ニュース
-
資金ゼロで飲食店は開業できる?手元資金が少なくても開業できる方法6選
2023.08.25
開業するにあたって、資金ゼロで飲食店を開業できるのか知りたい、可能な限り自己資金を抑えて開業したいと考えるのは普通だと思います。
日本政策金融公庫の開業調査では、開業資金の平均は1,077万円という調査結果がでています。飲食店を開業するには、初期費用のほかに運転資金や生活費など、さまざまな費用を必要とします。
開業するには資金が必要とわかっていても、まとまった費用を用意するのは大変でしょう。しかし、資金ゼロや手元資金が少なくても開業できる方法はあります。
この記事では、資金ゼロや手元の資金が少なくても開業できる方法について解説します。自己資金を抑えて開業したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の開業に必要な費用の目安
飲食店を開業するにあたっては、必要な開業資金を見積り、自己資金がいくら必要なのかを試算しなければいけません。実際に必要となる資金は、いくら必要なのか見てみましょう。
新規開業企業の実態を調査している日本政策金融公庫によると、2022年度の開業資金の平均値は1,077万円、中央値は550万円という結果でした。この結果から、開業資金としては500〜1,000万円程度が目安ということになります。
一方で、全体の21.7%が250万円未満、21.4%が250〜500万円未満と、4割以上が少ない資金でも開業している結果も出ています。昨年度の2021年度と比較しても、250万円未満で開業する割合は1.9%と増加傾向にあります。
資金ゼロでの開業は可能?
一般的に開業するにあたっては、開業資金を必要とします。しかし、一部では資金ゼロからでも開業しようと考えている人もいるでしょう。結論としては、少額でも開業は可能です。
一般的に必要な開業資金としては、500〜1,000万円程度は必要とされており、日本政策金融公庫の新規開業実態調査でも1,077万円程度が平均となっています。しかし、全体の21.7%は250万円未満でも開業している方がいるという見方もできます。
飲食店を開業するためには、開業にあたっての初期費用のほかにも、経営が安定するまでの運転資金や生活するための生活費も必要とします。
開店当初から順調な売上を計上できればよいですが、赤字が続くことも考えておく必要があるため、最低でも手元の資金は200万円程度を用意しておけば、融資を受けて開業することは可能でしょう。
少ない手元資金で飲食店を開業する方法
手元に用意できる資金が少額でも、開業できる方法があります。以下の6つの方法をうまく活用すれば、少ない手元資金でも飲食店を開業できる可能性があるでしょう。
新創業融資制度を利用する
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、企業だけでなく個人事業主も無担保・無保証で融資を受けられる支援サービスです。
日本政策金融公庫は、国の政策に基づいて小規模事業者や中小企業の資金調達支援を目的とした機関であり、一般の金融機関による金融を補完することを旨としています。銀行などと異なり、融資のみを事業内容としている点が特徴です。
融資を受けるには、以下のどちらかの条件を満たす必要があります。
- 現在勤務中の企業と同じ業種の事業を開業する場合
- 産業競争力強化法で定められた認定特定創業支援事業を受けつつ事業を始める場合
事業に必要な設備資金や運転資金として、無担保・無保証で、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資が受けられる点が魅力です。また、自己資金額が少額であっても、開業しようとしている事業の職種において5年以上経験があれば、融資を認めてもらえる場合もあります。
融資には審査があるため、事業計画書をはじめとした必須提出書類を準備のうえで、審査に臨みましょう。
銀行や信用金庫の融資を利用する
創業融資を行っている銀行や信用金庫に限りますが、信用保証協会の信用保証付き融資を受けられる場合があります。信用保証協会と地方自治体が連携することで、金融機関から融資を受けられる制度です。
信用保証付き融資の特徴として、融資を受けた事業者が万が一返済不能に陥った際、信用保証協会が代位返済を行う仕組みになっています。こうした保証があるため、まだ実績や信用がない新規開業者であっても融資を受けられるのです。
しかし、こちらも新創業融資制度同様、事業計画や集客方法が非常に具体的で、納得できるものでないと厳しいでしょう。準備や審査など、少々ハードルが高い方法といえます。
