小さい飲食店を開業する流れは?10のステップを紹介

小さい飲食店を開業する流れは?10のステップを紹介

 小さな飲食店は、通常よりも開業資金や運営資金を比較的低く抑えることができるため、やや開業に対するハードルが低いことが魅力です。

しかし、実際に開業を実現するには、計画の立案や各種届け出・手続き、店舗の準備など、多岐にわたる作業が求められます。これらの手順や内容を適切に理解し、順序立てて進めることで、スムーズな開業を実現できるでしょう。

本記事では、小さい飲食店を開業する際に必要な手続きや準備について紹介しています。初心者にも分かりやすいよう段階的に解説するため、ぜひ参考にしてください。

目次

小さい飲食店を開業する流れ 

飲食店を開業する際は、取り組むべき事柄が数多く存在します。事前に全体の流れや必要な手順を正確に把握しておくことで、開業予定日に向けた準備を滞りなく進められるでしょう。以下で、その具体的な手順について詳しく紹介します。

1.独立かフランチャイズかを決める 

飲食店を開業する際には、大きく分けて「独立開業」と「フランチャイズ加盟」の2つの選択肢があります。自己のスキルや資金力、追求したいビジネススタイルにより、どちらを選ぶべきか異なります。

フランチャイズ独立
メリット・運営ノウハウの提供がある・認知度の高いブランド名により、集客が期待できる・広告宣伝や商品開発など、本部の支援を受けられる・メニュー、価格設定、店舗デザインなど、すべてを自分で決定できる・収益率を自分の裁量で管理できる・成長の可能性(他店舗展開やフランチャイズ化が可能)
デメリット・自分のアイデアを自由に反映しづらい・高額な加盟金、ロイヤリティなどが必要になる・開業準備から運営、集客まで自ら取り組まなければならず、負担が大きい・立ち上げ当初は無名の店舗であるため、集客に苦労する可能性が高い・運営に必要な経験や知識が不足している場合、試行錯誤に多くの時間とコストを要する

フランチャイズとは、フランチャイズ本部と契約を結び、そのブランドや運営ノウハウを活用して店舗を運営するビジネスモデルです。しかし、フランチャイズにはさまざまな制約があるほか、数百~数千万円にものぼる加盟金やロイヤリティも必要となります。

独立開業は、自分の力でゼロから飲食店を立ち上げる形式です。自由度の高さが魅力となる一方で、経営が軌道に乗るまでの間は苦労を感じる可能性も高いでしょう。

どちらの選択肢にも、メリットとデメリットが存在します。自身の経営方針や目標、リソースを踏まえたうえで、最適な選択肢を見極めましょう。

2.コンセプトを設計する

コンセプトとは、店舗の基本的なテーマや方向性を指します。来店客に対して「どのような価値を提供する店であるか」を明確に伝えるものです。コンセプトは、店舗の魅力や特徴の指針となるため、できる限り具体的に設定しておく必要があります。

コンセプトが適切に設計されている店は、客に記憶されやすいという面があります。多くの飲食店があるなかで「この店だから選んだ」と差別化するのに役立つでしょう。

コンセプトを設計する際には、「5W1H」のフレームワークを活用することで、具体的な方向性を整理するのに役立ちます。このフレームワークは、以下の要素で構成されています。

要素内容
Who(誰に)ターゲット[健宮1] とする客層
What(何を)提供する商品は何か
When(いつ)来店してほしい時間帯はいつか
Where(どこで)どのエリアで営業するか
Why(なぜ)客がその店を選ぶ理由は何か
How(どのように)どのような方法で提供するか

活用方法

  • 具体化: 各要素に対して詳細な内容を記入し、店舗の方向性 を明確化します。
  • バランス: 全体の一貫性を保ちながら、各要素が整合するか確認します。
  • レビュー: 定期的に内容を見直し、変化するニーズやトレンドに合わせて調整します。

3.事業計画書を作成する 

事業計画書を作成する 

コンセプトを確定した後は、事業計画書を作成しましょう。事業計画書とは、事業の概要、開業・運営に必要な費用、そして運営を続けるうえで想定される売上を、具体的に記載した文書です。

この計画書は、金融機関が融資可否を判断するための重要な資料となるため、入念に作成する必要があります。具体的かつ実現性のある計画を記載することで、融資を受けられる可能性が高まるでしょう。

