ジョッキの容量が何ミリかは、大中小とサイズによって異なります。一般的には、中ジョッキでビールが提供されている店舗が多い傾向にありますが、グラスや瓶ビールで提供するのも選択肢のひとつです。
本記事では、ビールジョッキやグラスの選び方、ビールをジョッキで飲む理由をご紹介します。そのほか、ビールを美味しくジョッキに注ぐポイントもお伝えするため、飲食店でビールを提供しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ビールジョッキに入る平均的な量は何ミリ?
ジョッキでのビール提供を検討する際に、容量がどの程度なのか疑問を持つ方もいるでしょう。以下では、ジョッキの種類別の容量や、瓶ビールと缶ビールの容量の違いをご紹介します。
容量はジョッキやお店によって異なる
ビールジョッキの容量は、大きさやお店によって異なります。ビールジョッキの容量が何ミリか明確に定められておらず、だいたいの容量で認知しているところがほとんどです。
各サイズのビールジョッキの容量は、小ジョッキが200〜300ミリリットルほど、中ジョッキが330〜500ミリリットルほど、大ジョッキが700〜800ミリリットルほどです。
ただし、ビールの注ぎ方でどれくらいの泡が立つのか変わるため、ジョッキの容量と同じ量のビールが入るわけではありません。ビールと泡の黄金比は7対3であり、提供するまでに泡が落ち着くことを考慮すると、ジョッキ全体の8割程度がビールの容量といえます。
また、ほとんどのメーカーでは、435ミリリットルの中ジョッキが扱われています。泡を立てても350ミリリットルの缶ビールが注げます。
瓶や缶との容量比較
国内メーカーの瓶ビールの容量は、主に小瓶が334ミリリットル、中瓶が500ミリリットル、大瓶が633ミリリットルと決まっています。ビールジョッキと比較すると、泡が立つことを考慮すると、小瓶は中ジョッキ、中瓶は大ジョッキに注ぐとちょうどよいです。
大瓶は、泡の量がプラスされるので、大ジョッキでは溢れてしまう可能性があります。大瓶のビール1本をジョッキで飲む場合は、小ジョッキや中ジョッキで何度かおかわりすることとなります。
また、缶ビールの容量は、主に350ミリリットルと500ミリリットルの2種類です。缶ビール300ミリリットルは中ジョッキ、500ミリリットルは大ジョッキの容量に近いです。
こちらの記事では、生中とお店の売上との関係性について解説しています。生ビールの原価やできるだけ安く提供する方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
ビールジョッキ以外の容器
飲食店のビールは、ビールジョッキ以外に、さまざまな種類のグラスや容器で提供するケースがあります。以下では、ビールジョッキ以外の容器を3つの項目に分けてご紹介します。
ビールグラス
ビールグラスの容量は、一般的に210〜380ミリリットルほどです。種類によって容量が大きく異なり、ビールの種類によって使い分けているところもあります。
小ジョッキの代わりにビールグラスで提供している場合もあり、飲み口の厚さにこだわったものや、おしゃれなデザインが特徴的なものなどさまざまです。ビールグラスは、主に9種類あります。
タンブラー
タンブラーグラスは、飲み口と底の大きさがほぼ同じの筒型の容器です。ビールをはじめ、ハイボールや酎ハイなどのさまざまな種類のお酒に適しているので、複数の飲みものを扱う飲食店にとっては万能です。
ガラスだけではなく、ステンレスや陶器などさまざまな素材のタンブラーがあります。ステンレス製のタンブラーは高い保冷性が特徴で、長時間冷たいビールをキープできます。容量は、180〜300ミリリットル以上のものまでバリエーションが豊富です。
デザインがカジュアルで扱いやすいため、飲みものの注文数が多い飲食店では重宝されます。一般的には、さまざまな種類のビールに合いますが、なかでもピルスナーやヴァイツェンとの相性がよいです。
チューリップ
チューリップグラスはチューリップの花のような形状で、足が付いているグラスです。チューリップグラスの底は、半円を描くようにカーブになっており、グラス内で対流が起こりやすい形状になっています。
グラスを傾けたときに底から飲み口にかけて広がり、飲みものの香りや味わいが変化しやすいため、ワイングラスとしても使用されています。ビールを注ぐ場合は、香りに特徴があるエールビール全般に最適です。
