飲食店の持ち込み料は?相場と料金を取るときの注意点を解説

飲食店の持ち込み料は?相場と料金を取るときの注意点を解説

近年、持ち込みを許可する飲食店が増えてきました。これは、特別な体験を通じて「喜んでもらいたい」「お店を気に入ってもらいたい」などという思いからです。ただし、持ち込み料の設定に悩む方も多いでしょう。

本記事では、飲食店の持ち込み料の相場や設定時のポイントを解説します。また、持ち込み料を設けることのメリット・デメリットについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店での持ち込み料はいくら?相場を調査

飲食店で持ち込みを認める際には、適切な持ち込み料を設定することが大切です。料金が高すぎると敬遠される可能性があり、逆に低すぎると利益を損ねてしまうおそれがあります。ここでは、一般的な持ち込み料の相場について解説します。

持ち込み料の相場

持ち込み料は、店舗のランクや持ち込まれる品物によって異なりますが、一般的にワインボトル1本あたり1,500〜3,000円程度が目安です。

多くの飲食店では「1本につき〇〇円」といった形式を採用しています。また、コースメニューを注文した場合に持ち込みが許可されるケース、あるいは「1人あたり〇〇円」といった設定をしているお店もあります。

持ち込み料を設定する際は、店舗で販売している商品の価格を基準に考えるとよいでしょう。具体的には、店頭での販売価格をもとに、販売時の利益額と同程度を持ち込み料とするのが一般的です。

また、商品によって利益率が異なる場合は、最も少ない利益額に1.5倍程度を掛けた金額を持ち込み料として設定するとバランスが取れます。

たとえば、ある商品の利益額が2,000円の場合、持ち込み料を3,000円に設定することで、両方にとって納得感のある価格設定となります。このように、持ち込み料は適切な利益を確保しつつ、顧客に受け入れられる価格であることが重要です。

持ち込み料がかかる理由

飲食店で持ち込み料がかかる理由は「お店の利益を守るため」です。飲食店の収益は、おもに提供する料理や飲み物の売上によって成り立っています。

とくに飲み物は大きな収益源のひとつであり、外部から持ち込まれることで売上が減少してしまう可能性があります。こうした収益の損失を補うために、持ち込み料が設定されています。

また、持ち込み料を低く設定しすぎると、多くの顧客が外部の飲食物を持ち込むようになり、お店の収益が圧迫されるリスクがあります。そのため、顧客満足を損なわず、店舗運営を維持するためには、適切な料金設定が大切です。

どんなものを持ち込める?

飲食店で持ち込みが許可されるもので最も一般的なのは、酒類、とくにワインです。これは、お店にない銘柄を楽しみたい方や、自宅で大切に保管していたワインを料理と一緒に味わいたいという方が多いためです。

次に多いのが、ケーキの持ち込みです。誕生日や記念日のお祝いの場として利用する方に向けて、ケーキの持ち込みを許可している店舗も少なくありません。このような特別なシーンに対応することで、顧客満足度を高める効果があります。

一方で、その他の飲食物は、多くの飲食店では持ち込みを禁止しているケースが多いです。

ただし、離乳食やアレルギー対応食品は、例外として許可されるケースがあります。とくに、赤ちゃん連れの家族には離乳食の持ち込みを認めることで、ファミリー層が利用しやすくなるため、こうした柔軟な対応を採用する店舗も増えています。

飲食店で持ち込みOKにするメリット

飲食店で持ち込みOKにするメリット

日本の飲食店では、持ち込みが一般的ではありませんでした。しかし、近年では海外の持ち込み文化が影響し、持ち込みを認める飲食店が増加しています。実際、持ち込みを許可することには、飲食店側にとってさまざまなメリットがあります。

ここでは、飲食店が持ち込みを許可することで得られるメリットについて紹介します。

集客や顧客満足度の上昇

持ち込みを許可することで、集客力や顧客満足度の向上が期待できるでしょう。たとえば、記念日にお気に入りのワインやケーキを持ち込むことで、滞在時間をより満喫し、特別な体験を楽しめます。

また、飲み放題の場合、持ち込み料が無料のお店もあります。ただし、その際はグラスやサービスの提供に費用がかかるため「グラス利用料」として1本ごとに料金を設定しているお店が多いです。

こうした体験を提供することで、お店に魅力を感じ、リピーターの獲得につながります。

そもそも、持ち込み文化が広がってきた背景には、特定の商品や体験を求める顧客ニーズの存在があります。現状、持ち込み可能な飲食店はまだ多くないため、需要に応えることで他店との差別化を図り、新規顧客を引き付ける大きなチャンスとなるでしょう。

