飲食店を全面禁煙にするデメリット・メリットを解説

飲食店を全面禁煙にするデメリット・メリットを解説

飲食店を開業する際に、全面禁煙にするかどうかは、店の経営に大きな影響をもたらします。改正健康増進法の影響や健康意識の高まりによって、日本の飲食店の全面禁煙は今後さらに進められるでしょう。しかし、全面禁煙にするからこそのデメリットもあります。

そこで今回は、飲食店を開業するにあたり、店舗を全面禁煙にするデメリットとメリットについて解説します。これから開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店を全面禁煙にするデメリット 

飲食店を全面禁煙にするデメリット 

全面禁煙を導入する場合、健康や社会的なメリットが多い反面、いくつかのデメリットもあります。この章では、3つのデメリットについて詳しく解説します。

客離れの可能性がある 

大きなデメリットのひとつとして、客離れの可能性がある点が挙げられます。たとえば、飲食と喫煙を同時に楽しみたい喫煙者層の足が遠のくことが予想されるでしょう。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(平成元年~令和元年)」によると、男性の場合は30~60代の喫煙率が30%以上と高く、 同僚と飲食店で喫煙を楽しむ機会が多い世代であるため、全面禁煙にするとこうした年齢層の顧客を得にくくなることになります。

ターゲットにする客層を変えるほか、外に喫煙スペースを設けるなど、何らかの工夫をしなければ、顧客数を確保・維持するのは難しいでしょう。

売り上げの低下につながる可能性がある  

売り上げの低下につながる可能性がある  

全面禁煙にすると、喫煙者層の足が遠のくことや顧客の滞在時間が減ることによって、売り上げの低下につながる可能性があります。近隣に喫煙可能な飲食店があれば、さらに客離れは加速するでしょう。

また、とくに飲食店の深夜営業は、喫煙する顧客にとって大きな魅力となります。夜遅くまでお酒を飲みたい・食事をしたいという喫煙者は、タバコを吸いながらリラックスしたいと考えるでしょう。

結果として長時間店に滞在する場合が多く、追加注文が発生することで、深夜営業中の客単価は高くなる傾向があります。とくに、深夜営業中に紙タバコがOKかNGかによって、売り上げに大きな差が出ることは避けられないでしょう。

常連や想定される顧客層の大多数が紙タバコを喫う人である場合、全面禁煙ではなく分煙にするなど、ある程度の喫煙を許容して対策を講じる必要があります。

禁煙化対応にコストがかかる 

禁煙化対応にコストがかかる 

分煙スペースや屋外の喫煙所を設置する場合、設備設置費用などの初期費用が発生します。また、喫煙OKだった物件で全面禁煙を進めるのであれば、臭いやヤニを取り除かなければならず、クロス張り替えなどの工事費用がかかる可能性もあるでしょう。

さらに、初期費用だけでなく、空気清浄機を稼働させる電気代などランニングコストも必要になってくることを考慮に入れながら、効率的で顧客満足度を維持する対応をしなければなりません。

飲食店を全面禁煙にするメリット 

飲食店を全面禁煙にするメリット 

全面禁煙化は、客離れやコスト面の負担など、オーナーにとって不安を抱く要素が多数あります。一方、長期的な店舗経営においてはプラスの影響が期待できるため、メリットも把握しておきましょう。

タバコの臭いを気にせず食事を楽しめる 

ひとつ目のメリットとして、タバコの臭いを気にせず食事が楽しめることが挙げられます。非喫煙者にとっては、タバコの臭いを感じるだけで、どれだけ美味しい食事を出されても十分に楽しめないこともあります。

非喫煙者は普段タバコを吸わない分、タバコの臭いに敏感であり、少しでも臭いを感じると食事に集中できない方も多いでしょう。全面禁煙にすれば、非喫煙者も食事を楽しめる快適な環境を提供できるはずです。

喫煙者の集客が難しい一方で、非喫煙者の集客効果を上げられるのはうれしいポイントでしょう。

女性客やファミリー層を増やせ る

2つ目のメリットは、女性客・ファミリー層を増やせることです。女性や小さい子どもがいる家族はタバコを避ける人が多いため、タバコの煙や臭いを感じない店内は、大きな魅力となります。

