居酒屋の開業成功率は、経営を4年以上続けている場合で40%ほどといわれており、開業を検討している方のなかには、成功するか不安な方もいるでしょう。
本記事では、居酒屋が閉店する原因や開業を成功させるコツをご紹介します。そのほか、居酒屋を開業するメリットやデメリット、開業資金を抑えるポイントもお伝えするので、初期費用を節約しながら居酒屋開業を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。
居酒屋の開業は成功率が低い

居酒屋の開業を検討している方は、居酒屋を含め飲食業界全体の動向を把握したうえで、開業の準備を進めるとよいでしょう。ここでは、飲食店.COMリサーチの調査結果をもとに、居酒屋やそのほかの飲食店の開業成功率について解説します。
居酒屋は開業3年以内に半数が閉店する?
飲食店.COMリサーチの調査によると、居酒屋は1年以内に閉店した店舗が30%、3年以内に閉店した店舗が約60%です。つまり、3年以内に閉店する居酒屋は、半数以上です。
一方、4年以上経営を続けている居酒屋は、全体の約40%、11年以上経営が続いている居酒屋は、約10%といずれも少数派です。このことから、居酒屋を長期的に経営するのは難しく、成功にはコツやノウハウが必要だと考えられます。
その他の飲食店も含めた成功率
居酒屋以外の飲食店では、アジア料理、ラーメン、中華、そば・うどんといった業態の70%以上が3年以内に閉店しています。1年以内に閉店する店舗は約40%で、居酒屋よりも開業成功率が低いといえます。
とくに、ラーメンや居酒屋は開業したい業態として人気が高いものの、ライバルが多いため競合店との差別化が求められ、経営を続けるのが難しく、閉店する店舗も多いです。
一方、飲食店のなかでも開業成功率が高い業態としては、フランス料理や寿司などが挙げられます。これらの業態は、調理に専門知識や技術が必要なので、開業のハードルが高く、近くにライバル店が現れにくい点が、開業成功率が高い理由のひとつです。
居酒屋の主な閉店原因3つ

居酒屋は、飲食業界のなかでも閉店が多い業態です。そのため、これから居酒屋を開業する場合、なぜ閉店するケースが多いのか、その原因をどのように解消するかを確認しておくことが重要です。ここでは、居酒屋が閉店する主な原因を3つご紹介します。
原因1.資金不足

居酒屋開業には、物件や備品などに費用がかかりますが、初期費用をかけ過ぎて資金不足に陥るケースがあります。外装や内装にお金をかけ過ぎると、食材費や人件費を支払えなくなるおそれがあります。
また、赤字になったからといって必ずしも倒産するわけではありません。赤字が続き、運転資金である人件費や賃料などが支払えなくなると、倒産に至ります。利益に対し運転資金が高い場合は、黒字でも倒産するおそれがあります。
開業してからすぐに集客できるとは限らず、赤字が続く可能性があります。そのため、赤字が続いても運転資金を支払えるように、貯蓄分を資金計画に組み込んでおくことが重要です。
原因2.人手不足

近年、少子高齢化の影響で若年層の人口が減少し、さまざまな業界で人手不足が問題となっています。飲食店もその例外ではなく、スタッフ不足で経営が難しくなるのも閉店の原因のひとつです。
居酒屋は、キッチンもホールも立ちっぱなしで仕事する場面が多く、体力的な負担が大きいため、辞めてしまうスタッフが多いでしょう。また、お客さんとのトラブルが原因で辞めるケースもあります。そのため、スタッフを雇った後は、辞めずに長く働いてもらえるように、しっかりとケアを行うことが重要です。
原因3.マーケティング不足
提供する料理の味に自信があっても、マーケティングが不足していると、十分に集客ができず、そのまま閉店するケースがあります。まずは、店舗の存在を知ってもらうことが大切です。ホームページやSNSアカウントを運営し、集客を図りましょう。
また、集客方法は開業する前にあらかじめ決めておくことで、スムーズに経営を進められます。独自の集客方法にこだわらず、ほかの人気居酒屋の集客方法を参考にして計画を立てるとよいでしょう。
マーケティングに関しては、こちらの記事で詳しく解説されています。ぜひご確認ください。

トレンドを参考にしよう!居酒屋開業を成功させるコツ

居酒屋の開業を成功させるには、競合店との差別化が重要です。注目を集めるためには、トレンドを参考にすると効果的です。ここでは、居酒屋の開業を成功させるためのコツを3つご紹介します。
「激安×高回転率」は若年層から人気

