居酒屋を開業する際、魅力的なメニュー作りが不可欠です。メニューが魅力的であれば、集客だけでなく、売り上げアップも見込めるでしょう。
メニュー作りの際は顧客のニーズに応えられるよう、適切なコンセプトや価格設定が重要です。この記事では、メニューを作成するときに押さえるべきポイントやメニュー表の種類などについて詳しく解説します。
居酒屋の開業前に押さえておきたいメニュー作りのポイント

以下のポイントを押さえて業務に取り掛かりましょう。
- コンセプトに合わせる
- メニュー数を絞り込む<
- メニューのバランスを考える
- カテゴリー別に品数を決める
- 集客商品を決める
- 実際にメニューを作ってみる
- 早い段階から取り組む
- 仕入れ先を選定する
それぞれのポイントについて解説します。
コンセプトに合わせる

どのような雰囲気やサービスを提供するのかといったコンセプトを設定することが欠かせません。たとえば、新鮮な魚介類をメインに据えた海鮮居酒屋や昔ながらの温かみを感じられる大衆居酒屋などです。
こうしたコンセプトによって、提供する料理やドリンクの内容が異なります。メニューは店舗の個性やターゲット層のニーズに応えるものでなければ、顧客満足度を下げる原因となるでしょう。
また、年齢層や男女比、来店目的などを考慮したうえで、地域の特性に合ったメニューを選ぶことも大切です。たとえば、オフィス街に出店する場合は手軽に食べられる一品料理やスピーディーな提供を、観光地では地元の特産品を活かした料理を充実させると効果的です。
コンセプトから逸脱したメニューを取り入れると店舗のブランドイメージがわかりづらくなり、顧客の期待とのギャップが生じてしまいます。その結果、リピーターの確保が難しくなり、安定した経営を妨げる要因となりかねません。まずは、自店の強みやターゲットに適したメニューの方向性を明確にし、一貫性のあるメニューを考えましょう。
2023年7月、中野新橋にオープンした「炭火と酒と肴 七福八郎」は、コンセプトに合わせたメニュー作りによって成功した事例のひとつです。1店舗目である東新宿店に引き続き2店舗目となるこちらは、店内13坪と小さな店舗ですが、初月の月商は250万円を達成しました。

駅から徒歩10分以上の住宅地という挑戦的な立地でありながら、食べログでは「駅から少し歩くが、隠れ家的な場所と料理、酒、接客。行く価値あり」と高評価の口コミが付いていることから、その人気が伺い知れるでしょう。
そんな「炭火と酒と肴 七福八郎」のメニューのコンセプトは「ザ・居酒屋」です。住宅地であること、商圏内には家族連れや高齢者が多いことを考慮し、日常使いできる定番の居酒屋を目指しました。
東新宿店で好評の四川麻婆豆腐や新鮮鶏の白レバー刺しは変わらず提供しつつも、ファミリー層に向けて揚げ物メニューを充実させる、ポテトサラダや餃子などの「誰でも馴染みのある定番料理」を数多く取り揃えるなど、客層を的確に分析したコンセプト設計が成功の秘訣といえるでしょう。
こちらの記事では「炭火と酒と肴 七福八郎」の開業ストーリーを紹介しています。一般的な居抜き以上の開業コスト削減に成功したワケなど、開業志望者必見のエピソードをご覧ください。

メニュー数を絞り込む

メニューを数多く用意すれば幅広い顧客のニーズに応えられると考えがちですが、実際には逆効果になるケースがあります。メニュー数が多すぎると、店舗のコンセプトを曖昧にし、経営の効率を低下させる要因になりかねません。
また、提供する品目が多すぎると仕入れや在庫管理が複雑になり、食材の無駄が生じやすくなります。調理の手順が増えてスタッフの負担が大きくなり、提供時間が長引く可能性も考えられるでしょう。
その点、メニュー数を適切に絞り込めば、主力となる看板メニューの確立が容易になります。限られた料理に注力するため、調理の効率が上がり、味のクオリティを安定させられます。結果として、店舗の独自性を際立たせ、リピーター獲得にもつながるでしょう。
実際にメニューを絞り込んでいくには、ABC分析を用いることがおすすめです。ABC分析とは、商品の重要度に応じて分類し、その商品がどれだけ利益に影響しているかを把握し、改善につなげるための手法です。
一般的には、売上や販売数に基づいてAランク(最重要)、Bランク(中程度の重要性)、Cランク(低重要性)に分けます。この分析によって、メニューの絞り込みを効果的に行うことが可能です。

