カジュアルにお酒を飲めることで人気のスナックは、準備をしっかり整えれば誰でも開業しやすい業態です。近年では若い世代からも注目され、スナックを開業してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、スナックに挑戦したい方に向けて、開業までの準備をわかりやすく解説します。スナックを開業するための資金準備から物件の選び方、必要な届出・許可・資格まで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
スナックを開業する流れ

スナックを開業するためには、はじめにいろいろと準備しておくことがあります。お店をオープンしてから後悔しないように、物件の選定や仕入先の確保、スタッフの人数などを決定しておくことが成功への近道です。
ここでは、スナックを開業する流れについて解説します。
コンセプトを設定する
まず、スナックを開業するためには、しっかりとしたコンセプト作りが重要です。営業を行う街のライバル店をリサーチしながら、ターゲットとなる客層や提供するサービスを決定する必要があります。
スナックは競合が多いため、他店と差別化できる独自のサービスを提供することが重要です。コンセプトに合ったスタッフを採用する、提供するお酒にこだわるなど、自店ならではの強みを明確にし、それを軸にお店づくりを進めていきましょう。
資金を準備する
スナックを開業するうえで、もっとも重要なのが資金の準備です。開業資金としては、物件費用をはじめ、内装や設備などの費用、スタッフに払うための給料などを用意する必要があります。
一般的には、スナックを開業するためには約500万円の資金が必要とされています。しかし、居抜き物件を利用すれば初期費用はかなり抑えられるため、はじめて開業する方にはおすすめの方法です。お店のコンセプトと照らし合わせながら、物件選びをすることが重要となります。
物件を決める
資金の準備とも大きく関連する物件選びですが、立地選びが重要です。駅前や繁華街は人の流れが多いため顧客を見込めますが、物件の値段は高くなる傾向にあります。
一方で、住宅街や駅から離れた場所は家賃が安く、開業後の運転資金を低く抑えられるのがメリットです。コンセプトによっては、駅前や繁華街で営業しなくてもいいケースもあるため、自分がどんなお店を作りたいのかを考えて物件を選ぶ必要があります。
物件には設備などをそのまま利用できる「居抜き物件」と、内装をきれいにした「スケルトン物件」もあります。とくに、スナックを営業していた「居抜き物件」はそのまま設備を利用できる可能性もあり、大幅に初期費用を抑えられるメリットがあるでしょう。
内装はあとから修繕することも可能なため、スナックを早く開業したいという方には、居抜き物件がおすすめです。
営業許可・資格をとる
スナックを経営する際には、営業許可の申請や資格が必要です。手続きを適切に行わないと、違法営業になるおそれがあるため十分に注意する必要があります。
まず、スナックの開業に必要な資格としては「食品衛生責任者資格」が必須です。また、30人以上を収容できるスナックを開業する場合は「防火管理者」の資格も必要となります。さらに、開業に必要な届出としては「風俗営業1号許可」「飲食店営業許可」が必要です。
深夜営業を行い酒類を提供する場合「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を届ける必要があり、管轄する警察署への相談が必要となります。
内装・設備を準備する
お客様を楽しくおもてなしするためには、内装や設備にこだわる必要があります。どんなお客様をターゲットにするかで、内装や設備は変わってくるため、自身の目指す店舗の方向性を明確にし、計画的に準備を進めることが大切です。
スナックにはカラオケを設置するお店も多く、その場合には機材をそろえる必要があります。一般的には、内装や設備の工事は専門業者に依頼することが多いため、スケジュールの調整や予算の配分について、事前に十分な検討と決定が求められます。
仕入先を確保する
実際に営業を行う際に、もっとも重要になるのが仕入先です。スナックでは主に酒類を提供するため、どのような種類のお酒を取りそろえるかを決めておきましょう。
そのうえで、地元の酒屋なども含め、サービスがよい業者を比較して選ぶ必要があります。運転資金を少しでも抑えるために、高品質な商品を適正価格で提供してくれる仕入先を確保しておくことが重要です。
スタッフを採用する
一般的に、スナックはママと呼ばれる店主が営業を任され、数名の女性スタッフが一緒に接客するスタイルです。スタッフを雇用する際は、求人広告を利用するのが一般的で、雑誌やインターネットに掲載する場合は、その分の広告費が必要になります。
その際、周囲のライバル店の求人情報を精査し、時給やインセンティブが低くならないように設定しましょう。また、近年では雰囲気のよいお店を探している女性も多くいます。SNSを運用して楽しいお店だとアピールすることも、店舗に合ったスタッフを採用する手段のひとつです。
SNSを通じてスタッフを採用できる可能性もあるため、積極的にXやインスタグラムへの投稿を行うようにしましょう。
開業前の宣伝をする
さまざまな準備が整った後は、お店を知ってもらうために宣伝をする必要があります。スナックは二次会で使用するケースも多いため、周辺の飲食店にチラシを置いてもらうのも効果的です。
また、口コミで人気を広めるためにSNSの運用も重要です。とくに、Xやインスタグラムなど利用者が多いSNSには、積極的に動画や写真を投稿するようにしましょう。
スナックのよくある料金システム