持ち込みを許可することは、単に自由度を提供するだけでなく、お店の価値を高める効果があります。

料理の品質向上

お酒の持ち込みを許可する場合、料理に専念できるというメリットがあります。お店側は、多種類のお酒を在庫として抱える必要がなくなるため、仕入れコストを削減できます。このコストを料理の品質向上に充てることで、より美味しい料理を提供できるでしょう。

持ち込まれるお酒が質の高いものである場合、それに見合った上質な料理を求める傾向があります。料理の品質を向上させることで「美味しい料理が楽しめるお店」という評判が広がり、新規顧客の獲得やリピーターの増加につながるでしょう。

コストカット

お酒の持ち込みを許可することで、仕入れや在庫管理にかかるコストを削減できます。通常、お店でお酒を提供する場合、仕入れや在庫管理には手間とコストが必要ですが、持ち込みを認めることでこれらの負担を軽減できます。

たとえば、仕入れ値が2,000円のワインを4,000円で販売していた場合、持ち込み料を2,000円に設定することで、仕入れコストなしに収益として得ることが可能です。在庫リスクを抑えつつ安定した収益を確保できる点が、持ち込みを許可する大きなメリットです。

ただし、持ち込み料だけでは十分な収益を上げるのは難しいため、料理の注文をうながす仕組みを考えることが大切です。たとえば、コース料理とセットで持ち込みを許可するなど、お店の収益を補う工夫が求められます。

飲食店には賃料、光熱費、人件費などの固定費がかかるため、持ち込み料がどの程度収益に寄与するのかを見極めながら、全体の運営バランスを考えることが重要です。

飲食店で持ち込みOKにするデメリット

持ち込みを許可することで、集客や顧客満足度の向上などさまざまなメリットが得られますが、その一方でいくつかのデメリットも存在します。

ここでは、持ち込みを認めることで発生する可能性のあるデメリットについて紹介します。

衛生的なリスク

持ち込まれる飲食物は、飲食店が提供する料理とは異なり、衛生管理が十分に行われていないことが多いです。とくに、高温で長時間放置された場合、食中毒のリスクを高めます。

もし持ち込まれた食品が原因で食中毒が発生した場合、店側が責任を問われる可能性があります。最悪の場合、営業停止処分を受けることもあり、その間も家賃や借入金の返済といった固定費は支払わなければなりません。

また、食中毒が発生したことがマスメディアで報じられたり、SNSで拡散されたりすると、店舗の評判に大きな影響を与えるおそれがあります。風評被害が広がることで、長期的に売上が減少し、経営に深刻なダメージを与える可能性があるでしょう。

そのため、持ち込みを許可する際には、衛生面のリスクを十分に考慮し、必要な対策を講じることが重要です。

売上低下

売上低下

持ち込みを許可することで、飲食店の売上が低下するリスクがあります。これは、お店で提供している飲食物の注文が減少するためです。

たとえば、顧客がワインを持ち込むと、通常なら注文されるはずのワインが売れなくなり、その分の利益が減少します。同様に、食べ物を持ち込まれると、料理の注文が減る可能性があります。このように、持ち込みが売上に直接的な影響を与えます。

また、持ち込みを許可したことで売れ残った在庫が増え、食品ロスが発生するリスクもあるでしょう。廃棄するには費用がかかるため、利益の減少に加え、廃棄費用も発生し、店舗にとって負担となります。

このような売上低下のリスクを避けるためには、持ち込み料を適切に設定し、料理や飲み物の注文をうながすための工夫が必要です。

飲食店で持ち込み料を取るときの注意点

飲食店で持ち込み料を取るときの注意点

持ち込みを許可する際は、お店の利益を守りながら顧客の満足度も高められるようなルールを設けることが大切です。ここでは、飲食店で持ち込み料を設定する際の注意点を紹介します。

注文ルール

すべての飲食物の持ち込みを許可するのではなく、持ち込み可能な範囲を絞りましょう。たとえば、特定のコースを注文した場合には、ケーキやお酒の持ち込みを許可する方法が一般的です。一定額以上のコースを注文してもらうことで、持ち込みによる利益減少をカバーできます。

また、お酒の持ち込みは、ワインや日本酒など、食事との相性がよいものに限定するのも効果的です。ウイスキーやブランデーなど、料理との相性があまりよくないものは持ち込み不可とすることで、料理の注文を促進し、利益減少を避けられます。