ABC分析を行う際は、まず分析対象となる商品の売上高や販売数、単価などのデータを収集し、リストアップしたのち、売上高降順で並び替えます。その後、並び替えたデータの累計構成比(各商品の売上が全体の何%を占めるか)を計算します。
累計構成比は、売上累計÷売上合計で求めます。累計構成比を算出できたら、A~Cランク分けを行います。ランク分けは以下のように行います。
【ABC分析を用いたメニュー区分】
重要度 | 内容 | 累計構成比 |
---|---|---|
Aランク | 売上や利益の大部分を占める売れ筋商品 | ~70%未満 |
Bランク | ほどほどに売上を生む商品 | 70%以上~90%未満 |
Cランク | 売上が少ない商品 | 90%以上~100% |
これにより、商品の重要度が視覚的に把握できます。
メニューのバランスを考える

メニュー構成にはバランスが不可欠です。売り上げや集客を伸ばすには、主に3つのカテゴリーを意識した構成が求められます。
- 目玉商品
- 定番商品
- 客単価を上げる商品
まず、店の特徴を際立たせ、来店の動機となる目玉商品です。こうした料理が店の個性を表し、顧客の関心を惹きつける役割を果たします。
次に、幅広い客層に親しまれるメニューを揃えます。たとえば、唐揚げや枝豆などの定番料理は、来店客が安心して注文できるため、滞在時間の延長やリピート率アップにつながります。
さらに、コストを抑えつつ客単価を上げやすいメニューも取り入れることが必要です。たとえば、簡単な調理で提供できるスピードメニューや、ほかの料理とセットで提案できる一品料理が該当します。
こうしたメニューをバランスよく組み込めば、コスト管理と売り上げアップの両立が可能となるでしょう。
カテゴリー別に品数を決める

カテゴリーごとにバランスよく品数を分配するのもポイントのひとつです。分類の方法として、提供する順序に基づいた「前菜・主菜・デザート」といった流れを意識した構成や調理方法別に「焼き物・揚げ物・煮物」といった形式に分ける方法が考えられます。
食材ごとに分類するのもよいでしょう。たとえば「肉料理・魚料理・野菜料理」とすれば、顧客が選びやすくなるうえに、食べたいものを見つけやすくなります。
適切なカテゴリー設定は、店舗側のオペレーションを効率化し、調理や仕入れの負担を軽減する効果も期待できます。過不足のないバランスでメニューを考え、スムーズな運営につなげましょう。
集客商品を決める
安定した経営を実現するためには、来店を促す集客商品の設定が欠かせません。集客商品を選ぶ際は、店舗のコンセプトに基づいたメニューの開発が重要となります。
たとえば、居酒屋であればリーズナブルな価格のアルコール類やお得感のあるセットメニューなどが該当します。ターゲットとする客層や出店エリアの特性を考慮して、地域に根ざしたメニューを提供するのも、顧客の関心を引き付ける有効な手段です。
顧客にとって魅力的な商品を用意しつつ、店舗の利益につながるオペレーションを整えるように心がけてみましょう。
実際にメニューを作ってみる

メニューの構想が固まったら、実際に試作して実現可能かどうかを確認しましょう。まずは使用する食材を選び、仕入れ先の検討やコストの把握を進めます。仕入れの安定性や食材の品質を見極められれば、安定した提供につながるでしょう。
その後、調理工程を検証して提供までの流れを細かく分析します。調理スタッフのスキルに応じて作業手順を調整し、提供するスピードを可能な限り早めることが大切です。
また、開店に向けたスタッフ研修も欠かせません。調理担当者には盛り付けの統一や効率的な調理法を指導し、ホールスタッフにはメニューの特徴や提供時の配膳方法を習得してもらいます。
その際、レシピを文書化してアルバイトスタッフでも再現できるようにすれば、品質の均一化が期待できます。こうした取り組みを実施することで、実際の営業時にスムーズな対応が可能となるでしょう。
早い段階から取り組む
物件の選定や資金調達と並行して、できるだけ早いタイミングでメニューの検討を始めましょう。どのような料理やドリンクを提供するのかを明確にしなければ、事業計画を具体化できず、設備投資や内装デザインにも影響を及ぼしかねません。
事業計画を策定する際には、調理機器や厨房設備の種類、必要な食材の仕入れルートなどを詳細に見積もる必要があります。たとえば、炭火焼をメインにする場合は排煙設備の強化が求められるなど、メニューの内容次第で必要な設備が異なります。
メニュー作りを後回しにすると、資金計画の見直しやスケジュールの遅れを招くリスクが高まるため、注意しなければなりません。
仕入れ先を選定する

