飲食店の「廃業」と「閉店」の違いとは?手続き・費用や具体的な流れまで解説

飲食店を経営する中で、店舗を畳む決断を迫られた際、直面するのが「廃業」や「閉店」といった言葉の定義です。これらの言葉は混同されがちですが、対象となる範囲や事業を継続するかどうかといった点で違いがあります。本記事では、飲食店の売却や撤退を検討中の方に向けて、廃業と閉店の違いや関連用語、必要な手続き、費用、廃業・閉店に向けた流れを解説します。

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目次

廃業とは?

廃業とは、一般的に会社や個人事業主が自ら事業をやめることを指します。飲食店の場合、店舗の営業を終えるだけでなく、事業そのものを終了することをいいます。

飲食店が廃業する理由の一つに、後継者不在による黒字廃業があります。中小企業庁のデータによると、日本の中小企業では経営者の高齢化が進み。店舗に利益が出ていても、引き継ぐ人がいないために廃業を選択せざるを得ないケースも増えています。

廃業は倒産とは異なり、基本的に経営者が自主的に判断して行う場合に使われます。例えば、長年地域で愛されてきたレストランが、店主の高齢や健康上の理由で、借金もなく余力があるうちに事業を畳むケースなどが該当します。

参考:中小企業庁「事業継承を知る」

閉店とは?

閉店とは、特定の店舗がその場所での営業を終了することを指します。飲食店が閉店する理由は、売上不振だけでなく、賃貸借契約の満了や建物の老朽化、店舗の移転、経営方針の変更など多岐にわたります。

閉店はあくまで特定の店舗での営業終了を示すもので、事業そのものが終了するとは限りません。例えば、複数店舗を運営する飲食店が不採算店舗だけを閉め、ほかの店舗の営業を続ける場合は「閉店」にあたります。一方、1店舗のみを経営する飲食店が、店舗を閉めると同時に事業そのものをやめる場合は、閉店に加えて廃業にも該当します。

飲食店の廃業と閉店の違い

廃業と閉店は混同されやすい言葉ですが、意味する範囲が異なります。閉店は特定の店舗での営業終了を指し、ほかの店舗で営業を続けたり、別の場所へ移転したりする場合もあります。一方、廃業は事業そのものをやめることで、店舗の営業も事業主としての活動も終わります。ここでは、従業員への対応や行政手続き、費用の面から両者の違いをみていきましょう。

従業員への対応

従業員への対応は、廃業と閉店で違いが生じやすいポイントです。閉店後も運営主体が存続する場合は、従業員をほかの店舗へ配置転換し、雇用を継続できるケースがあります。例えば、複数店舗を運営する飲食店が1店舗を閉める場合、別店舗へ異動できれば人材を引き続き活用できます。

一方、廃業によって事業そのものを終了し、雇用を継続できない場合は従業員の解雇が必要です(ただし、事業譲渡などによって雇用が引き継がれるケースもあります)。

従業員を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に解雇予告を行うか、30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払う必要があります。解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められるため、早めに対応を検討することが大切です。

行政手続き

保健所や消防署への届出は、廃業でも閉店でも「その店舗での営業をやめる」という点では同じです。保健所には廃業(営業廃止)の届出を、防火管理者を選任している場合は消防署に防火管理者の選任・解任の届出を行います。提出期限は営業終了から10日以内などと設定されている場合があります。届出の名称や提出期限は自治体によって異なるため、管轄の窓口で確認してください。

税務署への手続きは、個人事業主と法人で異なります。個人事業主が廃業する場合は、廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出します。法人が1店舗のみを閉店し、会社自体は事業を継続する場合、法人そのものを廃業するための届出は必要ありません。ただし、事業所の廃止に伴う届出が必要になることもあるので、税理士や税務署に確認するとよいでしょう。会社自体を解散させる場合は、別途、登記や申告が必要です。

深夜に酒類を提供していた場合は、警察署への廃止の届出も必要です。これらの手続きを怠ると、将来別の事業を始めるときや店舗を譲渡するときの妨げになる可能性があるため、チェックリストを作成して確実に済ませましょう。

かかる費用

廃業・閉店のどちらでも、賃貸店舗を明け渡す場合は、原状回復費用(スケルトン工事費)や不用品の処分費用、公共料金の精算、解約予告期間中の家賃などが発生する可能性があります。飲食店は厨房設備や排気ダクト、給排水設備などが設置されているため、契約内容によっては原状回復費用が大きな負担になることもあります。

事業そのものを廃業する場合は、従業員への支払いや各種契約の精算などが必要になることがあります。法人を解散・清算する場合には、登記などに伴う費用も考慮しなければなりません。

廃業・閉店にかかる費用を抑える方法の一つが、居抜き売却です。貸主の承諾などの条件を満たせば、内装や厨房設備を残したまま次の事業者へ引き継ぐことで、原状回復費用を抑えられ、さらに造作や設備を売却できる可能性があります。閉店を決めた段階で、居抜き売却が可能か早めに確認しておくとよいでしょう。

廃業・閉店と関連用語との違い

廃業や閉店に関連する言葉には、閉業、休業、倒産、解散、清算などがあります。似た意味で使われることもありますが、それぞれ指している状態や手続きは異なります。飲食店の廃業・閉店を考える際に知っておきたい関連用語との違いを整理します。

