居酒屋経営を成功させるには、雰囲気や立地だけでなく「儲かるメニュー作り」が欠かせません。とくに集客につながる人気メニュー、リピーターを増やす定番メニュー、高収益を生み出すメニューの3本柱をどう組み立てるかがポイントです。
この記事では「居酒屋で本当に儲かるメニュー」の考え方と、実際に導入できる13の具体例を紹介します。
儲かる居酒屋メニューの考え方丨3種類を織り交ぜよう

居酒屋で安定した収益を上げるには、すべてのメニューを同じ基準で考えてはいけません。利益を生むには、役割の異なる3つのタイプを戦略的に組み合わせることが欠かせません。
この「3本柱」の考え方は、多くの成功している居酒屋チェーンが実践している基本戦略です。各メニューには明確な役割があり、それらをバランスよく配置することで、店舗全体の収益性を大きく高めることができます。
- 集客用の看板メニュー:原価率が高くても来店のきっかけになる特別な一品
- ニーズが多い定番メニュー:安心感を与え、追加注文を促す人気の料理
- 収益性の高い稼げるメニュー:原価率が低く、利益を支えるドリンクやおつまみ類
集客用の看板メニュー
看板メニューは「この店といえばこれ」と思ってもらえる存在です。お客様が「あの店の○○を食べに行こう」と足を運ぶきっかけになります。
このメニューの目的は利益を上げることではなく、まず来店してもらうことにあります。そのため、原価率は40%以上になっても問題ありません。
大切なのは「ここでしか味わえない」という特別感を提供することです。看板メニューで集客し、続いて定番メニューや高収益メニューで利益を確保することが、居酒屋経営の基本的な戦略になります。
ニーズが多い定番メニュー
定番メニューとは、どこの居酒屋にもある「安心して注文できる料理」のことです。枝豆、冷奴、唐揚げ、餃子などが代表例になります。
ポイントは、お客様の期待を裏切らないことです。「唐揚げはある?」「とりあえず枝豆」といった定番のリクエストに応えられなければ、機会損失につながります。
また、定番メニューは追加注文を促す役割も果たします。客単価アップに直結するため、原価率は3035%〜を目安に設定しましょう。お客様に「安心感」を与えつつ、しっかり利益を確保できるのが定番メニューの強みです。
収益性の高い稼げるメニュー
稼げるメニューとは、原価率が低く、注文されやすい料理のことです。店舗の利益を支える柱となり、ドリンク類やおつまみ、盛り合わせなどが代表的です。
とくにソフトドリンクは原価率が5〜10%と非常に低く、お酒を飲まない方やハンドルキーパーにも喜ばれます。さらに、煮込み料理はまとめて仕込みやすく、原価率も20~25%程度に抑えられるため、稼げるメニューの定番です。
メニューごとの原価率の目安
居酒屋経営では、メニューごとに原価率を設定することが重要です。一律ではなく、カテゴリーごとに差をつけることで収益性を高められます。
理想的な原価率は、全体で25〜35%が目安です。高原価と低原価のメニューを組み合わせ、平均を調整することが成功のポイントです。
- おつまみ:20〜30%
- 焼き物:30〜40%
- 揚げ物:30〜40%
- 刺し身:40〜60%
- ドリンク類:アルコール20〜40%、ソフトドリンク5〜10%
おつまみ
おつまみは居酒屋の利益を支えるカテゴリーで、原価率は20~30%が目安です。枝豆、漬物、冷奴などは調理が簡単で材料費も安く、高い利益率を確保できます。
ただし、安さだけを追うと満足度が下がるため、味や見た目には配慮することが大切です。
焼き物
焼き物の原価率は食材によって異なり、焼き鳥は30〜35%、魚の塩焼きは30〜40%が目安です。
調理に時間がかかるため、仕込みで下処理を済ませておくことが大切です。効率化により提供時間を短縮でき、人件費の削減にもつながります。
揚げ物
揚げ物の原価率は30~40%程度が一般的です。唐揚げ、フライドポテト、天ぷらなどは若年層に人気が高く、追加注文も期待できるメニューです。
使用する油の管理を適切に行えば、原価率をさらに下げることも可能です。ただし、揚げ物はできたてのおいしさが魅力であることからストックしにくく、廃棄ロスが発生しやすいため、需要予測にもとづいた仕込み量の調整が重要になります。
刺し身
刺し身は原価率が40~60%と高めになる傾向があります。これは食材の仕入れ価格が高いことに加え、鮮度管理のリスクや廃棄ロスも考慮する必要があるためです。
しかし、刺し身は居酒屋の「格」を印象づける重要なメニューでもあります。看板メニューとして位置づけ、ほかのメニューで利益を回収する戦略が効果的です。
刺し身を扱う場合は、信頼できる仕入れ先の確保と、適切な量の仕入れ管理が収益性を左右します。
ドリンク類
リンク類は居酒屋の収益源として最も重要なカテゴリーです。アルコール類は20~40%、ソフトドリンクは5~10%程度の原価率となり、極めて高い利益率を実現できます。