店舗のコンセプトに適した食材を確保するため、開業準備の段階で慎重に取引先を選ぶことが求められます。たとえば、特定の産地やブランドの食材を使用する場合、それらを安定的に供給できる業者と契約することが欠かせません。
なお、取引を開始する際には、食材の返品対応や品質保証の有無を事前に確認することが必要です。とくに、衛生面でのトラブルを防ぐためにも、柔軟に対応できる業者を選ぶことが望ましいでしょう。
複数の業者と取引するのもひとつの手段です。仕入れ先を分散することで、安定した供給体制を整えられるでしょう。その場合、主な取引先を決定したうえで、不足分を補うためのサブ業者を選定するのが効果的です。
また、開業後も定期的に仕入れ状況を見直し、よりよい条件の業者に切り替える柔軟性を持ちましょう。長期的な店舗運営の安定につながります。
こちらの記事では、成功するメニュー開発のコツについて解説しています。メニュー開発のコツや気をつけるポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

居酒屋のメニュー価格の設定基準
以下6つの項目を設定基準にしましょう。
- 業態・開業エリアの相場
- 客単価
- 先入先出法
- 歩留まり
- レシピ表
- 価格のわかりやすさ
それぞれの基準について解説します。
業態・開業エリアの相場

価格を決める際は、業態や開業エリアの相場を把握することが欠かせません。業態によって、同じ料理であっても価格に違いが生じるためです。
たとえば、カジュアルな雰囲気の店舗と高級感を演出した店舗では、同じ料理であっても提供価格が異なります。そのため、ターゲットとする顧客層や店舗のコンセプトに応じた価格設定が求められます。
価格設定を行う際は、開業を予定しているエリアの相場を把握すると、適正金額がわかるだけでなく競合との差別化も可能となります。近隣の飲食店のメニュー価格やサービス内容を調査し、自店の強みを活かせる価格帯を見極めることがポイントです。
競合との差別化が図れない場合、顧客に選ばれる店舗づくりが難しくなるため、リサーチを徹底しましょう。
客単価