事業計画書を作成する際は「会社」「お金」「商品」「人材」の4カテゴリに分けて考えると、情報を整理しやすくなります。

カテゴリ概要
会社事業内容や市場環境、ビジネスモデルに関する項目です。お店のコンセプトやターゲット層のニーズ、競合店の状況を分析し、どのように売上を伸ばしていくかを記載します。
お金資金計画および収支計画に関する項目です。開業資金、運営資金の内訳や資金調達方法、収益の見通しなどを明確に記載します。
商品商品計画、生産方法、仕入計画に関する項目です。メニュー内容やその特徴、原材料の調達方法などを具体的に記載します。
人材販売計画や要員計画に関する項目です。提供方法やサービス内容を設計し、必要なスタッフの人数や役割分担、採用計画などを記載します。

事業計画書は、開業準備の初期段階で作成する必要があります。そのため、現時点で把握している状況をもとに設計しましょう。

4.メニューを開発する 

メニューを開発する

メニュー開発は、飲食店の成功を左右します。開発の際には、ターゲットとする客層のニーズに合った内容を考える必要があります。

客の好みや年齢層、ライフスタイルを考慮してメニューを考えましょう。地域の需要や、競合店のメニューをリサーチする方法も有効です。

メニューが多すぎると調理や在庫管理が煩雑になり、オペレーション効率が低下する可能性があります。一方で、少なすぎる場合は選択肢の不足により顧客が飽きてしまうリスクが生じます。適度なバランスを意識し、店舗の運営体制に合った構成を考えましょう。

加えて、他店との差別化を図るためには、特別感のあるメニューを取り入れることが効果的です。他店にはない独自性を持たせることで、客の興味を引きつけると同時に、口コミやSNSを通じた宣伝効果も期待できます。

5.エリア・物件を探す 

エリア・物件を探す 

店舗のエリア選定では、ターゲット層が集まりやすい場所を重視しましょう。単に人通りが多いかどうかだけでなく、駐車場の有無や、公共交通機関へのアクセスのよさも確認が必要です。アクセスのよさは来店のしやすさに直結するため、ターゲット層の主な移動手段を把握することがポイントです。

物件を内見する際は、施工業者に同行してもらうことをおすすめします。物件によっては計画どおりの席数や設備を確保できない場合があるため、施工業者の視点から問題点をその場で指摘してもらうことで、契約前にリスクを回避できます。間取りの影響で計画に支障をきたすケースが多いため、家賃や坪数だけで物件を選ぶのは避けましょう。

また物件選定では「居抜き物件」と「スケルトン物件」のどちらを選ぶかを事前に決めておく必要があります。居抜き物件とは、前のテナントが使用していた設備や内装がそのまま残っている物件です。

【居抜き物件のメリット】

開業メリット
  • 業態が近い場合、前テナントの設備や内装を活用でき、施工費用を抑えられる
  • 内装工事や設備設置が少ないため、短期間でオープンできる

ただし、居抜き物件は、前テナントの設備が古い場合は修理や交換が必要となり、追加費用が発生するリスクがあります。内見時には、設備の状態をしっかりと確認しましょう。

スケルトン物件は、内装や設備がすべて撤去された状態の物件を指します。店舗のコンセプトや動線に合わせて、ゼロから理想的な空間を作り上げられます。客のニーズに最適化したデザインやレイアウトを実現できる点が大きなメリットです。

一方で、スケルトン物件は初期費用が高額になる傾向があります。内装工事、設備の設置などを一から行う必要があり、開業までに時間と費用がかかる点が大きなデメリットです。

いずれの選択肢でも、物件の状態や費用対効果を慎重に検討し、事業計画に合った物件を選びましょう。

6.資金を調達する

資金を調達する

物件を決定した後は、必要な資金の調達に取り組みます。小規模な飲食店の場合、必要な資金の目安はおおよそ1,000万円 が一般的です。この資金は、主に以下の項目に使用されます。

項目説明費用の目安割合の目安
物件取得費用敷金・礼金、仲介手数料など物件契約にかかる費用200~300万円20~30%
内外装費店舗内外の改装・装飾費用300~400万円30~40%
厨房機器や備品代厨房設備や什器、備品(家具、食器など)購入費200~300万円20~30%
開業準備費宣伝広告、店舗オープン前の準備費用50~100万円5~10%
運転資金開業後数か月分の運転資金(家賃、人件費など)100~200万円10~20%

