喫茶店やカフェは、おいしいコーヒーを味わったり、楽しくおしゃべりしたりなど、気軽に足を運べる憩いの場です。そんなお店を作りたいと夢をふくらませている人のなかには、「喫茶店とカフェはどう違うの?」「コンセプトはどう決めたらいい?」など、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、喫茶店とカフェの一般的なイメージから、法的な側面まで掘り下げて解説します。喫茶店やカフェにおすすめのコンセプトも紹介しますので、これから開業を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
喫茶店とカフェにはイメージの違いがある

喫茶店とカフェは、それぞれ異なるイメージの空間として多くの人に認識されています。一般的に、喫茶店からは懐かしさや落ち着き、カフェからは洗練された雰囲気やおしゃれさが連想されることが多いでしょう。
まずは、喫茶店とカフェのイメージの違いについて解説します。
喫茶店のイメージ
喫茶店と聞くと、レトロな雰囲気やアンティーク調の家具が思い浮かびます。長く営業を続ける店が多く、重厚感のある内装が特徴です。店内には、静かで落ち着いた空間が広がっており、紅茶やコーヒーをゆっくりと味わえるのが醍醐味といえます。
チェーン展開が多いカフェとは異なり、小規模な個人経営が中心です。住宅に併設された店舗も多く、大型店はほとんど見かけません。
1杯ずつ丁寧に淹れた飲み物や、心温まる接客で、訪れた人を和ませる雰囲気が魅力です。喫茶店は、くつろげる特別な時間を提供する場所として、多くの人に愛されています。
カフェのイメージ
カフェは現代的でおしゃれなイメージが強く、店内は明るく開放的な雰囲気が特徴です。友人とのおしゃべりや休憩など、さまざまなシーンで利用できます。
大型店舗やチェーン店が多くあり、とくに街中など、人の往来が多い場所で目にする機会が多いです。
カフェは、喫茶店よりも食事のメニューが多い点も特徴です。サンドイッチやパスタなどが用意されており、ランチや休憩などにも利用しやすいでしょう。
こちらの記事では、カフェの開業について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
喫茶店とカフェの法的な違い
喫茶店とカフェには、イメージだけでなくほかにも違いはあるのでしょうか。実は、2021年6月の法改正以前は、法的にも違いがありました。
ここからは、喫茶店とカフェの法的な違いについて具体的に解説します。
営業許可の違い【法改正前】
2021年6月に食品衛生法が改正されました。法改正以前は、喫茶店とカフェはそれぞれ異なる営業許可証の取得が必要で、喫茶店は「喫茶店営業許可」、カフェは「飲食店営業許可」を申請し、許可証の交付が義務づけられていました。
喫茶店営業と飲食店営業の違いはいくつかあります。まず、喫茶店営業は「加熱調理のみ許可・アルコール販売は不可」で、営業許可取得は比較的容易でした。
一方、飲食店営業は「調理の制限が少なく、アルコール販売が可能」なため、営業取得は比較的難しい場合が多かったです。
つまり、喫茶店の営業許可は、飲食店の営業許可と比べて取得しやすい反面、調理は加熱のみが許されているため、温めるだけで提供できるトーストなどの軽食しか販売できません。
一方、カフェは飲食店営業許可が必要であるため、サンドイッチやサラダなどの加熱していない料理も提供でき、フードメニューを充実させられます。深夜でなければアルコールも販売できるため自由度が高いですが、その分営業許可が降りにくいのが難点です。

このように、2021年までは法的に明確な違いがありましたが、法改正によって喫茶店の営業許可は廃止され、現在では喫茶店とカフェに法的な区別はなくなりました。
営業許可の違い【法改正後】
法改正前は、喫茶店とカフェはそれぞれ異なる営業許可が必要でしたが、2021年6月の法改正により、どちらも飲食店営業許可での営業が可能になりました。これにより、喫茶店とカフェは法的に区別されなくなり、イメージや店名の違いだけが残っています。
ただ、例外がひとつあり、2021年5月以前に喫茶店の営業許可を取得した店は、許可証の有効期限が切れるまで、改正前の喫茶店営業許可で営業できます。
法改正により、飲食店営業許可証で販売できるものが増えた一方で、許可を得るための条件や費用が変更されている場合があります。詳しく知りたい方は、店舗の管轄を行っている保健所へ問い合わせて確認しましょう。
喫茶店とカフェの歴史の違い

