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引用:高円寺に「酒坐愛次郎(さけぐらあいじろう)」がオープン。ベイシックスや「田中田」、「並木橋なかむら」などを経験したオーナーが、大衆酒場文化の強い高円寺であえて単価を上げた隠れ家居酒屋に挑む
2024年9月25日、杉並区の高円寺駅にアッパー居酒屋「酒坐愛次郎」がオープン。オーナーの谷村愛弘(たにむらあいひろ)氏は、元美容師という異色の経歴。27歳で飲食業に飛び込み、野菜巻き串をウリにする博多スタイルの居酒屋「ジョウモン」(ベイシックス)や、アッパー居酒屋として有名な「並木橋なかむら」「田中田」で経験を積んだ。「酒坐愛次郎」では、博多・九州料理や谷村氏の地元である岩手県にちなんだ料理を提供。料理に合う美酒も揃え、大人の隠れ家居酒屋としてオープンさせた。手ごろな価格帯の大衆居酒屋が軒を連ねる高円寺で隠れたニーズを開拓し、あえて6000~7000円と高単価設定の居酒屋で勝負している。
元美容師の谷村愛弘氏のキャリアとは
「酒坐愛次郎」のオーナー・谷村愛弘氏。
~27歳 | 地元である岩手・盛岡で美容師として勤務。 |
27歳 | 飲食業への転身を決意し、盛岡で居酒屋を多店舗展開する「serious」で2年ほど働く。 |
29歳 | 高円寺の「鉄板焼アイアンマン」「カドヤ」でさらに5年ほど研鑽を積む。 コロナ禍で一度地元に戻ったが、再び上京して単価の高い居酒屋にて3年ほど修行。 | 30歳手前で上京。ベイシックスの「ジョウモン吉祥寺店」を中心に3年ほど働く。
現在 | 杉並区の高円寺駅の近くに「酒坐愛次郎(さけぐらあいじろう)」をオープン。 |
飲食店での経験を積み、杉並区高円寺で居酒屋をオープンしたきっかけ
オーナーの谷村氏が飲食業をスタートしたのは27歳。美容師をしていた谷村氏が飲食業に飛び込んだのは、将来的な働き方に悩んでいたタイミングで、当時通っていた楽コーポレーション卒業生が営む「ゆ家」に影響を受けたからだという。
飲食業への転身を決意してからは、盛岡で居酒屋を多店舗展開する「serious」で研鑽を積んだ。その後、より高度な技術や経営ノウハウを身に付けるべく上京。ベイシックスの「ジョウモン吉祥寺店」で3年ほど、高円寺の「鉄板焼アイアンマン」「カドヤ」で5年ほど働いた。
コロナ禍で地元に戻るが、現地の農家や酒蔵、生産者との交流をもつことで、一から食の原点を見直すきっかけになったという。その後「独立を視野に入れて、自分の幅を広げたい」という思いで再び上京。渋谷「並木橋なかむら」、西麻布「田中田」といった、単価の高いアッパー居酒屋で3年ほど修業した。
ずっと現場に立ちたいと考えているので、いろいろな単価のお店で学んで幅を広げたかった。高級店の単価設定やセットの仕方、美術品を用いた空間づくりなどを学べて良かったですね。
十分な技術を身に付けたタイミングで独立に向けて動き出す。まずは修業先であった「田中田」と近い西麻布エリアで物件を探したが、条件が合わず断念したそう。続いて、元職場で馴染みのある高円寺で物件を探したところ、駅近で十分なキャパシティのある居抜き物件に出会った。2階にある物件に集客の懸念はあったが、高円寺に知り合いが多いことが幸いしたそう。周囲からも「いつ自分のお店を開くの?」と期待されていたため、宣伝広告費をほとんどかけずに集客ができる土台ができていたのだ。
「酒坐愛次郎」のオープンにともない、もともと電機メーカーで働いていた谷村氏の妻・結子氏が経理や事務を担当することに。営業時間には接客もこなし、夫婦二人三脚でのスタートとなった。
「酒坐愛次郎」は谷村氏こだわりのカウンターをメインにした居酒屋
東京屈指のサブカルタウンである高円寺。老舗店から新進気鋭店まで、さまざまな飲食店でにぎわう街に、大人の隠れ家居酒屋としてオープンしたのが「酒坐愛次郎(さけぐらあいじろう)」。博多・九州料理や岩手県の名物料理や美酒を揃えるアッパー居酒屋だ。
店名の由来は、オーナーである谷村氏の祖父の名前「愛次郎」。さらに、アルファベット表記の「Aijiro」はスペイン語でオーナーの名前である「アイヒロ」と読むことからだそう。
「酒坐愛次郎」の入り口の扉。
店舗を構えるのは、高円寺南口から1分ほどの場所にある雑居ビル。階段を上がると、店名のロゴが控えめに主張されている小ぎれいな扉が姿を見せる。キャバクラの控室として利用されていた15坪の居抜き物件を、アッパー居酒屋へと生まれ変わらせた。
「酒坐愛次郎」のカウンター、店内の様子。
「酒坐愛次郎」の内装は、谷村氏が手がけたそう。コンクリート調の黒い壁でシックな印象ながらも、テーブルには木を用いて温かみをプラスしている。奥に見える達磨の絵は谷村氏の自作。同じく自作で、「慶雲生五彩」と書かれた書道作品も飾られている。
修業を積んだ「並木橋なかむら」「田中田」の雰囲気を意識した店内は、ほっと落ち着ける空間でありながらも、味わいや色気も感じられる。さらに、谷村氏のこだわりでテーブル席は一段高くし、どの席からも厨房が見える作りに仕上げている。
居酒屋はカウンターがメインだと思っています。何を作っているのか、お客さんには厨房の様子も楽しんでもらい、カウンターを中心に盛り上がっている状態が理想のイメージです。お客さんの視線が集まるので、従業員として常に緊張感を持てるという意図もあります。
