カフェを開業するにはさまざまな準備が必要です。物件選びや人材採用、食材購入ルートの選定など、いくつもやるべきことがあります。
また、開店してからも販促や利益向上施策など売上を上げるには多くの施策が求められますが、なかでも欠かせないのは利益率の把握です。単純に売上を上げるだけではなく、経費や利益率などを把握しないと、後に経営が行き詰まる原因となります。
本記事では、カフェ経営に必要な経費について、その種類を紹介したうえで、削減するための方法をお伝えします。これからカフェ経営を検討されている方はぜひ、参考にしてください。
カフェ経営に必要な経費は?

カフェ経営には原価をはじめとする、さまざまな経費がかかります。ここでは、カフェ経営にかかる経費の種類とそれぞれの詳細について解説します。
原価
カフェにおける原価とは、珈琲豆や食材、ドリンク材料費など、主に販売するために仕入れたものにかかる費用です。
カフェの原価は売上の20〜30%以内に収めるのが一般的ですが、原価率はほかの経費を見つつ、設定しなければなりません。
たとえば、人件費がかからない場合、原価率を上げても利益を得られますが、人材を多く雇用する場合、原価率を25%にしてもほとんど利益が出ない場合もあります。そのため、原価率20〜30%はあくまでも目安とし、状況にあわせて都度見直しが必要です。
人件費
人件費は、従業員に支払う給与、賞与のほか、社会保険費、通勤手当なども含まれます。とくに、社員としてではなくアルバイトとして雇用する場合、1ヵ月あたりの勤務時間を明確に管理しないと、利益に影響するため注意が必要です。
また、珈琲やドリンク中心でフードメニューが少なく、席も10席程度であれば、従業員を雇用しなくてもひとりでも営業できます。なお、人件費も売上の20〜30%以内に収めるのが一般的で、原価同様、売上を見たうえでの判断が重要です。
家賃
家賃は。経費のなかでも重要な項目のひとつです。家賃は店舗の立地や広さ、周辺環境などによって大きく変動しますが、契約期間や維持管理費など物件によっても異なります。
家賃は売上の10%以内に収めるのが一般的ですが、家賃だけでなく、収益性や集客力を十分に考慮し、バランスのとれた物件と契約を選ぶことが重要です。
水道光熱費
水道代、ガス代、電気代など、どれもカフェ経営に欠かせない費用で、一般的に年間売上の5%~8%程度が目安とされています。
近年、水道光熱費はどれも値上げが続いている状況のため、費用の予測も難しく、できる限り無駄なく使うことが重要です。
消耗品費
カフェにおける消耗品費は、おしぼりや紙ナプキン、コースターなどお客様に提供するもののほか、トイレットペーパー、レジロール紙、注文伝票、洗剤、スポンジなどです。また、コロナ禍以降は、マスク、消毒液なども消耗品費に含まれます。
通信費
通信費は電話代、インターネット接続費用などです。近年は、食材のネット注文が増えたことに加え、お客様用にWi-Fiスポットを設定することもあり、インターネット接続費用は必須の経費といえます。
また、チラシを郵送する場合の切手代や封筒代、有線放送を使う場合の費用も通信費です。
衛生費
衛生費とは、店舗の入り口に設置するマットや清掃用品のリース代、害虫駆除代などを指し、店舗内の衛生管理にかかる費用が該当します。
また、経費を考える際に忘れやすいのがゴミ処理の費用です。飲食店で出るゴミはすべて事業ゴミとして扱う必要があり、家庭ゴミと一緒に出すことはできないため、専門の回収業者に依頼します。
費用は依頼する業者やカフェで提供する商品の内容によっても異なります。なお、時期によりゴミの量に変動がある場合は、固定契約よりも重量契約を選択すると、コスト軽減が期待できます。
修繕費
店舗の設備や家具、厨房機器などが故障した際に発生する費用を指します。日常的に使用する機器や設備は、経年劣化や頻繁な使用により、定期的な修理やメンテナンスが必要になります。
修繕費は事前に予測することが難しく、突発的な支出となることが多いため、予算のなで計画的に準備することが重要な経費です。