閉店と閉業の違い

「閉業」は「閉店」と似た響きの言葉ですが、一般的に閉店が特定の店舗の営業終了を指すのに対し、閉業は事業(なりわい)そのものの営業を終えることを指します。

例えば、複数店舗を運営する飲食店が1店舗だけ営業を終了する場合は「閉店」と表現するのが基本です。これに対し、個人経営の飲食店が店舗を閉めて事業そのものも終える場合、「閉業」や「廃業」と表現されることがあります。

廃業と休業の違い

休業とは事業をやめるのではなく、一時的に営業を止めることを指します。廃業は事業そのものをやめることに対し、休業は将来的な再開の意思がある点が大きな違いです。例えば、店主の病気療養や店舗の改装、あるいは社会情勢の変化による一時的な営業自粛などが休業に該当します。

休業中も店舗の賃料や設備の維持費などが発生する場合があるため、再開時期や費用を踏まえて判断することが大切です。

廃業と倒産の違い

廃業と倒産は、どちらも事業が終わるという点では共通していますが、そのきっかけと財務状況が異なります。倒産は借入金の返済ができなくなったり、不渡りを出したりして、事業の継続が客観的に不可能になった状態を指します。なお破産は、倒産時に利用される法的手続きの一つです。

これに対し、廃業は経営者が自分の判断で事業をやめることを指します。廃業は経営状態が健全であっても、戦略的な出口として選ばれることが多くあります。

廃業と解散の違い

法人の場合、廃業へ至るプロセスの中に「解散」というステップが含まれます。会社が通常の事業活動を終了し、清算手続きに入ることです。廃業が事業をやめることを表す一般的な言葉であるのに対し、解散は法人を終了させるための法的な手続きの一つです。

例えば、株式会社として飲食店を運営している場合、株主総会で解散の決議を行い、登記を行ったうえで清算手続きへ進むのが一般的です。解散した時点で法人格が直ちに消滅するわけではなく、清算の目的に必要な範囲で会社は存続します。

廃業と清算の違い

清算は、解散した会社の財務関係を整理する手続きのことです。会社の債権を回収し、債務を支払ったうえで、残った財産があれば株主などに分配する一連の作業を指します。

飲食店の場合、厨房設備の売却代金や店舗の敷金返還分などを回収し、そこから未払いの仕入れ代金や従業員の給与、税金などを清算していきます。

清算手続きが終了すると清算結了となり、その後、清算結了の登記を行います。この清算過程で、いかに資産を高く売却できるかが、最終的に手元に残る金額を左右します。

飲食店の廃業・閉店に向けた流れ

飲食店を廃業・閉店する際は、契約や法務に関する事務作業を計画的に進めましょう。真っ先に確認すべきなのが、賃貸借契約書に記載された「解約予告期間」です。事業用の物件では、多くの場合、退去の3ヵ月から6ヵ月前までに通知するように定められています。解約予告期間は契約によって異なるため、早めに確認しておくことが大切です。

例えば、6ヵ月前予告の契約であれば、すぐに営業を終了したいと思っても、原則として6ヵ月後までの家賃を支払い続けなければなりません。さらに、一度解約予告を出すと後から取り消すことが難しい場合もあるため、通知するタイミングにも注意が必要です。

次に、店舗をどのような状態で明け渡すかを検討します。賃貸借契約では、内装や設備を撤去して原状回復するよう定められているケースがあります。一方、貸主の承諾を得て、内装や厨房設備などを残したまま次の事業者へ引き継ぐ居抜き売却ができる場合もあります。居抜き売却が成立すれば、原状回復費用を抑えられるほか、造作や設備を売却できる可能性もあります。

居抜き売却を検討する場合は、解約予告を出す前に不動産会社へ相談し、売却の可否や進め方を確認しておきましょう。解約日が決まると、次の事業者を探せる期間が限られる場合があります。

また、飲食店では、製氷機や食器洗浄機、POSレジなどをリースやレンタルで導入していることも多いです。リース品はリース会社の所有物であるため、自己判断で処分したり、次の事業者へ売却したりすることはできません。返却や契約終了時の精算、買い取りの可否などは契約内容によって異なるため、事前にリース会社への確認が必要です。

飲食店の廃業・閉店時には居抜き売却を検討しよう

飲食店の「廃業」と「閉店」は、事業そのものを完全にやめるのか、あるいは店舗単位での営業を停止するのかという点で違いがありますが、賃貸借契約の解約や原状回復、設備の処分など、さまざまな費用や手続きが発生します。

特に賃貸店舗では、契約内容によってスケルトン状態まで戻す原状回復が求められることもあり、閉店時の大きな負担になりやすい点に注意が必要です。

現在、店舗の売却や撤退を検討されているオーナー様にとって、最も賢明な選択肢は「居抜き」としての価値を最大限に活かすことです。廃業や閉店に伴う経済的な損失を最小限に抑え、次のステップへ向けて資産を残すために、まずは専門の不動産会社に相談し、店舗の現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

廃業や閉店に伴う店舗売却を検討されている方は、ぜひ「買取の神様」へご相談ください。首都圏から九州まで広範囲にわたるエリアで、これまで数多くのオーナー様を支えてきた豊富な実績があります。売却の時期が具体的に定まっていない状態での相談も喜んで承りますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

首都圏在住・ライター歴7年。東京近郊の食べ歩きが趣味です。路地裏にあるような穴場の名店を見つけると嬉しくなります。元マスコミ勤務の経験を活かし、正確で読みやすい情報提供を心がけています。

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