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引用:FOOD STADIUM「「渋谷ニッカ」が開業。渋谷「酒場きんぼし」、学芸大学「びゃく」に続くマルホ3店舗。「あふれる野菜」をテーマにおばんざいや野菜のしゃぶしゃぶ、わっぱめしがウリの大人の居酒屋」
2024年6月6日、渋谷に野菜を強みにした居酒屋「渋谷ニッカ」がオープンした。運営はマルホ(東京都渋谷区)で、「酒場きんぼし」「びゃく」に続く3店舗目の居酒屋。既存2店舗は、代表の池上善史氏の実家である秋田の青果店「保坂青果」から仕入れる野菜を用いた料理で成功を収め、今回の「渋谷ニッカ」も野菜料理を提供する居酒屋としてオープンした。キャッチフレーズには「あふれる野菜」を打ち出し、「野菜が美味しい居酒屋」としてブランディング。「旬の野菜のおばんざい」「野菜のしゃぶしゃぶ」「〆のわっぱめし」などの野菜料理を、隠れ家のような空間でゆったりと楽しめる。
「野菜の美味しいお店」「おばんざい」にこだわった居酒屋を3店舗経営!代表の池上氏のキャリアとは
マルホ代表の池上善史氏。「今後もやりたいことはたくさんある」と地方出店にも興味があるという。
2008年 | 実家のお好み焼き屋を手伝ううちに、「いつかは自分の店を持ちたい」という思いが芽生え、26歳から飲食業の道へ進む。 |
2011年 | 「朝日食堂」で居酒屋運営の基礎を学び、29歳でフーズサプライサービス株式会社に入社。「獅子十六」を経て、「汁べゑ六本木店」店長を務める。 |
2014年 | 株式会社ブラボー・ピープルズ取締役に就任し、32歳で全店統括を任されるなど、会社経営に携わる。 |
2018年 | 酒場きんぼし」を渋谷にて開店。 | 36歳で独立し、秋田野菜のおばんざいをウリとする「
2021年 | マルホ株式会社を設立する。 |
2022年 | びゃく」を学芸大学にて開店。 | 2店舗目の居酒屋「
2024年 | 渋谷ニッカ」を渋谷にて開店。 | 3店舗目の居酒屋「
渋谷区の居抜き店舗で居酒屋を出店したのは「酒場きんぼし」の取りこぼしキャッチと、大箱への挑戦から
出店の経緯について、池上氏はこう話す。
「酒場きんぼし」をオープンしてから7年。「酒場きんぼし」は有難いことに平日は2回転、週末は3回転と満席が続き、日々多くのお客様をお断りする状況です。近くにもう1店舗あればと思っていた時に、この居抜き店舗を紹介されました。
地下1階にあったのは、元溶岩焼き店の居抜き店舗。「酒場きんぼし」「びゃく」は11坪で25席前後なのに対し、26坪の広さで45席と既存店の2倍の広さだ。「大箱に挑戦したい」と考えていた池上氏にはうってつけの広さの居抜き物件だったそう。
地下1階の物件ではあるものの、「店の顔」となるファサードを大きく取り、視認性は良好。この点も決め手となったという。
座席はオープンキッチンのライブ感を感じられるコの字型のカウンター席を中心に、テーブル席を配置。奥には8名が収容可能な個室も用意し、ゆったりとした空間をつくっている。
「高貴な和室」をテーマにした店内。創業店から依頼しているデザイナーのTILTの椿 正明氏がデザインした。
渋谷区の「マークシティ裏」は、ビジネスチャンスのあるエリア
「渋谷ニッカ」がオープンしたのは、京王井の頭線渋谷駅とつながる複合ビル「渋谷マークシティ」と国道246号線に囲まれた道玄坂一丁目エリアである「マークシティ裏」。ここ最近、気鋭の酒場グループが次々に出店し、感度の高い人々が集まるトレンドエリアだ。
池上氏はこのエリアでの出店を決める際に、マーケットのポテンシャルにも注目していた。
マークシティ裏は、かつてはサラリーマンが多く飲んでいるエリアでした。それがコロナ禍によりサラリーマンに代わって若い方が増え、新しいお店が次々にオープンし人気を得ていきました。
コロナの影響が落ち着いた現在はサラリーマンも戻り、ますます盛り上がっているように思います。
得意な「野菜」というコンセプトは残し、「おばんざいをはじめとした野菜料理が美味しい居酒屋」としてブランディング
