【東京で飲食店開業】家賃比率の適正は売上の10%?家賃負担を抑える方法4選も紹介

飲食店の経営において、家賃は毎月発生する固定費のなかでも大きな割合を占めます。適正な家賃比率を理解しないまま物件を契約してしまうと、売上が増えても手元に利益が残らず、経営が苦しくなる可能性があります。

とくに東京都内の物件は、地方と比較して家賃が高額になる傾向があるため、家賃と売上のバランスを慎重に見極めなければなりません。

この記事では、東京の飲食店における家賃比率の理想や、家賃負担を抑える効果的な方法4選について詳しく解説します。

この記事を最後まで読めば、東京での飲食店経営における家賃の悩みや負担を軽減できるでしょう。

なお、飲食店開業に必要な届出について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

目次

東京の飲食店における家賃比率の理想は「売上の10%以下」

一般的に、飲食店の家賃比率は「売上の10%以下」が理想とされています。家賃比率は以下の式で求められます。

家賃比率 = 家賃 ÷ 月間売上 × 100(%)

たとえば、月間売上が300万円の飲食店であれば、家賃は30万円以下に抑えるのが理想です。家賃比率を10%以内に収めることで、利益を確保しやすくなります。

固定費である家賃は、食材費や人件費とは異なり、企業努力で削減することが困難です。そのため、開業前に綿密な売上シミュレーションを行い、家賃比率を10%以下に抑えることが重要です。

開業直後は家賃比率が20〜25%になる可能性も

理想の家賃比率は10%以下であるものの、飲食店を開業した直後は売上が安定しないケースが多いでしょう。とくに家賃が高い東京では、開業直後の家賃比率が20〜25%程度になることも珍しくありません。

開業時から家賃比率10%を強く意識しすぎると、スタッフを十分に雇えなかったり、休日を削って無理な経営を続けたりする状況に陥る可能性があります。

まずは、1週間で家賃分の売上を確保する家賃比率「25%」を目標に設定しましょう。そして、売上が安定してきたら、徐々に家賃比率10%以下を目指して経営を改善していくことが重要です。

東京の飲食店市場は競争が激しいため、焦らず段階的に目標を達成するようにしましょう。

【家賃別】飲食店の売上目標の目安

家賃比率を10%以下に抑えるには、家賃に応じた明確な売上目標を定めることが重要です。目標売上を達成するには、客単価や席数、回転数などを考慮した綿密なシミュレーションが必要になります。

ここでは、家賃が20万円の場合と30万円の場合それぞれの売上目標の目安を解説します。東京都内の物件は家賃が高くなりやすいため、ぜひ具体的な売上目標を参考にしてください。

なお、居酒屋の売上平均について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

家賃が20万円の場合

東京で家賃が20万円の物件を借りる場合、家賃比率を10%以下に抑えるためには月間売上200万円以上が目標となります。

1日あたりの売上目標は、月間売上200万円 ÷ 30日 = 約67,000円です。

居酒屋の場合、坪月商を基準にした評価が一般的で、以下のような目安があります。

  • 坪月商20万円程度まで:一般的な店舗と判断される
  • 坪月商30万円以上:繁盛店と判断される
  • 坪月商50万円以上:業界内でも高収益の店舗として注目される

坪月商とは、1坪あたりの月間売上高のことを指し、店舗の収益性を測る指標として活用されます。

たとえば、東京都内で10坪の店舗(席数15〜20席程度)を借り、家賃が20万円の場合、坪単価は2万円となります。この店舗で坪月商20万円を達成できれば、月間売上200万円(家賃比率10%)を実現できる計算です。

ただし、東京23区内でも、エリアによって集客力や客単価が大きく異なります。開業前に客単価・席数・回転数を基に売上シミュレーションを行い、目標達成の可能性を慎重に検討することが重要です。

家賃が30万円の場合

東京で家賃が30万円の物件を借りる場合、家賃比率を10%以下に抑えるためには月間売上300万円以上が目標となります。

1日あたりの売上目標は、月間売上300万円 ÷ 30日 = 10万円です。

20坪の店舗で家賃30万円の場合、坪単価は1.5万円となり、坪月商15万円を達成すれば月間売上300万円(家賃比率10%)を実現できます。

ただし、東京都心部の好立地では坪単価が非常に高くなりやすく、目標達成が厳しい条件となる可能性があります。

たとえば、東京都渋谷区の代官山駅周辺では、家賃の平均坪単価は約4万円です。このような高額な家賃の物件では、相応の集客力と客単価の設定が求められるでしょう。

東京都内でも、立地や地域によって家賃相場には大きな違いがあるため、自分の飲食店の業態やターゲット層に合った物件を選ぶことが重要です。

飲食店向け|家賃に合わせた売上シミュレーション

 

