやすいモーニングやランチタイム、カフェタイムに比べて、ディナーの時間帯に集客しにくいことも悩みの種です。

集客の面では、競合となるカフェは町中に溢れているため、新規だけでなくリピーターの確保も厳しい状況です。魅力的なメニューや接客、回転促進施策など、細やかな工夫を積み重ねないと、収益が伸びにくい構造になっています。

出店計画が曖昧だから

多くの開業者は、「とりあえずカフェをやりたい」という思いだけで始めてしまい、出店計画が曖昧になりがちです。出店計画が曖昧だと、内外装に資金を使いすぎる、メニューの利益率が低く、どれだけ売っても儲からないといったことが起こります。

実際、「コンセプトの明確化不足」「資金計画が甘い」「集客戦略が不十分」という要因は、飲食店が開業後1年以内で廃業する大きな原因になっています。

高い廃業率でも潰れないカフェの特徴

高い廃業率でも潰れないカフェは、明確なブランドイメージがあるか、集客力の高い立地を選んでいることが多いでしょう。他にもコスト管理の徹底や、リピーター客の確保、効果的なマーケティングも、長く営業しているカフェの共通点です。

明確なコンセプトがある

廃業率が高いカフェでも、独自のコンセプトがあると差別化でき、選ばれる理由になります。例として、「一人客向け用に仕切り席を設置する」「学生向けに大盛りメニューを提供する」など、具体的なテーマがあるとファンが生まれやすいです。

また、成功するカフェの多くは5W2Hを明確化し、店の軸をぶれずに構築しています。5W2Hとは「When・Where・Who・What・Why・How・How much」の頭文字をとった言葉で、ビジネスで活用されているフレームワークのひとつです。

Whenいつ早朝、ランチタイム、カフェタイム、ディナー、深夜など
Whereどこでビジネス街、住宅地、商業施設内、郊外など
Who誰にビジネスパーソン、地元住民、観光客、性別、年代など
What何をするこだわりのコーヒーを提供する、地元食材を使用した軽食メニューを提供するなど
Why何のために一人でゆっくり過ごせるお店にする、デート向けに非日常的な気分を提供するなど
How
どのように
落ち着いた空間で居心地の良さを提供する、若者向けのデザートや飲み物を揃えるなど
How muchいくらで低価格帯でコスパ良く、高価格帯で高級路線など

こうした差別化によって、「よくある普通のカフェ」ではなく「ここでしか味わえない体験」が提供でき、再訪につながります。

立地の良さを活かしている

立地の良さを活かすのも、潰れないカフェの特徴です。立地は集客力の要であり、可能な範囲でアクセスの良い場所や、通行量の多いエリアを選ぶことが重要です。

また、お店のコンセプトやターゲット層に合わせて、駅前・オフィス街・大学近くといった立地を選ぶと、自然な来店につながります。一例として、ビジネスパーソン向けカフェならオフィス街に短時間で利用できる席を用意し、回転率を高める設計が有効です。

効率的にコスト管理している

成功するカフェは、コスト管理が徹底しているのも特徴です。経営がうまくいっているカフェは、材料費や人件費、家賃などの固定費をしっかり管理し、利益率を意識した運営がされています。

具体的には、原価率を15~30%に抑えるためにメニュー数を厳選する、食材ロスを減らすなどの工夫が挙げられます。また、開店時にコストを計算して終わりではなく、定期的に分析や予算管理を行い、無駄な支出を見つけて再調整しているのもポイントです。

リピーター客を確保している

高い廃業率に負けずに営業しているカフェは、必ず一定数のリピーター客を確保しています。毎回新規客を獲るのに比べて、リピーター客を増やすほうが経営が安定するためです。

リピーター客を増やすには、LINE特典やスタンプカード、定期イベント、SNS発信など、繰り返し来店したくなる仕掛けを用意することが効果的です。また、質の高いサービスを心掛けて、居心地の良さや接客の丁寧さが認知されれば、自然とファンが生まれて売上も安定するでしょう。

マーケティングが優れている

成功するカフェは、マーケティングが優れているという特徴もあります。若者向けのカフェであればSNSを活用する、シニア向けであればチラシやスタンプカードといった紙媒体を使うなど、自店の「誰に」「何を」「どこで」を明確にし、それに合った宣伝を実施しているのが特徴です。

ターゲット層を明確にした上で市場調査を行うことで、競合との違いや客層に刺さるポイントが把握でき、効果的な広告展開につながります。

カフェを開業して1年以内に廃業してしまう人の特徴

カフェを開業して1年以内に廃業してしまう場合、事業計画を立てていなかったり、宣伝活動をしていなかったりするケースが見られます。なぜ廃業してしまうのか、具体的な理由を見ていきましょう。

事業計画を立てていない

多くのカフェ開業者は思いが先走り、事前の事業計画を怠ってしまいます。その結果、家賃や人件費、設備費などの初期・運転資金の見積が甘く、思わぬ支出が重なって資金が枯渇しやすいのです。

例えば、飲食店では開業前に「半年~8ヵ月分の運転資金」を確保することが推奨されますが、不足状態で始めると、売上が安定する前に資金が足りなくなってしまうこともあります。しっかり事業計画を立てることで、明確な収支見込みや売上目標を持ち、短期間での資金不足を予防できます。

