バーを成功に導くためには、サービスだけでなく「空間づくり」も欠かせません。なかでも内装デザインは、お店の第一印象を決定づける大きな要素です。コンセプトを明確にし、内装の雰囲気と統一感を持たせることで、居心地のよい魅力的な空間が生まれ、集客力の向上にもつながります。
本記事では、バーの内装デザインを決めるときのポイントや、内装費用を抑えるコツについて紹介します。バーの開業に向けて準備を進めている方は、ぜひ参考にしてください。
バーの内装を決める際に押さえるべきポイント

バーの開業に向けて内装を決める際には、さまざまな準備が必要です。具体的な準備のポイントを解説します。
いろいろなバーを巡る
バーのコンセプトがないと、内装のデザインに統一感が出ません。そのため、自店のコンセプトがあいまいな場合は、できるだけ多くの種類のバーに足を運びましょう。自分がどのようなバーを経営したいのかイメージを固めることが重要です。
具体的に、バーには以下のような幅広いスタイルがあります。
- 正統派のオーセンティックバー
- 一杯からお酒を注文できるショットバー
- 食事とお酒を楽しむダイニングバー
- 音楽を聴きながらお酒を飲むミュージックバー
実際にバーを訪れてみると、バーの種類によって内装や雰囲気の違いがわかります。ただし、コンセプトを決める際には、バーの種類をひとつに絞るようにしてください。
複数の種類を組み合わせると、店のコンセプトやターゲットとなる顧客層がはっきりせず、集客力の低下につながる可能性があります。
5W2Hをもとにコンセプトを決める
バーを開業するときのコンセプトは、5W2Hをもとに考えるのが基本です。具体的には、次の項目に沿ってコンセプトを決めていきましょう。
- When(いつ):営業日、営業時間
- Where(どこで):出店予定地
- Who(誰に):ターゲットとなる顧客層
- What(何を):主力メニュー、フードメニューの内容
- Why(なぜ):開業の目的、顧客がこの店を選ぶ理由
- How(どのように):バーの業態
- How much(いくらで):店を利用する顧客の予算、平均単価
たとえば、仕事帰りのビジネスパーソンをターゲットとして5W2Hを検討する場合、以下のようなコンセプトになります。
- When:火曜から土曜の18時~24時
- Where:都心の駅前
- Who:30代〜40代のビジネスパーソン
- What:手ごろな価格でお酒と軽食
- Why:仕事帰りに癒しの場を提供したい
- How:くつろいで過ごせる内装
- How much:平均単価3,000円
上記の条件をもとにバーを開店する場合は、オーセンティックバーやショットバーが候補となります。
カウンターの高さ・居心地を考慮する
バーに設置するカウンターは、コンセプトに応じた高さや、顧客の居心地を重視して選びましょう。飲食店に導入されるカウンターは、ローカウンター・ミドルカウンター・ハイカウンターの3つが主流です。
ローカウンターは高さが70㎝程度と、一般家庭で使うダイニングテーブルくらいの高さであることから、居酒屋やレストランなどによく使用されています。飲食しやすい高さで、長時間の滞在に向いています。しかし、バーのカウンターとして使用すると、店員が顧客を見下ろすことになるのがデメリットです。
ミドルカウンターは高さが95cm程度で、イスに座った人のつま先がギリギリ床につく程度の高さです。カウンター内の店員と顧客の目線が近くなるため、カジュアルなフレンチやアットホームな洋食店などに向いています。しかし、ミドルカウンターの高さに合うイスが少なく、オーダーメイドが必要になる場合があります。
ハイカウンターは高さが105cmほどで、バーによく導入されているカウンターです。カウンターにいる店員と顧客の目線が同じ高さになることから、顧客とのコミュニケーションを積極的に取れるメリットがあります。しかし、カウンターに合わせてイスも高くなり、座った人の足が床につかないため、長時間の滞在には向いていません。
照明の明るさと色を使い分ける
照明の明るさや色は、バーの印象に大きく影響します。落ち着いた雰囲気の空間にしたい場合は、客席の照明の明るさを100ルクス程度にしましょう。
一方、厨房は作業のために一定の明るさが必要なため、客席よりも明るい300ルクス程度の照明が適しています。カウンター内のバックバーは、スポットライトなどを使用して演出すると印象的です。また、赤や青などのカラーライトを使用することで、ムードを効果的に演出できます。
バックバーで個性を演出する
お酒のボトルやグラスを並べるバックバーは、デザイン性を重視すると店の個性を出せます。たとえば、間接照明やスポットライトを導入し、ボトルやグラスが映えるような演出を意識しましょう。
バックバーの素材には、木材のほかステンレスやガラスなど豊富な選択肢があります。素材によって店の雰囲気が大きく変わるため、バーのコンセプトに合ったものを選ぶことが大切です。
ただし、バックバーはお酒を効率良く提供するための陳列棚であるため、機能性も重視する必要があります。過剰にデザイン性にこだわり、お酒の提供時間が遅くなると本末転倒なため、ボトルやグラスを取りやすい構造の設計が前提です。
バーの内装にかかる費用
バーの内装にかかる費用の相場は、スケルトン物件と居抜き店舗で異なります。
スケルトン物件は内装をいちから用意する必要があり、数十万円から数百万円が内装費用の目安です。デザイン会社に内装を依頼する場合は、さらに相場が高くなります。
一方、居抜き店舗は既存の内装を活用できるため、大幅なコストダウンが可能です。既存の設備や什器を再利用できるケースが多く、スケルトン物件に比べて内装費用を抑えやすくなります。
バーの内装費用を抑えるコツ