創業融資には、事業計画書の提出が求められます。こちらの記事では、事業計画書の書き方と、作成する際のポイントを解説しています。
財務コンサルタントのサポートを受ける
前項でお伝えしてきた新創業融資制度や信用保証付き融資には、審査の際にさまざまな書類の提出が求められるほか、面談も実施されます。そうした経験がなく、かつ自己資金が少ない状態で審査に通るのは、非常に厳しいでしょう。
そこで、財務コンサルタントにサポートを依頼するという方法があります。財務コンサルタントのなかには、資金調達や創業融資に特化したサービスを行う専門家もおり、書類の書き方など、審査に通るためのテクニックを教えてもらえるでしょう。
財務コンサルタントへの依頼は手数料が発生しますが、経験のない個人が高額の融資を受けようと考えるのであれば、こうしたプロのサポートを受けるのも有効な手段です。
家族や友人に支援してもらう
資金に余裕がある家族など血縁関係者や、友人に支援を相談してみる方法もあります。しかし、親しい間柄でも金銭の貸借はしっかり行わなければ、トラブルに発展しかねません。
たとえ借りることができたとしても、返済の目処をきちんと説明しなければ、その後の関係性も悪化する可能性があります。資金を借りる場合は、借用書や金銭消費賃借契約書を交わしておく必要があります。
投資家に出資してもらう
ビジネスが成功する確信があれば、投資家に出資してもらう方法もあります。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家であれば、実績がなくても、事業計画が魅力的かつ成功する見込みがあると判断されれば融資を受けられる可能性はあるでしょう。
しかし、厳しい条件や不利な条件を提示される場合もあるため、よく考えて融資を受ける必要があります。
クラウドファンディングを活用する
クラウドファンディングは、インターネットの普及にともない2000年代にアメリカで始まったサービスです。日本では2011年に「READYFOR」がリリースされ、同年6月の「CAMPFIRE」で本格化しました。
寄付やファンド、融資などがあり、話題性や独自性、斬新なアイデアな事業計画であれば、支援者がファンになって融資をしてくれる場合があります。
クラウドファンディングを活用する人のなかには、最初は少ない資金で始めて、事業が軌道に乗ってきたら実店舗の資金を募る人もいます。
デリバリー専門店やキッチンカーなど、店舗を必要としない業態でスタートすることで、店舗の規模や資金の試算、事業計画も明確にできることから、投資する側も事業に投資しやすくなります。
まとめ
飲食店の開業にあたっては、資金ゼロで開業するのは厳しいのが現実でしょう。しかし、新創業融資制度や銀行や信用金庫の融資、家族や友人からの支援、投資家やクラウドファンディングなどを活用することで開業することは可能です。
ですが、一定の条件を満たす必要があったり、独自性がある事業計画を作成したりするなど、ハードルが高いと感じる部分もあります。
一定の条件を満たせなかったり、独自性のある事業計画が作成できなかったりする場合は、各飲食店の独立支援制度の利用や、弊社の出店の神様などの開業支援サービスを利用するのもおすすめです。
出店の神様であれば 、開業資金が用意できない場合でも支援してくれるのはもちろん、物件の紹介や集客支援などもサポートしてくれます。
サービスを利用するにあたっては、業者の強みや実績は間違いないか、サポート体制はしっかりしているかなどを確認することで、開業まで安心して取り組むことができるでしょう。開業資金が少なくても開業したいと考えている方は、一度相談してみることをおすすめします。
-
食品衛生責任者の役割とは?更新の必要性や資格の取得方法
2023.08.25
飲食店を開業する場合、食品衛生責任者の配置が義務付けられています。こじんまりした雰囲気のよいカフェから、大規模なレストランにいたるまで、飲食店を開店する際には一律必要となります。
今回は食品衛生責任者について解説するとともに、取得方法も紹介していきます。どんなことができる資格なのか、どんな人が持つべきなのかについても触れていくので、ぜひ目を通してください。
食品衛生責任者とは
はじめに、食品衛生責任者の役割と、そのほかの資格との違いについて見ていきます。これから取得を検討している方は、しっかりチェックしていきましょう。
主な役割
