飲食店売却の相場とは?居抜き売却・譲渡の目安金額・高く売るコツ

飲食店の売却を考えた際に気になるのが「いくらで売れるのか」という点です。売却価格には相場がある一方で、立地や業態、店舗の状態によっても変動します。また、売却額がそのまま利益になるわけではない点にも注意が必要です。本記事では飲食店売却の方法や相場を始め、居抜き売却とM&Aのメリット・デメリット、高く売却するコツを紹介します。
飲食店の売却方法は主に2種類
飲食店の主な売却方法は、「居抜き売却」と「M&A」です。まずは、両者の概要と特徴を紹介します。
1. 居抜き売却
居抜き売却とは、店舗の厨房設備や内装、什器などを残したまま次のオーナーに引き渡す方法です。新しく飲食店を始めたい買い手にとっては、初期投資を抑えながらすぐに営業を始められる点が大きなメリットです。そのため、個人経営の小規模店舗や立地条件の良い店舗では比較的ニーズが高い傾向にあります。
売却側にとっても、原状回復工事のコストをかけずに退去できる場合が多く、閉店コストの削減につながります。ただし、売却額はあくまで内装や設備に対する評価が中心となり、店舗の営業実績やブランド力はあまり反映されない点に注意が必要です。
2. M&A(株式譲渡・事業譲渡)
M&Aによる飲食店売却は、法人格や事業そのものを第三者に引き継ぐ方法です。会社の株式を譲渡する「株式譲渡」と、店舗運営に関わる資産や負債のみを切り出して譲渡する「事業譲渡」の2つの形態があります。M&Aでは、単なる設備や内装の価値だけでなく、売上・利益の水準、既存の顧客基盤、ブランド力、スタッフ体制なども評価対象になります。
そのため、成功すれば数百万円~数千万円規模で売却できる可能性があります。個人事業主よりも法人が対象となるケースが多いですが、複数店舗を展開している個人経営者にも活用されることがあります。また、M&Aは事業承継の一環として後継者を探す手段としても注目されています。
飲食店の売却価格相場
ここでは、代表的な売却方法である「居抜き売却」と「M&A」における相場感を見ていきましょう。
居抜き売却の相場
居抜き売却の相場は、20坪で50万円~300万円程度が目安です。ただし居抜き物件は立地や店舗設備などによって売却価格が変動するため、都内や繁華街などの人気エリアや造作の状態次第では、さらなる高値がつく可能性も。
その一方で、郊外や需要の少ない立地では、売却額が希望額に届かないケースもあります。つまり、居抜き売却は同じ業態でも数十万円~数百万円まで幅広い価格帯になるのが実情です。
M&Aの相場
M&Aによる売却は、居抜き売却に比べて高額になる傾向があります。これは、単なる設備や内装だけでなく、売上や利益といった収益力、既存顧客やブランドの価値まで含めて評価されるためです。
一般的に、小規模な店舗や1店舗だけの事業譲渡であれば数百万円規模、中規模・大規模の法人が複数店舗を運営している場合には数千万円規模での売却事例もあります。
ただし、すべての店舗が高値で売却できるわけではなく、赤字経営が続いていたり、立地が悪かったりすると評価額は下がります。
居抜き売却のメリット・デメリット
居抜き売却は、飲食店を閉店するオーナーに利用されやすい手法ですが、良い面ばかりではなく注意点も存在します。ここでは、メリットとデメリットを解説します。
メリット
居抜き売却の最大のメリットは、撤退コストを大幅に削減できる点です。通常、店舗を閉める際にはスケルトン状態に戻す「原状回復工事」が必要で、数百万円規模の費用がかかるケースも少なくありません。
しかし、居抜きであれば設備や内装を残したまま引き渡せるため、このコストを節約できる上、厨房機器や内装が評価されればまとまった売却益を得られる可能性があります。
また、居抜き物件は買い手にとって初期投資を抑えられるため需要が高く、比較的短期間で売却が成立しやすい点も魅力です。
デメリット
居抜き売却で特に注意すべき点は、「造作譲渡の見積額=利益ではない」という点です。例えば、造作譲渡額(居抜き料)が500万円と査定されても、そこから仲介会社への手数料などが差し引かれ、実際に手元に残る金額は200万円以下というケースも珍しくありません。つまり、提示された造作譲渡の見積額をそのまま収益と考えてしまうと、予想外の差額に後悔する可能性があります。