価格を設定する際には、単品価格だけでなく、1人あたりの客単価を考慮することが必要です。客単価を意識せずに価格を決定してしまうと、店舗のコンセプトとかけ離れた価格帯になり、売り上げのバランスが崩れる可能性があります。
そのため、メニューごとの価格設定だけでなく、来店客がどれだけの金額を消費するかを把握し、総合的な収益を考慮することが求められます。たとえば、価格設定の指針として「原価率」を計算し、コストと売上のバランスを適切に保つとよいでしょう。
原価率は「原価(仕入れ値)÷売上高(提供価格)×100」の式で算出可能です。一般的な飲食店では30%程度が目安とされています。
また、売り上げを高めるには、原価率の異なるメニューを適切に組み合わせる手法も効果的です。たとえば、利益率の高いメニューと人気の定番メニューをバランスよく配置すれば、店舗全体の原価率を適正に保てるでしょう。
客単価の設定は、経営の安定性に直結します。ターゲット層のニーズを正確に把握し、提供価値に見合った価格を考えることが不可欠です。
先入先出法
飲食店の原価率を正確に把握するためには、食材の管理方法が重要となります。そのなかでも、より正確にコストを計算するために有効なのが「先入先出法」です。
先入先出法では、以前に仕入れた食材を優先的に使用し、余剰分を翌月に持ち越します。このように考えるため、正確な原価率の算出が可能です。
計算手順としては、まず前月の繰越原価に当月の仕入れ分を加え、未使用の食材を差し引くことで、実際の売上原価を求めます。計算した結果をもとに「原価÷売上高×100」の計算式に当てはめれば、より精度の高い原価率を算出できます。
先入先出法を採用することで、食材の無駄を減らし、コストの無駄を抑えることが可能です。また、使用期限の管理がしやすくなり、食材ロスの削減にもつながるでしょう。
歩留まり
飲食店の原価管理において切り離せないのが「歩留まり」です。歩留まりとは、仕入れた食材のうち、実際に調理に使用できる部分の割合を指します。
たとえば、5kgの食材を10,000円で仕入れた場合でも、筋や骨、脂身などを除去すると、顧客に提供できる部分は少なくなります。仮に可食部が4kgであれば、実質的な仕入れ価格は1kgあたり2,000円ではなく、約2,500円です。
歩留まりを正しく計算しないと、メニュー価格の適正な設定が難しくなり、利益率を正確に把握できなくなるでしょう。また、歩留まりを考慮せずに価格を設定すると、原価を過小評価してしまい、結果として経営の安定性を損なう可能性があります。
そのため、食材ごとに適切な歩留まり率を把握し、調理工程におけるロスをできる限り抑える工夫が必要です。具体的には、仕入れ時に歩留まり率の高い食材を使用したり、食材の無駄を削減する調理方法を採用したりするのが効果的です。
レシピ表
価格を適正に設定するためには、原価率を正確に把握する必要があります。しかし、ひとつの料理に複数の食材や調味料を使用する場合、計算が複雑になりがちです。
その際、役立つのがレシピ表です。レシピ表とは、各料理に使用する食材の種類や分量、調味料の配合に加え、それぞれの仕入価格を明記した一覧表のことです。
レシピ表を導入すると、メニューごとの正確な原価計算が可能となり、利益率の管理がしやすくなります。また、スタッフがレシピ表に基づいて調理できるため、味や盛り付けの均一化が図れ、提供する料理のクオリティを安定させることにもつながります。
レシピ表があれば、新人スタッフであってもスムーズに調理の仕方を理解できるため、オペレーションの負担を軽減しやすくなるでしょう。
価格のわかりやすさ
顧客にとってわかりやすい金額に設定することも大切なポイントのひとつです。たとえば、すべてのメニューの末尾を統一した価格に設定すれば、注文時の迷いを軽減できるでしょう。
具体的には、価格の下二桁を揃えるといった具合です。その際「00」円ではなく「80円」などの端数にするとよいでしょう。顧客が価格を見たとき「1,000円」より「980円」のほうが視覚的に安いと判断しやすくなるためです。
また、カテゴリーごとに価格帯を設定するのも有効な手法です。たとえば、定食メニューなら1,000円、単品料理は700円といった具合に、注文されやすい価格を基準に価格の幅を調整すると、顧客に選びやすい印象を与えられます。
メニュー価格のわかりやすさを意識すれば、顧客満足度や注文率の向上が見込めるでしょう。
居酒屋のメニュー表も大切