注意事項

  • 調整可能: 業態や店舗の規模によって、各項目の費用割合を調整する必要があります。
  • 物件取得費用: 都市部や人気エリアでは、物件取得費用が高くなる可能性があります。
  • 内外装費: 居抜き物件を利用する場合は、費用を抑えられる場合もあります。
  • 運転資金: 開業初期の売上不足を補うため、十分な準備が必要です。

自己資金だけでは不足する場合、外部からの資金調達を検討する必要があります。資金調達方法には、以下のものがあります。

資金調達方法概要特徴
日本政策金融公庫の融資小規模事業者向けに低金利[健宮1] で融資を行う公的機関。開業資金や運転資金の融資が主な対象。低金利で返済計画を立てやすいが、申請には詳細な事業計画書が必要。
地方自治体の制度融資地域の中小企業を支援するための融資制度。自治体と提携した金融機関を通じて融資が行われる。地域密着型で、低金利や利子補給が受けられる場合も。事業の地域性を強調することが有利。
銀行融資一般の金融機関が提供する融資。信用力や返済能力が重視される。融資額が大きい場合にも対応可能だが、金利が高めで審査が厳しい。
親族や知人からの借入信頼関係を基に親族や知人から資金を借りる方法。金利が発生しない場合が多く、柔軟な返済が可能。ただし、トラブル回避のため契約書を作成することが推奨される。
助成金や補助金の活用国や地方自治体が提供する助成金・補助金を利用。返済不要だが、要件を満たす必要がある。返済不要で事業の立ち上げを助けるが、申請手続きが煩雑で競争率が高い場合がある。

各資金調達方法の解説

1.日本政策金融公庫の融資

公的機関による低金利融資は、事業初心者にとって安心な選択肢です。事業計画書をしっかり作成し、事業の将来性をアピールする必要があります。

2.地方自治体の制度融資 

地域経済を活性化させるための融資制度で、特に地域密着型の店舗に向いています。自治体によって内容が異なるため、地元の商工会議所や自治体窓口で確認が必要です。

3.銀行融資

信用力や返済能力が重要視されますが、他の方法と比較して多額の資金調達が可能です。融資を受けるためには、担保や保証人が求められる場合もあります。

4.親族や知人からの借入

信頼を基に資金を調達する方法ですが、ビジネスとしての透明性を保つため、金額や返済期限を明記した契約書を用意すると良いでしょう。

5.助成金や補助金の活用

補助金や助成金は返済不要で、事業の立ち上げにおいて重要な資金源となります。ただし、締切や必要条件をよく確認し、申請書類を正確に準備することが必要です。

7.店舗の設計や施工を実施する

店舗の設計や施工を実施する

開業3カ月前には、お店の設計や工事を始めるのが一般的です。とくに施工業者に依頼する場合、業者選定に時間がかかることもあるため、早期にリサーチと依頼を開始することがポイントです。

店舗設計と施工の流れは、以下のとおりです。

工程具体的内容目安期間
1. デザイン検討店舗の立地や周辺環境を分析し、店舗デザインやコンセプトを検討。約1週間~2週間
2. 業者選定と打ち合わせ施工業者をリサーチし、選定。店舗のコンセプトやイメージを共有し、方向性を確認。約1週間~2週間
3. 設計案の作成と調整業者が作成した設計案をもとに細部を調整し、設計図を完成。約1ヵ月
4. 工事開始設計図に基づいて工事を開始。通常、内外装工事を含む。約1ヵ月
5. 工事終了と確認工事が終了後、施工内容を確認し、不備があれば修正を依頼。1~2週間(調整含む)
6. 開業準備店舗の清掃、什器や備品の設置、試運転などを実施。約2週間

注意事項

1.居抜き物件の活用

居抜き物件の場合、デザイン検討や工事期間が短縮されるため、費用と時間を節約できます。

2.早めの業者選定

信頼できる業者の確保には時間がかかる場合があるため、リサーチは早めに始めましょう。

3.余裕を持ったスケジュール

設計や工事は想定外の遅延が発生する可能性もあるため、開業予定日から逆算して余裕を持った計画を立てることが重要です。

この工程表を参考に、具体的な計画を立てる際には、店舗の規模や条件に応じて調整してください。

工事期間や費用を抑えたい場合は、居抜き物件を検討することも効果的です。居抜き物件は、前のテナントが使用していた設備や内装を引き継ぐため、大規模な改修工事が不要になる場合があります。