主な役割として、食品衛生を守る責任があることが挙げられます。食品を保管・管理する設備の衛生状態を確認・維持したり、不衛生なところがあれば改善したりします。
たとえば、冷蔵庫の性能・機能が老朽化により低下している場合、食品衛生責任者は経営者に買い替えを提案しなくてはなりません。また、長年使ったまな板やその他の調理器具は細かいキズがつき雑菌が繁殖しやすいため、新調するよう提案するのも役割です。
また、食材の加熱のチェックや、鮮度などの状態をチェックすることも含まれており、食品に関する衛生面全般を管理すると考えてもよいでしょう。
そのほか、働くスタッフの健康管理も役割のひとつです。体調不良のスタッフは休んでもらうよう指導し、手洗いや清掃のチェックを行うために管理表を作成することもあります。よく飲食店のトイレに清掃チェック表があるのは、この衛生管理のためのものです。
こうした衛生管理ができていないと、食中毒など、営業停止になりうる事態を引き起こす可能性が出てきます。
そうなればお店の信用や経営にも影響するため、専門知識を備えた有資格者が責任をもって管理する必要があります。加えて、法律を守る意味でも、飲食店には必ず食品衛生責任者を1名設置しなければなりません。
食品衛生管理者との違い
食品衛生責任者とよく似たものに、食品衛生管理者というものがあります。食品衛生管理者は、食品の製造や加工をする工場で必要な資格であり、製造・加工の過程でとくに衛生に配慮が必要な食品・添加物に対し、衛生管理を行う役割を担う国家資格です。
同じ会社でも、製造・加工をする施設ごとに食品衛生管理者を置かなければならないと食品衛生法で定められており、選任した日から15日以内に、設置や変更の届け出を都道府県知事・保健所に届け出ることになっています。
単に食品の衛生管理を行うだけでなく、各所への届け出が必要な、重要かつ責任あるポジションといえるでしょう。また、とくに衛生上の考慮が必要な食品は、次のように食品衛生法施行令第13条で決められています。
- 全粉乳(その容量が1,400グラム以下である缶に収められるものに限る)
- 加糖粉乳
- 調製粉乳
- 食肉製品
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食用油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
- マーガリン
- シヨートニング及び添加物(法第十一条第一項の規定により規格が定められたものに限る)
食品衛生責任者の上位資格のため、食品衛生管理者の資格を保有していれば、両方の役割を担当できます。
食品衛生責任者の資格に関して
食品に関する重要な資格だけに、1度取得すれば一生ものの資格として使えるのか、定期的な更新が必要なのか気になるところです。
また、転勤で県外に出たときに、変わらず資格を提示できるのでしょうか。ここでは、食品衛生責任者の資格について解説していきます。
更新は必要?
食品衛生責任者の資格は、更新や有効期限・資格の失効はありません。ただし都道府県によっては、取得から数年経過している場合、実務講習の再受講が必要な場合もあります。これは、食品に関する最新情報を習得する目的があり、国では定期的な再受講を推奨しています。
受講費用はおおむね10,000円程度です。休憩時の飲食費用も考えて、少し多めの費用を用意しておくとよいでしょう。詳細な受講スケジュールなどは、各都道府県に問い合わせて確認することをおすすめします。
どこでも有効?
平成9年以降に取得した方は、取得した都道府県以外のエリアでも有効な資格です。現在は実務講習の時間が全国で統一されたため、1度取得してしまえば、全国どこでも活用できます。
ただ、再受講する際は自治体により若干条件が異なるので、事前に確認をおすすめします。どのエリアに住んでいても受講できる自治体もあれば、市内に職場があることを条件としている自治体もあるからです。
実務講習は国から各自治体にガイドラインが配布されていて、合計6時間以上の講習が必要です。6時間以上といっても1日で修了可能な内容となっています。テキストが配布されるので、それに沿って進めていけば、とくに問題なく取得できるでしょう。
食品衛生責任者の取得方法
食品衛生責任者の資格を取得するには、どんなステップがあるのでしょうか。また、優遇措置などがあるのかも気になります。ここでは、資格の取得方法について紹介していきます。
食品衛生責任者養成講習を受講する
これから食品衛生責任者となる場合は、各都道府県で実施する食品衛生責任者要請講習会を受講しなければなりません。主に、食品衛生学、食品衛生法、公衆衛生学を学び、最後に確認試験が行われます。