メニューづくりに加えて、メニュー表も大切な要素のひとつです。大切な理由として挙げられるのが以下の3つです。
- 販売したいメニューをおすすめできるため
- ドリンクの注文を増やせるため
- リピート率の向上が期待できるため
それぞれの理由について解説します。
販売したいメニューをおすすめできるため
メニュー表は料理を紹介するだけでなく、売り上げを伸ばすためのツールとしても活用できます。しかし、販売を強化したいメニューを効果的にアピールするためには、視覚的な工夫が欠かせません。
たとえば、写真を活用して視線が集まりやすい位置に配置すると、顧客の注文意欲を高めることが可能です。具体的には、メニューの冒頭ページに注力したい料理を大きく掲載し、鮮やかなビジュアルで目を引くなどが考えられます。
こうした工夫をメニュー表に取り入れるだけで、顧客に「これを食べてみたい」と感じてもらいやすくなるでしょう。その際、料理に合うドリンクをセットで提案すれば、客単価の向上も期待できます。
また、メニュー表のデザインに一貫性を持たせるのも有効な手段のひとつです。店舗のブランドイメージを強化し、来店者に統一感のある印象を与えられます。
すべての料理を同じ大きさで羅列するのではなく、とくに売りたい料理を大きく掲載するなど、メリハリをつけてメニュー表を作成しましょう。顧客にとっても料理が選びやすくなり、満足度の向上にもつながります。
ドリンクの注文を増やせるため
飲食店では、料理だけでなくドリンクの販売も大きな収益源です。そのため、メニュー表に工夫を施し、ドリンクの注文を促進することが求められます。
料理と相性のよい飲み物をセットで提案すると、顧客の注文意欲を高めることが可能です。たとえば、焼き鳥にはハイボールを、スパイシーな料理には冷えたビールを組み合わせるなど、具体的な提案を盛り込むのが効果的です。
料理とともにドリンクを楽しんでもらうための工夫を施すことで、顧客満足度の向上はもちろん、店舗の売上アップにもつながるでしょう。
リピート率の向上が期待できるため
経営を安定させるためには、リピート率の向上が欠かせません。そのためには、他店にはない独自性を打ち出し、常連客を増やす工夫が必要です。
たとえば、店舗のコンセプトに合わせたオリジナルメニューを開発して「自店でしか味わえない特別感」を演出できれば、顧客の心をつかめるでしょう。
具体的には、季節限定メニューや記念日向けの特別プランを取り入れるなどの手法が考えられます。いずれも「この時期にまた訪れたい」と思わせるきっかけを作りやすくなるため、効果的です。
メニュー表のデザインに工夫を凝らし、料理の魅力をうまく引き出すのもポイントのひとつです。たとえば、季節ごとのテーマを取り入れたビジュアルや配色を用いれば、来店するたびに新鮮さを感じてもらえるでしょう。
また、ターゲット層に応じた見やすさやデザインの調整も大切です。シニア層には大きめの文字とシンプルなレイアウト、ファミリー層には子ども向けのポップなデザインを採用すると、より多くの層のリピートを促せるでしょう。
こうした工夫を積み重ねることで顧客満足度を高め、継続的な来店へとつなげることが可能となります。
居酒屋のメニュー表の種類
以下の6種類があります。
- 1枚タイプ
- 折りたたみタイプ
- 見開きタイプ
- 黒板タイプ
- タブレットタイプ
- スマートフォンタイプ
それぞれの種類について解説します。
1枚タイプ

1枚タイプのメニュー表は、コストを抑えながら手軽に制作できる点が魅力です。シンプルなデザインで、表面または両面にメニューを掲載できるため、必要最低限の情報をコンパクトにまとめられます。
しかし、掲載スペースに限りがあります。そのため、提供する料理やドリンクの品数が少ない店舗に適しているといえるでしょう。
傾向として、カフェやランチ営業する飲食店では、手早く内容を把握しやすい1枚タイプのメニュー表が好まれます。また、季節ごとのメニュー変更やキャンペーンの告知にも柔軟に対応できるため、短期間での使用にも適しています。
折りたたみタイプ

折りたたみタイプのメニュー表は、1枚のものに比べて掲載できるメニュー数が多いのが特徴です。紙を2つ折りや3つ折り、さらには観音折りにすることで、ページ数を増やしながら視覚的にも見やすいレイアウトを実現できます。
メニュー数が多い店舗に適しており、ジャンルごとに整理して掲載できるため、顧客が料理を選びやすくなるのも利点のひとつです。たとえば、イタリアンやフレンチのコースメニューなどでも活用されています。
制作コストは1枚のタイプに比べてやや高くなりますが、情報量を増やしつつ、スマートなデザインを実現できる点はメリットといえるでしょう。
見開きタイプ
見開きタイプのメニュー表は、冊子のように開く形式です。豊富なメニュー数を扱う居酒屋やレストランなどに適しています。ページ数を自由に設定できるため、料理やドリンクの種類が多い場合でも、わかりやすく整理して掲載することが可能です。
また、ファイル形式のものを選べば、メニューの差し替えや更新が簡単に行えるため、季節限定メニューや価格変更にも柔軟に対応できます。表紙デザインを工夫すれば、店舗のコンセプトや雰囲気を効果的に伝えられる点も魅力です。
見開きタイプのメニューは視認性が高く、顧客が注文するときに便利なことから幅広い業態で導入が進んでいます。
黒板タイプ

黒板タイプのメニュー表は、手軽に内容を変更できる点が特徴です。日替わりや週替わりのキャンペーン、季節限定メニューの告知にはとくに適しているでしょう。
また、黒板タイプには手書きの文字やイラストを取り入れやすいのも魅力です。手書きによって、店舗の雰囲気に温かみや親しみやすさを加えられるでしょう。
設置場所を工夫することで、周囲から見やすくなるのもポイントです。店頭や店内の目立つ位置に置けば、通りすがりの人々の興味を引く効果も期待できます。飲食店の個性を表現しやすく、アットホームな雰囲気を演出するのにも適しているでしょう。
タブレットタイプ

