カレー屋開業で独立!未経験でもできる方法・費用・成功のポイントを解説

カレー屋は参入障壁が比較的低く、未経験からでも事業展開が可能な業態です。専門的な技術習得が必須ではなく、適切な開業戦略により初期投資を抑制できる点が魅力です。

今回の記事では、カレー屋で独立するための基本ステップや必要な費用、成功のコツまで解説します。カレー屋開業の第一歩を踏み出すためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店開業でカレー屋を選ぶメリット

飲食店開業でカレー屋を選ぶメリット

カレーは日本市場において高い認知度を持つ料理であり、アレンジによる差別化が容易な商材です。飲食業界での独立を目指す事業者にとって、戦略的価値の高い選択肢となります。まずは、カレー屋開業の具体的なメリットを紹介します。

老若男女に人気がある

カレーは子どもから高齢者まで幅広い世代に親しまれているメニューです。日本の食卓に欠かせない存在であり、ランチやディナー、テイクアウトなどさまざまなシーンで需要があります。そのため、家族連れや学生、ビジネスマンまで幅広い客層を取り込める点は大きな強みといえるでしょう。

回転率が高い

カレーは一度に大量調理ができ、事前に作っておけばすぐに提供できます。それだけでなく、料理の提供スピードが非常に速いという点もメリットといえるでしょう。加えて、ラーメン店やうどん店と同じように、カレー屋も回転率の高さが魅力のひとつです。

また、カレーは前日に仕込みさえすれば、営業中は温めて盛り付けるだけと作業工程がシンプルなため、少ない労力で効率的に営業できます。カレーを食べに来るお客様は食後すぐに席を立つことが多く、客の入れ替わりもスムーズなため、効率よく売上を積み上げられるでしょう。

スパイスでオリジナリティを出しやすい

カレーは使うスパイスの種類や配合次第で、味や香りに大きな違いを出しやすい料理です。スパイス選びにこだわれば、お店独自の風味が作り上げられるでしょう。すなわち、リピーターとなるファンの心をつかめるメニューでもあります。

実際、カレーに使われるスパイスは60種類以上あるとされ、同じ基本材料でも配合比率の調整により大幅な味の変化を実現可能です。オリジナルブレンドの開発により、競合店との明確な差別化を図れるでしょう。

飲食店開業でカレー屋を選ぶデメリット

一方、カレー屋ならではのリスクや注意点も存在します。ここで解説する現実的な課題とリスクを認識し、適切な対策を講じましょう。

客単価が低い

カレーは一般的に低価格帯の商品として市場に位置付けられており、アルコール類との併用頻度も低い傾向があります。サイドメニューや大盛りオプションを追加しても、ほかの飲食業態と比較して客単価の向上には限界があります。また、多くの客がカレー単品で満足してしまうことも、単価上昇のハードルといえます。

競合が多い

カレー専門店は参入障壁の低さから、都市部では個人店舗からチェーン店まで高密度で競合が存在します。そのため、価格競争が激化しやすく、味の優位性だけでは差別化が困難な市場環境にあります。このような環境では、単に美味しいカレーを提供するだけでは差別化が困難で、顧客獲得に苦戦する可能性もゼロではありません。

こちらの記事では、小さい飲食店を開業する流れについて解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。

カレー屋を開業する方法丨業態ごとの特徴は?

カレー屋を開業する方法丨業態ごとの特徴は?

カレー屋開業にはさまざまな事業形態があります。代表的な開業スタイルを紹介するため、自社の事業戦略に適した方法を選択してください。

店舗型

代表的な開業スタイルは、実店舗を構える「店舗型」です。大きく分けて3つのスタイルがあるため、それぞれの特徴を比較検討しましょう。

個人開業

個人開業とは、完全独立型の事業形態で、内装からメニューまですべての経営判断を自由に行えます。初期投資額は高額となりますが、利益率の最大化が可能です。しかし、物件取得費や内装工事費など初期費用がやや高額になりがちで、毎月の家賃や人件費といった運転資金に余裕が必要です。