若い世代をターゲットにする場合、価格が安く回転率が高い店舗に挑戦しましょう。一定のクオリティの料理を安く提供できれば、短期間で何度も足を運びやすくなり、常連客を獲得できる可能性があります。
物価の高騰が続くなか、激安で美味しい料理を提供する居酒屋は、食費を抑えたいけれど美味しいものを食べたいというニーズに応えられます。そのほか、1人暮らしを始めたばかりで料理が苦手な人や、忙しくて自炊の時間が取れない人からの人気も期待できるでしょう。
単価が安くても回転率が高ければ、赤字を回避して閉店を防げます。回転率を高めるためには、立ち飲み居酒屋にする、1人飲みできる席を用意するなど、気軽に飲み食いできるように工夫することが大切です。
Instagram映えする「話題性のある料理」の効果

デカ盛りやこぼれ盛りなどのInstagram映えする料理を提供すると、SNSで話題になりやすく、注目を集められます。SNSで検索してお店を選ぶ人が増えているため、話題性のある料理は来店のきっかけになりやすいです。
Instagram映えする料理をアピールするには、開業時にInstagramアカウントを運営し、集客に力を入れることが重要です。投稿写真は、店内のテーブルや照明を工夫して、料理の写真を美しく撮影することをおすすめします。
また、以前はチーズや卵黄などをトッピングして、映える料理が注目されていましたが、最近では余計なトッピングを省いてシンプルな料理もInstagram映えすると話題になっています。時代のトレンドに合わせて、Instagram映えする料理を研究し、取り入れましょう。
飲み放題と食べ放題の需要の違い
飲み放題や食べ放題を提供している居酒屋は、一定の料金でたくさん飲み食いができるため、若年層から人気があります。飲み放題にも一定のニーズがありますが、食べ放題は食材の高騰により、とくに需要が高まっています。
飲み放題と食べ放題を提供する場合、人手不足に加え、料理の準備や提供を担当するスタッフへの負担が懸念されます。そのため、近年ではお客さんが自ら飲み物を注ぐセルフサービスを導入する店舗が増えています。
飲み放題と食べ放題の提供時間は、1時間や2時間などさまざまですが、回転率を高めたい場合は、1時間コースを設定し、手頃な価格でさまざまな料理や飲み物を提供しましょう。
居酒屋のメリット

飲食店を開業する際に居酒屋を業態として選択するメリットは多くあります。ここでは、居酒屋を開業するメリットを3つご紹介します。
利益率の高いメニューが多い
居酒屋で提供されるアルコール類やおつまみ類は、利益率が高いメニューのひとつです。アルコール類はたとえば、ビールや焼酎、日本酒、ウイスキー、おつまみ類は唐揚げや焼き鳥、たこわさなど、どちらも種類が豊富です。
居酒屋では、これらの利益率の高いメニューを提供できるので、利益を得やすく、早期に初期費用を回収できる可能性が高いというメリットがあります。
開業の難易度が低い
居酒屋は、アルコールやシンプルなおつまみを提供するので、誰でも挑戦しやすい業態です。本格的な料理ができなくても、すでにさばかれた魚や簡単な揚げ物を提供することで、問題なく経営できます。
飲み物に関しては、アルコールやソフトドリンクをグラスやジョッキに注ぐだけで、特別な準備は不要です。小さいスペースでも立ち飲み居酒屋として開業できるため、無理に広いスペースを確保する必要もありません。
他店と差別化しやすい
居酒屋は、さまざまなジャンルの料理を提供するため、オリジナルメニューを考案することで他店と差別化しやすいのが魅力です。本格料理よりも、お酒に合う庶民的な味を求めているお客さんが多いので、メニュー開発に力を入れてみるとよいでしょう。
料理以外にも、子連れでの来店が可能、または1人飲みがしやすい雰囲気のお店にすることで、さまざまな顧客層の獲得につながります。周辺の店にはない要素をリサーチし、それを自店に取り入れることで、差別化を図るのもひとつの戦略です。
こちらの記事では、小さな居酒屋を経営するメリットについて解説しています。注意点やポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