これまでタバコの煙・臭いを避けていた客層を取り込める可能性が高く、長期的に見ると店舗経営に大きなメリットをもたらします。

店舗の回転率が上がる 

店舗の回転率が上がる 

店舗の回転率が上がることが、3つ目のメリットです。喫煙可能な店では、食事だけでなくタバコを吸うために席に長くとどまる顧客が多くなります。

しかし全面禁煙にすると、席にとどまる理由がなくなります。食事が終わったらスムーズに席を立つ顧客が増えるため、店の回転率向上につながるでしょう。

また、灰皿の片付けなど喫煙に関わる業務が減る点も、回転率が上がる要素のひとつです。スタッフが効率的にサービスを提供できるようになるため、結果的に売り上げを高める効果も期待できるでしょう。

全面禁煙化した店舗の事例 

メリットやデメリットを知ったうえで、全面禁煙に踏み切った事例を見ていきましょう。中には、客層の拡大化に成功した例もあります。

具体的にどのような対策を講じたのか、結果的にどのような影響が出たのか、飲食店の開業を検討中の人は参考にしてみてください。

すかいらーく 

すかいらーくホールディングスは、バーミヤンやガスト、ジョナサンなど多数の飲食店ブランドを運営するファミリーレストランの大手です。2019年9月から全店の敷地内に対して、禁煙化を実施しました。

禁煙化を導入した月は客数が減少しましたが、客単価は上がり、結果的に売り上げは向上したという結果に落ち着いています。具体的には、禁煙ブースをキッズスペース・ベビールームに改装する取り組みを行いました。

非喫煙者やファミリー層の利用が増え、結果的に集客が成功したと考えられます。また、スタッフに対して、禁煙やオンライン通院のサポートをするなどの取り組みをしている点も評価すべきポイントでしょう。

サイゼリヤ 

サイゼリヤ 

サイゼリヤでは、2019年6月から全店舗で全面禁煙化が実施されています。以前までは店内に喫煙席が設けられていましたが、美味しい環境下で料理を味わってほしいという想いのもと、禁煙化実施が決定しました。

こちらも、全面禁煙実施直後の来客数はマイナスでした。要因としては、サイゼリヤが提供するアルコール類が挙げられます。アルコールとタバコを楽しみたいという客層が、禁煙化にともない来店しなくなったことで、経営面に影響を及ぼしたと考えられます。

しかし、2019年8月期の決算短信によれば、前期と比較した際の売上は上昇していることから、サイゼリヤのターゲット層である若者層やファミリー層などには効果的な施策だったといえるでしょう。

ココス 

ココス 

ファミリーレストランであるココスは、2019年10月から、原則として全店全席禁煙化を実施しています 。ココスを運営しているゼンショーホールディングスによると、家族連れの要望に応えるために実施を決定したとのことです。

禁煙化によって、ココスのターゲット層であるファミリー層の支持を集めやすくなり、従業員の健康面を守れるなどのメリットが得られています。

串カツ田中 

串カツ田中は2018年6月、ほぼ全店で全席禁煙化または一部のフロアを分煙化したと発表しました。1か月実施結果によれば、家族連れや未成年といった客層の変化がみられ、客単価・深夜帯の売り上げが減少したとのことです。

従業員アンケートからは、来客数自体は増えたという声や回転率が上がったという前向きな変化がみられました。居酒屋業態で禁煙化を実施するのは困難だといわれるなか、家族連れなどの新しい客層にアプローチできた点は、全面禁煙化成功の好例だといえるでしょう。

こちらの記事では、分煙の居酒屋が増えた理由や、喫煙にまつわる法律を解説しています。受動喫煙防止対策に関する助成金についても取り上げているため、ぜひあわせてお役立てください。 

まとめ

まとめ

飲食店を開業するには、設備設置や工事費用など、多くのコストがかかります。全面禁煙で開業を目指す場合は、さらにタバコの臭い・ヤニ除去にかかる費用や空気清浄機の設置・稼働にかかる費用などが必要になるでしょう。

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