フランチャイズ

フランチャイズは、既存ブランドの活用により、認知度とノウハウを同時に取得できる事業形態です。未経験者にとって経営リスクを軽減する効果があります。

ただし、加盟金やロイヤリティの支払いが発生し、メニューや営業スタイルに制約がある点には注意しましょう。

間借り

間借りとは、既存の飲食店が営業していない時間帯やスペースを借りて営業する新しいスタイルです。初期投資を大幅に抑制できるため、テスト営業や副業としておすすめの開業方法です。最近では専用のシェアキッチンやレンタルスペースも増えており、選択肢が広がっている点も魅力といえるでしょう。

移動販売(キッチンカー)型

移動型販売は、キッチンカーを使ってイベント会場やオフィス街、公園などを巡回販売する開業スタイルです。固定店舗を持たないため場所に縛られず、お客様の多い場所を狙って営業できる自由度が特徴です。

ただし、出店場所の確保や各種許可申請、車両のメンテナンスなど、店舗型とは異なる管理業務が発生する点は考慮しなければなりません。

カレー屋の開業にかかる費用の内訳

カレー屋の開業を検討する際、重要な要素としてあげられるのが実際の投資額です。開業資金は業態や店舗規模によって大きく変動しますが、事前に詳細な内訳を把握しておけば資金計画が立てやすくなります。

ここからは、カレー屋開業に必要な主要費用項目を紹介するため、しっかりおさえておきましょう。

初期費用

カレー屋開業の初期費用には、主に以下の項目が含まれます。

  • 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料 など)
  • 内外装工事費
  • 厨房・客席設備費
  • 什器・備品費
  • 資格取得費
  • 広告宣伝費

地方都市で15坪前後の店舗を例にすると、初期費用はおおよそ300万円〜800万円が相場です。

運転資金

開業後の運転資金も重要です。主な内訳は以下のとおりです。

  • 家賃:月額約30~40万円
  • 原材料費:約40~60万円
  • 人件費:約30~120万円
  • 水道光熱費:約15万円
  • 備品代・広告宣伝費 など:5~8万円

月々の運転資金は、平均で15070万円~30100万円を目安にするとよいでしょう。

多くの飲食店では商売が軌道に乗るまでに半年程度かかるケースが多いため、3~6ヵ月分の運転資金を確保しておくと安心です。

カレー屋の開業に必要な資格・手続き

カレー屋を開業するためには、店舗や設備の準備だけでなく、法令遵守のための資格取得や行政手続きが不可欠です。ここでは、おさえておきたい重要な資格と手続きを紹介します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者はすべての飲食店において必須です。店舗ごとに1名以上が必要で、管轄の保健所が実施する約6時間の講習を受講すれば取得できます。受講費用は地域によりますが、約1万円前後が一般的です。

出典:一般社団法人東京都食品衛生協会(https://www.toshoku.or.jp/training/

防火管理者

店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理者講習の受講・資格取得が必要です。講習は消防署が実施しており、受講料は6,500〜7,500円程度が一般的です。小規模店では不要な場合もありますが、地域の消防署へ確認しておきましょう。

出典:東京消防庁「防火管理講習・防災管理講習」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/sk/kousyu.html

飲食店営業許可

カレー屋を開業するには、保健所で「飲食店営業許可」を取得する必要があります。これは、店舗の設備や衛生管理が法的な基準を満たしているかを確認するための制度です。無許可で営業を行った場合「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科される可能性があるため、必ず手続きを行いましょう。

許可取得の基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 事前相談(店舗図面の確認)
  2. 営業許可申請書の提出(※施設工事完成予定日の10日ほど前までに)
  3. 現地検査(設備や衛生基準の確認)
  4. 許可証の発行

また、申請時や現地検査時には「衛生管理計画」の提示が求められますので、事前に準備しておきましょう。不安なことがあれば、店舗所在地を管轄する保健所への相談をおすすめします。

出典:東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html

キッチンカーの場合の注意点

キッチンカーは、移動販売車両が各地域の保健所の衛生基準を満たすことが必須です。2021年の法改正により全国で施設基準が統一されましたが、地域ごとの追加基準が残ることもあるため必ず事前に確認してください。