タブレットタイプのメニューは、利用客が好きなタイミングで簡単に注文できるのが特徴です。そのため、追加オーダーの機会を逃しづらく、売上アップに貢献します。
さらに、注文から支払いまでを一括で管理できるシステムを搭載しているため、スタッフの業務負担軽減にもつながります。商品内容や価格の変更もデータ上ですぐに反映できるため、印刷コストがかからず、メニュー更新の手間を削減できる点もメリットです。
ただし、導入には一定の初期費用がかかるため、コスト面を慎重に検討する必要があります。
スマートフォンタイプ
スマートフォンタイプのメニューは、顧客自身のスマートフォンで卓上のQRコードを読み取り、注文を完了できるシステムです。注文から支払いまでをスマホ上で完結できる機能を備えたものなら、スタッフの業務負担を軽減できるでしょう。
また、店舗側でタブレットを用意する必要がないため、導入コストを抑えやすい点も魅力です。慣れ親しんだ機器を使用することで操作性が高まり、スムーズなオーダーが可能となります。
居酒屋のメニュー表の作り方

メニューを作る際、以下のポイントを意識しましょう。
- 視線の動きを意識する
- わかりやすいメニュー名にする
- メニュー名にふりがなを振る
- プラスワードを使う
- おすすめの食べ方を記載する
- メニューに料理写真を載せる
- 外国人向けの表記を検討する
作り方の各工程について解説します。
視線の動きを意識する
メニュー表を作成する際は、利用客の視線の動きを理解したうえでレイアウトを考えましょう。人の視線には一定の法則があり、それを活用すれば、売りたい料理やおすすめメニューに注目を集められます。
たとえば、横書きのメニューでは視線は「Z」の動きで、左上から右上、左下へと流れます。一方、縦書きでは「N」の動きとなり、右上から左下へと移動します。
上記を踏まえ、とくに販売したいメニューは、横書きの場合は左上、縦書きなら右上に配置すると、より高い訴求効果を期待できるでしょう。また、メニュー名のフォントサイズを大きくしたり、色を工夫したりすると、さらに注目度を高められます。
視線の流れを意識したメニュー構成にすると注文を促しやすくなり、売上アップにつなげられるでしょう。
わかりやすいメニュー名にする
料理の内容がわかりづらいと、注文される可能性が低くなるリスクがあります。とくに、聞き慣れない料理名や専門的な表現が使われている場合、補足説明を加えるようにしましょう。
たとえば「ラタトゥイユ」という記載だけでは、どのような料理かわからない人も多いと考えられるため「野菜の煮込み」などと説明を添えましょう。一言添えるだけで、顧客がどのような料理なのかをイメージしやすくなります。
また、魅力的なメニュー名を付けて、料理の特徴やこだわりを伝えるのもよいでしょう。「肉汁溢れる手ごね特製ハンバーグ」といった情景を描写する文言や「ふわとろ卵の濃厚オムライス」といった擬音表現を用いると、食材の鮮度や特長をアピールでき、注文率を高められます。
メニュー名にふりがなを振る
メニューに難しい漢字や専門用語が含まれていると、顧客が読めずに戸惑う場合があります。普段あまり目にしない当て字や食材名が使われている場合は読み方がわからず、注文をためらってしまうことも考えられるでしょう。
その結果、興味があっても検討の対象から外されてしまうかもしれません。こうした問題を防ぐために、難読なメニュー名にはふりがなを振りましょう。
ふりがなを付けると、顧客がスムーズに注文できるだけでなく、ストレスなくメニューを選べるため、満足度の向上にもつながります。また、特別なこだわりがなければ、最初からひらがなやカタカナ表記を採用すれば、より親しみやすいメニュー作りが可能です。
わかりやすい表記を心がけて気軽に注文しやすい雰囲気を演出し、リピート率の向上にもつなげましょう。
プラスワードを使う
メニューの魅力をうまく引き出すためには、料理の特徴やこだわりを端的に表現する「プラスワード」の活用が効果的です。プラスワードとは、料理の持つ魅力や特長を強調し、顧客により強い印象を与えるための言葉です。
シンプルな料理名と比較して、プラスワードを加えるだけで視覚的な訴求力が高まり、注文を促進する効果を期待できます。たとえば「ビーフシチュー」より「低温熟成の旨み溢れるビーフシチュー」のほうが食欲をそそる印象を与えられるでしょう。
