カフェのフランチャイズは、本部にロイヤリティを支払えば店舗名や経営ノウハウなどを提供してもらったうえで開業できる方法です。はじめて開業する方にとってはメリットが大きいと考えられがちですが、デメリットもいくつかあります。
本記事では、カフェをフランチャイズで開業するメリットとデメリットをご紹介します。そのほか、フランチャイズの選び方もお伝えするため、カフェの開業を検討している方はぜひ参考にしてください。
カフェ業界の市場動向は？
カフェ業界の市場は、一般社団法人日本フードサービス協会「JF外食産業動向調査」によると、コロナ禍の2020年に売り上げが前年比69.0%まで落ちていました。しかし、2021年からは利用客数の増加とともに売り上げも回復しています。
売り上げの前年度は、2021年が100.1%、2022年が116.8%、2023年が120.6%、2024年が109.0%です。2020年から2021年で前年度が31.1%も回復しているため、コロナ禍による制限が影響していたのがわかります。
日本フードサービス協会加盟会員社「外食産業市場動向調査 2025年1月度 結果報告」によると、2025年1月の売り上げの前年同月比は109.8%です。客単価は、前年同月と比べて107.6%上がっています。
客単価が上がった要因は、原料が上がり価格を改定したからと考えられます。客数の前年同月比は102.0%と上昇しているため、客単価の増加と重なった結果、売り上げも向上したといえるでしょう。
売り上げや客数がともに増加傾向にあるカフェですが、開業すれば必ず儲かるとは限りません。売り上げを向上・維持するためには、他店との差別化や商品のこだわり、適切な価格設定などが求められます。
出典：一般社団法人日本フードサービス協会ウェブサイト （https://www.jfnet.or.jp/files/nenkandata-2024.pdf）
出典：日本フードサービス協会加盟会員社ウェブサイト （https://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2025-01.pdf）
カフェをフランチャイズで開業するメリットは？
カフェの開業を考えている方は、フランチャイズを選択肢に加えるのがおすすめです。開業方法に迷っているときは、まずフランチャイズで開業するメリットを確認しましょう。ここでは、カフェをフランチャイズで開業するメリットを4つご紹介します。
未経験でもカフェを開業できる
フランチャイズを選択すると、カフェでの経営経験がなくてもカフェを開業できます。カフェを開業する前に、他店のカフェで働いて経験を積んだり、経営の知識を学んだりしてから開業するのが一般的です。
経営の知識や経験がなくても開業はできますが、売り上げを維持しながら経営を継続するハードルは上がります。経営ノウハウの軸がしっかりしていなければ、カフェの開業が失敗につながってしまうおそれがあります。
フランチャイズで開業すれば、本部からサポートを受けたり、経営ノウハウを共有してもらいながら経営の継続が可能です。はじめからどのように経営していくべきか明確になるため、未経験者でもスムーズに参入できます。
好立地に出店できることがある
フランチャイズでカフェを開業する際、本部が立地選定をサポートしてくれるため、好立地に出店できる可能性が高いです。立地選びは、カフェに限らず商品やサービスを提供する店舗ビジネスにおいて重要です。
高品質の商品や接客サービスが提供できても、立地が悪ければ客足が遠のく可能性があります。まずは、店舗に足を運んでもらって、ようやくお店の印象やメニューの内容を伝えられます。
フランチャイズはある程度知名度が高いため、企業名を活かして優良物件を紹介してもらえる可能性が高いです。個人でカフェを開業しようとするよりも選択肢が広がり、より好立地な場所で出店できれば成功につながりやすいです。
ノウハウやマニュアルを活用できる
フランチャイズに加盟してカフェを開業する際、本部からノウハウやマニュアルを提供してもらえます。ノウハウやマニュアルがあれば、知識や経験がない方でも正しい順序ややり方で経営を進められます。
運営マニュアルがあると、仕入れや仕込み、調理、集客、接客などの業務をスムーズに行えます。経営ノウハウを学ぶ時間も省けるため、少しでも早くカフェを開業したい方におすすめです。
