0円物件は飲食店を開業する際、とても魅力的な選択肢のひとつです。しかし、実際のところはデメリットや隠れたリスクが数多く潜んでいることがあります。
0円物件での開業に失敗しないためにも、デメリットやリスク、開業資金などについて把握しておきましょう。
この記事では、0円物件のメリットをフル活用いただき、コストパフォーマンスが高い素敵なお店を開業するためのポイントと、一般的な開業資金や物件の探し方などを解説します。 0円物件で開業を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
0円物件のデメリットとは?誰も教えてくれない6つのリスク
0円居抜き物件には、一般的な物件にはない隠れたデメリットやリスクが存在します。たとえば、物件状態の悪さをはじめ、立地条件の悪さ、特殊な契約内容、法令遵守の必要性、悪評の存在、新しい造作の制限です。
ここでは、0円物件のデメリットを6つ解説します。
物件状態が悪い
0円物件は築年数が古く、内装や設備が老朽化していることが多いです。そのため、開業前には大規模な内装工事や原状回復が必要となり、多額の費用と時間、手間がかかります。
物件の状態が悪い場合、床や壁の傷み、古い厨房設備、故障しがちな空調設備など、修繕や交換が必要になる箇所が数多く見つかる可能性があります。状態が悪いままでは顧客によい印象を与えられないだけではなく、リピーターの獲得が難しくなるなどのデメリットがあるため、注意が必要です。
立地条件が悪い
0円物件は立地条件が良好とは限りません。駅から近くても視認性が悪かったり、人通りの少ないところに位置していたりすることが多いです。
立地条件が悪いと集客に苦戦するばかりか、十分な売上を上げることが難しくなります。周辺の人口や競合店の状況、アクセスの利便性など、立地に関する情報を入念にリサーチし、自店舗の集客力を冷静に分析しましょう。
契約内容に特殊な条件がある
0円物件の契約内容には、特殊な条件が付けられている場合があります。たとえば、短期間の契約しか結べない、解約金が高額である、改装や営業内容に制限があるなど、経営を制約するような条件が含まれている可能性があります。
これらの条件は事業の自由度を制限するほか、柔軟な経営判断を妨げる要因です。契約は即決せず、まずは内容を十分に確認し、特殊な条件がないか、自店舗の事業計画に支障をきたさないかを慎重に検討しましょう。
法令を遵守する必要がある
飲食店を開業する際は、食品衛生法、消防法、建築基準法など、さまざまな法令を遵守する必要があります。しかし、0円物件はこれらの法令を満たしていない可能性があり、多額の費用をかけて改修しなければならないこともあるため、注意が必要です。
たとえば、厨房設備が衛生基準を満たしていない、消防設備が不十分である、バリアフリー化が必要であるなど、法令に適合させるための工事が必要になるかもしれません。
法令遵守はきわめて重要な事項であり、違反した場合には営業停止や罰則を受ける可能性もあります。
悪い評判が残っている
0円物件には、前の店舗の悪い評判が残っている可能性があります。
たとえば、衛生管理が不十分で食中毒を出した、接客態度が悪かった、騒音トラブルがあったなど、負のイメージが地域住民や潜在客に刷り込まれているかもしれません。
このような悪評は新しい店舗の集客にも影響を及ぼし、事業の立ち上げを困難にする恐れがあります。
新しく造作を入れない
0円物件を引き継ぐ際は、前の店舗の造作をそのまま使用することがあります。この場合、前店舗の雰囲気を引き継ぐことになるため、業態や客層によってはメリットになる可能性もあるでしょう。
しかし、前店舗の評判が悪かった場合や自店舗のコンセプトと合わない場合は、新しく造作を入れることをおすすめします。造作を変更することで、前店舗のイメージを払拭し、新しい店舗としての独自性を打ち出すことが可能です。
なぜ0円で物件を提供しているの?