既存店の「酒場きんぼし」「びゃく」は、池上氏の妻の実家である秋田の青果店「保坂青果」から仕入れる野菜を使ったおばんざいを自慢とする居酒屋。3店舗目の「渋谷ニッカ」でも、変わらずこの野菜を軸にした理由を池上氏はこう語る。
「酒場きんぼし」からの取りこぼしを拾うにあたり、野菜というコンセプトは大きく変えない方がよいと思いました。
とはいえ、野菜を主役にするのは訴求が難しいことは常々感じていました。焼肉や焼鳥、すしや海鮮を食べに行こう、と肉や魚を目的にするシーンは多いですが、野菜を食べに行こう、とはなりにくい。
いままで「おばんざい」というアイテムにフォーカスを当ててきましたが、今回はさらに「あふれる野菜」というキャッチフレーズを打ち出し、「おばんざい」をはじめとした野菜料理が美味しい居酒屋としてブランディングしています。
池上氏のブランディングは成功し、「渋谷ニッカ」を訪れた人たちからの評価も高い模様。
オーナーの実家が秋田県の老舗の八百屋でかなり野菜にはこだわりがあり、東京ではなかなか出会えない地元野菜を楽しめる。料理が割烹レベルで、また味わいたくなる。
酒場きんぼしが満席で予約できず、系列店としてこちらを提案してもらい来店。他では味わえない野菜料理に出会え、グルメな友人も満足していた。
野菜を強みとした料理の完成度はもちろん、接客や店内の雰囲気を褒める声が多く、細かなところまで行き届いた店舗であることがうかがえる。
野菜本来の美味しさを引き立てるメニューと、和食と好相性のドリンクを提供する居酒屋に
「酒屋きんぼし」「びゃく」といずれも野菜を得意とする居酒屋だが、今回の「渋谷ニッカ」のオープンにあたり、あらためて野菜の調理法を深掘りしてブラッシュアップを図ったそう。
お客様に喜んでもらいたい気持ちで、いろいろと手を加えたくなるのですが……うちの強みは「保坂青果」から仕入れる良質な野菜。野菜そのものが美味しいので、やりすぎずシンプルな仕立てで、素材の良さを引き出すのがよいのでは、と思い至りました。
旬の野菜を使ったおばんざい
既存店同様に、「渋谷ニッカ」のウリは「旬の野菜を使ったおばんざい」。季節ごとに常時12品ほどのおばんざいを用意している。おすすめのおばんざいを楽しめる「3種おまかせ盛り合わせ」が人気だ。
野菜そのものの美味しさを活かす調理を心がけており、「ひばり野オクラ 塩茹で 明太マヨ」はシンプルに塩茹でのみだが、塩分濃度にこだわって最も美味しい状態に。「味良しこまち豆 塩蒸し」は出汁で湯がくのみだが、一番出汁を使用するなど細部にこだわり、野菜の美味しさを引き出す仕立てを意識している。
おばんざい「3種おまかせ盛り合わせ」(1580円)。「酒場きんぼし」では6種盛りだが、同店ではオペレーションを考えて3種に変更したそう。
合鴨とお野菜のしゃぶしゃぶ
たっぷりの野菜を楽しめる「合鴨とお野菜のしゃぶしゃぶ」も目玉商品。以前、池上氏が野菜のしゃぶしゃぶを食べ、出汁をくぐらせた野菜の美味しさに感動したことからラインナップされた。
「渋谷ニッカ」では店内でゆったりと過ごしてもらい、客単価を伸ばしたいといった狙いもあり、その点でもしゃぶしゃぶはぴったりのメニューだったそう。
「合鴨とお野菜のしゃぶしゃぶ」(2人前 3580円~)。秋田美人ネギ、わかまるネギ、いそがきほうれん草に合鴨スライスのセット。〆に「ちゃんぽん麺」(680円)も追加できる。
わっぱめし
〆にオススメなのがわっぱめし。曲げわっぱが秋田の特産品であることにリンクさせ、わっぱに炊いた状態の秋田産「あきたこまち」と具材を盛り、オーダー後に蒸し上げる一品だ。わっぱめしは常時数種類用意し、「鮭といくら」「釜揚げしらすと空豆」など季節ごとの具材のわっぱめしを提供している。
「酒場きんぼし」の創業時から土鍋ごはんをやってみたかったのですが、土鍋から炊くと注文から30分以上かかってしまう。わっぱめしなら遅くとも10分で提供できる。以前から研究を重ね、米の配合や蒸し時間を探り、当店ならではのわっぱめしを完成させました。
