飲食店の開業に必要な消防署への届出は?未届による違反も解説

飲食店の開業に必要な消防署への届出は?未届による違反も解説

飲食店を開業する際に忘れてはならないのが、消防署への届出です。手続きをおこたってしまうと、罰金や使用停止を受ける可能性があるため、必ず届け出なければなりません。

この記事では、開業時に必要な届出の種類から、未届けによる違反リスクまで、知っておくべきポイントをわかりやすく解説しています。安心して店舗を開業するためにも、事前に届出の内容や提出期日を確認しておきましょう。

目次

飲食店の開業に必要な消防署への届出は? 

飲食店の開業に必要な消防署への届出は? 

飲食店の開業時に必ず行うべき届出は、以下の5種類です。

  1. 防火管理者選任届出
  2. 防火対象物使用開始届出
  3. 消防用設備設置の届出
  4. 消防計画の届出
  5. 火を使用する設備等の設置届出

その内容と特徴をくわしく解説します。

防火管理者選任届出 

防火管理者選任届出書は、防火管理者を決めたときに所轄の消防署に提出する書類です。防火管理者とは、店舗の防火対策を担う責任者のことです。

収容人数が30 人以上(従業員も含む)の飲食店では、法律により防火管理者を定めることが義務付けられています。収容人員が30 人未満なら届出は必要ありません。

※特定防火対象物(飲食店など)の場合、用途や面積によっては選任が義務付けられる場合もあります。

日常的に店舗を管理している店長やオーナーが防火管理者になることが多いです。選任後には「防火管理者選任届出書」を作成し、所轄の消防署へ提出しなければなりません。

防火管理者になるためには、防火管理に関する専門的な知識が必要となるため、防火管理講習を受講する必要があります。

講習は、建物の規模に応じて「甲種」と「乙種」に区分されており、延べ床面積が300㎡以上の建物では甲種、300㎡未満では乙種の資格取得が求められます。甲種講習は約10 時間、乙種講習は約5 時間のカリキュラムで構成されています。 

防火対象物使用開始届出 

新規に店舗を開業する際には、消防署に対して「防火対象物使用開始届出書」を提出する必要があります。ただし、この届出はすべての新規開業店舗に必要なわけではなく、「特定防火対象物」に該当し、かつ収容人数が30人以上の施設である場合に義務付けられています。そのため、事前に店舗がこの条件に該当するかを確認しておきましょう。     

届出は、店舗使用開始の7日前までに手続きを行う必要があります。提出に際しては、平面図、立面図、断面図、室内仕上表などの添付書類が求められます。防火対象物使用開始届出書は、消防署が店舗内の防火設備の設置状況や避難経路を把握し、適切な防火管理が行われているかを確認するために必要な書類です。

また、店舗の改装や工事を行う場合には、着手する日の7日前までに「防火対象物の工事等計画の届出」を提出する必要があります。これにより、工事が防火対策にどのような影響を与えるかを消防署が確認することができます。

消防用設備設置の届出 

消防用設備設置の届出 

消防法では、一定の条件を満たす店舗を開業する際に、消防用設備を設置することが義務付けられています。消防用設備を設置する前には、「消防用設備設置届出書」を消防署に提出する必要があります。設置後には、消防署による検査が行われ、設備が基準に適合していると確認されると「消防検査済証」が発行されます。

また、消防用設備の設置義務は店舗の規模や用途によって異なります。特に、飲食店の場合、特定防火対象物に該当する場合や一定の延べ床面積を超える場合に設置が義務付けられます。2019年10月1日の法改正により、特定の要件が変更されたため、最新の規制を確認することが重要です。     

消防計画の届出 

消防計画の届出 

防火管理者は消防計画を作成し、所轄の消防署に届出をしなければなりません。届出書は、各自治体の消防庁ホームページからダウンロードできます。

また、消防計画はただ作成し届け出るだけではなく、防火訓練や各種点検、スタッフ教育の継続的な実施が求められます。継続的な訓練や教育を行うことで、スタッフ全員が防災の知識を深め、緊急時に迅速かつ適切に対応できるようになります。

火を使用する設備等の設置届出 

火を使用する設備等の設置届出は、厨房設備やボイラーなど、火を使う機器を設置する際に必要な手続きです。設置を開始する7日前までに、消防署に届出を行い、設置後には消防署による検査を受ける必要があります。

防炎物品の義務 

高さが31メートルを超える高層建築物や 地下街など特定の建物では、防炎物品の使用が義務付けられています。火災時の延焼を防ぎ、建物内の安全を守るために定められているものです。