また、キッチンカーで複数の地域に出店する場合は、エリアごとに営業許可の申請が必要になります。地域をまたぐ営業スタイルは自由度が高い反面、許可の取得手続きが煩雑になりやすく、申請書類の準備やスケジュール管理に追われることも少なくありません。

さらに、出店先によっては立地条件や競合状況、イベントの中止など外的要因により売上が大きく左右されるリスクもあるため、事前の情報収集とリスクヘッジが欠かせません。

出典:東京都保健医療局「自動車での営業」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_4.htm

ネット販売をする際の注意点

ネット販売でカレーを提供したい場合は、店内での飲食を提供するだけの「飲食店営業許可」だけでは不十分なケースがあります。たとえば、冷凍カレーやレトルトパックにして発送する場合には「食品の製造・販売」に関する追加の許可が必要となる場合があります。

これは、食品衛生法で定められた34業種に該当する可能性があるためで、具体的には「そうざい製造業」や「食品の冷凍又は冷蔵業」などが該当します。製造方法や保存状態、包装形態によって必要な許可の種類は変わるため、開業前に必ず管轄の保健所や厚生労働省のガイドラインを確認しましょう。

出典:厚生労働省「営業許可制度の現状について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000343598.pdf

出典:厚生労働省「営業許可業種について(食品衛生法施行令第35条で定める34業種)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000349946.pdf

カレーに関する資格には、料理技術やスパイスに関する知識を体系的に習得できるものがいくつかあります。代表的なものとしては「スパイス&ハーブ検定」や「カレーマイスター」などがあげられ、スパイスの種類や使用方法、健康面での効果などを幅広く学ぶことが可能です。

飲食店の運営において必須ではありませんが、資格取得によりカレーづくりの専門性が高まり、メニューの差別化に寄与します。さらに、顧客への説明にも説得力が生まれ、店舗の信頼性向上につながる点もメリットです。

出典:日本野菜ソムリエ協会「カレーマイスター養成講座」(http://curry-m.jp/

出典:山崎香辛料振興財団「スパイス&ハーブ検定」
https://yamazakispice-promotionfdn.jp/exam/#:~:text=%E6%9C%AC%E8%B2%A1%E5%9B%A3%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E9%A6%99%E8%BE%9B%E6%96%99%E6%99%AE%E5%8F%8A,%E3%81%A8%E9%A1%98%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

出典:日本カレー機構「カレーエキスパート資格」(http://curry-kiko.jp/curry-expert

カレー屋開業を成功させるためのポイント9つ

カレー屋開業を成功させるためのポイント9つ

数あるカレー屋のなかで、着実に利益を出し、長く愛されるお店になるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、カレー屋開業で押さえるべき9つの成功ポイントについて解説します。

お店のコンセプトを明確にする

店舗の特徴が明確に伝わるコンセプトの設定は非常に重要です。「地元食材を使ったカレー」や「グルテンフリー」「スパイス専門」など明確な方向性を持つことで、集客やリピーターの獲得につながるためです。

他店とは異なる特徴を打ち出すことで「この店にしかない魅力」がお客様に伝わりやすくなります。

集客が見込める立地を選ぶ

美味しいカレーを用意しても、顧客が来店しにくいエリアでは売上が伸びません。駅近やオフィス街、ロードサイドやショッピングモールなど、ターゲットとするお客様がよく利用する場所を選びましょう。

たとえば、ビジネスパーソン向けならランチ需要の高い駅周辺、ファミリー層狙いなら住宅街やモールがおすすめです。

ターゲットに合わせた集客方法を選ぶ

対象顧客を明確にし、そのターゲットにあった集客方法の実施も重要です。若者にはSNSやLINEクーポンの配信、地域の方にはポスティングやイベント参加、高齢者層が多い地域ではチラシや口コミが効果的です。

たとえば、10代から20代の若者層には、InstagramやTikTokでの映える写真投稿、学割制度の導入、友達紹介キャンペーンなどが効果的です。また、30代から40代の層にはFacebookやX(旧Twitter)での情報発信、子供連れ歓迎のファミリープラン、平日ランチタイムの時短メニューを検討してみるとよいでしょう。

