1店舗目がうまくいき、2店舗目の展開を考える際、何を意識すべきかわからずに失敗してしまうケースは多いです。また、資金調達などに不安があり、実際に始めるには時間をかけて情報を集めようと考えている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、2店舗目の経営が失敗するケースを紹介します。2店舗目を出店するのにふさわしいタイミングや成功に導くためのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
2店舗目を出店して失敗するケース
2店舗目を出店して失敗することが多いのが、以下6つのケースです。
- 立地選定の失敗
- 1店舗目の成功による慢心
- 人材不足・従業員の教育不足
- コストの増加
- コンセプトの変更
- 赤字状態の継続
それぞれのケースにおいて、何が原因で失敗につながってしまうのかを解説します。
立地選定の失敗
2店舗目を展開する際、あまり深く考えずに立地選定して失敗するケースは多々あります。1店舗目と比較すると、必要な市場調査をおざなりにするケースが散見されます。なかでも1店舗目が好調な場合は、同じ成功が繰り返されるだろうと楽観的に捉えられる傾向があります。
とくに飲食店は、顧客に支えられる事業です。そのため、2店舗目の出店場所も、1店舗目のデータをもとに慎重に選びましょう。周辺の商圏状況や顧客層の違いを分析し、1店舗目の経験を活かしつつ、新たな立地でのリスクを考えることが重要です。
1店舗目の成功による慢心
先述のとおり、1店舗目の成功が2店舗目の経営に悪影響を及ぼす場合があります。1店舗目の実績が確かなものであったとしても、必ずしも2店舗目で同様の結果が得られるわけではありません。
成功体験による自信過剰は、十分な市場調査や計画の見直しを怠らせ、結果的に2店舗目の失敗を招く可能性が高まります。
飲食店の経営では、各店舗の特性を理解し、常に新たな挑戦として臨む姿勢が求められます。2店舗目を開店する際には、1店舗目の成功を謙虚に受け止め、改めて市場のニーズを深く掘り下げるようにしましょう。
人材不足・従業員の教育不足
飲食店の2店舗目の展開で見落とされがちなのが、適切な人材の確保と従業員教育です。新店舗の成功には、経験豊富な店長やスタッフの役割が重要です。しかし、そのような人材が不足している場合は、サービスの質が低下し、顧客離れを引き起こす原因となります。
加えて、オーナー自身が店舗運営の全責任・全業務を担うことは、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、新店舗を開店する前には、従業員の選定と育成に十分な時間を割きましょう。
各スタッフが役割を理解し、一貫したサービスを提供する能力を身に付けさせることで、店舗経営が安定する可能性が高まります。
コストの増加
飲食店を運営する際、2店舗目の開設は必ずしも利益を倍増させるとは限りません。新店舗を始めることにより、管理ツールの導入や店舗運営に関わるさまざまなコストが新たに発生します。具体的には、以下のコストです。
- 家賃
- 仕入れ費
- 人件費
- 水道費
- 光熱費
加えて、新規店舗の発注やシフトの管理、従業員の採用や教育など、運営に必要な業務も増え、経営者の負担が大きくなります。その結果、店舗ごとに割り当てられる管理時間が減少し、顧客満足度の低下につながるおそれがあります。
2店舗目を出店する際には、上記コストが増加することを考慮して、計画的な対応が必要です。
コンセプトの変更
飲食店を運営する際、2店舗目で大幅なコンセプト変更を試みるのは、失敗につながるリスクをともないます。1店舗目で築いたノウハウや成功体験を活かせないため、新店舗の立ち上げのハードルが高くなるでしょう。
さらに、1店舗目のファンが新店舗を訪れた際、期待していたメニューや雰囲気が異なることに戸惑い、顧客満足度が下がる可能性があります。
そのため、新たな試みを導入する際は、基本的なコンセプトは維持するようにしましょう。たとえば、特定の料理を2店舗目限定で提供するなど、既存顧客がある程度予想できる範囲内での変更が望ましいです。そうすることで既存顧客も大事にしつつ、新規顧客を引き込むことが可能です。
赤字状態の継続
1店舗目が成功しても、2店舗目の経営が赤字に苦しむケースは珍しくありません。背景には、充分に練られていない出店計画や不十分な市場分析があります。
成功した1店舗目の実績を過信して、2店舗目の戦略やブランドコンセプトの見直しを怠り、客足が伸びない状況を招くケースが多いです。とくに、1店舗目の失敗を補うために急いで2店舗目を開店する場合は、さらなる損失につながりやすいでしょう。
2店舗目を開設する際は、継続的な赤字に陥らないためにも、再度市場調査を行い、堅実な計画を立てることが必要です。
2店舗目の出店に最適なタイミング
2店舗目を出店すべきかどうかを考える際は、以下のタイミングだと事業が成功しやすいです。
- 安定した利益を出せている
- 十分な余剰資金がある
- 店舗を任せられる人材がいる
なぜ上記のタイミングが2店舗目を出店する最適なタイミングといえるのか、詳しく解説します。
安定した利益を出せている
2店舗目を開設する際、1店舗目が安定した利益を上げているかどうかは考慮すべきポイントです。新規店舗は開店初期に赤字を経験する可能性が高いため、既存の店舗が安定して利益を生んでいる状態であれば、新店の財政的な圧力を軽減しやすくなります。