また、持ち込み料を一律に設定し「持ち込みOK」の店として宣伝することも集客につながります。とくに団体客など、大勢での来店を見込める場合は有効です。このように、持ち込み料はお店のコンセプトやターゲット層に合わせて柔軟に設定することが大切です。

関連サービス

持ち込みに関連するサービスを提供する場合、Webサイトや店内のポスターなどで明記しておくことが重要です。持ち込みの可否を事前に明記することで、他店に流れるのを防ぎ、来店促進にもつながります。関連サービスには、以下の例があります。

  • ケーキの場合:包丁、ナイフ・フォーク、ケーキサーバー、皿の貸し出しが可能か
  • お酒の場合:グラスを何本まで提供できるか

これらのサービス内容を明確に示すことで「このお店なら誕生日に持ち込みケーキでお祝いできる」「みんなで持ち込んだワインを楽しめる」といった具体的なシーンをイメージしてもらいやすくなるでしょう。

連絡先

持ち込みを許可している飲食店では、顧客から事前連絡を受けることが一般的です。とくに詳細を確認したいことが多いため、店舗のWebサイトには電話番号やメールアドレスなどの連絡先を明記しておきましょう。

持ち込み料以外の対策方法

持ち込み料を設定すれば、コストを抑えつつ収益を上げられます。ただし、コストの削減方法はそれだけではありません。ここでは、持ち込み料以外の対策方法を紹介します。

固定費の見直し

飲食店の利益率を改善するためには、固定費の見直しが非常に効果的です。とくに、家賃や人件費など、大きな負担となる経費を削減しましょう。

家賃は、大家との交渉を行い、契約条件の変更や減額を検討します。人件費の削減には、シフト管理の見直しや業務の効率化が効果的です。

開業前であれば、物件選びの段階でコストを抑えることが可能です。たとえば、居抜き物件を選ぶことで、前の店舗の内装や厨房設備を活用し、初期投資を大幅に抑えられます。

食品ロスを減らす

 食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のことを指します。食品ロスを減らすことは、食材に関するコストを大幅に削減する効果があります。

具体的な対策としては、必要以上の食材を注文しないように定期注文に切り替え、賞味期限切れの食材が発生しないように注意することが重要です。また、最近では、大盛りと少量の選択肢を用意することで、顧客が食べ残しを減らせると同時に、お客様自身の支払額を調整できるようにする取り組みも有効です。これにより、食品の無駄を削減しながら顧客満足度を向上させることが期待できます。

さらに、消費期限が近い食材を活用した日替わりメニューの提供や、割引キャンペーン、コース料理への工夫によって食材を効率的に使用することも効果的です。これらの取り組みによって顧客にメリットを感じてもらいながら、食品ロスの削減を目指せます。

これらの対策を実施することで、食材コストを削減できるだけでなく、お店の価値向上や顧客満足度の向上にもつながります。

SNSを活用した宣伝

お店への集客を図るために必要な広告には、費用がかかります。しかし、SNSを上手く活用することで、広告費をかけずにお店の宣伝が可能です。SNSを通じてお店の情報を発信することで、お店を知らなかった新しい客層にもアプローチできるでしょう。

また、来店して満足した顧客がSNSでシェアすることで口コミが広がり、さらに多くの人に宣伝できます。SNSを活用すれば、広告費を抑えつつ、集客を増やすことができるでしょう。

こちらの記事では、居酒屋を開業する方法について解説しています。かかる費用や失敗ケースも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

持ち込み料の相場は一般的に1,500円〜3,000円程度に設定されています。この金額は、持ち込まれる飲食物の粗利益に見合った金額として設定するのが理想です。

持ち込みを許可することによって、顧客に特別な体験を提供できますが、飲食店の利益率が低下する可能性もあります。そのため、持ち込みを認める際には、いくつかの工夫が求められます。

持ち込みを許可する背景には、顧客に満足してもらいたいという飲食店側の想いがあります。顧客に特別な体験を提供しつつ、お店の利益を確保し、持ち込みによる影響を最小限に抑えましょう。

開業前であれば、物件選びの段階でコストを抑えることが可能です。とくに、低価格での事業スタートを狙う場合は、居抜き物件がおすすめです。開業までコストを削減したい方は、ぜひ「居抜きの神様」をご利用ください。

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居抜き物件のことなら「居抜きの神様」に任せるのじゃ

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