また、チューリップグラスの容量はメーカーによって大幅に異なります。同じチューリップグラスに分類されるグラスでも、くびれの有無やグラス全体の細さなどに違いがあります。
ピルスナー
ピルスナーグラスは、縦に細長く直線的な形状をしている容器です。薄張りのグラスでつくられているものが多く、ビールジョッキとは違った飲み口でビールを楽しめます。
ピルスナーグラスにビールを注いだとき、きめ細かい泡が立ちやすく、ビールならではの苦味を強く味わえます。容量は、285ミリリットルや330ミリリットルのものが多い傾向です。爽やかな苦味やキレが特徴のピルスナーやボヘミアン・ピルスナーに適しています。
パイント
パイントグラスは、飲み口が広く底に向かって細くなっている特徴があります。パイントとは容量の単位であり、1パイントは568ミリリットルです。グラスの容量は、560〜580ミリリットルほどです。
飲み口が広いため、チューリップグラスのようにビールの香りをグラス内にとどめることで、飲んだときにダイレクトに香りを楽しめます。ビールのなかでも、香りが特徴的なペールエールやスタウト、IPA、黒ビールのピーターとの相性が抜群です。
ヴァイツェン
ヴァイツェングラスは、上部が膨らんでおり下部が細い形状の容器です。ドイツ発祥のグラスで縦に長い形状になっており、500ミリリットルや700ミリリットルなど容量は大きめです。
背が高い形状はビールを注いだときの泡持ちがよく、香りが閉じ込められます。そのため、香り高さが特徴的なヴァイツェンやドイツビールとの相性がよいです。
フルート
フルートグラスは足が付いており、飲み口から底まで細長い形状の容器です。容量は200ミリリットル〜240ミリリットルほどで、飲み口から底の中間部に膨らみがある形状のフルートグラスもあります。
細長い形状は泡立ちと泡持ちをよくするため、炭酸が抜けにくい点が特徴です。ビールのなかでも、酸味と香りが強いサワーエールやフルーツビールに適しています。
IPA
IPAグラスは、丸みのある上部と波打った下部が特徴の容器です。下部が凸凹しているので、ビールを飲むたびに泡立ちやすく、ビール独特の香りと味わいを楽しめます。
容量は、350ミリリットルのビールを注いだときに泡も含めておさまるものが多いです。グラスの名前のとおり、IPAとの相性が抜群です。
ゴブレット
ゴブレットグラスの上部は丸みを帯びており、短い足が付いています。チューリップグラスの足の部分を短くしたような形状になっており、しっかり傾けないと飲みづらい点が特徴です。
容量は150〜360ミリリットルほどと、メーカーによって差があります。少しずつ味わうビールに適しており、バーレイワインやストロングビールなどのアルコール度数が高いビールにおすすめです。
オリジナルグラス
オリジナルグラスは、店名や店舗のロゴなどがプリントされたグラスです。グラスの形状は、ジョッキやタンブラー、チューリップなど店舗によって異なります。
オリジナルグラスを導入することで、取り扱っているビールの銘柄に合った形状を採用できるうえ、店舗の知名度アップにもつながります。
飲食店のなかには、1日頑張ったお客さまを労う言葉をプリントしたグラスを使用していることもあります。特別感を演出することで競合店との差別化、リピーターの獲得、注文率向上により売り上げアップなどのメリットが期待できます。
瓶ビール
瓶ビールは、海外ではそのまま口を付けて飲むスタイルが主流です。一方で、日本ではジョッキやグラスに注いでから飲む場合が多く、そのまま飲むと炭酸が強いと感じる方もいます。
瓶ビールを美味しく注ぎたい場合、高い位置からビールを注ぎ、ジョッキやグラスの9割まで泡立ったら、一旦注ぐのを止めます。泡とビールが1対1になったら、低い位置からビールを注いで、ジョッキやグラスの9割のところに泡が達したところで再び止めましょう。
泡とビールが4対6の比率になったら、再度低い位置からビールを注いで、泡の位置を持ち上げたら完成です。最終的に、泡とビールの比率が3対7になるようにすることがポイントです。
缶ビール
缶ビールは瓶ビールとは異なり、そのまま口を付けて飲む方も多いでしょう。缶ビールはそのカジュアルさと親しみやすさも相まって、屋台などでの提供に用いられることもあります。
ただし、缶ビールは冷えやすく、美味しく飲める約6度〜8度を下回ってしまうケースが多いです。缶ビールを美味しく飲みたい方は、瓶ビールと同じ方法でジョッキやグラスに注ぐとよいでしょう。
ビールをジョッキで飲む理由