法定福利費
従業員の社会保険や労働保険など、法律で定められた福利厚生費用のことを指します。これらは、従業員に提供する必要があり、事業主が負担することが義務づけられています。法定福利費は、カフェ経営において人件費の一部として重要な項目であり、適切に管理する必要があります。
ただし、カフェ経営では経営者一人の場合、個人事業主であれば法定福利費は発生しません。法人化した場合に法定福利費が発生します。
※出典:日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20130502.html)
福利厚生費
福利厚生費は、主に従業員の福利厚生を充実させるために使われる費用です。この経費は、従業員のモチベーション向上や満足度向上を目的として支出され、結果的に店舗の運営や業績にも良い影響を与えることが期待されます。
カフェ経営における福利厚生費として、健康診断費や通勤手当、食事補助、制服支給などが挙げられます。
販売促進費
店舗の宣伝をするためにかかる費用です。割引クーポンや新聞の折り込みチラシのほか、ネット広告、SNS運用費なども販売促進費に含まれます。
カフェの販売促進費の目安は、売上の3〜5%です。ただし、開店当初は認知度を上げる必要があるため、5%を超える費用がかかる場合もあります。
新聞図書費
カフェ経営における新聞図書費とは店舗運営に関連する情報収集や従業員の教育・スキル向上のために使用される費用です。業界関連の雑誌・新聞・書籍やセミナーの公演参加費用などが該当し、主に店舗運営やビジネスに必要な知識を得るために充てられます。
FLコストと適正値の目安について

カフェ経営において経費を的確に管理することは重要であり、とくに重視すべきは売上に対する原価と人件費の比率を見るFLコストです。ここでは、FLコストの概要と計算式、適正なFLコスト比率について解説します。
FLコストとは
FLコストのFはフードコスト(Food cost:原価)、Lはレイバーコスト(Labor Cost:人件費)のそれぞれ頭文字です。つまり、FLコストとは、原価と人件費を足した数字を指します。
FLコストの重要性
飲食店においてFLコストが重要だとされる大きな理由は、さまざまな経費のなかで原価と人件費が大きな割合を占めるためです。FLコストをいかに適正に維持するかは、利益を上げるために欠かせないポイントのひとつです。
また、FLコストが重視される別の理由として、売上に対してFLコストが高いと金融機関からの評価が下がってしまう可能性がある点が挙げられます。
FLコストが高ければ、原価や人件費が売上を圧迫していることを示し、経営が適切ではないと判断されます。その結果、将来的に融資を受ける際にもマイナスになるため、FLコストは常に意識する必要があります。
FLコスト比率の計算方法
FLコスト比率は、まずFLコストを出し、その数字を売上で割ることで算出します。FLコストの計算式は以下のとおりです。
FLコスト=原価(F)+人件費(L)
たとえば、原価が30万円で、人件費が30万円の場合のFLコストは60万円になります。FLコスト比率の計算式は以下のとおりです。
FLコスト比率=(原価(F)+人件費(L))÷売上高×100(%)
たとえば、売上高が100万円の場合、(30+30)÷100×100で算出され、FLコスト比率は60%です。
FLコスト比率の適正値
一般的な飲食店におけるFLコスト比率の適正値は60%以内です。そのため、前述した例では、FLコスト比率が60%のため、適正範囲内といえます。
55%以下の場合は良好な経営状態で優良店ですが、65%を超えると危険な経営状態にあると判断できます。
FLコスト比率は、カフェ経営において経営の健全性を判断する重要な指標です。定期的に比率を見直し、経営環境に合わせて適切に調整することがカフェ経営には不可欠です。
カフェの経費を削減する方法は?