「わっぱめし 鮭といくら」(1980円)。炊いた米を具材とともにわっぱに盛って蒸し上げる。もち米を配合することで蒸してもぱさぱさにならず、もちっとした食感も楽しめるという。
その他のメニューやドリンク
上記の人気メニュー以外にお造りも用意。冷菜に、蒸しもの、揚げもの、煮もの、焼きものなど各種温菜も野菜を取り入れた品々だ。肉や魚も取り入れるが、あくまで主役を野菜とするのがこだわり。
多くの料理では肉や魚がメインで野菜は脇役という印象。当店では野菜を主役にした品々を用意しています。
ドリンクは和食と相性の良い日本酒をラインナップ。生ビール、レモンサワー、ハイボール、ジン、焼酎、ワインなど幅広いお酒を用意している。
・ひばり野オクラ 塩茹で 明太マヨ(880円)
・味良しこまち豆 塩蒸し(900円)
・おばんざい「3種おまかせ盛り合わせ」(1580円)
・合鴨とお野菜のしゃぶしゃぶ(2人前 3580円~)
・わっぱめし 鮭といくら(1980円)
・わっぱめし 釜揚げしらすと空豆(1580円)
・お造り(各種1080円~)
・サントリー プレミアムモルツ(680円)
・日本酒(900円~)
・宇和島レモンサワー(550円)
・角ハイボール(580円)
・濃厚抹茶割り(580円)
・ジン(各種700円)
・焼酎(各種650円~)
・ナチュラルワイン(グラス各種750円)
その他のメニューが気になる方はこちら
「渋谷ニッカ」の成功は、居抜き店舗と回転よりも単価を重視した居酒屋づくり
「渋谷ニッカ」の客層は20代の若い人からサラリーマンまで幅広いが、今回は大箱の居抜き物件を利用し、既存店にない個室を設けたことで新たな需要を獲得できているという。
渋谷の企業の飲み会で個室を利用してもらうことが多い。店としてもテーブル席で回転させるよりも、個室にて1日1組限定でゆったり過ごしてもらえれば、単価が取れるしオペレーションの負担も少ない。お客様からしても時間を気にせずくつろげる。
特に最近は会社の飲み会で二次会に行くことが減っているようなので、その点でも時間制限がないのは喜んでもらえるようです。
また、至近にある「酒場きんぼし」との棲み分けも図っている。「酒場きんぼし」は大衆酒場で単価5000円程度なのに対し、「渋谷ニッカ」は地下の隠れ家立地でゆったりと過ごせる雰囲気で単価5500~6000円としている。
実際に「渋谷ニッカ」を訪れた人の口コミでも、ゆったりと過ごせる店内であることがうかがえる。
居心地の良い空間で、美味しい料理を楽しめた。軽くのつもりが、思いのほか長居してしまった。
和のテイストが入ったお店がおしゃれで、ゆっくりとくつろげる。料理が美味しいのはもちろん、スタッフの対応が良く、居心地の良いお店。
「渋谷ニッカ」は存在感ある外観の居抜き店舗を利用したことで、行き交う人からも認知されやすい。今後、野菜料理の美味しさが口コミで広がっていけば、ますますこの「マークシティ裏」で存在感を強めていくだろう。
(取材=大関まなみ)
店名 | 渋谷ニッカ |
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住所 | 東京都渋谷区道玄坂1-13-6 斉藤ビルB1F >> GoogleMapで見る |
アクセス | 京王井の頭線渋谷駅から徒歩4分 |
電話 | 03-6277-5489 |
営業時間 | 17:00〜23:30 (フードLO22:30、ドリンクLO23:00) |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 26坪45席 |
客単価 | 5500~6000円 |
運営会社 | マルホ株式会社 |
オープン日 | 2024年6月6日 |
関連リンク | 渋谷ニッカ(Instagram) |
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。
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