これらの講習は全部で6時間程度、費用は10,000円程度となっています。費用や講習会スケジュールは自治体で異なるので、余裕を持った確認が必要です。
一例として、東京都では一般社団法人東京都食品衛生協会が食品衛生責任者養成講習会を行っているため、問い合わせ窓口は一般社団法人東京都食品衛生協会となります。このように、自治体により講習実施団体が異なるので、事前に調べておくようにしましょう。
調理に関する免許を持っている場合は窓口に申請する
食品衛生責任者の資格において、次の免許や資格を保有する方は、講習が免除になります。
- 調理師
- 製菓衛生師
- 栄養士
- 船舶料理士
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 食鳥処理衛生管理者
- 食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす免許や資格を保有する人
このほかにも免除になる免許や資格があり、自治体によって免除を認める内容が異なります。たとえばふぐの調理の免許では、自治体により免除対象・対象外がわかれています。
また、平成9年より前に食品衛生責任者を取得した人は、講習免除の対象外となるので注意が必要です。平成9年以降に食品衛生責任者の資格を取得する人は、上記の免許や資格を保有している場合、各自治体の所定の窓口に申請すれば講習が免除されます。
飲食店の開業には防火管理者も必要
飲食店を開業する際は、食品衛生責任者を1名設置しますが、そのほかにも防火管理者の設置が必要です。防火管理者とは、営業する建物内での火災発生防止および、火災が起きた際に被害を最小限にとどめ速やかに避難させるための資格です。
消防計画を作成し、定期的な消火設備の点検・整備や、定められた消火訓練・避難訓練を実施するのが主な役割です。
飲食店における防火管理者は、客席が30席以上ある場合に選任が必要です。資格を取得するには防火管理者講習を受講しなければならず、甲種と乙種の2種類があり、営業する建物の規模や収容人数でいずれかの講習を受講します。
開業予定の飲食店が、たとえば隠れ家的小規模カフェで、収容人数が30人に満たない場合は、防火管理者を選任しなくても問題ありません。
そのほか、飲食店開業にあたって必要不可欠とされるものは数多くあります。なかでも重要な、事業計画書についてこちらの記事で解説しています。
まとめ
今回は、食品衛生責任者について紹介しました。飲食店を経営する場合、食品の安全と衛生、設備や調理器具の管理など、責任を持ってやらなければなりません。当たり前のようでも、万が一食中毒が発生すれば営業停止などの処分を受け、お店の信用も失うことになります。
お客様が安心して来店できるよう、衛生面の管理は責任を持って取り組みたいところです。これから開業予定の方は、早めに講習を受けて食品衛生責任者を取得しておきましょう。
また、飲食店は店舗の立地や収容人数など、資格取得以外にもたくさんの準備が必要です。もしも、物件を探しているなら市場に出回っていない物件をチェックしてみませんか。
居抜きの神様では、市場に出回っていない飲食店物件を多数保有しており、業態や収容人数に合わせた物件紹介を行っています。飲食店物件のことなら何でも相談可能な、頼れる味方となるでしょう。ぜひ、この機会に居抜きの神様をチェックしてみてください。
-
【飲食店向け】事業計画書の書き方と作成する際のポイントを解説
2023.08.05
▼監修者情報
税理士法人 丸木公認会計士事務所 パートナー / 公認会計士・税理士 丸木 章道 http://www.kmao.jp/
新しく自身の飲食店を開く場合、新規開店と運営のプランを可視化したものに、事業計画書があります。これは、事業者がどのような考えで、どういったお店をオープンさせて、どうやって営業していくのかを具体的に計画した証明になります。
金融機関から融資を受ける場合も含めて、どのような見通しを立てているのかが客観的にわかる計画書であるため、丁寧に作られていればいるほど信用につながるでしょう。どのように事業計画書を書くとよいか、書き方及び作成のポイントについてお話していきます。
事業計画書とは
事業計画書とは、新たな事業を開始する際に作成する計画書です。主な目的は、事業の目標やビジョン、戦略、マーケット分析、財務計画などの明確化と可視化です。
具体的には、創業の動機や経営者の略歴、取扱商品やサービスの内容とそのセールスポイント、取引関係となる仕入れ先や顧客の見通し、資金調達方法から収益見込みなどまで、詳細に記載します。
