飲食店の閉店時に必要な賃貸契約の解約手順とは?退去までの流れや注意点を解説

朱肉と印鑑が置かれた賃貸借契約書

飲食店を閉店する際には、賃貸契約の解約が必要です。解約に際しては、賃貸借契約書の確認や解約予告、原状回復工事など、やるべきことは多岐にわたります。本記事では、閉店時の賃貸契約解約の流れと注意点を整理し、費用を抑える方法まで詳しく解説します。スムーズな退去とコスト削減の参考にしてください。

目次

飲食店閉店時│賃貸契約の解約手順

飲食店を閉店する際は、賃貸借契約書の確認から解約予告、原状回復(スケルトン)工事、退去の準備、そして保証金の精算まで、一連の流れを正しく把握しておくことが重要です。ここでは閉店時に必要となる解約手順を、段階ごとにわかりやすく解説していきます。

1.賃貸借契約書の内容を確認する

賃貸借契約書には解約予告の期間や方法、原状回復の範囲、中途解約の可否や違約金など、解約に関する重要な条件が細かく記載されています。これらを把握せずに解約手続きを進めると、退去時に思わぬトラブルや追加費用が発生する恐れがあります。不明確な点や解釈に迷う部分があれば、早めに貸主へ確認したり、専門家に相談したりすると安心です。

■確認ポイント①解約予告に関する内容

多くの賃貸借契約では、解約の際に「3〜6か月前までに解約予告を行う」と定められています。この期間を過ぎてから通知すると、その分の家賃を余計に支払わなければならないこともあります。

また、解約通知の方法についても注意が必要です。賃貸借契約書によっては「内容証明郵便での通知」や「解約通知書のひな形を使用」など、手続きの形式が指定されている場合があります。賃貸借契約書を確認し、必ず定められた方法に従いましょう。

■確認ポイント②原状回復に関する内容

飲食店の退去時には、物件を契約時の状態に戻す「原状回復義務」が課されるのが一般的です。特に店舗の場合は、内装をすべて撤去してコンクリート打ちっぱなしの状態に戻す「スケルトン返還」を求められるケースが多いですが、その範囲は契約によって異なります。

例えば、厨房設備や空調機器を残して良い場合や、壁や床の修繕義務の有無が細かく定められていることも。賃貸借契約書を読み込み、どこまで工事が必要かを正しく把握しておくことが、余計な工事費用やトラブルを避けるポイントです。

■確認ポイント③中途解約に関する内容

契約期間の途中で閉店を決めた場合、中途解約ができるかどうかが重要になります。契約によっては原則として契約満了まで解約できない場合や、違約金の支払いが発生するケースがあるためです。

なかには、「残存期間の家賃数か月分を違約金として支払う」といった特約が定められているケースもあります。こうした条件を見落とすと予想外の大きな出費につながるため、中途解約の可否や違約金の有無についても必ず確認しておきましょう。

2.解約予告をする

解約の意思が固まったら、賃貸借契約書で定められた方法に従い、速やかに解約予告を行います。多くの場合、解約通知は書面で提出することが義務づけられており、後日のトラブルを避けるためには内容証明郵便で送付するのが安心です。

3.原状回復工事を手配する

解約予告を行った後は、退去に向けて原状回復工事の手配を進めます。工事は解約予告期間の終了日までに完了させる必要があるため、早めに動き出すことが望ましいでしょう。

原状回復工事の費用は、店舗の広さや仕様によって異なりますが、一般的には坪あたり数万円から十数万円が目安とされています。負担を軽減するためにも、複数の業者から見積もりを取り、費用や工事内容を比較検討することが重要です。

4.退去に向けた準備と各種手続きを進める

飲食店を閉店する際には、原状回復工事だけでなく、行政への届出やライフラインの解約、従業員・取引先への通知など、数多くのタスクが発生します。これらを抜け漏れなく行うためには、全体のスケジュールを組み立てることが欠かせません。

■閉店・退去までのスケジュールを決める

退去準備の最初のステップは、閉店日を確定し、それに合わせて原状回復工事や退去立ち会いの日程を調整することです。解約予告期間を考慮して逆算することで、余裕のあるスケジュールを立てられます。予定が曖昧なままでは、工事や手続きが後ろ倒しになり、結果的に余計な家賃が発生することもあるため、早い段階で全体の流れを固めることが大切です。