日本の喫茶店の歴史は、一般的な認識よりもずっと奥深く、独自の発展を遂げてきました。しかし、日本で最初にできたのは、実はカフェなのです。ここからは、喫茶店とカフェの歴史について紹介します。
喫茶店の歴史
日本の喫茶店の歴史は、カフェの歴史と深く結びついています。日本初のカフェである「可否茶館」がオープンし、発展するなかで「喫茶店」と「カフェ」へ分かれるようになりました。
しかし、カフェにはキャバレーやバーといった業態も含まれており、取締令によって数が激減しました。その結果、コーヒーやサンドイッチといった軽食を楽しめる「喫茶店」が台頭することになったのです。
その後、第二次世界大戦の影響でコーヒーが手に入らなくなり喫茶店は大きな打撃を受けましたが、戦後にコーヒー豆の輸入が再開されると、オーナーの趣味や嗜好を反映した個性豊かな喫茶店が増えていきました。
音楽を楽しめる喫茶店や、漫画が読める喫茶店など、さらに多様な形態の喫茶店が登場しましたが、繁栄していた喫茶店も、現在は減少の一途をたどっています。
カフェの歴史
日本のカフェの始まりは、1888年に東京・上野にオープンした「可否茶館」という複合カフェだといわれています。これをきっかけに発展を遂げたことで、カフェという存在が人々に知られるようになりました。
その後、カフェは急速に増加し、キャバレーやバーといった業態も現れ、多くの人々で賑わいました。しかし、1929年から風俗営業に関する取締が強化され、カフェの数は激減します。
さらに、第二次世界大戦が始まると、コーヒーの輸入は禁止され、ぜいたく品となりました。多くのカフェが廃業や業種転換を余儀なくされ、カフェの暗黒時代が続きます。
戦後、1950年にコーヒーの輸入が解禁されると、カフェは再び街に現れ始めました。当時、コーヒー豆の消費はほぼ個人経営のカフェで行われていたといわれています。
喫茶店とカフェの種類とコンセプト

現在、カフェと喫茶店には法的な違いはありません。そのため、開業をする際は、店舗のコンセプトによってカフェまたは喫茶店を選ぶこととなります。
そこで、カフェと喫茶店それぞれに適したコンセプトをいくつかご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
喫茶店の種類
「純喫茶」は、コーヒーだけを純粋に楽しむための喫茶店です。木目調の内装と風格のあるカウンター、穏やかなマスターが丁寧に入れてくれるおいしいコーヒーが特徴で、昔ながらの喫茶店の王道スタイルといえるでしょう。
「ジャズ喫茶・レコード喫茶」は、コーヒーを飲みながらジャズなどの音楽を楽しめる喫茶店です。レコードの愛好家や音楽が好きな人たちが集まり、コーヒーと音楽を味わいながらゆっくりとした時間を過ごせます。
「歌声喫茶・カラオケ喫茶」は、カラオケや歌を満喫できる喫茶店です。昭和時代に人気のあった歌声喫茶は、ピアノの生演奏に合わせて客全員で歌うというスタイル、カラオケ喫茶は、夜間にスナックなどを営業している店が、昼間にカラオケ喫茶として営業していることが多いです。
注意点として、店主をはじめとしたスタッフがお客様と一緒にカラオケを歌うといった行為は、法律上での「接待行為」に該当します。これらを接客として行う場合は、必ず風営法に関する許可を事前に得なければなりません。
「漫画喫茶・ゲーム喫茶」は、豊富なフードやドリンクを楽しみながら、漫画やゲームを堪能できる喫茶店です。こうした喫茶店には、オンラインゲームやインターネットを利用できるインターネットカフェも多いです。
フリードリンク制の店舗が多く、サービスとしてソフトクリームやポップコーンなどの簡単な軽食やトーストなどの朝食を用意しているところもあります。とくに、24時間営業の店舗ではシャワールームも備え付けられていることから、簡易的な宿泊施設として利用するお客様も多いでしょう。
カフェの種類
「シアトル系カフェ」は、エスプレッソを使用したカフェラテやカプチーノが人気で、アメリカ・シアトルが発祥とされています。豊富なサイズ展開に加え、フレーバーやトッピングも多彩に揃っているのが特徴です。
「フランス系カフェ」は、店内とテラスの両方に席を設けており、食事とコーヒーをゆっくりと楽しめるのが特徴です。フードメニューが豊富で、ランチにも利用しやすいです。
「イタリアンカフェ」は、エスプレッソを使ったメニューが豊富なのが特徴です。イタリア発祥のカフェとして、パニーニやパスタ、ピザなどのイタリアンフードも楽しめます。

また、猫カフェをはじめとしたコンセプトカフェも多く、ペットカフェやメイドカフェなど、さまざまな種類があります。
カフェのイメージがある程度決まったら、居抜き物件を検討してみるのもおすすめです。居抜き物件は、前の借り主が使用していた内装がそのまま残っているため、カフェのイメージを表現しやすくなります。
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まとめ
喫茶店とカフェには、それぞれカフェは若年層、喫茶店は中高年層向けというイメージの違いがあります。現在では、喫茶店とカフェに法的な違いや制限はないため、理想のイメージやコンセプトに合わせて、店舗づくりができます。
喫茶店やカフェを開業する際には、居抜き物件を活用するのがおすすめです。居抜き物件は、前の借り主が使用していた設備や備品をそのまま借りられるため、内装や設備工事のコストを削減でき、スムーズに事業をスタートできます。
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