事業計画書は、一般的には経営者や起業家が事業の方向性を明確にし、資金調達や投資家の説得、ビジネスパートナーとの共有を目指すために使用されます。また、運営にあたって将来の展望やリスク管理のための指針としても機能し、経営戦略を実行するための道筋を示します。
具体的な情報を盛り込みつつ、読みやすくて理解しやすい文章で作成することにより、自身のビジネスプランが魅力的であるとビジネスパートナーへアピールできるでしょう。
事業計画書が必要な理由
飲食店の事業計画書は、経営の基盤を構築し、継続的な成功への道筋を描く重要なツールです。そのため、計画書にはビジョンや目標、市場調査、財務計画、マーケティング戦略などが含まれます。
これにより、事業の方向性を明確にし、投資家や金融機関からの支援を得ることも可能です。綿密な計画を立てて作成できれば、事業の安定性や成長性を高め、飲食店ビジネス成功への確かな道を切り開けます。
アイデアやプランを客観視するため
事業計画書でアイデアやプランを客観視して見直すには、市場調査と競合分析を通じ、自身の計画が市場の需要や競争状況に適合しているか、客観的な評価が必要です。
またフレームワークのひとつであるSWOT分析を用いて、アイデアやプランの強みと弱み、機会と脅威を明確にし、リスクとチャンスを把握してもよいでしょう。
外部の専門家やアドバイザーの意見やフィードバックを取り入れ、より客観的な視点からのアドバイスを受けることも大切なポイントです。さまざまなアイデアやプランを具体的な目標や戦略に落とし込み、計画が実現する可能性を検証します。
必要となる資金を明らかにするため
事業計画書では、資金明示もポイントです。的確な資金計画は、事業の安定性と成長性を確保するために欠かせません。
まず開業費用を詳細に洗い出し、建物や設備、装飾、設備購入、初期在庫など、あらゆる初期コストを明示します。
次に、ランニングコストを見積もりましょう。人件費、光熱費、賃貸料、広告宣伝費、食材調達費など、安定した継続運営にあたって必要な経費を計算していきます。
資金調達手段では、自己資金やローン、クラウドファンディングのような周囲へのプレゼンテーションなども検討しながら、リスク管理や返済計画も立てていきます。
創業融資を受けるため
飲食店の開業には、一般的に高額の準備資金を用意しなくてはなりません。自己資金を蓄えておくのはもちろん、日本政策金融公庫や銀行から創業融資を受ける必要も出てくるでしょう。
こうしたビジネスパートナーから創業融資を受けるには、事業計画書の提出が必要不可欠です。開業時はその事業としての実績がない状態のため、金融機関に対し信頼性のあるプランを可視化した書面を提示しなければなりません。
事業計画書の書き方
事業計画書は、まず自分がどんな飲食店を開きたいのかビジョンを明らかにし、開業の目的や目標を定めるとよいでしょう。
事業者が開業にいたるまでの経歴や経験、行ってきた開業準備の内容から、経営が開始されてからの見通しなど、説得力がある内容を書かなければなりません。明確で簡潔な文章、適切な数字やデータの記載を十分留意して書き進めていきましょう。
創業の動機
創業の動機として、なぜその事業を始めるのか明確に記述しましょう。さらに、競合分析や市場の成長性評価を行い、始めようとしている事業の持続性や、成功する可能性をアピールする必要があります。
創業の動機は、事業計画書の中心的な要素であり、投資家やパートナーに対して自身の情熱や熱意を伝えるための重要なカギとなります。
経歴
経歴の記述ポイントは、事業内容と関連性の深い経験や専門知識を強調します。飲食店であれば、過去の職務経験や関連する資格などが含まれます。リーダーシップや経営能力、チームビルディングのスキルもアピールポイントとなるでしょう。
さらに、業界や市場のトレンドに関する知識や、洞察力を強調することも重要です。また、人脈や業界内での関係性も記載し、ビジネスチャンスやパートナーシップの可能性を示します。
経歴の記述は、自身の専門性や実績を明確にし、事業計画の信頼性を向上させるための要素となります。
商品・サービス
商品やサービスの記述ポイントでは、提供するメニューの特徴を明確に説明します。これには、顧客ニーズに対する解答の独自性および、競合優位性のアピールなどが含まれます。
次に、商品やサービスのターゲット市場や顧客セグメントを定め、それに基づいたマーケティング戦略を示します。価格設定やプロモーション手法なども具体的に記述しましょう。
