飲食店開業によくあるリスクを紹介!開業者向けの保険も紹介

飲食店開業によくあるリスクを紹介!開業者向けの保険も紹介

飲食店を開業する際、どのようなリスクがあるか不安な方も多いでしょう。飲食店の開業には多岐にわたるリスクがともないます。しかし、それぞれのリスクを十分に認識し、適切な対策を講じることで、リスクを回避してよい店舗経営ができるでしょう。

本記事では、飲食店開業に関するリスクやその対策について解説します。これから飲食店の開業をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店開業のリスク

飲食店開業のリスク

飲食店を開業する際には、多方面にわたるリスクを十分に認識しておくことが必要です。ここでは、とくに注意が必要な8つのリスクについて解説します。

資金繰り

資金繰り

飲食店の開業には多額の初期費用が必要です。たとえば、店舗取得費用、内装や外装の改装費用、設備や備品購入費などです。

開業後も賃料、人件費、仕入れ費用、水道光熱費、宣伝費などのランニングコストが継続的に発生します。借入金による資金調達を行う場合には、毎月の返済計画を慎重に立てることが不可欠です。

また、売上の変動に対応するため、一定の運転資金を確保しておくことも重要です。とくに、初期段階では集客に時間がかかることもあるため、予備資金を用意しておくことで、経営の安定を図ることができます。

これらの資金管理を怠ると、経営の早期悪化を招く可能性があります。

従業員不足

少子高齢化にともなう労働力不足は、飲食業界にも影響を及ぼしています。人員が不足すると、従業員1人あたりの業務負担が増加し、サービス品質の低下を招くおそれがあります。

また、従業員不足の問題にはカスタマーハラスメント(カスハラ)も深く関わっています。カスハラとは、顧客からの理不尽な要求や暴言、過剰なクレームなどにより、従業員が精神的なストレスを受けることです。

これにより、従業員の意欲やパフォーマンスが低下し、職場環境の悪化を招きます。さらに、従業員の退職や風評被害、最悪の場合は閉店の原因となることもあります。

人手不足による経営悪化を防ぐためには、労働環境および雇用条件の見直しが不可欠です。たとえば、従業員が安心して業務に専念できるよう、ハラスメント対策を明確にし、顧客とのトラブルが発生した際には、経営者が迅速に対応する仕組みを整えておく必要があります。

また、欠員が発生する場合には、単発アルバイトの募集が可能なサービスを活用するなど、人手不足による顧客への影響を最小限に抑えることが重要です。

原価の高騰

原価の高騰

食材やそのほかの資材の価格は、世界情勢や気候の影響を受けて変動します。コスト上昇は経営に大きな影響を与えるため、十分な備えが求められます。対策として、原価率の見直しや価格調整、人件費の改善、新たな収益源の開拓、デジタルツールの活用などが必要です。

とくに、原価率の見直しが重要で、仕入れルートの再検討や地元生産者との直接取引、メニュー構成の見直しが効果的です。また、フードロス削減もコスト管理に貢献します。

価格調整では、段階的な値上げやメニューの価格帯見直し、セットメニューの導入を行うことで、収益の安定を図ることが可能です。これらの施策を組み合わせることで、厳しい経営環境を乗り越えられるでしょう。

自身の健康状態

飲食店経営者は多岐にわたる業務を担います。調理や接客に加え、仕込みや清掃、在庫管理、プロモーション活動など、業務内容は多岐にわたります。

また、人材確保のための活動や従業員の管理、シフト作成、複数の従業員がいるなら人間関係に気を配るなどの業務も発生します。これを一人でこなすことは非常に負担が大きく、過労や健康悪化など、気力・体力ともに疲弊してしまうことも少なくありません。

適切な業務分担や信頼できるスタッフの確保が、長期的な経営の安定に欠かせません。

競合店舗の出現

競合店舗の出現

競合店舗の存在は、飲食店経営者にとって大きな脅威です。近隣に競合店舗が出店した場合、顧客の取り合いが発生し、売上や利益に直接影響します。また、すでに近隣に競合店舗がある場合、新規参入はさらに難しくなります。