また、設備が古い、汚れている、故障しているなどの状態であれば査定額は大きく下がります。加えて、居抜き売却の相場は立地や規模によって大きく変動するため、相場価格には幅がある点も理解しておきましょう。
M&Aのメリット・デメリット
ここでは、M&Aのメリットとデメリットを解説します。
メリット
M&Aの大きなメリットは「事業全体の価値」で評価されることです。単なる内装や設備だけでなく、売上や利益、顧客基盤、ブランド力、従業員体制といった無形資産も含めて買い手に引き継ぐことができるため、高額での売却が期待できます。
また、従業員の雇用や既存顧客との関係を維持できることから、地域社会にとっても意義のある承継方法といえるでしょう。事業が安定していれば、数百万円~数千万円規模の売却事例も見られるなど、居抜き売却より高値を狙いやすいのも大きな魅力です。
デメリット
M&Aは株式譲渡や事業譲渡の手続きが複雑で、交渉から契約成立まで数か月以上かかるケースが一般的です。また、弁護士や会計士、M&A仲介会社などの専門家のサポートが必要となり、費用も発生します。
さらに、買い手側は収益性や成長性を重視するため、赤字が続いている店舗や小規模な事業は対象になりにくいのが実情です。こうした点を踏まえ、M&Aを検討する際は専門家と相談しながら慎重に進めることが重要です。
飲食店の居抜き売却時に発生する費用
先述した通り、飲食店を居抜きで売却する場合、提示された造作譲渡額がそのままオーナーの利益になるわけではありません。実際には売却時にさまざまな費用が発生し、そこから差し引かれた金額が手元に残る「実質的な利益」となります。ここでは代表的な費用について解説します。
家主に支払う承諾料
飲食店を居抜きで売却する際、賃貸借契約を次の借主に引き継ぐ必要があります。しかし、賃貸借契約の譲渡には家主(ビルオーナーや大家)の承諾が不可欠です。その際に発生する可能性があるのが「承諾料」と呼ばれる費用です。
金額は契約内容によって異なりますが、一般的には月額賃料の1〜3か月分程度が相場とされています。家主の立場からすると、新しい借主を受け入れるリスクや手間を負担することになるため、この承諾料が求められるのです。売却を検討した際は必ず契約内容を確認し、費用を把握しておきましょう。
不動産会社などに支払う仲介手数料
居抜き売却をスムーズに進めるためには、不動産会社や専門仲介業者に依頼するのが一般的です。その際に発生するのが「仲介手数料」です。相場は売却額の5〜10%程度で、例えば300万円の造作譲渡額であれば15万〜30万円前後かかります。
さらに、取引金額が小さい場合でも最低手数料が設定されていることがあり、数十万円単位で請求されるケースもあります。仲介手数料は利益を直接削る要因となるため、実際に手元に残る金額を把握する上で非常に重要な項目です。売却を進める際には、仲介会社と事前に条件を確認し、必要な費用をシミュレーションしておくことが不可欠です。
【手法別】飲食店を売却する流れ
飲食店の売却は、居抜き売却とM&Aのどちらを選ぶかによって手続きや準備内容が異なるため、事前に流れを理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの大まかな売却プロセスを紹介します。
居抜き売却の流れ
1. 店舗の売却準備
店内の清掃や簡単な修繕を行います。厨房機器や備品のリストを整理すると、査定額アップにつながりやすくなります。
2.買い手探し
不動産会社、または専門の仲介業者に依頼して募集を開始し、買い手を探します。買い手が見つかれば、売却額や引き渡し条件を交渉し、合意に至れば契約書を締結します。
3.物件の引き渡し
家主から承諾を得た上で物件を引き渡します。
居抜き売却は比較的短期間で成立するケースが多いため、スピード感を重視するオーナーに向いています。
M&Aの流れ
1.事業全体の状況の明確化
財務諸表や契約書、取引先リストなどを整理します。
2.買い手候補とのマッチング
M&A仲介会社や専門業者に相談し、買い手候補とのマッチングを進めます。
3.買い手候補との面談・契約・譲渡完了
買い手候補が現れると面談や条件交渉に加え、財務や法務の詳細調査(デューデリジェンス)が行われます。問題がなければ契約書を取り交わし、クロージングを経て事業の譲渡が完了します。