居酒屋のデメリット

居酒屋の開業には、さまざまなメリットがありますが、その一方でデメリットもいくつかあります。ここでは、居酒屋を開業するデメリットを3つご紹介します。
クレーム対応が大変
居酒屋ではお酒を飲む方がほとんどなので、酔っ払ってトラブルを起こす可能性があります。酔って「スタッフの対応が悪い」「料理が美味しくない」などのクレームを言ってくるお客さんも少なくありません。
クレーム対応は、スタッフにとって精神的にも肉体的にも負担が大きいものです。トラブルを少しでも防ぐためには、スタッフに接客スキルを教育したり、料理の品質を向上させたりすることが重要です。
ライバルが多い
居酒屋は、開業のハードルが低いため、ライバルが多いという点がデメリットです。高い調理技術や広いスペースがなくても開業できるため、新規に開業する居酒屋が多く、競合店との競争が激化しています。
そんななかで成功している居酒屋は、料理の提供スピードが速い、価格が安い、料理が美味しいなどの特長があります。また、開業を成功させるためには、料理の提供スピードや質、価格に加え、ライバル店との差別化やオリジナリティが重要となります。
人手不足になりやすい
居酒屋の人手不足は深刻です。スタッフの人数が少ないため、一人ひとりの負担が大きくなっています。スタッフが足りないと、料理の提供スピードが遅くなったり、接客の質が低下したりするなど、さまざまなデメリットにつながります。
一時的に人手が増えたとしても、職場環境やクレーム対応の負担が大きく、スタッフが疲弊して退職することも考えられます。スタッフが次々に辞めてしまうと、閉店の危機に直面する可能性があるため、日頃から感謝の気持ちを持ってケアすることが重要です。
居酒屋の開業資金を節約するポイント

居酒屋の開業を成功させるには、資金を節約し、運転資金として貯蓄することが重要です。ここでは、居酒屋の開業資金を節約するためのポイントを3つご紹介します。
中古品を活用する

居酒屋の開業には、さまざまな設備や備品が必要ですが、すべて新品で揃える必要はありません。中古品を活用することで、初期費用を安く抑えられます。新品にこだわりがないのであれば、中古販売事業者に相談してみるとよいでしょう。
しかし、中古品を使う場合、すぐに故障しないか不安に感じる方もいるかもしれません。中古設備のなかには、保証付きのものもあるため、故障に備えて保証の有無や内容を確認しておくことをおすすめします。
SNSの宣伝に力を入れる

居酒屋を選ぶ際に、インターネットやSNSで検索してからお店を決める人が増えています。そのため、SNSでの宣伝・アピールに力を入れて、多方面から集客することが大切です。SNSを活用した宣伝は広告費がかからないため、コストを抑えて広範囲にアピールできます。
とくに、居酒屋の宣伝には写真投稿がメインのInstagramが有効です。各SNSの特性を活かし、効率的に宣伝しましょう。
居抜き物件を選ぶ
居酒屋の開業資金を大幅に節約したい場合は、居抜き物件を選ぶのがおすすめです。居抜き物件とは、前の飲食店が使用していた設備や内装をそのまま借りられる物件です。
前の店舗が居酒屋であれば、必要な設備や備品がすでに揃っている可能性が高いです。これにより、内装工事が不要となり、費用を節約できるだけでなく、すぐに開業できます。
2024年6月、渋谷にオープンした「渋谷ニッカ」は、居抜き物件による成功事例のひとつです。「あふれる野菜」をキャッチフレーズに、野菜が美味しい居酒屋としてオープンしたこの店舗は、アンテナ感度の高い客層が集まるトレンドエリア「マークシティ裏」に位置しています。
元溶岩焼き店の居抜き店舗であるこちらを選んだ理由のひとつは、地下1階ながら、ファサードを大きく取っていることで流動客からの視認性が高い点です。また、店内は26坪・45席となっており、まさに「大きな店舗に挑戦したい」という開業者の想いとベストマッチする居抜き物件であったといえるでしょう。
そんな「渋谷ニッカ」成功の秘訣は、なんといっても居抜き物件の活用と、客単価を重視した店づくりです。いわゆる「大箱」ながら開業コストを賢く抑え、個室のある店舗を選んだことでゆったりと寛ぎの隠れ家を実現したところがポイントです。
こちらの記事では「渋谷ニッカ」の開業ストーリーを詳しく紹介しています。メニューづくりにまつわるエピソードなどもぜひあわせてご覧ください。

こちらの記事では、居酒屋の開業について解説しています。手順や必要となる備品・資格も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

居酒屋の開業成功率を高めるには、資金不足や人手不足の解消、競合店との差別化が重要です。多額の開業資金があっても、初期費用に費やし過ぎると運転資金が不足するおそれがあります。そのため、開業時には明確な資金計画を立てることが大切です。
居酒屋の開業では、物件探しや設備・備品購入など、さまざまな準備が必要です。開業を成功させるには、初期費用を抑えし、運転資金を確保することがポイントです。開業資金を節約したい場合、内装や設備などをそのまま使える居抜き物件を検討するのがおすすめです。
居抜きの神様では、東京都をはじめ、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府の居抜き物件を紹介しています。賃料や外装・内装の写真などの情報を閲覧できるので、居酒屋開業に向けて物件をお探しの方は、ぜひお問い合わせください。
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