そのため、独自性のあるコンセプトや差別化戦略が求められるでしょう。

ケガや病気

オーナー1人だけ、または少人数体制で営業している場合、1人が病気やケガで離脱すると、営業に大きな支障をきたします。飲食店は、営業時間と営業日数により売上が伸びる「労働集約型」の業態であるため、営業時間の短縮や休業が収益減少につながります。

火事や災害

火を扱う飲食店では、火災リスクが常につきまといます。火災による人的被害や設備損失は深刻な経営リスクであり、防火対策の徹底が不可欠です。また、地震や台風などの自然災害も同様に、設備や営業に重大な影響を及ぼします。

食中毒・衛生関連

食中毒・衛生関連

最後のリスクは、食中毒に関するものです。万が一、自分の店舗から食中毒が発生すると、営業停止や社会的信用の喪失につながり、最悪の場合は廃業にいたる可能性があります。

また、食物アレルギーへの配慮も重要な課題です。一般的に、食物アレルギーを持つ方は自身で注意を払いながら食事を選ぶことが求められますが、飲食店側も適切な対応が必要です。

具体的には、使用している食材に関する情報を正確かつ明確に提供することや、従業員がアレルギーについて十分な知識を持ち、適切に対応できるよう教育を行うことが重要です。

アレルギーに関する理解が不足していると、意図せず事故が発生し、最悪の場合、重大な健康被害や法的責任を負うリスクがあります。そのため、衛生管理の徹底に加え、食材情報の適切な提供やアレルギー対応の強化が求められます。

飲食店開業リスクを減らす方法

飲食店の開業にはリスクがともないますが、事前に理解し、適切に対策を講じることで、成功への可能性を高められます。ここでは、飲食店開業のリスクを減らす方法について解説します。

資金を多めに準備する

飲食店を開業する際、最も重要な要素のひとつが資金計画です。飲食店開業には初期費用だけでなく、運転資金の確保も重要です。資金不足に陥ると、事業運営が厳しくなり、最悪の場合、事業を継続できなくなります。

費用を事前にシミュレーションし、十分な資金を準備しましょう。また、自己資金だけでは不足する場合、資金調達を検討することが重要です。飲食店開業の資金調達の主な種類です。

  • 日本政策金融公庫からの融資制度
  • 地方銀行・信用金庫の制度融資
  • ネット銀行やクラウドファンディング
  • 血縁・親族関係からの資金調達
  • 他人からの資金調達

金融機関から融資を受けるには、審査が必要であり、申請時に必要な書類や条件は金融機関によって異なります。開業資金に不安がある場合は、日頃から取引のある銀行や信用金庫に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

近隣住民への配慮

近隣住民への配慮

飲食店の営業は、火災や匂い、騒音、顧客の行列などの要素で近隣住民やお店とのトラブルを引き起こす可能性があります。これを避け、良好な関係を築くためには、開業前から近隣への配慮が非常に重要です。

まず、店舗が決まり契約を結んだ段階で、周辺の住民や店舗、商店会、町会長などに早い段階で挨拶に行きましょう。訪問の際には、手土産(菓子折りなど)を持っていくことをおすすめします。

また、タイミングは内装工事を始める前がベストです。内装工事を始める前に挨拶を済ませておくと、工事による騒音や不便に対する理解を得やすくなります。工事車両や職人の出入りが予想されるため、事前にお詫びと挨拶をしておくことが大切です。

また、飲食店営業において、近隣住民とのトラブルが発生しやすいのは以下の4つです。

● ゴミ出し

飲食店は、ほかの店舗や家庭に比べてゴミの量が圧倒的に多いため、ゴミ出しのルールをしっかり守る必要があります。地域のゴミ出しの時間帯や曜日を守り、ゴミが荒らされないように対策を講じ、匂いが漏れないよう工夫をしましょう。

● 煙と匂い

料理の匂いは顧客を引き寄せる重要な要素ですが、近隣住民にとっては不快に感じることもあります。とくに焼肉や焼き鳥、カレー店などは煙や強い匂いを出すため、排気設備や脱臭装置を導入して、匂いを最小限に抑える工夫を行うべきです。