また、プラスワードを選ぶ際は料理がもつ魅力を見極め、際立たせる言葉を選ぶことが欠かせません。特製や濃厚、新鮮など、訴求ポイントに価値を付ければ、特定のメニューが人気商品へと成長する可能性もあります。
メニュー名に加えて、料理の背景や食材のこだわりを簡単に説明する一言を添えるのも効果的です。「A4ランクの牛肉を使用」など、お客様の興味を引きつけるフレーズを活用し、料理の価値を伝えましょう。
おすすめの食べ方を記載する
メニュー表におすすめの食べ方を記載することで、料理の楽しみ方を提案し、顧客の満足度を高められます。料理ごとに最適な食べ方を紹介すると、顧客が「試してみたい」と思い、注文する可能性が高まります。
たとえば、ステーキには「まずは塩だけで肉本来の旨味を味わい、その後、特製ソースで楽しむ」といった提案を加えるとよいでしょう。食べ方のバリエーションを楽しんでもらうことが可能です。
とくに、食材や調理方法に特徴があるメニューには、適切な食べ方を記載することで、より多くの人に美味しさを伝えられるでしょう。メニューに食べ方の工夫を紹介することで、食べ方に迷うことなく料理を堪能してもらえます。
メニューに料理写真を載せる
料理の写真を掲載することで視覚的な魅力を伝え、注文意欲を高められます。とくに、初めて来店する顧客にとって、写真付きのメニューは料理の内容やボリュームを直感的に理解しやすく、選びやすさにもつながります。
写真撮影は自分で行うことも可能です。しかし、プロのカメラマンに依頼すると、より魅力的に仕上げられます。
ただし、撮影時には実際に提供する料理と乖離しないよう注意が必要です。写真を美しく仕上げることは大切ですが、実物と大きく異なる盛り付けや過度な演出は、顧客の期待を裏切る原因となりかねません。
実際の提供時にも、写真と同様のクオリティを維持できるように盛り付けや仕上げに細心の注意を払いましょう。また、定期的にメニュー写真を見直し、季節限定メニューや新商品のビジュアルを適切に更新するのも大切です。
適切な料理写真を活用すれば、売り上げアップにつなげられるでしょう。
外国人向けの表記を検討する
近年、日本を訪れる外国人観光客の増加にともない、飲食店においても多言語対応のメニュー表を用意することが重要になっています。とくに、観光地や外国人居住者が多い地域では、英語メニューをはじめ、来店客の国籍に応じた言語表記を検討する必要があります。
日本語のみのメニューしか用意されていない場合、外国人にとって注文のハードルが高いです。十分なサポートが受けられないと感じれば、再訪の機会を失うことにもつながります。そのため、英語だけでなく、中国語や韓国語などの対応も視野に入れましょう。
多言語表記を取り入れることで言葉の壁を取り払い、スムーズな注文をサポートできるだけでなく、料理の魅力をしっかり伝えられます。食材やアレルギー情報なども明記すれば、安心して料理を楽しんでもらう環境づくりにもつながるでしょう。
こちらの記事では、居酒屋を開業するときの手順や必要となる備品、資格を解説しています。ぜひあわせてお役立てください。

まとめ

居酒屋の開業において重要なのがメニュー作りです。店舗のコンセプトをはっきりさせて、ターゲットに合った料理を提供すれば、顧客の心をつかみやすくなります。
また、メニュー数を絞り込み、バランスよく配置すれば、店舗の個性を際立たせ、運営の効率化につなげることが可能です。価格設定に関しても、業態や立地に応じた適正な価格を設定し、原価率や客単価を考慮することが求められます。
メニュー表の作成においては視線の動きを意識し、わかりやすいメニュー名や写真を活用することで、顧客に料理の魅力を効果的に伝えられます。加えて、外国人向けの表記を取り入れれば、インバウンド需要にも対応しやすくなるでしょう。
開業に際しては、物件選びも重要なポイントです。たとえば、居抜き物件を活用すると、初期費用を大幅に削減できるため、設備投資などに予算を割きやすくなります。
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