スナックには、独特な料金システムが存在しています。
ここからは、スナック特有の料金システムについてご紹介します。開業にあたっては、どのような料金体系を採用するかが経営の安定を左右するため、検討の際の参考にしていただければ幸いです。
セット料金
スナックで基本となるのがセット料金です。時間毎のセット料金を設定するお店がほとんどで、お酒、水や氷、スナックなどの軽食をセットにしたシステムとなります。基本的に、多くのスナックでは飲み放題のシステムを採用しているため、料金設定にあたっては提供するお酒の種類なども参考に決定しましょう。
チャージ料金
スナックでは、多くのお店がチャージ料金を設定しています。チャージ料金はお店に入店する際の座席料金となり、1時間で2,000円、2時間で5,000円ほどが一般的です。また、お店によっては金額が高い代わりに時間無制限のサービスを提供する場合もあります。このような工夫によって、他店との差別化を図り、集客につなげているケースも見られます。
ボトル料金
飲み放題システムを導入するお店もあるスナックですが、ボトルキープやショット飲みにも対応する店舗が多くあります。ボトルキープする際には、焼酎やウイスキーなどが対象になり、銘柄によって値段設定はさまざまです。
スナックでは、高額なお酒を提供するケースはあまり多くありません。ボトル料金を5,000円〜20,000円ほどで設定しておけば、お客様に過度な負担感を与えることはないでしょう。
お客様がボトルキープをしてくれれば、次回以降の来店につながる可能性が高まります。ボトルは手に取りやすい価格帯で設定し、継続的に足を運んでくださる常連客の獲得につなげることが大切です。
カラオケ料金
スナックならではの特徴的なサービスのひとつがカラオケです。通常は1曲あたり200~300円ほどの値段設定が一般的で、地方では100円程度の場合もあります。一方で、曲数に応じて料金が決まるお店や、歌い放題が楽しめるお店もあります。お客様が気軽に利用できるように、高額な値段に設定していないお店がほとんどです。

スナック開業に必要な届出・許可・資格

準備が整いスナックを開業する際には、いくつかの営業許可の申請や資格の取得が必要となります。ここでは、違法営業にならないためにも、スナックを開業する際に必要な営業許可の申請や資格をまとめて紹介します。
食品衛生責任者資格
スナックの開業に必要なのが、食品衛生責任者資格です。飲食物を提供する場合に1店舗につき1人以上設置する義務があり、必須の資格となります。
食品衛生責任者資格は、各都道府県が行っている養成講習会を受講して取得が可能です。また、調理師免許、栄養士の資格を持っている際は、講習会を受講しなくても資格が得られる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。
出典:一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者について」(https://www.toshoku.or.jp/training/seki-gaiyou.html)
飲食店営業許可
スナックなどの飲食店を開業する際には「飲食店営業許可」の届出も必要です。
所轄の保健所から営業許可を取得するもので、食品衛生責任者資格を持っていないと申請ができません。保健所からの施設検査を受ける必要もあり、開店準備が整った状態で申請を行う必要があります。
出典:東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」
(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html)
防火管理者
店舗の収容人数が30人以上になる場合は、防火管理者の資格を取得しましょう。この資格は、各都道府県で行われている管理講習を受講して取得します。
防火管理者は、建物の火災などによる被害を防止するために必要な責任者となります。お店を長く続けるうえで必要な資格となるため、取得しておきましょう。
出典:一般財団法人 日本防火・防災協会「防火管理講習」(https://www.bouka-bousai.jp/hp/lec_info/guide_bouka.html#about)
防火対象物使用開始届
さまざまなお客様が利用するスナックは、特定防火対象物となります。管轄にある消防署へ届出を出す必要があり、工事または開業を行う7日前までに提出しましょう。
出典:東京消防庁「防火対象物使用開始届出書」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/drs/ss_03/001.html)
風俗営業1号許可
スタッフがお客様を接待するスナックでは、風俗営業1号の営業許可が必要となります。管轄の警察署に申請するもので、準備する書類が多いためしっかりと確認をしましょう。また、警察署から許可が下りるまで約55日かかるため、余裕を持って申請を行う必要があります。
出典:警視庁「風俗営業等業種一覧」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/gyoshu_ichiran.html)
深夜酒類提供飲食店の営業許可
開業する店舗で午前0時以降に酒類を提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を所轄の警察署に提出する必要があります。この届出は、開業日の10日前までに行わなければならないため、スケジュールには十分な余裕をもって準備を進めましょう。
なお、深夜酒類提供飲食店として営業する場合、法律により接待行為は認められていません。スナックを開業する場合には「風俗営業1号許可」の申請が必要となります。
出典:警視庁「風俗営業等業種一覧」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/gyoshu_ichiran.html)
まとめ
ここまで紹介したとおり、スナックを開業するには難しい勉強をする資格は必要ありません。また、お客様に提供するのは主にお酒や軽食であるため、料理が苦手な方でも開業しやすい飲食店となります。
近年はテレビやネットで若い世代にブームが到来し、スナックに遊びに行きたいという若者も増えている現状です。現在はまさに、スナック開業に適した好機といえるでしょう。
スタッフを雇わないで小規模なお店を一人で切り盛りすることもでき、設備が整っている居抜き物件を利用すれば、初期費用を抑えて気軽に営業を開始することが可能です。
「居抜きの神様」では、飲食店向けの小型物件を中心に取り揃え、スナック開業に特化した物件を豊富にご用意しております。独自の情報ルートで集めた独占未公開物件も掲載しているため、ぜひ一度ご覧ください。
コメント