また、設備投資のために融資を検討する場合、既存店舗の収益性は、金融機関による評価の重要な基準となります。つまり、売り上げの低迷や不安定さがあれば、融資の承認が得られないリスクが高まってしまうのです。
2店舗目が赤字でも問題がないように、1店舗目で安定した利益を見込めるかどうかを踏まえて出店を検討しましょう。
十分な余剰資金がある
2店舗目を開設する際は、十分な余剰資金を確保することが重要です。出店には、店舗設計や装飾だけでなく、人件費や食材費、賃料などの運営コストが発生します。
また、事業の初期段階では売り上げが安定しないことが一般的であり、必要なコストを賄うには充分な自己資金が不可欠です。
財務安定のためには、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資を受ける選択肢もありますが、返済が難しくなる場合もあります。そのため、返済計画が無理のない範囲内で設定されているかどうかを確認しましょう。
店舗を任せられる人材がいる
多店舗運営を成功させるには、店舗を任せられる人材が欠かせません。ひとつの店舗だけなら経営者自身が運営を手掛けることも可能ですが、店舗数が増えると状況は一変します。
経営者がすべての店舗に常駐するわけにはいかないため、各店舗の日常運営を任せられる店長や料理長が必要となります。
このようなキーパーソンが不在の場合は、シフトの管理や新人教育、発注作業などが適切に行われず、結果としてサービスの質が低下し、従業員のモチベーションも下がることがあります。したがって、複数店舗を運営する際には、適切な人材の育成と選定に力を入れましょう。
店舗を任せられる人材を早期に確保し、適切に教育すれば、各店舗がスムーズに機能し、売り上げを伸ばしやすくなるでしょう。
2店舗目で成功するためには
2店舗目で成功するためには、以下4つに力を入れて取り組むことが重要です。
- 現状を徹底分析する
- 慎重に立地を選ぶ
- 無理のない資金繰りをする
- 撤退ラインを決めておく
それぞれの取り組みが、どのように成功に貢献するのかを解説します。
現状を徹底分析する
複数の店舗を経営するにあたり、まずは既存の成功した店舗を詳しく分析しましょう。なぜ既存店舗が成功を収めたのか、どの戦略が功を奏したのかを明らかにすることが重要です。一方、成功要因だけでなく、店舗運営における課題や失敗した点も大切な分析ポイントです。
分析を行った後、2店舗目の事業計画を策定します。資金計画や顧客層の特定、店舗コンセプトの設計など、事前の徹底的な分析に基づいて行いましょう。綿密な準備と計画により、2店舗目は成功への確かな一歩を踏み出せます。
慎重に立地を選ぶ
新しい店舗の立地選定は、多店舗展開の成功において重要な要素です。すでに成功している店舗の近くで新たな店舗を開く場合、立地選びがとくに重要です。深く考えずにオープンしてしまうと、意図せず自社内で顧客を奪い合うリスクが生じます。
一方、店舗が近い場合、経営者の移動時間とコストを削減し、店舗間の連携も密にできる利点もあります。しかし、こうした利点が自社内競合のリスクを上回ることは少ないでしょう。
2店舗目を計画する際には、自社内で顧客を奪い合うリスクが少なく、既存の顧客は維持しながら新たな顧客を引き寄せられる立地を選ぶことが求められます。
こちらの記事では、店舗物件の探し方について徹底解説しています。物件を探すときのコツや注意点もまとめているため、ぜひあわせてお役立てください。
無理のない資金繰りをする
2店舗目を開く際は、無理のない資金繰りを心がけましょう。とくに飲食店の開業には大きな初期投資が必要であり、1,000万円を超えることも少なくありません。
そのため、既存店の利益だけでなく、外部の融資も活用することも視野に入れましょう。金融機関から融資受ける際は、返済計画を現実的に設定することが重要です。
複数店舗を運営することによって増える運営コストや人件費、税金などの出費を考慮して、無理のない返済プランを立てましょう。
撤退ラインを決めておく
2店舗目を開設する際、事業が順調に軌道に乗るまでには時間とコストが必要です。しかし、新店舗の経営が長引く赤字の状態に陥ると、成功している店舗にも悪影響を及ぼすおそれがあります。そのため、撤退ラインを事前に決めておきましょう。
撤退ラインとは、赤字が続いた場合にどの時点で業務を停止するかを明確に決める基準のことです。適切なタイミングで撤退することで、2店舗目の失敗が他事業に及ぼす影響を最小限に抑え、ブランドの信頼性を維持できるでしょう。
さらに、失敗から学べた知見を次に活かせば、中長期的な企業成長につながるはずです。
まとめ
2店舗目の出店には、慎重な準備と計画が不可欠です。適切な立地選びや人材確保、コスト管理など、複数店舗を同時に経営にともなうリスクを理解し、適切に対応することが成功の秘訣です。
とくに、現状の分析を徹底して、既存店舗の成功要因と課題を明確にするようにしましょう。また、資金繰りの計画や融資を受ける場合は無理のない返済期間を設定することも重要です。堅実な経営を心がけることが、2店舗目の成功につながります。
2店舗目を出店する際には、初期投資を抑えられる居抜き物件を活用することもひとつの手です。「居抜きの神様」では、飲食店向けの好条件な居抜き物件を豊富に紹介しています。ほかのサイトでは見られない独占物件情報も掲載していますので、ぜひご利用ください。
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