さらに、提供するメニューの調理プロセス、品質管理なども説明します。こうした商品やサービスの記述は、市場の需要と提供する価値を明確に示し、事業計画の成功に不可欠な要素となります。
従業員
従業員を雇用するのであれば、店舗業務に従事する従業員の人数を正確に記載しなくてはなりません。これには、家族で経営する場合の家族従業員も含まれます。
雇用を予定している従業員数と、家族従業員、パート従業員の人数をそれぞれ書きましょう。法人の場合は、常勤役員の人数を明記する必要があります。
取引先
取引先には、食材など原材料の仕入れ先のほか、来店する一般顧客も含まれます。仕入れ費用の支払い方法や支払い条件を取引先ごとに明記するとともに、一般顧客からの売り上げの回収方法も記載しましょう。
具体的な取引先の記述は、信頼性と安定性を示すだけでなく、戦略的なパートナーシップの構築を示し、事業計画の成功に寄与する重要な要素となります。
必要な資金と調達方法
資金調達ではまず、必要な資金の詳細を明確に提示しましょう。開業費用、運営費用、設備投資など、必要な費用の内訳を具体的に記載し、なぜ資金が必要なのか明らかにします。
次に、資金調達の計画とその方法について説明します。たとえば、自己資金の投入、銀行融資、投資家からの資金調達、助成金や補助金の利用など、予定している資金調達方法を具体的に示すとよいでしょう。
また、資金調達のタイミングやスケジュールも重要となります。利益率や返済計画、収益予測などを示し、資金提供者に対する返済能力や、収益性をアピールします。また、資金調達にともなうリスクや対策についても述べ、リスク管理の計画を示します。
資金調達の記述は、計画の信憑性や財務健全性を示し、事業計画の実現可能性を裏付ける重要な要素となります。
借り入れ状況
住宅や車のローンをはじめとした、銀行など金融機関からの借り入れ状況を具体的に明記します。借り入れ先、金額、返済計画、利息率、償還期間などを記載しましょう。
重要なポイントとして、これから始めようとしている事業に直接関係のある借り入れではなく、あくまで事業者の個人的な借り入れ内容についての記述が求められます。
事業の見通し
事業の見通しに関する記述ポイントは、まず、市場の現状と将来予測について説明します。市場の規模や成長率、トレンドや動向などを明示し、事業の位置づけを示します。
競合他店の存在や、比較した場合の自店の強みや独自性を明確に示し、差別化戦略の具体的な計画を述べます。また、ターゲット市場や顧客ニーズ、顧客の購買パターンなども詳細に分析しましょう。
さらに、売上予測や収益性の見通しを示します。売上の見込みや収益の予測、利益率や成長率などを明確に記述し、具体的な数字を示すことが重要です。
事業計画書の作成ポイント
重要なアピールポイントとして、市場のニーズやトレンドに即したビジネスの独自性をアピールしましょう。自店のメニューやサービスが、どのように顧客へ価値をもたらすのかを明示します。
次に、競合との差別化ポイントをより明確にします。競合他店と比較しながら、強みや優位性を明確に示し、なぜ顧客が自店を選ぶべきなのかを訴求します。
さらに、財務的な側面での魅力をアピールしましょう。収益性や成長性の見通し、投資回収期間、利益率などを具体的に示し、投資家や財務機関に対して魅力的なビジネスモデルであることを訴えます。
内容をしっかりと詰めて計画へと盛り込められれば、将来性を訴求するための要素となり、ビジネスパートナーの関心を引く重要な役割を果たします。
自店の強みを理解する
強みを効果的に表現するためのポイントは、具体性を重視しましょう。自店の強みがどのように他店と異なるのか、自店の強みが競合他店と比べてどれほど優れているのか、明確に差別化して具体的に明示していきます。
たとえば、専門知識を要するメニューや独自の創作メニューの提供、経験豊富なスタッフ、他店にない内装などを挙げることで、強みを具体化します。
次に、強みの効果やメリットを明確に伝えます。自店に来店することによって、顧客にどのような価値や利益をもたらすのかを具体的に示し、その効果を強調します。顧客満足度の向上や効率化、コスト削減など、強みがもたらす具体的な利点を示すことが重要です。
要点を押さえてわかりやすく記載する
要点をわかりやすく伝えるためには、以下のポイントに注意しましょう。まず、明確な目的を設定します。計画で何を目的としているのか、読む人に伝わるよう明確にします。
次に、シンプルな言葉と構成を使います。難解な文章であることと、伝わりやすい文章であることはイコールではありません。専門用語や複雑な文言は避け、明朗な言葉と文体で記述します。論理的な構成をつけ、項目ごとに要点をまとめましょう。