バーの開業に向けた内装工事は、こだわりのポイントが多いほど費用負担も大きくなります。内装費用を節約したい場合は、ここで紹介するコツを押さえておきましょう。
顧客から見えない部分をローコストにする
顧客の目に入る部分は、デザインや素材にこだわったほうが店のイメージアップになります。しかし、カウンター下部など目につかない箇所は、仕上げ材を省くなど簡素的な工事にすることで費用の節約が可能です。
ただし、費用を抑えるために、機能性まで低くすると内装の耐久性が落ち、早期に改修工事が必要となります。長期的に内装費用を抑えるためにも、機能面にはこだわりましょう。
相見積もりをとる
内装費用は、工事を依頼する業者によって大きく変わります。費用を抑えたい場合は、複数の内装業者から相見積もりをとり、提示された価格が適正かどうか判断しましょう。
依頼後のトラブルを防ぐため、内装工事の実績がある業者かどうか、追加料金は発生しないかといったポイントも事前にチェックしてください。
居抜き物件を選ぶ
居抜き物件を活用すると、内装費用だけでなく外装や設備などの大幅な削減が可能です。居抜き物件は、前の店舗が使用していた内装が残されているため、大がかりな工事をしなくてもバーを開業できるのが特徴です。
そのため、居抜き物件はスケルトン物件に比べて内装の工期が短く、工事費だけでなく、工事期間中の家賃削減にもつながります。できるだけ開業費用を抑えたい方や、スピーディな開業を目指す方は、居抜き物件を検討しましょう。
こちらの記事では、バーの開業について解説しています。
必要な届出や資金も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

バーの内装は、店舗のコンセプトをもとに決めていくことで、デザインに統一感を出せます。また、バーの内装工事を検討する際は、費用面も考慮が必要です。バーの内装工事では、厨房設備工事や電気工事などさまざまな工事を行うため、まとまった費用を工面する必要があります。
少しでも金銭的な負担を減らしたい場合は、居抜き物件の活用がおすすめです。
居抜きの神様では、内装や設備がそろった居抜き物件を紹介することにより、初期投資を抑えた開業をサポートしています。飲食店向けの好条件な小型物件を中心に掲載しているため、バーの開業を検討中の方は、ぜひ物件探しにお役立てください。
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