カフェにおいて利益を増やす方法は、大きくふたつです。ひとつは、単純に売上を上げる方法で、集客により客数を増やす、メニュー見直しで客単価を上げるなどが考えられます。
そしてもうひとつは、原価や人件費も含め、経費を削減する方法です。どちらの施策も重要ではあるものの、短期間で利益を増やすには、経費削減のほうが高い効果を見込めます。以下では、項目別に経費削減を実現するための方法を解説します。
原材料費の見直し
カフェの経費を削減する方法として、原材料費の見直しは非常に重要なポイントです。原材料費は、カフェの運営において大きな割合を占めるため、効率的に管理することでコスト削減が可能です。
売れ行きの悪いメニューの見直しやよりコストパフォーマンスの良い仕入れ先の選定、仕入れ量の最適化などが経費の削減につながります。
また、原価率の低いメニューを立案することも効果的です。ドリップ珈琲をはじめ、アイスティーや炭酸のドリンク、軽食の提供であれば、焼き菓子やトースト類は比較的原価率の低いメニューとして挙げられます。
そのほか、適正在庫の徹底も重要です。在庫管理を撤退することで廃棄率を抑えられるため、経費削減が可能です。
光熱費の見直し
2016年4月と2017年4月に開始された電力・ガスの自由化によって、自分で安い電力・ガス会社を選択できるようになりました。そのため、従来の電力・ガス会社を使っている場合は、会社の乗り換えを検討してみるのも経費削減効果が期待できます。
また、照明はLEDに変更するのもおすすめです。白熱電球や蛍光灯に比べ少ない消費電力で長期間使えるため、電気代の削減につながります。
水道代の見直し
カフェは形態上、水道代が高くなることは否めません。ただし、洗い物をする際はこまめに水を止める、節水効果の高い食洗器を使う、つけ置き洗いを併用するなどで節約は可能です。
スタッフの意識改革を行うなど、一人ひとりが節水の意識を持つための工夫が必要です。
量目管理
量目管理とは、商品を提供する際、正確な計量を行うことを管理することを指します。たとえば、珈琲は豆を挽いてつくるため、ひとり分の量が人によって変わってしまえば、経費がかさむことが考えられます。さらに、毎回珈琲の味が変わってしまい、顧客離れにつながってしまう可能性もあります。
量目管理の徹底は、経費削減効果があるのはもちろん、毎回同じ味を提供できるようになり、リピーターを生み出すために必要な管理のひとつです。
人件費の見直し
人件費の見直しは、FLコストの削減にもつながるため、カフェの経費削減には大きな効果が期待できます。ただし、安易に人件費を削減するのは注意が必要です。
人件費の削減はスタッフのモチベーションやサービス品質に直結するため、慎重に行う必要があります。また、安易にアルバイトを減らしても繁忙期になり新たに人を増やすとなれば、人材獲得コストがかかり、かえって経費が増加することも考えられます。
そのため、すべての経費削減策を実施し、それでも利益が向上しなかった場合に、最後の策として実施するようにしましょう。
効果的な手段として、シフト管理の見直しや適切な人員配置、営業時間や繁忙時間に合わせた労働時間の効率化、業務フローの見直しなどが挙げられます。
マニュアルの制定
経費削減を実現させるには、経営者だけではなく、従業員全員が高い意識を持って臨む必要があります。そのためにはマニュアルを制定し、削減ルールの可視化が重要です。
たとえば「閉店後、締め作業は必要な場所以外の照明をすべて落とす」「エアコンのフィルター清掃は1ヵ月に1回必ず行う」などです。
口頭による指示だけでは内容が明確に伝わらず、決められた内容が徹底されない可能性があります。経費削減を実施する意識を高め、成果を高めるにはマニュアル制定によるルールの可視化が必須です。
まとめ

カフェ開業を目指すにあたり、重要なポイントはいくつもありますが、なかでも重要なのはコストに対する意識を強く持つことです。売上にばかり目がいきやすくなるものの、経費をいかに抑えるかを意識しないと利益向上も困難になります。
経費削減を実現するには、FLコスト比率を重視します。食材の調達にかかる費用と人件費の比率をそれぞれ売上の30%以内に収め、合わせて60%にすることが重要です。
水道光熱費や量目管理も重要ではあるものの、これらだけでは大きな削減は実現できません。また、ランニングコストだけではなく、開業時にかかる初期費用を抑えることも重要です。
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