また、カフェの個人経営では、トラブル時に個人で対応しなければいけません。フランチャイズなら本部がサポートしてくれるため、トラブルが起こってもマニュアル通り進めていけば問題ないでしょう。
どうしても個人でカフェを開業したい方は、フランチャイズでノウハウや知識を身につけてから、将来的に自分で開業するのもおすすめです。
ブランド力を活かせる
フランチャイズでカフェを開業すると、ブランド力を活かした集客効果が期待できます。具体的には、本部のキャッチコピーやロゴ、ブランド名などの活用が可能です。本部でキャンペーンやイベントが実施される場合、加盟店として参加できます。
知名度ゼロの状態でカフェを開業したとき、まず集客するためにさまざまな工夫を考えなければいけません。知名度や認知度がない状態だと、どれだけ魅力的なメニューを出せたとしても、存在を知ってもらうには時間がかかります。
そのため、開業したてのころは、思うように売り上げが得られない可能性があります。フランチャイズだと、はじめから集客効果が現れ売り上げを獲得できるケースがあるでしょう。集客に時間をかけずに、そのほかの業務に集中できるのもメリットのひとつです。
カフェをフランチャイズで開業するデメリットは？
カフェをフランチャイズで開業するメリットはたくさんありますが、デメリットもいくつかあります。開業する前に、デメリットも把握したうえでどのように開業するか決めましょう。ここでは、カフェをフランチャイズで開業するデメリットを3つご紹介します。
制約があり自由度が低い
カフェのフランチャイズでは、全店舗でメニューの品質が統一されており、外観や内装、営業時間、定休日なども本部の基準に沿って決められています。一貫性があることで利用客に安心感を与えて、リピーターを獲得しやすくなるでしょう。
しかし、制約があるなかで運営すると、オリジナリティを出しにくいデメリットがあります。店舗ごとに独自のメニュー開発を許可しているところもありますが、はじめから自由度を高められるとは限りません。
フランチャイズによっては、店名に「珈琲」と名付ければ好きな名前が付けられるケースがあります。自由度を優先したい方は、制約があるものの自分が考えた店名やメニューを許可してもらえるところを選びましょう。
ロイヤリティの支払いがある
カフェをフランチャイズで開業するには、本部にロイヤリティを支払う必要があります。ロイヤリティとは、加盟金や保証金のことです。個人で同じ規模のカフェを開業するよりも、初期費用を多く用意しなければいけません。
フランチャイズでカフェを開業したあとも、本部に毎月ロイヤリティを支払う必要があります。支払い額や支払い方法、支払うペースは企業によって異なりますが、個人経営のカフェよりも維持費も高いです。
また、1席あたりのロイヤリティが設定されているところがあり、店舗の規模が大きいほどロイヤリティが高くなるケースがあります。売り上げの一定割合を支払う場合や、毎月決まった金額を支払う場合があるため、契約前に支払方式を確認しましょう。
他店舗の影響を受けやすい
フランチャイズはすでに知名度のあるブランド力を活かせる反面、他店舗の影響を受けやすいデメリットがあります。他店舗でネガティブな評判が広まれば、自分の店舗で問題が起こっていなくても売り上げや客足が遠のく可能性があります。
たとえば、異物混入や食中毒、バイトテロなどが他店舗で起こると、自分の店舗でも影響を受けやすいです。他店舗でトラブルが生じたとき、本部の対応が重要なポイントとなります。
契約する際、風評被害や営業停止などを避けるための対策についても説明を受けておきましょう。自分の店舗が他店舗に影響を与えないためにも、本部とコミュニケーションをしっかり取って、トラブルを回避するための対策に力を入れるのがポイントです。
カフェフランチャイズの選び方は？
カフェをフランチャイズで開業したい方は、どの企業と契約するか決める必要があります。数あるカフェフランチャイズのなかで、自分に合うところを選ぶためにポイントを押さえておきましょう。ここでは、カフェフランチャイズの選び方を4つご紹介します。
ブランド力を確認する