※防炎物品の使用義務は、高層建築物や地下街以外にも、特定防火対象物や一定の条件を満たす場合には適用されます。飲食店でも該当する場合があるため、最寄の消防署に確認しておきましょう。

防炎物品とは、火に対して高い耐性を持ち、火災が発生した際の燃え広がりを防いでくれるものです。たとえば、布製ブラインドや暗幕、じゅうたんなどがあります。高層ビルや地下街では多くの人々が一度に集まるため、万全の防火対策が求められます。

防災訓練の義務 

防災訓練の義務 

延べ面積が1000平方メートル以上の地下街や不特定多数の人が集まる施設などの大規模建築物では、防災管理業務の実施が義務づけられており、防災管理点検資格者は年に1度実施状況を点検しなければなりません。 

点検項目の中には、防災訓練も含まれています。大規模建築物などでのテナント出店の場合、年に数回の防災訓練の義務がかせられます。 

※地域毎に延べ面積や施設の種類に応じて防災訓練の回数や義務内容が異なる場合があります。最寄りの消防署に相談しましょう。

届出を出さないと消防法違反になる 

届出を出さないと消防法違反になる 

飲食店を開業する際、消防署への届け出を怠ると店舗経営に甚大なダメージをもたらす可能性があります。たとえば、防火管理者の届出や消防用設備等の設置に関する届出を忘れると、30 万円以下の罰金や拘留の対象となりえます。

しかし、飲食業にとって1番の問題となるのは、行政からの処分によって店舗の評判や信頼が一気に崩れることです。

消防法令に違反した場合、店舗は「違反建物」として消防機関のホームページに掲載される可能性があります。掲載された場合、お客様や仕入先からの信頼が一瞬で失われるリスクがあります。

また、使用停止命令が下される危険もあり、さらに広く公表されてしまう可能性もあります。口コミやオンラインでの評判に敏感な飲食店にとっては、取り返しのつかない打撃となるでしょう。

店舗経営の成功は、法令遵守が大前提です。届け出を怠ることで、今まで築き上げてきたすべてのものが一瞬で崩れ去ることがないよう、開業前から準備を整えておきましょう。

消防法に関する手続きは、単なる形式的なものではなく店舗の安全と未来を守るためにあります。

飲食店を開業するなら居抜き物件がおすすめ 

飲食店を開業する際、コストを抑えつつ、スピーディにお店を始めたいなら居抜き物件がおすすめです。居抜き物件とは、内装や設備が前の店舗のまま残っている物件のことです。

通常のスケルトン物件の場合、何もない状態からすべてをそろえる必要があり、労力や時間がかかります。店舗の規模に応じて厨房設備や備品に費用をかける必要があるため、初期費用が高くなります。

居抜き物件の場合は、前の借主が使用していた内装や厨房設備、備品をそのまま活用できるため、新たに購入する必要がありません。

さらに、間取りの変更を行わない場合、消防設備の届出や追加工事が不要となります。初期費用を大幅に削減できるだけでなく、手間や時間も節約できるのが居抜き物件の利点です。

早期に営業を開始できるため、すぐにビジネスを始めたい方や、コストパフォーマンスを重視する方には居抜き物件が向いているでしょう。

壁紙が気に入らない、カウンターの配置を換えたい程度であれば、少しの改装で済みます。改装したとしても、スケルトン物件に比べると大幅に費用を抑えられます。

こちらの記事では、店舗物件の探し方について解説しています。探し方のコツや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。 

まとめ

防火対象物使用開始届出書は、飲食店の使用を開始する7日前に提出します。防火管理者を決めた場合、防火管理者選任届出書と消防計画作成届出書を届け出なければなりません。

スプリンクラーや消火器などの消防用設備を設置した場合は、4日以内に消防用設備等設置届出書が必要です。厨房設備の設置の7日前には、火を使用する設備等の設置に関する届出書を出す必要があります。

消防用設備設置届出書は設置工事開始前に提出が必要です。設置後検査結果を消防署に提出し、消防検査済証の発行が必要です。

届け出を忘れてしまうと、消防法令違反による罰金や使用停止となる可能性があるため、必ず提出しましょう。

居抜きの神様では、飲食店の居抜き物件を中心にさまざまなエリアの物件を取り扱っています。独自の情報ルートを駆使し、ほかでは掲載されていない未公開物件の情報もご覧いただけるため、理想の物件が見つけられます。

また、業態ごとに物件を探せるため、居抜き物件のメリットであるコスト削減・時間短縮を最大限に生かして開業できます。開業サポートも承っておりますので、ぜひご利用ください。

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居抜き物件のことなら「居抜きの神様」に任せるのじゃ

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