8.厨房設備や備品を揃える 

飲食店を開業する際には、必要な厨房設備や備品を整えることが重要です。以下は、一般的に必要とされる設備と備品の例です。

  • 冷凍庫・冷蔵庫
  • ガステーブル・ガスレンジ
  • 製氷機
  • シンク
  • 調理台
  • テーブルやイス
  • カトラリー
  • 看板
  • 食器棚

設備や備品は、厨房や店舗内に設置した際に、動線を妨げないサイズを選ぶことが重要です。こうした設備や備品がスペースを圧迫するほど大きなサイズの場合、作業効率に影響をおよぼすおそれがあります。

9.資格を取得する 

資格を取得する

飲食店を開業する際には「食品衛生管理責任者」と「防火管理者」の2つの資格が必要になります。営業開始前に取得しておきましょう。

資格概要
食品衛生管理責任者・飲食店で提供する食品の衛生管理を担当します。食中毒やその他の衛生問題を防止する役割を担います。・各店舗に1名の責任者が必要です。
防火管理者・飲食店内での火災予防を担当します。消火器や避難経路の管理、防火訓練の実施などを行い、火災の発生リスクを最小限に抑えるための責任を負います。・収容人数(スタッフ含む)30人[1] 以上の規模の建物(テナント)では、必ず1名の防火管理者が必要です。

食品衛生管理責任者の資格を取得するには、食品衛生責任者養成講習会を受講する必要があります。この講習は保健所が指定しており、誰でも受講でき、最短1日で修了可能です。なお、調理師免許など所定の資格を持っている場合は、講習が免除されます。

また防火管理者の資格は、建物の延べ面積によって異なります。延べ面積が300㎡ 以上の施設には甲種防火管理者が求められ、300㎡ 未満の場合は甲種または乙種防火管理者が必要です。

これらの資格は、飲食店の運営における安全性や法令遵守を確保するために非常に重要です。開業前に必要な資格を取得し、法的要件を満たすようにしましょう。

10.各種申請や届出をする

各種申請や届出をする

 飲食店を開業する際には、各種申請や届け出が必要です。以下は主な手続きの概要です。

手続き申請先期限
食品営業許可保健所店舗完成予定日の10日前まで
個人事業の開廃業等届出書税務署開業から1ヶ月以内 
防火管理者選任届消防署選任した際に提出 
防火対象設備使用開始届消防署使用開始の7日前までに提出
火を使用する設備等の設置届消防署火を使用する設備設置7日前までに提出

【従業員を雇用する場合の加入手続き】

手続き申請先期限
労災保険・雇用保険関連労働基準監督署公共職業安定所・雇用日の翌日から10日以内(保険関係成立届、雇用保険適用事業所設置届)
・雇用日翌日から50日以内(労働保険概算保険料申告書)
・雇用日の翌月10日以内(雇用保険被保険者資格取得届
健康保険・厚生年金保険日本年金機構5日以内

【その他、特定の店舗形態に必要な手続き】

手続き申請先概要
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書警察署深夜0時以降も酒類を提供する場合
風俗営業許可申請警察署客に接待行為を行う場合

適切に手続きを行うことで、スムーズな開業準備が進められます。忘れがちな項目もあるため、各手続きの期日と必要書類を事前に確認しましょう。

小さい飲食店の開業に必要な費用 

ここでは、小さい飲食店を開業するために必要な資金の目安と、その内訳を紹介します。初期費用や運転資金を明確に把握することで、より具体的で実現可能な資金計画の策定が可能です。

開業資金の目安

日本政策金融公庫が実施した2023年度新規開業実態調査によると、開業費用の平均額は1,027万円となっており、500万円以下で開業した事例は全体の約4割 を占めています。なお、立地条件や建物の規模、業態によっては、さらに高額な費用が必要となる場合もあります。

初期費用

飲食店の初期費用は、物件取得費、内装工事費、設備費、備品購入費、広告宣伝費など、複数の項目に分類されます。金額が大きいため、一般的には初期費用の一部を自己資金で賄い、不足分を金融機関からの融資で補うケースが多く見られます。