宣伝活動をしていない

宣伝活動をしていないカフェも、1年以内に廃業しやすくなります。お店がいくら素敵でも、存在を知ってもらえなければ顧客は訪れません。オープン時に集客戦略が曖昧だと、SNSや口コミ、Googleマップの活用がうまくできず、「誰にも知られていないカフェ」になってしまう恐れがあります。


オープン時はもちろん、開業後も地道な宣伝活動をすることが、カフェを長く運営するための重要な要素となります。定期的なSNSの投稿や地元イベントへの参加など、小さな積み重ねが広告費以上の成果を生むことも少なくありません。

廃業率の高いカフェ経営を成功させるポイント

廃業率の高いカフェ経営を成功させるには、事前の事業計画書作成が欠かせません。加えて、立地やコスト管理、サービスの質やマーケティング、メニュ―数にも気を配っておきましょう。

1.事業計画書を作成する

廃業率が高いとされるカフェ経営ですが、あらかじめ事業計画書を作っておくと成功しやすくなります。例えば融資の審査では、ターゲット・立地・提供メニュー・集客戦略などを、具体的に記述しているかが重視されます。

事業計画書を開業前に作成しておくことで、「何にいくら使うか」「いつまでに黒字化できるか」が見えるようになり、金融機関や支援者からの信頼も得やすくなります。開業後も資金繰りや運営がしやすくなるため、十分な時間をかけて作成しておきましょう。

2.集客力が高い立地を選ぶ

集客力が高い立地を選ぶのも、カフェ経営を成功させるポイントです。立地選びは集客の基本なので、お店が想定するターゲット層が多く通る場所を選ばないと苦戦してしまいます。併せて周辺の競合店や、地域住民の構成も把握しておきましょう。

3.コスト管理を徹底する

コスト管理を徹底することが、廃業率の高いカフェ業態で成功するポイントです。目安として、ドリンク原価率は20~30%、フードでは25~30%程度に設定するのがおすすめです。

飲食店の原価率は一般的に30%までとされていますが、低すぎると割高感が生じ、高すぎると利益が減少してしまいます。原価を把握しつつ、定期的な分析や在庫管理を行うことで、食材ロスや余剰発注を防げるようになります。また、家賃や光熱費、人件費などのコストも定期的に見直し、無駄を省いた効率的な経営を目指しましょう。

4.接客サービスを向上させる

カフェならではの成功ポイントとして、接客サービスの質の向上が挙げられます。カフェは他の業態に比べて「居心地の良さ」を重視する顧客が多く、丁寧な接客が喜ばれやすいからです。

丁寧で気配りあるサービスを提供することで、“いつものカフェ”として認知され、リピーター獲得に貢献します。エリア内に競合が多くても、居心地や笑顔、顧客との対話で差をつけることが可能です。

5.マーケティングに力を入れる

競争の激しいカフェ業態で生き残るには、マーケティング戦略が重要です。新規客とリピーター客の両方を増やす対策をしましょう。

新規客を増やすための施策
① SNS活用(Instagram・X・LINE・Facebookなど)・写真映えするメニューや店舗内装を投稿して話題化を狙う
・ハッシュタグや位置情報を活用して認知を広げる
・フォロワー限定キャンペーンなどで来店のきっかけを作る
② Googleマップ・食べログなどのMEO対策・店名・営業時間・写真・口コミなどの情報を充実させる
③ チラシや地域情報誌の活用・オープン直後やキャンペーン時に地元住民へ直接アピール
④ 地域イベント・コラボ企画・商店街のイベントや地元の催しに出店・協賛する
・他の人気店や異業種とコラボ
リピーターを増やすための施策
① スタンプカードやポイント制度・来店ごとにポイントが貯まり、特典を進呈
② LINE公式アカウント・メルマガ・クーポン配信や限定メニューのお知らせで再来店を促す

SNSを活用する際は、顧客層に合ったSNS(若者ならインスタ、ビジネスパーソンならXやFacebookなど)を選定するのがポイントです。

6.メニュー数を厳選する

カフェ経営はメニュー数を絞ることで、仕込みの手間や材料ロスを抑えながら提供できます。「メニュー数を増やしたほうが利用者は増える」と思われがちですが、メニュー数が多いとスタッフの負担が増えて対応できなくなる、食材費がかかるなどのデメリットがあります。

メニュー数が少なすぎても顧客満足度が低下してしまうため、ドリンクは10~15種類、フードは5~10種類を目安に設定します。その中で看板商品や定番メニューを決めて、ブランドの魅力を高めつつ、利益率を意識した商品を入れてバランスを取りましょう。

カフェ業態は廃業率が高いことを踏まえ、十分な対策を

カフェは開業しやすい一方、1年で3割、3年で7割が廃業するとも言われる厳しい世界です。しかし、ポイントを押さえれば「潰れないカフェ」をつくることは可能です。本記事で紹介した廃業しやすいカフェの特徴や、成功する店舗の共通点も参考に、顧客に長く愛されるお店作りを心掛けましょう。

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この記事を書いた人

首都圏在住・ライター歴7年。東京近郊の食べ歩きが趣味です。路地裏にあるような穴場の名店を見つけると嬉しくなります。元マスコミ勤務の経験を活かし、正確で読みやすい情報提供を心がけています。

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