また、冗長な表現や繰り返しを避け、必要以上に長々とした文章にならないよう注意しなくてはなりません。詳細に、かつ要点を押さえて、必要な情報を的確に組み込んだ内容が望ましいでしょう。
数字の整合性が取れている
数字の整合性を確保するためには、現実的で正確なデータを収集しましょう。市場調査や競合分析などを通じて、信頼性の高いデータを入手します。
次に、数字の統一性を確保します。同じ期間や同じ単位での比較ができるように、すべての数字を一貫した基準でまとめます。
計算ミスや誤った数値を避けるため、計算式や数式を丁寧にチェックしましょう。さらに、予測や予測モデルを使用する場合には、その根拠や前提条件を明示します。数字の整合性を確認するために、複数の人にレビューしてもらうことも有効です。
融資を受けるまでの計画を立てる
融資を受けるまでの計画を立てる方法では、目標金額と必要な期間を明確に設定します。どれくらいの資金が必要で、いつまでに必要なのかを具体的に定めましょう。そのうえで、融資をお願いする適切な金融機関を選定します。
また、必要な資金を調達するための具体的な手段を確認していきます。日本政策金融公庫による創業融資や銀行融資、政府補助金、投資家などを含めて、適切な資金調達手段を選び、それに基づいて計画を進めましょう。
最後に、融資申請書の作成と提出を行います。具体的な将来の見通しなども詳細に記載し、金融機関に提出しましょう。融資申請後は、審査結果を受けて必要な修正や追加の対応を行い、必要な手続きを進めていきます。
自己資金がない場合、飲食店は開業できるのでしょうか。手元資金が少なくても開業できる方法6選をこちらの記事で紹介します。
創業融資用のテンプレートを使う
創業融資用のテンプレートを利用すると、構成に迷わず書き進められます。一般的な事業計画書の構成に沿って計画書作りができ、ビジネスプランの内容、市場における同業種分析やお店の経営における財務計画など、一連の流れで何を書けばよいかが明確になります。
一般的に広く用いられるテンプレートとして、日本政策金融公庫の書式があります。また、インターネット上でもプロによって作成されたテンプレートを見つけられるでしょう。
こうしたテンプレートには、適切なフォーマットとデザインが組み込まれています。各項目の記入スタイルや配置などが整然と統一されているため、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
項目は、一般的に必要な内容がまとまっています。経営者のプロフィール、市場調査、競合分析や財務予測など忘れることなく記入でき、融資審査に必要な情報をしっかりと伝えられます。
ただし、テンプレートはあくまで基礎となるものであり、個別のビジネスに合わせてカスタマイズする必要があります。自店の特徴やビジョンを反映させながら、テンプレートにて間違いのないように作成していきましょう。
代行サービスを利用する
より確実に融資を受けられるように取り組みたい場合、代行サービスの利用を検討するのもよいでしょう。代行サービスは、事業計画書の作成において、専門知識と豊富な経験を持っています。
ビジネスの要素や財務データの分析、市場調査、その他さまざまな分析などをスムーズに行うノウハウがあり、プロフェッショナルな視点から事業計画書を作成できます。
代行サービスでは、多くの経験を持つプロの手によって、融資を通してもらうための事業計画書を作成できます。適切な情報の提供や財務データの整合性の確保、戦略的な説明などを行うことで、融資の成功確率を高められます。
ただし、代行サービスを利用する際には、信頼性のある業者を選ぶことが重要です。実績や評判を確認し、自身のニーズに合った代行サービスを選ぶ必要があります。
まとめ
どのように丁寧に事業計画書を作るかが、飲食店開業成功のカギを握ると考えて差し支えないでしょう。さまざまな視点による綿密な計画、魅力のある具体的なアイデアなど、それぞれをうまく融合させる必要があるため、一朝一夕で作れるものではありません。
自身の夢をしっかりと叶え、道半ばで諦めてしまわずに済むように、入念に具体性のある事業計画書作成が必要となります。そして、新規で開店するための物件の確保も当然欠かせません。
事業計画書を作成するにあたって、もしも物件探しから悩むようであれば、物件探しのプロに相談してみてもよいのではないでしょうか。居抜きの神様であれば、物件の出店から開店まで幅広いサポートを行っており、具体的な計画書を作成する第一歩を進められます。