ビールを注ぐ容器といえば、ジョッキをイメージする方が多いのではないでしょうか。実際に、ビールをジョッキで提供している飲食店が多い傾向にあります。以下では、ビールをジョッキで飲まれている理由を2つご紹介します。
飲み口が厚く爽快感を味わえるため
ビールジョッキはビールグラスと異なり、飲み口が厚くつくられています。飲み口の厚さは飲みものの味わいに影響を与え、ビール独特の爽快感のある味わいを楽しみたい場合に最適です。
ビールを飲むときに、唇の力を抜いて口を半開きになる程度の厚みが理想的といわれています。ビールジョッキの飲み口は、ビールを美味しく飲むのに適した厚さでつくられています。
時間が経っても美味しさを保つため
ビールジョッキは持ち手があることから、直接ジョッキに手の温度が伝わりにくい点が特徴です。さらに、ジョッキのガラスは分厚くつくられており、周囲の温度にも影響されにくいメリットがあります。
この性質からビールの冷たさを保つことができるため、時間が経っても美味しく味わえます。お酒を楽しめる居酒屋では、ご飯やおつまみを食べながら長時間滞在することが想定されるため、ビールジョッキでの提供が多くなります。
ビールジョッキやグラスの選び方
飲食店で扱うビールの銘柄によって、適切な種類のビールジョッキやグラスを選ぶことがポイントです。ここでは、ビールジョッキやグラスの選び方を4つの項目に分けてご紹介します。
形状
ジョッキやグラスの形状は、ビールを飲んだときの香りや味わいに影響を与えます。どのようなビールを提供するかによって、ジョッキやグラスの形状を決めるとよいでしょう。
たとえば、キリッとした爽やかな苦味のあるビールは、細長い形状のジョッキやグラスがおすすめです。
喉ごしを楽しめる爽快なビールは、重量感のある飲み口の厚いビールジョッキがおすすめです。ほかのグラスと比べて容量が大きいジョッキもあるため、アルコール度数が少ないビールにも適しています。
きめ細やかな泡が立ちやすいビールは、飲み口から底の中央部分がくびれた形状のジョッキやグラスがおすすめです。また、香りに特徴のあるビールは、ワイングラスのような丸みを帯びたグラスがおすすめです。
飲み口の広さ
飲み口の広さにより、ビールを飲んだときに口に入ってくる量や流れが異なります。味わいや喉ごしにこだわりがある場合は、飲み口の広さに着目しながらグラスを選ぶとよいでしょう。
鼻までおさまるほど飲み口が広いジョッキやグラスは、口に入ったときの味わいとともに、鼻でも香りを楽しめます。そのため、アルコール度数が高いビールや、香りに特徴のあるビールがおすすめです。
一方で、飲み口が狭いジョッキやグラスは、ごくごく飲めるアルコール度数が低いビールに適しています。
また、狭いグラスは喉ごし重視で、ごくごくと飲みたいビールに適しています。喉ごしのよさが特徴のビールを扱う飲食店は、飲み口が狭く容量の大きいジョッキやグラスを選ぶとよいでしょう。
素材
ビールジョッキやグラスはガラス製が一般的ですが、ステンレス製や陶器製、金属製などさまざまな素材のものがあります。素材によって口当たりや機能性が異なるため、重視する点にあわせて素材を決めるとよいでしょう。
たとえば、ビールの色や泡を目で見て楽しみたいならガラス製、保冷性を重視するならステンレス製、口当たりの柔らかい泡をつくりたいなら陶器製が適しています。同じ形状のジョッキやグラスでも、素材によって楽しめる要素が変わります。
容量
ビールジョッキやグラスの容量はつくるメーカーによって異なるため、明確な基準はありません。しかし、提供する1杯あたりの量は原価コストや売り上げに直結するため、適切な容量を見極めて選ぶことがポイントです。
海外製のビールは樽ではなく瓶や缶で納品されることが多く、使い切れる容量のジョッキやグラスで提供することがおすすめです。海外メーカーの専用のジョッキやグラスの利用も検討するとよいでしょう。
ビールを美味しくジョッキに注ぐためのポイント
ビールの注ぎ方によって、同じ銘柄や容器でも美味しさが異なります。以下では、樽生ビールを美味しくジョッキを注ぐためのポイントを2つの項目に分けてご紹介します。
ビールサーバーを毎日清掃する
ビールサーバーは1日でも清掃を怠ると、ビールの品質に影響するおそれがあります。不衛生な環境にしてしまうとビールに雑菌が入り、ビールの鮮度を落とす要因にもなります。
ビールサーバーの掃除の方法は、毎日行う水通し洗浄と週1回行うスポンジ洗浄があります。以下では、水通し洗浄とスポンジ洗浄のそれぞれの流れをご紹介します。掃除方法を知っておきたい場合は把握しておきましょう。
水通し洗浄