物件取得費

物件取得費用とは、賃貸物件を契約する際に必要となる費用のことです。この費用には、保証金や敷金、礼金、仲介手数料、前家賃などが含まれます。一般的な相場は家賃の6〜10ヶ月分程度とされています。

内外装費 

内外装費は、主に設計費用、施工費用、設備費用の3つに分類されます。設計費用は、店舗のテーマやコンセプトにもとづいてデザインを作成するための費用を指します。一般的に、工事費全体の5〜15% が設計費用の相場です。

施工費用は、実際に工事を行う際の費用です。床・壁・天井の塗装やクロス貼り、電気・水道・ガス工事に加え、看板設置や入口・ドアの工事などが含まれます。

設備費用は、厨房設備や家具の設置費用を指します。物件の状態や規模、業態によって費用は異なりますが、10坪ほどの小さな店舗であれば、スケルトン物件の場合は約300〜1000  万円、居抜き物件では約200〜400 万円が一般的な相場です。

分類内容費用の相場ポイント
設計費用店舗のテーマやコンセプトに基づいてデザインを作成する費用。設計図やパースの作成を含む。工事費全体の5~15%専門デザイナーに依頼する場合、費用は高めだが、コンセプトが明確になり集客力に繋がる。
施工費用実際に工事を行う際の費用。床・壁・天井の塗装、クロス貼り、電気・水道・ガス工事、看板設置、入口工事など。スケルトン物件: 300~1000万円物件の状態により変動。設備や仕上げの品質で費用が増減する。
居抜き物件: 200~400万円居抜き物件は既存設備を活用するため費用を抑えやすい。
設備費用厨房設備や家具の設置費用。椅子やテーブル、照明、レジカウンターなどを含む。設備内容に応じて変動(50~500万円)業態や提供メニューにより必要な設備が異なるため、事前に計画を立てることが重要。

詳細解説

設計費用

  • 概要: 店舗のデザインを視覚化するための費用で、テーマやコンセプトを明確化する重要な工程。設計事務所やデザイナーに依頼。
  • 費用例: 工事費500万円の場合、設計費用は25~75万円が目安。

施工費用

  • 主な作業内容

 ・内装: 壁紙貼り替え、塗装、天井仕上げ、照明設置。

 ・設備工事: 電気配線、水道管の引き直し、ガス配管工事。

 ・外装: 看板の設置、入口やウィンドウの施工。

  • スケルトン vs. 居抜き: スケルトン物件は初期状態がゼロのため、施工範囲が広く費用が高い。居抜き物件では既存設備を利用し、改修範囲を限定できる。

設備費用

  • 主な設備内容

 ・厨房設備(シンク、冷蔵庫、製氷機)。

 ・店舗家具(テーブル、椅子、カウンター)。

 ・照明や内装ディスプレイ。

  • 費用例: 小規模カフェでは約100~300万円、レストランなどでは500万円以上になることも。

厨房設備費 

厨房設備費

厨房設備費は、店舗の規模や設備によっては100万円 以上の費用がかかる場合があります。費用を抑えるためには、中古品やリース・レンタルのほか、あらかじめ設備が整っている良質な居抜き物件の活用を検討すると効果的です。

場合によっては、補助金の利用も視野に入れるとよいでしょう。業種や設備によっては、設備投資に対する補助金を受けられることがあります。ただし、補助金には予算の上限があるため、上限に達した場合は、早期に募集が締め切られる場合がある点に注意しましょう。

また、厨房設備の購入を検討する際には、設備のサイズや設置場所、搬入経路を事前に確認することが重要です。当日になって設置できない場合や、通行スペースが不足するリスクを避けるためです。

備品費 

飲食店の開業に際しては、多くの備品が必要となります。備品に漏れがないか、数量が適切であるか、また重複がないかを確認することが重要です。事前にチェックリストを作成することで、漏れや重複を防げます。

飲食店で一般的に使用される備品は、以下のとおりです。

  • 食器類
  • 客席用家具
  • インテリア備品(照明、装飾品、メニュー台など)
  • 消耗品
  • 調理器具
  • 清掃・衛生用品
  • 会計機器(POSシステム、伝票用紙、オーダー端末など)