0円物件は、物件オーナーがなんらかの事情を考慮した結果として0円になっています。理由はさまざまですが、隠れた問題が存在している場合は追求し、なぜ0円になっているのかを理解しなければなりません。
物件提供の背景を踏まえ、リスクを冷静に判断すれば、0円物件の落とし穴に惑わされず、事業の成功に適した物件を選ぶことが可能です。ここでは、なぜ0円で物件が提供されているかについて詳しく解説します。
原状回復工事を浮かせたい
0円物件が発生する理由のひとつに、原状回復工事を浮かせたいというオーナーの思惑があります。退去時の原状回復工事には多額の費用がかかるため、オーナーは工事費用を節約したいと考えるのが一般的です。
とくに内装や設備が老朽化し、造作の価値が下がっている場合、オーナーは原状回復工事を行うよりも、0円で物件を引き継いでもらう方が得策だと判断します。このような場合は、物件の状態が悪く、多額の改修費用が必要になる可能性が高いです。
0円物件を検討する際は、原状回復工事がどれほど必要なのかをしっかりと確かめましょう。
家賃滞納などで原状回復工事が出来なかった
物件が0円の理由のひとつに、前のテナントが家賃を滞納し、残置となったケースが挙げられます。この状態だと原状回復工事が行われないまま、0円物件として市場に出てくることがあります。
とくに夜逃げが発生した物件などは、内装や設備が傷んでいる可能性が高く、修繕や交換に多額の費用がかかる可能性が高いです。また、前テナントの滞納によってオーナーが経済的に厳しい状況に陥っている場合、物件の管理や修繕が不十分なこともあります。
滞納が原因の0円物件は、物件の状態や管理状況を入念にチェックしましょう。
売り上げが悪かった
物件のなかには、前の店舗の売上不振が原因で0円になるケースがあります。たとえば、周辺で有名な悪評の店だった、事件や事故が発生した、短期間で経営者が頻繁に変わったなど、物件自体に問題がある可能性があるので注意が必要です。
売上不振の原因が立地や物件の欠陥にある場合、新しい店舗を開業しても同様の問題に直面する恐れがあります。
0円物件を検討する際は、前店舗の売上不振の原因をリサーチし、自店舗の事業計画に影響がないかを慎重に見極めましょう。
管理会社の経験不足
0円物件が発生する背景には、管理会社の経験不足が関係している場合があります。
たとえば、居抜き物件の運用ノウハウが不足している管理会社では、適切な価格設定や物件管理ができず、0円物件として市場に出してしまうことがあるのです。東京ではめったになですが、地方都市では、居抜き物件の取り扱いに慣れていない管理会社が多く、このようなケースが発生しやすい傾向にあります。
管理会社の経験不足が原因の0円物件は、物件の状態や契約内容に問題がある可能性が高いです。検討する際は十分に注意しましょう。
一般的な開業資金
飲食店の開業には一定の資金が必要ですが、開業資金の相場や内訳を把握すれば、資金計画を立てやすくなります。ここでは、代表的な業種である飲食店を例に、開業資金の一般的な内容を解説します。
飲食店の開業資金
飲食店の開業資金は店舗の規模や立地、業態などによって大きく異なります。
一般的な相場は、1,000〜2,000万円程度[13] です。この金額には、物件取得費、内装費、看板費、設備費、運転資金、生活費など、開業に必要なさまざまな費用が含まれています。
重要になるのは開業資金の内訳を把握し、自店舗の事業計画に合わせた資金計画を立てることです。また、開業後の運転資金は、売上が安定するまでの数か月分を確保しておく必要があります。
ここでは、飲食店のさまざまな開業資金について詳しく解説します。
物件取得費
物件取得費は店舗を借りる際に必要な費用です。賃料、敷金、礼金、仲介手数料などが含まれます。
相場は立地や面積によって大きく異なりますが、一般的には賃料の6〜12か月分程度です。たとえば、月額賃料が50万円の物件の場合、物件取得費は300〜600万円程度になります。[15]
物件取得費は開業資金のなかでも大きな割合を占めるため、事業計画に合わせて適切な物件を選ぶことが重要です。
内装
内装費は店舗の内装工事に必要な費用です。床、壁、天井、照明、エアコンなどの工事費用が含まれます。
相場は店舗の面積や業態、デザインによって異なりますが、一般的には坪単価30〜50万円程度です。たとえば、20坪の店舗の場合、内装費は600〜1,000万円程度になります。[17]
内装は店舗の雰囲気を大きく左右する要素です。顧客の印象にも影響するため、デザインや材質は慎重に選びましょう。
看板
看板費は店舗の看板を作成するための費用です。看板のデザイン、材質、大きさなどによって価格は異なりますが、一般的には30〜100万円[19] 程度といわれています。
看板は店舗の存在をアピールし、顧客を引き付ける重要な存在です。業態やコンセプトに合わせたデザインを選ぶとともに、視認性や耐久性にも配慮して選びましょう。
設備
設備費は厨房機器をはじめ、冷蔵庫、冷凍庫、調理器具、食器、家具などの購入に必要な費用です。相場は業態や規模によって大きく異なりますが、一般的には300〜1,000万円[21] 程度といわれています。
とくに厨房機器は高額なものが多く、新品でそろえると費用が高くなるので注意が必要です。初期投資を抑えたい場合は、中古品を活用するのも効果的でしょう。
ただし、設備は店舗運営の基盤となるため、品質や耐久性を十分に吟味する必要があります。
運転資金
運転資金は開業後の日々の運営に必要な資金です。食材費をはじめ、人件費、光熱費、消耗品費などが含まれます。
相場は業態や規模によって異なりますが、一般的には開業後3〜6か月分の費用を用意しておくことが望ましいです。たとえば、月間の運転資金が100万円の場合、300〜600万円程度[23] の運転資金が必要になります。
開業当初は売上が不安定になりやすいため、運転資金を十分に確保しておくことが重要です。
生活費
生活費は、開業準備期間や開業後の生活を維持するための費用です。開業までは収入が得られないため、その間の生活費を用意しておく必要があります。
また、開業後も売上が安定するまでは、生活費を事業収入から捻出することが難しい場合があります。
生活費の相場は個人の生活スタイルによって異なりますが、少なくとも6か月分[25] 程度は確保しておくことが望ましいでしょう。
自己資金0円でも飲食店開業は可能?