M&Aは高額売却のチャンスがある一方で、成立までに数か月以上かかるのが一般的です。
飲食店の売却価格を左右する主な要因
飲食店の売却価格には相場が存在しますが、実際の金額は一律ではありません。同じエリアや同規模の店舗でも、条件によって数十万円単位で差が生じることは珍しくありません。ここでは、売却価格を大きく左右する主な要因を解説します。
立地条件
飲食店の売却価格に大きな影響を与えるのが立地条件です。駅近や繁華街の一等地、または人通りの多い場所にある店舗は集客力が高いため、買い手にとって魅力的です。一方で、郊外や人通りの少ない立地では相場より低めの査定になる傾向があります。
業態
店舗がどのような業態で営業しているかも重要です。居酒屋やラーメン店など需要の高いジャンルは買い手が見つかりやすく、高めの価格がつく傾向があります。逆に、特殊な設備やノウハウが必要な業態は買い手が限られ、査定額が低くなる可能性があります。
店舗の規模
店舗の坪数や席数は、そのまま収益性に直結します。小規模店舗は初期投資が少なく済むため個人の開業希望者に人気ですが、大規模店舗は法人やチェーン店からの需要が見込めます。規模の大きさが必ずしも有利とは限らず、立地や業態とのバランスがポイントです。
内装設備の状態・清潔感
店舗の内装や設備の状態も査定額を大きく左右する要素です。新しく清潔感のある厨房機器や内装は、そのまま使用できるため買い手の追加投資を抑えられます。その結果、造作譲渡額が高めに設定されやすくなります。
逆に、古い設備や劣化の激しい内装は査定額が下がり、修繕が必要な場合は買い手に敬遠される可能性もあります。
顧客からの評判・リピーター客の有無
店舗のブランド力や顧客基盤も、売却価格に影響します。口コミサイトで高評価を得ている、または固定客やリピーターが多い店舗は、単なる居抜き売却以上の価値が認められるケースがあります。特にM&Aでは、従業員や顧客ごと事業を引き継げる点が評価されやすく、結果として高額売却につながることがあります。
飲食店を相場より高く売却するコツ
同じ条件の店舗でも、売却前の準備や交渉の仕方によって最終的な売却額は大きく変わります。ここでは、飲食店を高く売却するためのコツを紹介します。
自店舗の強みやデータをまとめておく
数字による裏付けは、買い手にとって安心材料となります。売上推移、客層の特徴、客単価や回転率などを整理して提示すれば、店舗の収益力を具体的に伝えることが可能です。感覚的な評価だけでなく、データに基づく説明は信頼性を高め、査定アップにつながります。
内装や設備をきれいな状態にする
店舗の第一印象は売却交渉に大きく影響する要素です。内装を清掃したり、故障した設備を修繕したりすることで、店舗の見栄えや機能性が向上します。買い手が「このまま使える」と判断すれば、追加投資を想定せずに済むため、結果的に高い評価が得られるケースもあります。
複数業者に査定を依頼する
店舗の価値は仲介業者によって評価が異なることがあります。そのため1社だけに任せるのではなく、複数業者に査定を依頼することが重要です。提示された査定額を比較することで、相場感を正しく把握できると同時に、条件交渉の材料にもなります。
特に造作譲渡や仲介手数料の条件は業者ごとに差があるため、複数社の比較は必須と言えるでしょう。
売却の専門業者に相談する
飲食店の売却では、一般的な不動産取引とは異なる独自のノウハウが求められます。そのため、飲食店専門の仲介業者に相談すると安心です。専門業者であれば買い手のネットワークを豊富に持つだけでなく、契約条件の調整やトラブル防止にも精通しています。結果的に、相場以上の高値成約を実現できる可能性が高まります。
飲食店を相場以上で売却したいなら専門業者に相談を
飲食店の売却には主に居抜き売却とM&Aという2つの方法があり、売却相場は異なります。特に注意すべきは「売却額=利益ではない」という点です。承諾料や仲介手数料、税金などを差し引いた金額が最終的に手元に残る利益となります。相場を理解しつつ、ときには専門業者の力を借り、納得のいく条件での売却を目指しましょう。
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