広告費 

広告費 

飲食店を開業・運営するにあたって、集客を目的とした広告費が必要です。認知度を高めるための広告費は、選択する広告媒体によって大きく変動するのが特徴です。

広告は大きく分けて、オンライン広告(デジタル)とオフライン広告(アナログ)の2種類に分類されます。

媒体規模・範囲
オンライン広告(デジタル)SNS・動画広告
SNS運用
検索広告
グルメサイト登録
公式ウェブサイト制作
全国(インターネットを通じて24時間利用可能)
オフライン広告(アナログ)チラシ配布
看板・ポスター設置
ダイレクトメール(DM)
地元新聞・フリーペーパー
イベントやプロモーション
地域密着

コストを抑えつつ手軽に始めるのであれば、SNSを活用した自社運営が効果的です。写真や動画を投稿して店舗の魅力を発信し、拡散することで多くのひとにお店を知ってもらうことが可能です。

ただし、SNS運用には手間や労力がかかるうえ、炎上リスクやフォロワーを増やすための工夫が求められるなどの課題も存在します。

運転資金

開業資金に加え、運転資金の確保も必要不可欠です。開業後すぐに十分な集客が見込めない場合に備え、一定の蓄えを用意しておくことが望ましいとされています。

運転資金として想定売上の6ヶ月分 を準備するのが一般的です。運転資金には、以下のような項目が含まれます。

家賃・水道光熱費 

家賃や水道光熱費は、毎月必ず発生する固定費です。運営コストを抑えるためにも、適切な節約が求められます。家賃に関しては、以下のような方法で削減可能です。

  • 坪数を抑えられる業態を選択する
  • 家賃交渉を行う
  • 家賃が比較的低いエリアを選択する

家賃は、立地条件や契約内容によって条件が大きく異なるため、契約前に慎重な検討が必要です。一方、水道光熱費に関しては、契約しているプランの見直しや、効率的な設備の導入によりコスト削減につなげることが可能です。

食材費 

飲食店の運営費において重要な要素である「食材費」は、売上や提供する料理の品質に直結します。メニュー数が多い場合、仕入れコストが増加し、廃棄食材も増える傾向があるため、開業初期にはメニュー数を絞ることが望ましいでしょう。

メニューを限定することで特定の料理に力を入れやすくなり、店舗の得意料理やこだわりポイントを明確にアピールできるという利点もあります。

また、新たなメニューを導入する際は、開業後に客数や売上が安定し、顧客のニーズが明確になってから追加を検討しましょう。

人件費

小規模な飲食店では、人件費を抑えられる点が大きな特徴です。席数が限られているため、調理や接客業務に必要な人員を最小限に抑えることが可能です。オーナー自身が調理や接客を担当することで、外部人員の雇用による人件費を削減できる利点もあります。

一方で、従業員を雇用する場合には、人件費だけでなく、労務管理や関連手続きが発生します。雇用の判断は慎重に行うことが大切です。

小さい飲食店に向いている形態 

小さな飲食店を開くにあたって、おすすめの形態を紹介します。主な形態は以下のとおりです。

  • カフェ
  • 喫茶店
  • コーヒースタンド
  • 専門店
  • ゴーストレストラン

カフェ 

手作り感あふれる空間が作りやすいカフェは、小規模な飲食店を開業する際に向いています。DIYで内装や外装を仕上げても違和感がないばかりか、カフェ特有の温かみや素朴さ、居心地のよさを演出できます。

最近では、フォトジェニックなカフェやユニークなコンセプトカフェが流行しています。特定のテーマや独自のデザインにもとづいたカフェは、SNSでシェアしたくなるような写真スポットとして注目されるでしょう。

こうしたトレンドに乗じることができれば、SNSでの拡散効果も期待でき、広告費用を抑えつつも自然に集客を促進できます。

喫茶店 

カフェと似た形態として、喫茶店が挙げられます。なかでも純喫茶とは、主に昭和時代に流行した日本特有の伝統的な喫茶店の形態を指します。

「純喫茶」の「純」は「純粋に喫茶を楽しむ場所」という意味で、基本的にアルコールの提供がないのが特徴です。昭和時代の懐かしさを味わいたい方に人気があり、レトロブームとともに再評価されています。

純喫茶の魅力は、昭和のノスタルジックな雰囲気を楽しめるレトロなインテリアや装飾にあります。古い物件や中古の設備でも、工夫次第でレトロな雰囲気を活かせるので、内装に大きなコストをかけずに魅力的なお店を作れる点が大きな利点です。