水通し洗浄は、まず洗浄樽のなかが綺麗なことを確認し、洗浄容器に水を入れて蓋を閉めます。樽のヘッドを外して洗浄樽に取り付け、止まるまで時計回りに回します。
次に、ビールタップに洗浄用バケツをセットし、ビールを抽出していたときと同じ圧力に調整して、タップが閉じるのを確認してからハンドルを下げましょう。タップを倒してビールから水に変わったら、クリーミータップ側も十分に水洗いし、この作業を繰り返します。
水がなくなったら、ビールラインとクリーミータップを十分に水切りし、ヘッドのハンドルを下げます。減圧弁の圧力設定ダイヤルを0に戻したら、元栓を締めて洗浄樽のガス抜きボタンで残りのガスを抜きましょう。
ヘッドを取り外してから水で樽口を洗い流し、綺麗な布巾やタオルで水分を拭き取ったら、キャップシールまたはキャップを被せます。水通し洗浄を終えたらビールサーバーは風とおしのよい場所に、洗浄機は逆さにして保管します。
スポンジ洗浄
スポンジ洗浄は前述の水通し洗浄を行ってから、洗浄樽に水を入れて蓋を閉めましょう。洗浄樽にヘッドを取り付けて止まるまで時計回りに回したら、タップを取り外してスライド弁を逆さにセットします。
タップを取り付けたらガス圧を調整して、ビールの継手を外します。ビールホースに洗浄スポンジを入れてヘッドに取り付け、タップに洗浄用バケツをセットしてからヘッドのハンドルを下げましょう。
洗浄が完了したら、減圧弁の圧力を0にしてから洗浄樽のガス抜きボタンでガスを抜きます。スライド弁をもとに戻したらタップを取り付けて、水を流して漏れないことを確認して終了です。
美味しく注ぐための方法を知る
美味しい樽生ビールを提供するには、注ぎ方をマスターしておくことが重要です。以下では、ビールの基本的な注ぎ方や泡とのバランスを解説します。ビールを注ぐ前は、ジョッキやグラスを冷蔵庫で冷やしておくとよいでしょう。
基本的な注ぎ方
ビールの基本的な注ぎ方は、コックの正面に立ち、ジョッキやグラスを斜め45度に傾けます。ジョッキやグラスの角度を固定したまま、内側に沿わせるようにビールを注ぎます。表面に泡を乗せながら、上がってくる液面に合わせてジョッキやグラスの角度を起こします。
ビールの泡は表面張力を利用すれば、膨らんだ状態でお客さまに提供が可能です。さらに、密度の高いクリーミーな泡をつくるには、容器とコックを離さないことがポイントです。
ビールと泡のバランス
ビールと泡は、一般的に7対3が黄金比といわれています。ただし、ビールの銘柄によっては、ビールと泡の黄金比が9対1であるものもあるので、銘柄に合わせて美味しく飲める泡との黄金比を知っておくとよいでしょう。
泡にはビールに蓋をする役割があり、炭酸が抜けたり酸化したりするのを防ぐ効果があります。ビールの美味しさを保つには、多すぎず少なすぎない量の泡をつくることがポイントです。
3度注ぎ
3度注ぎとは、泡を立てながら3回に分けて注ぐ方法です。海外のビール大国で生まれた伝統文化であり、ビールならではの香りが引き立ちやすく、まろやかなうま味も引き出します。
まず、高い位置から勢いよくビールを注いでいき、泡が落ち着くまで2分ほど待ちます。ジョッキやグラスの半分まで泡が落ち着いたら、滑らせるように内側に沿わせてビールを注ぎましょう。
この工程をもう1度繰り返して、3回に分けて注げたら完成です。3度注ぎしたビールは、時間の経過とともにビールの苦味が増し、苦味の変化を楽しめます。
こちらの記事では、居酒屋を開業する方法について解説しています。手順や費用、成功させるポイントなども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
ビールジョッキの容量は何ミリか明確な基準はなく、店舗のコストや提供する量などに合わせて選ぶことがポイントです。ごくごく飲むなら容量が大きいもの、アルコール度数が高くゆっくり飲むなら容量が小さいものなど、扱うビールの銘柄に合わせるとよいでしょう。
また、ビールグラスは、ジョッキよりも薄張りのガラスでつくられており、口当たりや香りなどに違いがあります。飲食店でビールを提供する方は、ビールの銘柄だけではなく、取り扱うジョッキやグラスにもこだわるとよいでしょう。
居抜きの神様では、関東エリアや大阪エリアのさまざまな居抜き物件の情報が検索できます。飲食店の開業を目指す方に向けて小型物件を中心に取り揃え、ほかのサイトでは掲載されていない未公開物件情報もご覧いただけます。無料の会員登録で、気になる物件の見学も可能です。ぜひお気軽にご利用ください。
コメント