アッパー層をターゲットにしたフード&ドリンクの居酒屋で差別化
手ごろな価格の大衆居酒屋が多い高円寺で、高単価設定である「酒坐愛次郎」。アッパー層をターゲットにすることで差別化を図る狙いだ。谷村氏自身が行きたいと思う店でもあったそう。
若い人たちは特別な日に、年配の方たちは日常的に使っていただけるようなお店を目指しています。いいものをカジュアルに楽しんでほしいですね。
食通も納得の「炊き餃子」(1400円)。
フードは、「ジョウモン」「田中田」で学んだエッセンスを取り入れつつ、自分なりのアレンジを加えた博多・九州料理を提供。毎日出汁を一から取っている「巻き立てだし巻き」、「手羽先の唐揚げ」「炊き餃子」など。「炊き餃子」は「ジョウモン」で習得した炊き方に加え、高円寺の人気ラーメン店「中洲屋台長浜ラーメン初代 健太」からのアドバイスも反映したことで、食通たちもハマる味へと進化した。
加えて、「盛岡冷麺」や花巻産ひとめぼれを使った「釜炊きの白ご飯」など、谷村氏の地元である岩手県にまつわる料理も提供している。
こだわりの炭火焼ハンバーグ「肉次郎」(750円)。
炭火焼では牛肉100%のハンバーグ「肉次郎」が人気を集めているそう。玉ねぎなどのつなぎをなるべく入れず、肉肉しさを表現したこだわりのハンバーグだ。
トレンドを意識して出してみるとお客さんの反応が良く、肉次郎に釜炊きごはん・辛子高菜・みそ汁とセットでよく出る定番メニューになっています。
また、「ぼっかけごはん(すじこん)」や「愛次郎カレー」など、〆メニューも豊富に提供している。
居酒屋に行って一番後悔するのが、帰りにコンビニでカップラーメンを買ってしまい自宅で食べたとき(笑)。
後から〆まで注文すれば良かったなと思います。そんな状況にならないよう、なるべく〆料理まで食べてもらおうと準備しました
ドリンクは「焼酎」「ホッピー」「ウィスキー」「酎ハイ」などの割りものから、「日本酒」「グラス・ボトルワイン」まで幅広く用意。「焼酎」は甲類だけでなく芋、麦、黒糖、泡盛といった本格焼酎含めて9種類をラインナップ。360㎜の量り売りにすることで、「450円~」と価格を抑えて提供している。
大衆酒場が根付いている高円寺ではチューハイを高く設定できない。量り売りにすることで手頃感を演出し、高円寺の方々にも抵抗感なく楽しんでもらえるように意識しています。
「ワイン」はトレンドのオーガニックを中心に揃えているが、今後はよりアッパークラスな客層にもリーチするため、高級ワインも取り入れていく予定だという。
・巻き立てだし巻き(800円)
・手羽先の唐揚げ(500円)
・炊き餃子(1400円)
・盛岡冷麺(1200円)
・肉次郎」(750円)
・肉次郎&釜炊きごはん・辛子高菜・みそ汁セット(950円)
・ぼっかけごはん(すじこん)(650円)
・愛次郎カレー(850円)
・焼酎(450円~)
・グラスワイン(600円~)
「酒坐愛次郎」を訪れた人たちからも、店の雰囲気、料理は好評のようだ。
お店の雰囲気が最高!
マスターも奥様も話しやすく、初見だったけど満足!
料理もすごく美味しかったので、リピート確定。
高円寺では珍しい、上品丁寧なお料理と絶妙なコスパで魅せるお店。
定期的にメニュー更新されているので、毎度行くのが楽しみです。
「酒坐愛次郎」の成功の理由は、アッパー居酒屋でのオープン&居抜き物件の利用
オープンから間もない居酒屋だが、口コミでじわじわと広がり、認知が広がっているそう。客単価6000円~7000円と高円寺にしては高単価ではあるものの、確かな料理の味とサービスで好評を得ている。
大衆酒場のイメージが強い高円寺ですが、住宅街には食の感度の高い富裕層も多く住んでいます。それなりに値の張るメニューも頼まれることが多いので、アッパー居酒屋の需要を感じていますね。
今後については、2店舗目のオープンよりも先に、「酒坐愛次郎」の回転数といった課題を改善して、高円寺への定着を狙いたいとのこと。
経営者であるよりも職人でいたいので、多店舗展開をするよりは、1つの店舗を最強にしたいですね。
もし2店舗目を出すなら、「酒坐愛次郎」の延長線上で、待合スペースの役割として近場に立ち飲み屋さんを作るなどもいいかもしれませんね。
職人気質で、こだわりの店を切り盛りする谷村氏。飲食業界での経験が長く、居抜き物件を利用したアッパー居酒屋は大成功を遂げた。今後の「酒坐愛次郎」がどのように進化していくのが期待だ。
(取材=吉田真琴)
店名 | 酒坐愛次郎(さけぐらあいじろう) |
---|---|
住所 | 東京都杉並区高円寺南4-28-7 高円寺Jビル2F >> GoogleMapで見る |
アクセス | JR高円寺駅南口から徒歩1分 |
電話 | 03-5929-9930 |
営業時間 | 17:00〜23:00(フードLO22:00 ドリンクLO22:30) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 15坪35席 |
客単価 | 6000~7000円 |
オープン日 | 2024年9月25日 |
関連リンク | 酒坐愛次郎(Instagram) |
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。
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