また、純喫茶はゆったりとした時間が流れるくつろぎの空間を提供することが多く、経営者のみでも運営しやすいことが強みです。こだわりのコーヒーやシンプルなメニューを提供し、着実にリピーターを増やしていくことが成功の鍵といえるでしょう。

コーヒースタンド 

コーヒースタンドは、主にテイクアウトを中心とした小規模な店舗形態です。飲食スペースが設けられている場合でも、数脚の椅子を配置する程度で、広いスペースは必要としません。そのため、とりわけコンパクトに運営可能です。

メニューはコーヒーに特化しているため、調理作業がシンプルであり、経営者のみでも無理なく店舗を運営できます。家賃や初期費用を抑えやすいことから、立地のよい場所や集客に強い場所も選択肢に入れられるでしょう。

テイクアウトをメインにした場合は、回転率を高めやすく、忙しい現代人のライフスタイルにも適応しやすいのが特徴です。

専門店

専門店とは、特定のメニューに特化したお店を指します。たとえば、かき氷専門店やおにぎり専門店などがその例です。

提供するメニューを絞り込むことで、仕入れる材料を最小限に抑えられるだけでなく、食品ロスの削減にもつながります。専門性を追求した魅力的なお店を作ることで、小さな店舗でも、ほかにはない存在感を発揮できます。

小規模な店舗やテイクアウト専門の形態でも運営しやすいことが魅力である一方、提供するメニューが限られるため、顧客の需要にマッチしなかった場合は苦戦も予想されます。

ゴーストレストラン 

ゴーストレストランとは、実店舗での飲食スペースを持たず、主にフードデリバリーやテイクアウトに特化した飲食業態です。顧客が店内で食事をすることはなく、オンラインでの注文を通じて料理が提供される点が特徴です。

ゴーストレストランの最大の利点は、店内での飲食がないため、厨房スペースのみで運営が可能な点といえます。そこまで立地にこだわる必要もないため、家賃や内装費を抑えられます。接客や会計業務のために従業員を雇う必要もなく、高額な家賃を支払う場所での出店も避けられるでしょう。

フードデリバリーサービスに支払う手数料は35〜38% (自社で配達しない場合)と比較的高額なものの、基本的には手数料を商品代金に上乗せすることが一般的です。配達圏内の顧客層にとって魅力的な商品と価格を提供することで、成功に近づくでしょう。

小さい飲食店を開業する際のポイント 

飲食店を開業する以上、失敗は避けなければなりません。ここでは、開業を成功させるための具体的なポイントを分かりやすく解説いたします。

コンセプトは具体的に設計する

具体的なコンセプトは、競争が激化する飲食業界で生き残るための土台となります。コンセプトが曖昧だと、顧客に店の魅力が伝わらず、当初の資金計画にも影響をおよぼすおそれがあるでしょう。

飲食業界は競争が激しいため、他店と異なる独自性が必要です。具体的なコンセプトがあれば、顧客に「この店だから行きたい」と思わせる理由を提供できます。

ターゲットや提供する価値を明確にし、それにもとづいたメニューや価格設定を徹底しましょう。さらに内装、サービスを一貫させることで、小さな飲食店でも独自の魅力を発揮できます。

資金調達の前に物件を探す 

資金調達の準備を進める前に、まず物件を確定しておくことが重要です。とくに、金融機関から融資を受ける場合は、物件情報が具体的であることが審査通過のポイントとなります。

融資審査において、金融機関は事業の安定性や返済能力を慎重に判断します。その際、次のような物件情報が大きな判断材料となります。

物件にまつわる項目重視される理由
家賃店舗の維持費用として、月々の家賃が収支計画にどのように影響するかを確認するため。
立地条件出店エリアの顧客層や競合状況を基に、事業の成功可能性を見極めるため。
物件の規模や設備初期投資額や運営コストの見積もりに直結するため。

こうした物件情報が未確定の状態では、金融機関にとってリスクが高く、融資額や返済能力の判断が困難になります。そのため、物件情報が曖昧なままでは審査を通過できない可能性が高まるでしょう。

物件を探すときには、飲食店向け物件を専門とする不動産屋や仲介企業に依頼することがおすすめです。特定エリアに強い不動産屋や、低コストで開業しやすい居抜き物件を中心に扱う企業など、それぞれの特徴や強みを活かしましょう。