自己資金がまったくない状態で飲食店を開業することは、非常にハードルが高いといえます。しかし、工夫次第では自己資金0円でも開業することが可能です。
ここでは、自己資金0円で飲食店を開業する際の資金調達方法を紹介します。融資や出資、クラウドファンディングなど、さまざまな選択肢を検討してみましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫は、国が運営する政策金融機関で、幅広い種類の融資制度を設けています。とくに、「創業時支援」は、自己資金ゼロであっても融資を受けられる可能性があります。
創業時支援とは、創業する業種や創業時の年齢など、さまざまな条件によって利用できる融資制度です。ただし融資には条件があるため、自分が当てはまるか一度確認してみましょう。
信用金庫からの融資
信用金庫は地域密着型の金融機関です。飲食店の開業資金を融資する制度を設けており、自己資金が少ない創業者でも利用できる場合があります。
信用金庫の融資制度は各金庫によって異なりますが、一般的には事業計画書や担保、保証人などを求められます。融資限度額や金利、返済期間は金庫ごとに異なるため、事前に相談して条件を確認しましょう。
制度融資
制度融資は、国や地方自治体が中小企業や個人事業主を支援するために設けている融資制度です。飲食店の開業資金を融資する制度も多数存在し、自己資金が少ない創業者でも利用できる場合があります。
制度融資の条件や内容は自治体によって異なるため、開業予定地の自治体に相談して詳細を確認しましょう。
カードローン
カードローンは銀行やクレジットカード会社が提供する小口融資サービスです。飲食店の開業資金を調達する方法としては一般的といえませんが、自己資金がまったくない場合の選択肢のひとつといえます。
カードローンは審査が容易で、短期間で融資を受けられる点がメリットです。ただし、金利が高めに設定されていることが多く、返済負担が大きくなる可能性があります。
第三者からの出資
第三者からの出資は、個人投資家やベンチャーキャピタルなどから資金を調達する方法です。自己資金がまったくない場合でも、事業計画が優れていれば出資を受けられる可能性があります。
出資の形態は株式や社債の引き受けが一般的ですが、匿名組合契約などの形式を取ることもあります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する方法です。飲食店の開業資金を調達する手段としても注目されており、自己資金がまったくない場合の選択肢のひとつといえます。
寄付型、購入型、投資型などさまざまな形態がありますが、飲食店の開業資金を調達する際は、購入型か投資型が適しているでしょう。
資産の現金化
資産の現金化は、自己所有の資産を売却して資金を調達する方法です。不動産や車、貴金属など、価値のある資産を持っている場合は、それらを売却して飲食店の開業資金に充てられます。
ただし、売却できる資産を持っていない場合は利用できません。
家族や知人からの支援
家族や知人からの支援は身内や親しい人から資金を借りたり、出資を受けたりする方法です。自己資金がまったくない場合でも、家族や知人から支援を受けられる可能性があります。
金利や返済期間などの条件が柔軟に設定できるメリットがありますが、後に金銭的なトラブルに発展するデメリットもあります。
こちらの記事では、飲食店の開業について解説しています。手元資金が少なくても開業できる方法や業者選びのポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
0円物件の探し方
0円居抜き物件の探し方にはいくつかの方法があります。
不動産仲介業者に問い合わせると、まだ公開されていない0円物件の情報を提供してくれる場合があります。しかし案件数は状況により異なるため注意が必要です。
また、0円物件を紹介するサイトもありますが、上述のとおり、そのような物件には何かしらのデメリットが存在していることが多く、事前によく検討する必要があります。
そのため、初期費用を抑えたい方は0円物件だけではなく、内装や設備がしっかりと整っている居抜き物件を選ぶことも視野に入れてみてください。
まとめ
0円居抜き物件は一見するとお得に見えますが、デメリットやリスクが多く潜んでいます。物件状態の悪さ、立地条件の悪さ、特殊な契約内容など、さまざまな問題点があるので安易に選択しないことが重要です。
物件のメリット・デメリットを十分に把握し、自店舗の事業計画に合致するかどうかを慎重に見極めましょう。
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