家賃別の飲食店の売上目標の目安を紹介しましたが、実際に売上をシミュレーションしたい方は、以下のツールをご活用ください。

売上シミュレーション

客単価・席数・回転数を入力すると、日次・月次・年次の売上を算出します。※目安としてご利用ください。

結果がここに表示されます
※売上計算式:席数 × 回転率 × 稼働率 × 客単価 × 営業日数
※家賃比率の一般目安:10%以下が理想、10〜15%は注意、15%以上は高リスクとされています。
※表示はあくまで目安です。契約・出店判断は専門家へご相談ください。

家賃・席数・客単価・回転数を入力すると、店舗の想定売上や家賃比率などが自動で計算されます。

開業前にシミュレーションを行うことで、東京という高コスト環境でも現実的な売上目標を把握できるでしょう。

東京における飲食店の家賃が変動する主な要因

東京の飲食店の家賃は、以下のような要因によって大きく変動します。

  • 立地条件
  • 店舗の広さ
  • 築年数

東京都内は、エリアによって特性が異なるため、家賃と集客力のバランスを考慮して物件を選ぶことが重要です。

それぞれの要因について詳しく解説します。

立地条件

東京都内では、立地条件が家賃にあたえる影響が非常に大きいです。JR山手線の主要駅周辺や、渋谷・新宿・銀座などの繁華街では、家賃が高額になる傾向があります。

また、同じ建物内でも、表通りに面している店舗と裏通りに面している店舗では、家賃に大きな差が出ることがあります。建物の階数でも家賃は変動し、1階の路面店は視認性が高く集客しやすいため、2階以上の物件よりも家賃が高く設定されるケースが多いです。

東京23区外の郊外や住宅地では、家賃を抑えることも可能ですが、集客力が課題となります。

立地と家賃のバランスを考え、自分の飲食店のコンセプトやターゲット層に合った物件を選ぶことが重要です。

なお、路面店とテナント店との違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

店舗の広さ

店舗が広いと多くの客席を配置でき、収容人数や売上を増やせる反面、家賃も高くなります。ただし、坪数が大きくなるほど、光熱費や人件費などのランニングコストも増加するため、単純に広ければ良いというわけではありません。

東京都内では、20坪以下の小規模物件でも十分に利益を出している飲食店が数多く存在します。むしろ、小規模店舗の方が固定費を抑えられ、効率的な経営が可能になるケースもあります。

自分の業態に必要な客席数やキッチンスペース、従業員の作業動線などを考慮し、適切な広さの物件を選ぶことが重要です。

なお、飲食店の座席数の目安と計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

築年数

マンションなどの居住用賃貸物件と同様に、築年数が古い物件ほど家賃は安くなるのが一般的です。

東京都内でも、築30年以上の古いビルも数多く残っており、こうした物件は比較的安く借りられる可能性があるでしょう。

ただし、築年数が古くても、リフォーム(リノベーション)済みの物件は、家賃が高く設定されている場合があります。築年数だけで判断せずに、内装や設備の状態を実際に確認し、追加の改装費用が必要かどうかを事前に調査することが重要です。