希望の物件が見つかったら、仮押さえを行います。飲食店向けの人気物件は競争が激しいため、速やかな行動が求められるでしょう。物件が確定していれば、事業計画書に説得力が増し、融資審査も有利に進められます。

病気やケガのリスクを考慮する

病気やケガのリスクを考慮する

経営者のみ、または少人数のスタッフで店を切り盛りする小さい飲食店の場合では、病気やケガのリスクをあらかじめ考えておく必要があります。とくに、経営者自ら調理や接客をしていた場合は、営業そのものが不可能になります。

また少人数のスタッフで運営していた場合でも、誰かが欠けると業務の負担が急増するため、店舗運営に大きな影響が出る可能性は否めません。飲食店は、人手が売上を左右するため、営業日数や営業時間が直接的に売上に響きます。

また、休業期間中も店舗や家賃など固定費の負担は継続されます。病気やケガは予期できないため、日頃から「万一の場合の計画」を立てておくことが大切です。

割高になる仕入れコストへの対策を講じる

小さい飲食店では、大型店舗やフランチャイズ店と比較して仕入れ費用が割高になることが多いです。そのため、仕入れコストを抑える対策が必要です。

小規模店舗の仕入れが割高になりやすいのは、購入量の少なさから、ひとつあたりの仕入れ単価が高くなるためです。大量仕入れを行う大型店舗は仕入先から割引を受けやすくなりますが、小規模店舗では購入量が少なく、単価が高くなる傾向があります。

仕入れ費用を抑える努力だけでは限界があるため、収益性を高める戦略や、初期費用のコストダウンを戦略的に行うことが大切です。そのほか、固定費を抑える工夫や、メニューに付加価値を与えて単価アップを目指す方法も有効でしょう。

集客に力を入れる

飲食店を開業する際には、集客に力をいれることが極めて重要です。どれだけ美味しい料理や質の高いサービスを提供していても、まずは顧客に店舗に足を運んでもらわなければ経営は成り立ちません。

開店直後は、多くの人々が店舗の存在を知らないため、集客活動を強化することが必要です。初回の来店で満足してもらえれば、常連客を獲得する可能性が高まります。

まずは、開店前からSNSやインターネット、チラシなどを活用し、店舗の魅力を写真や動画を通じて発信しましょう。料理や店内の様子を視覚的にアピールすることで「食べてみたい」「訪れてみたい」という気持ちを引き出しやすくなります。

オープン後も、目立つ立て看板やショップカード、ポイントカードの配布、グルメサイトへの登録、DMの送付などを活用することでリピーターを増やせます。一度来店した顧客に再訪を促すためには、継続的な努力が必要です。

DXを導入する 

小規模な飲食店において、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入は業務効率化に大いに役立ちます。限られた人手で店舗を運営するためには、業務の時間や手間を削減し、効率よく運営していかなければなりません。

とくに経営者のみで店を切り盛りする場合、オーダー、調理、会計に加えて、仕込みや清掃、集客活動も自身で行わなければなりません。売上管理や在庫管理といった事務作業も一手に担当することになります。

DXを導入することで、これらの負担を軽減できます。たとえば、キャッシュレス決済、POSレジシステム、セルフオーダーシステムなどを取り入れることで、手間のかかる作業をデジタル化し、業務の効率化をはかることが可能です。

こちらの記事では、飲食店を開業するにあたって必要な準備や初期投資資金の平均、自己資金0でも開業できるのかといったさまざまな疑問にお応えしています。ぜひお役立てください。 

まとめ

まとめ

小さな飲食店を開業するための流れを詳しく解説しました。これら一つひとつのステップを丁寧に進めることで、夢の店舗を現実のものにする道筋が見えてきます。

コストを抑えつつ早期に開業したい場合、居抜き物件の活用がおすすめです。前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま利用できるため、内装工事費や設備費用を大幅に削減できるだけでなく、工期の短縮によってよりスムーズな開業が実現します。

東京都で飲食店の開業をお考えの方には、物件探しの心強いパートナーとして「居抜きの神様」をぜひご利用ください。豊富な飲食店向け居抜き物件を取り扱っており、一般には公開されていない未公開物件も多数揃えています。

理想の店舗づくりを実現するため、経験豊富なスタッフが全力でサポートいたします。ぜひ一度「居抜きの神様」ご相談ください。

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居抜き物件のことなら「居抜きの神様」に任せるのじゃ

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