● 行列と騒音

店が繁盛している証拠ではありますが、来客数の増加にともなって騒音や行列が近隣のクレームを引き起こすこともあります。行列を防ぐために、店外に待機スペースを設けたり、大声の抑制を促す張り紙を掲示したり、整理券を配布して行列自体を作らないように工夫することが効果的です。

● 駐輪・駐車

店舗周辺の駐輪や駐車が増えすぎると、近隣住民とのトラブルが発生しやすくなります。事前に駐車場を確保したり、近隣の駐車スペースに配慮した運営を心掛けることで、周囲とのトラブルを避けることができます。

これらの点に気を配ることで、近隣住民との関係を良好に保ちながら、トラブルのリスクを減らし、長期的な事業の成功につなげられるでしょう。

飲食店向けの保険に加入する

飲食店経営にはさまざまなリスクがともなうため、適切な保険に加入しておくことは非常に重要です。ここでは、飲食店向けに役立つ保険の種類とその内容を解説します。

保険の種類特徴具体例対象
1店舗休業保険災害などで店舗を休業した際の収入減少を補償。食中毒での営業停止や近隣火災による営業損害。休業中の従業員給料や売上補填。
2火災保険・地震保険火災や地震による損害を補償。自然災害にも対応可能。調理中の火災や水道設備の故障による損害。店舗設備や建物、災害被害を受けた店舗資産。
3生産物賠償責任保険(PL保険)提供した料理や飲み物で顧客に被害が生じた場合の賠償を補償。食中毒発生時の治療費、慰謝料、損害賠償など。顧客への賠償金、弁護士費用など。
4施設賠償責任保険店舗内で発生した顧客への損害を補償。従業員が顧客にケガをさせた場合や服を汚した場合。顧客や店舗訪問者が受けた損害。
5借家人賠償責任保険賃貸物件のオーナーへの火災などの賠償責任を補償。火災による店舗損害でテナントオーナーへ賠償責任発生時。テナントオーナーへの賠償金。
6無断キャンセル保険無断キャンセルによる損失を補償。無断キャンセルによる食材廃棄費用や売上損失。予約無断キャンセル時の損失補填。

店舗休業保険

店舗休業保険

店舗休業保険とは、災害などが原因で店舗を休業した際、減少した収入を補償してくれる保険です。たとえば、食中毒による営業停止処分を受けた場合や、近隣から出火した場合の消防活動で営業できないほどの損害を受けた場合などが該当します。

この保険に加入することで、休業中の従業員給料などを支払い続けることができます。ただし、補償には上限額が設定されていることが多いため、加入前に詳細を確認することが大切です。

また、補償の対象には一定の条件が設けられています。対象となるのは、災害や予測不可能なアクシデントに限られます。そのため、経営者自身の過失や管理ミスが原因での休業は、補償の対象外となります。

火災保険・地震保険

火災保険は、店舗での火災や水漏れなどによる損害を補償する保険です。たとえば、調理中に出火した場合や水道設備の故障による水漏れが起きた場合に対応します。

また、火災保険と一緒に加入することが多い地震保険は、地震による店舗の損害も補償してくれます。風災や水災、落雷などの自然災害に対応したものもあり、広範囲にわたる補償を求める場合にはセットで加入するとよいでしょう。

生産物賠償責任保険(PL保険)

生産物賠償責任保険は、飲食店で提供した料理や飲み物に起因して顧客に被害が生じた場合に補償を行う保険です。PL保険とも呼ばれています。

とくに代表的なのは「食中毒」です。状況にもよりますが、万が一、食中毒が発生した場合、治療費や入院費、通院費に加え、慰謝料や損害賠償などが発生する可能性があります。

生産物賠償責任保険に加入しておくことで、顧客への賠償金や弁護士費用などが補償されます。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、店舗内で顧客が損害を受けた場合に対応する保険です。たとえば、従業員が料理を運んでいる際に顧客にぶつかり、服を汚してしまったり、割れた食器で顧客がケガをしたりした場合に補償されます。

飲食店は多くの人が出入りするため、思わぬ事故が発生することもあります。万が一に備えて加入を検討することをおすすめします。

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険は、火災などによる損害が発生した際、賃貸物件のオーナーへの賠償責任を補償する保険です。