東京の飲食店における家賃負担を抑える効果的な方法4選

東京で飲食店を経営する際、家賃負担を抑える方法として以下の4つを押さえておきましょう。

  1. 売上を増やす
  2. 店舗の空き時間を活用する
  3. 自宅や所有物件を活用する
  4. 家賃の値下げ交渉を行う

それぞれ詳しく解説します。

1.売上を増やす

家賃負担を抑える最も効果的な方法は、売上を増やすことです。家賃は固定費のため、売上が増えれば自動的に家賃比率は下がります。

たとえば、月間売上が200万円で家賃が30万円の場合、家賃比率は15%です。しかし、売上が300万円に増えると、家賃比率は10%まで下がります。

具体的な売上を増やす施策としては、営業時間の延長やデリバリー・テイクアウトの導入、リピーターの獲得などが挙げられます。

東京都内では、デリバリーサービスの需要が高いため、こうしたプラットフォームを活用することで、新たな顧客層にアプローチできるでしょう。

また、SNSを活用した情報発信や、グルメサイトへの登録なども、東京という競争の激しい市場で認知度を高めるために効果的です。

売上を増やすことで、1年を通じて安定した利益を確保しやすくなり、家賃負担も抑えられるでしょう。

2.店舗の空き時間を活用する

ランチのみ、またはディナーのみ飲食店の営業を行っている場合、空いている時間帯を他の事業者に貸し出す「転貸」を行うことで、収入を得られます。

たとえば、異なる業態の飲食店に貸し出す「シェアキッチン」や、料理教室を運営している事業者に貸し出すなどがあります。しかし、転貸を行う際は、必ず物件の貸主から事前に承諾を得ることが必要です。

また、ランチタイムやディナー前の時間帯を貸し切り利用として提供することで、通常営業では得られない売上を確保できます。

空き時間を活用する際は、日々の営業に支障が出ないよう、スケジュール管理や人員配置を適切に行うことが重要です。

3.自宅や所有物件を活用する

自宅の一部を改装して飲食店にする、または親族から相続した物件を活用することで、家賃比率を0%にできます。

初期費用は改装費のみとなり、固定費を大幅に圧縮できます。ただし、自宅や所有物件が住宅地にある場合は、用途地域の制限により、飲食店を開業できるか事前に確認が必要です。

また、ターゲット層が十分にいるかを慎重に検討する必要があります。

東京23区内の住宅地でも、適切なコンセプト設定とマーケティングを行えば、成功している飲食店は多数存在します。事業として売上を立て、将来的に店舗を拡大していく経営を目指す場合は、集客が見込める立地の物件を選ぶことが重要です。

自宅や所有物件を活用する場合でも、ターゲット層の分析や商圏調査を行い、事業計画をしっかり立てることが成功の鍵となるでしょう。

なお、飲食店開業を自宅で行う方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

4.家賃の値下げ交渉を行う

物件の貸主に家賃の値下げ交渉をすることも、家賃負担を抑える方法の1つです。

飲食店などのテナント物件は、景気の動向に左右されやすく、一般的な居住用物件と比較して空室リスクが高い傾向があります。貸主としては空室リスクを避けたいため、大人気ですぐに埋まる物件でない限り、物件を借りる前であれば交渉に応じてくれる可能性があります。

交渉の際は、近隣の類似物件の家賃相場を調べ、具体的なデータを提示することが効果的です。東京都内の場合、不動産ポータルサイトなどで周辺物件の家賃相場を簡単に確認できます。

ただし、物件を借りてから家賃の交渉は難しいため、契約を結ぶ前に交渉するのが望ましいでしょう。

東京都内の飲食店の居抜き物件や家賃相場を知るには「居抜きの神様」を活用しよう!

東京で適正な家賃の物件を見つけるには、豊富な物件情報と専門的な知識が必要となるため、「居抜きの神様」の活用がおすすめです。

居抜きの神様」は、居抜き物件に特化した物件情報サイトで、東京で飲食店開業を目指す方にとって非常に便利です。居抜き物件は、前テナントの内装や設備をそのまま引き継げるため、初期費用を大幅に抑えられます。

「居抜きの神様」では、エリアや業態、予算などの条件から物件を検索でき、効率的に理想の物件を見つけられます。東京の主要エリアでは、物件情報とあわせて家賃相場も掲載されているため、物件選びの判断材料が豊富です。

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まとめ

飲食店を開業する際、家賃比率の理想は「売上の10%以下」ですが、開業直後は20〜25%程度になることも珍しくありません。段階的に理想に近づけるように、現実的なアプローチが重要です。

東京都内の飲食店の物件は、立地条件や店舗の広さ、築年数などの要因によって家賃が大きく変動します。家賃別の売上目標を把握し、綿密なシミュレーションを行うことで、適切な物件選びが可能になるでしょう。

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この記事を書いた人

宅地建物取引士。
不動産会社2社で勤務。不動産仲介や新築・リフォームの営業および現場管理、分譲工事のプロジェクトリーダーなどに従事。不動産・建築業界で培った経験を活かし、現在は不動産ライターとして記事の執筆や監修を実施。

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