カフェの開業では知名度や集客効果がポイントであるため、企業のブランド力を確認しましょう。ブランド力が高ければ、店舗を持つだけではじめからお客さんに利用してもらえる可能性があります。
ブランド力に対してロイヤリティをすでに支払っているため、広告費を追加で支払う必要がありません。浮いた広告費は、人件費やサービス向上、メニュー考案などのために充当できます。
ただし、ブランド力が高くても、立地が悪かったりサービス内容が地域性に合っていなかったりするケースもあります。本部が提示する条件や立地をそのまま鵜呑みにせずに、自分でもマーケティングを行ったうえで相談するのがポイントです。
加盟金・ロイヤリティの高さだけで選ばない
加盟金やロイヤリティの金額が高いほど利益率が高いとは限らないため、金額の高さだけで選ばないようにしましょう。ロイヤリティが高ければ手厚いサポートが受けられると安易に判断してしまうと、資金繰りに苦しむ可能性があります。
フランチャイズ本部が提供する商品やサポートの質、ブランド力などを総合的に判断するのが大切です。ほかの企業とも比較したうえで、自分が納得のいく費用設定の本部を選ぶと成功する可能性が高まります。
また、カフェフランチャイズのロイヤリティの仕組みをしっかり把握するのも重要です。ロイヤリティの算出方法には、主に定額方式・売り上げ歩合方式・粗利分配方式の3種類があります。
定額方式は、売上や利益に関係なく毎月一定額を支払う方式です。売上歩合方式は売上の一定割合をロイヤリティとして支払います。粗利分配方式は、月の粗利益額に応じてロイヤリティを支払う方式です。
はじめから高い売り上げが予想される場合は定額方式、はじめから定額を支払えるか不安な場合は売上歩合方式や粗利分配方式がおすすめです。どの算出方法が自分に適しているか判断し、フランチャイズ選びの参考にしましょう。
サポート体制を確認する
フランチャイズでカフェを開業して成功させたいなら、サポート体制を重視するのがポイントです。はじめて開業する場合、集客方法や経営ノウハウ、人材の育成、メニューの考案などで悩むケースが多いです。
サポート体制が整っている本部と契約すれば、食材の供給から人材育成支援までサポートが受けられます。経営に困ったときは、本部からアドバイスを受けられるため、トラブルを未然に防げる可能性が高いです。
また、本部の指示に従うだけではなく、自分の意見を伝えられる仕組みを取り入れているところを選びましょう。自分が考案したメニューをお店で出したいなら、自由度の高いフランチャイズがおすすめです。
独自性の高いコンセプトがある本部を選ぶ
カフェをフランチャイズで開業する際、独自性の高いコンセプトを抱えている本部を選びましょう。カフェは飲食業界でも人気度が高いため、ほかのカフェと同じ経営方針では差別化が図れません。
独自性の高いコンセプトがあるか判断するとき、まずは提供しているメニュー、テイクアウトの実施、店舗内のコワーキングスペースの設置、早朝や深夜営業など時間帯に着目しましょう。
メニューをチェックする際、ほかのカフェでは味わえない料理や、健康志向のオーガニック食材を使用した料理があるかがポイントです。早朝や深夜も営業しているカフェは少ないため、特定の時間帯に利用するリピーターを獲得できる可能性があります。
また、カフェの経営では売り上げを上げるのが大切であるため、現状で平均どれくらいの売り上げが上げられるか、どれだけ利益を出せるかも確認しましょう。ほかの本部の売り上げ目安も比較しながら、自分が求める条件を満たすところを探すのがポイントです。
まとめ
カフェフランチャイズは、本部から経営ノウハウやマニュアルが提供してもらえるため、未経験者でも成功する可能性が高いです。ブランド力を活かせば、特別な集客を行わなくても売り上げを上げられるでしょう。
ただし、ロイヤリティを支払う必要があるため、毎月決まった金額以上の売り上げを達成しなければいけません。少しでも安い費用でカフェを開業したいなら、居抜き物件がおすすめです。
居抜き物件でカフェを開業しようとすると、内装や仕様などの物件の要件が厳しく、物件数自体が少ないです。居抜き物件を活用するなら、フランチャイズに加え、個人経営も選択肢に入れられます。
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