万が一、店舗で火災を起こしてしまった場合、テナントのオーナーに対して賠償責任が発生します。この借家人賠償責任保険に加入していれば、オーナーは自分の資産から補償金の全てを捻出する必要がなくなります。

飲食店経営において、とくに火災のリスクはすぐそばにあるものです。テナントで店舗経営をする場合は、積極的に加入を検討しておきましょう。

無断キャンセル保険

無断キャンセル保険

飲食店経営においてよく問題視されるのは「無断キャンセル」です。顧客が予約していたにもかかわらず、無断でキャンセルして来店しなかった場合、当日の売り上げはもちろん、用意した食材の廃棄にかかる費用も発生するため、飲食店ではかなりの損失です。

無断キャンセル保険とは、こうした事態に対して補償を提供する保険です。無断でキャンセルされた場合、かつその顧客からキャンセル料を徴収できなかった場合に、1人あたりの金額をもとに補償が支払われます。

こちらの記事では、飲食店を開くために必要な知識について解説しています。飲食店開業に必要な資格や開業に必要なスキル・資格も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

リスクの少ない居抜き物件がおすすめ

新規に店舗をオープンする際には、居抜き物件を活用することをおすすめします。居抜き物件には、経済的なメリットや集客のしやすさなど、さまざまな利点があります。ここでは、居抜き物件を活用して新規店舗をオープンする具体的なメリットについて紹介します。

初期費用を大幅に削減できる

初期費用を大幅に削減できる

飲食店を新しくオープンする際には、敷金・礼金・家賃といった物件にかかる費用のほか、設備購入費や内装・外装工事費用が必要となります。しかし、居抜き物件の場合、前店舗で使用されていた厨房機器や備品、内装設備などがそのまま残されているため、それらを引き継ぐことが可能です。

これにより、初期費用を大幅に削減できるため、設備の強化や食材の仕入れに予算を回すことができ、経営の安定化につながります。

早く営業開始できる

新規の飲食店をオープンする際には、通常、内装や外装工事が必要です。スケルトン物件を活用する場合、工事に1~3ヵ月ほどの期間が必要です。店舗を取得してから工事するため、まだオープンできない工事期間中も家賃は発生します。

オープン後の売り上げが見込めるまでの空白期間が長くなると、収入がないまま支出のみが続くことになります。

居抜き物件の場合、前の入居者の内装をどの程度引き継ぐかによって工事期間は変わりますが、2週間〜1ヵ月程度の期間で完了します。契約してから営業開始までの期間が短いのは、居抜き物件を活用する大きなメリットです。

以前の店舗を利用していた人に宣伝できる

以前の店舗を利用していた人に宣伝できる

居抜き物件で引き継げるのは、店舗そのものや設備だけでなく、前店舗の知名度もそのまま活用できます。

新規の店舗をオープンする際には、まず認知度を高めるためのプロモーションが必要です。

前店舗が同業種だった場合、近隣住民や既存の顧客が「ここに飲食店がある」ということをすでに知っているため、かなり効率的な集客が見込めます。

しかし、前店舗がなぜ閉店したのか、その理由を確認しておくことが重要です。たとえば、立地条件が悪く客足が伸びなかったり、近隣とのトラブルが原因で営業停止に追い込まれた場合、その物件で再度同じ問題が発生する可能性があります。

まとめ

以前の店舗を利用していた人に宣伝できる

飲食店の開業には、資金繰りや従業員不足、火事、原価の高騰などさまざまなリスクがあります。しかし、近隣住民への配慮や資金調達など、準備のポイントをしっかりと押さえて実行することで、リスクを回避し、安定した店舗経営が実現できるでしょう。

効率的に飲食店を開業するには、初期費用が抑えられ、短期間でオープンできる「居抜き物件」がおすすめです。「居抜きの神様」は、居抜き物件を専門に取り扱う情報サイトで、最新の店舗情報や独占物件、ほかでは見られない未公開物件も掲載しています。

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居抜き物件のことなら「居抜きの神様」に任せるのじゃ

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