客単価を上げる

カレーは単価が低くなりがちであるため、セットメニューや豊富なトッピング、ドリンクやデザートとの組み合わせなど、自然に客単価が上がる仕組みを取り入れましょう。チーズやカツ、野菜の追加や季節限定のメニューもおすすめです。店内や券売機でセットを強調すると購買意欲向上が期待できます。

お店の回転率を上げる

客単価を補うためには、できるだけ多くの顧客に来店してもらうことも大切です。たとえば、次のような方法で回転率アップを工夫しましょう。

  • 事前に一括で仕込みをする
  • 提供時間を短縮する
  • 券売機やキャッシュレス決済の導入
  • シンプルな動線設計 など

加えて、長時間の滞在を避けやすい空間設計を行うことも、回転率を高めるうえで有効な手段となります。

限定メニューを作る

季節限定メニューや週替わりカレー、地域の特産食材を取り入れたご当地メニューなど、期間や数量を限定した商品は「今しか食べられない」という特別感を演出でき、顧客の購買意欲を高めやすくなります。

このようなメニューは新規顧客の獲得や既存顧客の再来店を促進するだけでなく、SNSでの拡散も期待できるため、広告費を抑えながら集客につなげることが可能です。また、イベントや記念日と連動した限定企画なども検討し、話題性と販促力をさらに高める工夫をしましょう。

専門店ならではの要素を作る

競合他社と差別化を図るには、専門店としての明確なポジショニングと付加価値の提示が不可欠です。具体的には、スパイスや食材の産地・品質に対するこだわり、自家製調味料や漬物の提供、辛さやトッピングの細かなカスタマイズ対応などがあげられます。

また、オリジナルのスパイス配合や無添加・オーガニックといった健康志向への対応、動物性食材を使わないビーガン仕様のメニューなども、消費者ニーズに応える有効な手段です。独自性の強調は店舗のブランディングにも寄与するため、価格競争に巻き込まれにくい市場ポジションを確立できます。

資金に余裕を持たせておく

開業直後は、知名度や集客力がまだ不十分であることが多く、売上が安定するまでに時間を要します。そのため、家賃や光熱費、仕入れ、人件費といった固定費を最低でも3〜6ヵ月分まかなえる運転資金を、事前に確保しておくことが不可欠です。

財務管理をしっかり行う

飲食店の経営を安定させるには、日々の売上や原価、経費の動きを綿密に管理し、データに基づいた意思決定が欠かせません。たとえば、POSレジや会計ソフトの導入により、売上分析・原価率の把握・顧客動向の記録などを自動化し、業務の効率化と精度向上を図りましょう。

また、キャッシュフローの管理や定期的な仕入先の見直しなども重要な業務です。コスト削減に継続的に取り組む姿勢が、利益の最大化や経営リスクへの対応力強化につながります。

カレー屋開業でよくあるQ&A

最後に、カレー屋の開業を目指す方からよくある質問をまとめました。不安を最小限にしてスタートをきれるよう、事前にチェックしておきましょう。

カレー屋の経営は難しい?

カレー屋の経営はほかの飲食店と比べて特別難しいわけではありません。カレーは、原価率が20〜30%と低めで回転率も高いため、赤字になるリスクは比較的低いとされています。ただし、競合店が多いため、味やサービスで差別化しなければなりません。

また、スパイスや食材の価格変動によって利益率が不安定になることがあるため、日々のコスト管理も不可欠です。

カレー屋開業に修行は必要?

必ずしも修行をしなければ開業できないということはありません。実際、多くのカレー屋オーナーが未経験からでも成功しています。ただし、有名店で修行を積むことで、調理技術や経営ノウハウを身に付けられるメリットはあります。

カレー調理の経験がない場合でも、オリジナルの味やSNS活用などで顧客満足度を高める工夫をすれば、十分に勝負できるでしょう。

まとめ

カレー屋は、原価が低く回転率も良いため、比較的はじめやすい飲食業態のひとつです。しかし、競合も多く、簡単に勝てる市場ではありません。成功するためには、立地の選び方やメニューの工夫、販売戦略などに力を入れる必要があります。

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