生ビールは原価率30~40%程度と高めですが、居酒屋の定番ドリンクとして必須のメニューです。ハイボールやサワー類は原価率10~20%程度に抑えられるため、積極的におすすめしましょう。
原価率が低くてよく出る!儲かる居酒屋メニュー13選
ここからは、実際に多くの居酒屋で収益の柱となっている具体的なメニューを13点紹介します。
- 枝豆(原価率10〜15%)
- 冷奴(12〜17%)
- 漬物(15〜20%)
- ポテトサラダ(25〜35%)
- フライドポテト(20〜30%)
- 鶏のから揚げ(30〜40%)
- 餃子(25〜40%)
- たこ焼き(25%)
- 煮込み料理(20〜25%)
- 盛り合わせ(25〜28%)
- 締めのご飯物・麺類(低原価で高回転)
- アイス(25%)
- ソフトドリンク(5〜10%)
枝豆
原価率:10~15%
枝豆は居酒屋の定番中の定番で、つきだしメニューとしても重宝します。冷凍枝豆を使用すれば原価は1人前35円程度、売価500円で提供すれば原価率は約7%という驚異的な収益性を実現できます。
調理は茹でるだけで済み、事前に大量調理も可能です。お客様の着席と同時に提供でき、ドリンクの注文を促進する効果もあります。塩加減や枝豆の品質にこだわることで、シンプルながら印象に残るメニューにできます。
冷奴
原価率:12~17%
冷奴は調理の手間がほとんどかからず、安定した利益を確保できるメニューです。豆腐1丁100円程度で仕入れ、売価600円で提供すれば原価率は約17%です。
薬味のネギ、生姜、大根おろしを組み合わせることで付加価値を高められます。また、湯豆腐として温かいメニューにアレンジすることも可能で、季節に応じて提供方法を変える柔軟性もあります。
漬物
原価率:15~20%
キャベツ 、きゅうり、大根などの漬物は原価率が低く、箸休めとしてもお客様に喜ばれます。野菜を大量購入して店内で漬け込めば、さらに原価を抑えられます。
自家製漬物として提供すれば、店舗の個性を演出することも可能です。辛み調整や味付けのバリエーションで、他店との差別化も図れます。
ポテトサラダ
原価率:25~35%
ポテトサラダは幅広い年齢層に人気があり、ボリューム感もあるため客単価向上に貢献します。じゃがいも、人参、玉ねぎなどの基本的な野菜で作れるため、原価率を25~35%程度に抑えられます。
大量調理が可能で日持ちもするため、効率的な運営ができます。手作り感を演出することで、冷凍食品とは異なる価値を提供できます。
フライドポテト
原価率:20~30%
フライドポテトはとくに若年層に人気が高く、お酒のおつまみとしても最適です。冷凍ポテトを使用すれば原価率は20%以下に抑えられ、調理も揚げるだけと簡単です。
ケチャップやマヨネーズなどのソースを複数用意することで、お客様の満足度を高められます。また、チーズをトッピングしたアレンジメニューとして付加価値を高めることも可能です。
鶏のから揚げ
原価率:30~40%
鶏のから揚げは居酒屋の人気メニューNo.1といっても過言ではありません。原価率は30~40%とやや高めですが、注文頻度が極めて高く、客単価向上に大きく貢献します。
鶏もも肉を使用した本格的なから揚げで差別化を図りましょう。下味の工夫や揚げ方のこだわりで、他店にはない味を作ることができます。ハーフサイズメニューの設定により、注文のハードルを下げることも効果的です。
餃子
原価率:25~40%
餃子は手作り感があり、居酒屋の定番メニューとして安定した人気があります。具材は豚ひき肉、キャベツ、ニラなど比較的安価な食材で構成でき、原価率25~40%程度に収まります。 冷凍餃子を使用すれば調理時間を短縮でき、オペレーションを効率化できます。焼き餃子、水餃子など調理法のバリエーションで飽きさせない工夫も重要です。
たこ焼き
原価率:25%
たこ焼きは関西の居酒屋ではとくに人気が高く、原価率も25%程度と良好です。冷凍たこ焼きを仕入れれば調理の手間もかからず、安定した品質を提供できます。
ソースやマヨネーズ、青のり、かつお節などのトッピングで見た目も華やかになります。アルコールとの相性もよく、追加注文も期待できるメニューです。
煮込み料理
原価率:20~25%
もつ煮込み、肉じゃが、筑前煮などの煮込み料理は、大量調理が可能で原価率を20~25%程度に抑えられます。比較的安価な食材を使用しても、時間をかけて煮込むことで満足度の高い料理に仕上がります。
煮込み料理は店舗の個性を表現しやすく「うちの名物」として育てることができます。冬季はとくに需要が高まるため、季節メニューとしても活用できます。
盛り合わせ
原価率:25~28%
刺身の盛り合わせ、焼き鳥の盛り合わせ、チーズの盛り合わせなど、複数の食材を組み合わせることで客単価を上げられます。高原価率の食材と低原価率の食材を組み合わせることで、全体の原価率をコントロールできます。