■ライフラインの解約をする

店舗の電気・ガス・水道といったライフラインも忘れずに解約する必要があります。解約手続きには立ち会いや最終使用量の確認が必要な場合があるため、早めに事業者へ連絡し、退去日と合わせてスケジュールを確定しておきましょう。料金の精算が完了しないと、保証金の返還にも影響することがあります。

■不用品の処理・リース品の返却をする

閉店後に不要となる厨房機器や什器備品は、専門業者に買い取ってもらうことで処分費用を抑えることができます。状態が良ければ高値がつく場合もあるため、複数業者に見積もりを依頼すると良いでしょう。また、リースやレンタル契約を結んでいる機器類は、必ず契約に従って解約や返却の手続きを進める必要があります。

■従業員に解雇の予告をする

店舗を閉店する場合、従業員の雇用についても適切に対応しなければなりません。労働基準法では、解雇する場合は原則として30日前までに予告する義務があります。これを怠ると解雇予告手当の支払いが必要になるため、スケジュールに余裕を持って通知を行うことが大切です。誠実な対応は従業員とのトラブル防止にもつながります。

■取引先に閉店を通知する

日頃から取引のある仕入れ業者やサービス提供先には、閉店の決定を早めに伝えるようにしましょう。突然の通知は信頼関係を損ねる原因になります。未払いの代金があれば必ず精算し、契約の終了に伴う手続きを明確にしておくことが重要です。円満に取引を終えることで、今後の事業再開時にも協力関係を築きやすくなります。

■行政機関へ各種届出を提出する

閉店に際しては、関係する行政機関への届出も必要です。主な届出先と必要書類は次の通りです。

提出先主な書類提出期限の目安
税務署・個人事業の開業
・廃業等届出書
廃業後1か月以内
保健所・廃業届
・営業許可証(返納)
廃業日から10日以内
公共職業安定所(ハローワーク)①雇用保険適用事業所廃止届
②雇用保険被保険者資格喪失届
③雇用保険被保険者離職証明書
①廃業日から5日以内
②③廃業日から10日以内
年金事務所・雇用保険適用事業所廃止届の事業主控
・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
廃業日から5日以内

これらを期限内に提出しないと、後に行政指導や不利益を受ける可能性があるため、忘れないようにしましょう。

5.物件の引き渡しと保証金の精算をする

原状回復工事や清掃が完了したら、貸主や管理会社の立ち会いのもとで物件の引き渡しを行います。立ち会いでは、契約どおりに工事が済んでいるか、汚れや破損が残っていないかを確認します。鍵の返却や、物件引渡確認書への署名は忘れずに行いましょう。これらが完了して初めて契約が終了となり、保証金の清算手続きに進みます。

■引き渡しについて

引き渡しの場では、契約条件に沿って物件が返却されているかを貸主と一緒に確認します。壁や床の仕上がり、設備の撤去状況、清掃の程度などを細かくチェックし、双方が納得した上でサインを交わすことが大切です。

万一不備が見つかれば、その場で指摘を受け追加工事が必要になることもあります。物件引渡確認書に署名する前に、内容をしっかり確認しておきましょう。

■保証金の清算について

敷金や保証金は、原状回復費用や未払い賃料が差し引かれた上で返還されるのが一般的です。しかし契約によっては、保証金が返ってこない「全額償却」といった特約が定められている場合もあるため、必ず賃貸借契約書の返還条件を確認しておきましょう。保証金が返還される場合には、返金予定日や方法も事前に把握しておくことが安心です。

飲食店の閉店│賃貸契約を解約する際の注意点

飲食店の閉店をスムーズに進めるには、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。退去までのスケジュール決め、解約予告期間の厳守、原状回復の範囲確認の3点を解説します。

退去までのスケジュールを決めてから動く

スケジュールを立てずに退去手続きを進めると、工事や届出が遅れ、結果的に解約日が延びて余計な賃料が発生するリスクがあります。閉店日を基準に、解約通知の提出期限や原状回復工事の手配、各種届出の提出などを逆算して計画することで、余裕を持った対応ができます。無駄な出費を防ぐためにも、日程管理は最優先で行いましょう。

解約予告期間は厳守する

賃貸契約では「解約の〇か月前までに通知」といった解約予告期間が定められています。この期限を守らないと予定通りに退去できず、解約日が延びて追加の家賃を支払わなければならない事態に陥ります。

特に飲食店物件では予告期間が3〜6か月と長めに設定されていることも多いため、余裕をもって動き出すことが肝心です。

原状回復がどこまで必要か確認しておく

退去時の原状回復範囲は、貸主と借主の認識が食い違いやすいポイントです。「スケルトン返還」と契約に書かれていても、どこまで撤去すれば良いか細かく定められていないケースもあります。

こうした曖昧さを残したまま工事を進めると、引き渡し時に「まだ不十分」と指摘され、追加費用が発生する可能性があります。賃貸借契約書を事前に確認するのはもちろん、必要に応じて貸主へ確認を取り、認識を合わせておくことがトラブル回避の鍵です。

飲食店の閉店│賃貸契約の解約費用を抑える方法

飲食店の閉店では、原状回復や廃棄処分などで高額な費用が発生するのが一般的です。しかし、工夫次第でその負担を軽減できます。ここでは、解約予告や退去条件の交渉、不用品の買い取り、居抜き売却といった具体的なコスト削減方法を紹介します。

貸主に交渉する

まず試したいのが貸主との交渉です。賃貸借契約書で定められた解約予告期間は通常3〜6か月ですが、事情を説明すれば短縮してもらえる場合があります。予告期間を短縮できれば、余計な賃料を支払わずに済みます。

また、スケルトン返還が原則の契約でも、貸主に了承を得られれば居抜きでの退去が可能になるケースがあります。居抜き退去が認められれば、高額な原状回復工事を回避できるため、大幅なコスト削減が可能です。

貸主に話す前に「買取の神様」にご相談を

撤退を検討する際に、いきなり貸主へ解約の意向を伝えてしまうと、「居抜き売却」が難しくなる可能性があります。なぜなら、貸主への解約通知が先行すると、従業員や取引先に一気に情報が広まり、撤退モードに入ってしまうからです。

そこでおすすめなのが、まず「買取の神様」のような飲食店の居抜き買取を専門とする会社に相談することです。査定額を事前に確認できるため、金銭的な見通しを持ったうえで閉店準備を進められます。さらに「買取の神様」では、貸主との代理交渉にも対応しているため、スムーズに条件を整えることも可能です。

不用品の買い取りは相見積もりを取る

閉店に伴い不要になる厨房機器や什器備品は、複数の買取業者に査定を依頼しましょう。1社だけでは提示価格が妥当か判断できませんが、相見積もりを取ることで市場価格を把握でき、より高く売却できる可能性が高まります。

居抜き売却をする

閉店にかかるコストを大きく抑えられる手段の一つが居抜き売却です。居抜き売却とは、店舗の内装や設備をそのまま次の借主に引き継ぐ方法で、通常必要となる原状回復工事を省略できるのが大きなメリットです。これにより、数百万円単位の工事費用を抑えられるだけでなく、什器備品を処分する手間も省けます。さらに、買い手によっては譲渡代金を受け取れるため、閉店時の経済的負担を大幅に軽減できます。

ただし、居抜き売却を進めるには貸主の承諾が必須です。貸主が承諾しない限り、原状回復を免れることはできません。交渉には時間や専門知識が必要となり、個人で行うと難航するケースも多いのが実情です。

その点、「買取の神様」に相談すれば安心です。本サービスでは、貸主への交渉を代理で行い、原状回復を避けてスムーズに売却できるようサポートします。無料査定も行っており、店舗の価値を客観的に把握した上で売却活動を進められるのも大きな魅力です。閉店費用を可能な限り抑えたい飲食店にとって、強力な選択肢になるでしょう。

飲食店の閉店を考えたときはまず賃貸借契約書の確認を

飲食店の賃貸契約の解約時は、解約予告通知や原状回復工事の手配、各種届出の提出など、やるべきことがたくさんあります。注意点を押さえ、スケジュール管理を徹底することが成功のカギです。閉店を考えた際はまず賃貸借契約書を確認し、解約予告期間や通知の提出方法、原状回復にかかわる内容を把握しましょう。

また、閉店のコストを抑えたい際は居抜き売却の活用も一案です。「買取の神様」では、居抜き物件の買い取りはもちろん、飲食店の閉店・撤退に関するご相談や、無料査定にも丁寧に対応します。飲食店の閉店をお考えの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

2018年からWebライターとして活動。活発な女の子をワンオペで育てる新米ママライターです。仕事と育児に日々奮闘中!読みやすく分かりやすい文章を心がけています。

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