盛り合わせメニューは廃棄ロスの軽減にも効果的です。単品では売れ残りそうな食材も、盛り合わせとして提供することで有効活用できます。
締めのご飯物・麺類
お茶漬け、焼きおにぎり、ラーメン、うどんなどの締めメニューは、お客様の滞在時間延長と客単価向上に貢献します。米や麺類は比較的安価な食材のため、原価率を低く抑えられます。
締めメニューは飲みの最後に注文されるため、お客様の満足度を高める重要な役割があります。ハーフサイズでの提供により、お客様の負担感を軽減することも大切です。
アイス
原価率:25%
デザートメニューとしてアイスクリームを提供することで、客単価の向上と顧客満足度の向上を図れます。市販のアイスを仕入れれば原価率は25%程度となり、調理の手間もかかりません。
バニラアイスにフルーツやソースをトッピングすることで、付加価値を高められます。お酒を飲んだ後の口直しとしても喜ばれます。
ソフトドリンク
原価率:5~10%
ソフトドリンクは居酒屋で最も利益率の高いメニューです。ウーロン茶、オレンジジュース、コーラなどの原価率は5~10%程度と極めて低く、安定した収益源となります。
お酒が飲めないお客様、ハンドルキーパーの方、お子様連れのファミリー客にも対応でき、幅広い客層を取り込めます。複数のソフトドリンクを用意することで、選択肢を広げましょう。
儲かる居酒屋メニューを考える際の注意点
収益性を高めるには、利益だけでなく多角的な視点が必要です。目先の数字に偏ると、長期的な経営に悪影響を及ぼすこともあります。
次のポイントを押さえることで、持続的に利益を確保できる居酒屋経営につながります。とくに開業初期は意識して取り入れることが重要です。
- お店のコンセプトに合わせた料理を考える:一貫性を持たせ、ターゲット層に合ったメニュー設計にする
- メニュー数を増やしすぎない:30〜50品が適正、過多はロスや効率低下を招く
- 調理時間がかかる料理を見直す:仕込みや提供に時間がかかる料理は採算を圧迫する
- 調理の手間を省けるか検討する:オペレーション効率化やセルフサービス導入で人件費削減
お店のコンセプトに合わせた料理を考える
いくら利益が出る料理でも、店舗のコンセプトから外れたメニューは避けるべきです。和食居酒屋にイタリアンが多いと「何の店なのか」とお客様を迷わせてしまいます。
ターゲットの年齢層や利用シーンに合わせてメニューを設計し、一貫性を持たせることが大切です。たとえば「海鮮が売り」の居酒屋なら、刺身や焼き魚を中心に据え、肉料理は最小限に抑えるなど、方向性を明確にしましょう。
メニュー数を増やしすぎない
ニーズに応えようと品数を増やしすぎると、経営効率が下がります。個人経営の居酒屋なら30〜50品が適正範囲です。
メニュー過多は、食材管理の複雑化や廃棄ロスの増加、発注業務の煩雑化、提供スピードの低下、さらに看板メニューが埋もれる原因にもなります。
むしろ品数を絞り、品質を維持することで「ここの○○は美味しい」と印象づける方が、長期的な成功につながります。
調理時間がかかる料理を見直す
調理に時間がかかる料理は、人件費増と提供遅れを招き、繁忙期には売上機会を失う原因になります。
串打ちや複雑な下処理を要する料理は、仕込み時間も含めて人件費を計算すべきです。見かけの利益率が高くても、実際は採算が合わないことがあります。
効率化のコツは、仕込みと調理を分け、注文時の調理時間を最小限に抑えることです。
調理の手間を省けるか検討する
居酒屋経営では、オペレーション効率が収益性を左右します。食材の事前カットや圧力鍋の活用、盛り付けの簡素化などで人件費を削減できます。
セルフサービスの導入も有効です。ビールのセルフ注ぎやタッチパネル注文は人件費を抑えるだけでなく、体験性が加わりお客様の満足度向上にもつながります。
さらに、初期投資を減らすには居抜き物件の活用が効果的です。設備コストを抑え、その分を食材やメニュー開発に投資することで、収益性を高められます。
こちらの記事では、居酒屋の開業について解説しています。
費用の目安や成功させるポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

儲かる居酒屋メニューを作るには、集客・定番・高収益の3本柱を組み合わせることが欠かせません。看板メニューでお客様を呼び込み、定番で安心感を提供し、稼げるメニューで利益を確保する。この流れが成功の基本です。
原価率は一律ではなく、メニューごとに戦略的に設定しましょう。とくにソフトドリンクや煮込み料理などの高利益率メニューを取り入れることで、全体の収益性を底上げできます。
ただし、優れたメニューを考案しても、初期投資が重ければ経営は不安定になります。そこで有効なのが居抜き物件の活用です。設備投資を抑え、その分をメニュー開発や食材に回すことで、持続的な利益を生み出せます。
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