昨今はさまざまな店舗でセルフサービスが導入されており、居酒屋でも珍しい存在ではなくなりました。そんなセルフサービスは、果たして居酒屋の運営にどのような影響を与えるのでしょうか。
本記事では、居酒屋でセルフサービスを導入することで、どのようなメリットが得られるかについて解説します。また、セルフサービスの居酒屋ではどのようなスタイルでお酒を提供しているかも取り上げるため、居酒屋の運営に関わっている方や、これからオーナーになる方は、ぜひ参考にしてください。
居酒屋でのセルフサービスとは?

自分でお酒を作る、注ぐなど、ほかの店舗ではできない体験ができる点がセルフサービスの特徴です。それ以外にはどのような特徴があるのか、以下で解説します。
若い層や少数で飲みたい人に人気
セルフサービスの居酒屋は、若い層や少人数で飲みたい人に高い人気を誇ります。居酒屋は大人数でお酒を飲んで楽しく過ごす場所というイメージがあり、実際に会社の飲み会の会場として利用するケースも多いです。
しかし、最近では若い人の飲み会離れが進んでおり、敬遠されることも珍しくなくなりました。その一方で若い人の間でトレンド化しているのが、一人飲みや立ち飲みです。
一人飲みや立ち飲みは、大人数での飲み会と異なり自分のペースで好きなお酒を飲んだりおつまみを食べたりできる、ほかの参加者に気を遣わずにすむなどのメリットがあります。セルフサービスの居酒屋であれば、若い層はもちろん、少人数でお酒を飲みたい人も十分楽しめるでしょう。
料理もセルフサービスのお店がある

セルフサービスの居酒屋のなかには、お酒の提供のみならず料理までセルフサービスにしている店舗もあります。サラダバーなどのビュッフェ形式を取り入れているレストランは少なくありませんが、近年では居酒屋でもこうしたスタイルの食べ放題を採用している店舗が増えてきています。
なかには、店内奥にある厨房スペースを使用して、自分で調理を行うスタイルの居酒屋もあります。食材は備え付けの冷蔵庫から自由に選択でき、調味料は基本無料で利用可能といったシステムです。
このような料理もセルフサービスの居酒屋は、ひとりで楽しむのはもちろん、複数人で来店して交流を深めるような利用方法とも相性がよいでしょう。
セルフサービスは飲み放題と相性がいい

セルフサービスは、飲み放題プランとの相性が良好です。多くの居酒屋では、アルコール類やソフトドリンクを無制限で注文できる定額制の飲み放題プランを提供しています。
この飲み放題プランは、店舗側にさまざまなメリットをもたらしてくれる存在です。たとえば、飲み放題プランを注文する人の多くは、追加料金なしでお酒をたくさん飲める点に魅力を感じています。
お酒を多く飲んでもらうことで気前がよくなり、有料の料理や追加オプションも注文してくれる確率が高まるでしょう。また、お得なイメージから、集客効果も期待できます。
そこへセルフサービスを導入することで、ホールの人件費の削減を削減しつつ、注文したお酒やドリンクがいつまで経っても届かないというイライラから解放されるでしょう。
居酒屋をセルフサービスにする運営側のメリット

居酒屋のセルフサービスには、さまざまなメリットがあります。以下では、具体的にどのようなメリットを運営にもたらしてくれるか解説するため、順番にチェックしましょう。
スタッフ業務の削減
居酒屋のセルフサービスによってもたらされるメリットとして、スタッフ業務の削減が挙げられます。居酒屋のスタッフの業務は、料理の提供だけではありません。
接客はもちろん、会計や掃除、場合によっては調理までこなす必要があります。来店人数が少なければ問題ありませんが、一度に大量の顧客が来店してしまうと、スタッフひとりあたりの仕事量が膨大なものになりかねません。
仕事量がスタッフのキャパを超えてしまうと、仕事の質が下がってしまう、疲労によって効率が落ちるなど、さまざまな問題を招くでしょう。しかし、セルフサービスを導入することでスタッフの業務の負担が軽減されます。
人手不足の軽減
セルフサービスを居酒屋に導入するメリットとして、人手不足の軽減も挙げられるでしょう。昨今はさまざまな業界で人手不足が問題となっており、飲食業界も例外ではありません。
人手不足の原因は、少子高齢化による労働人口不足をはじめさまざまですが、直近ではコロナによる大量離職の影響が大きいといわれています。もし人手不足が続いてしまうと、スタッフひとりあたりの負担が大きくなり、離職率が高まるおそれもあるでしょう。
しかし、セルフサービスを上手に導入することで、少ないスタッフ数でも対応が可能になります。2024年9月、渋谷駅から徒歩8分の立地にオープンした「VS(ブイエス)」は、セルフディスペンサーの導入によってスタッフ業務削減に成功した事例のひとつです。この店舗は、京都の人気そば店「SUBA(すば)」とワインショップ「VIRTUS(ウィルトス)」のコラボ店舗となっています。
美容室の居抜き物件を利用したこちらの店舗は2フロア構成になっており、1階「SUBA VS」では創作そば料理を、2階「VIRTUS VS」ではセルフ式ワインディスペンサーで気軽にテイスティングを楽しめる空間を実現し、開業から好評を博しています。
「VIRTUS VS」のディスペンサーには、48種類ものワインが内蔵されています。専用コイン(550円)を投入し、好みのワインのボタンを押すと、グラスにワインが注がれる仕組みです。このようなセルフサービス型ディスペンサーを採用すれば、スタッフの負担を軽減しながら、幅広い種類のアルコールを提供することが可能になります。
また、ディスペンサーに貼られたQRコードを読み取ることで、各ワインの詳細な説明を確認できることも大きな魅力でしょう。スタッフが解説しなくとも、顧客自らワインの特徴を確認できるため、業務削減と付加価値の高いサービスを両立しています。
こちらの記事では「VS(ブイエス)」についてさらに詳しく紹介しています。居抜き店舗で成功させた「そば×ワイン」の斬新なコラボの全容をぜひご覧ください。

人件費の削減

居酒屋におけるセルフサービスの導入は、人件費の削減にも効果があります。人件費とは、給料や福利厚生など、スタッフに支払うお金の総称です。
人件費は雇用するスタッフの数が多ければその分増加し、運営側の負担も大きくなります。そのため、場合によっては健全な運営のためにスタッフの数を削減するケースも少なくありません。
セルフサービスを採用すれば、居酒屋で働くスタッフの数が少なくても運営が継続でき、結果的に人件費を減らすことが可能です。
値段を下げられる
提供する商品やサービスの値段を下げられる点も、居酒屋でセルフサービスを採用するメリットのひとつです。昨今は物価の上昇が続いており、かつて「物価の優等生」と呼ばれた卵ですら値段が高くなっています。
その影響は居酒屋をはじめとする飲食店にも出ており、商品やサービスの値段を設定し直す店舗も少なくありません。しかし、商品やサービスの値段が高くなった結果、顧客が敬遠してしまい、売り上げが落ちてしまうケースもあります。
セルフサービスにすれば、各種経費が削減できるため、顧客に値段の据え置きという形で還元することが可能です。
接客に集中できる
セルフサービスによって、スタッフは接客に集中しやすくなります。昨今はマルチタスクが一般的になり、ひとりで複数の業務をこなすことは決して珍しくなくなりました。
しかし、マルチタスクをスムーズにこなせるかは、スタッフの力量や適性によって異なります。とくに新人の場合は、仕事を覚えるのに精一杯で、内容や質までこだわれないケースがほとんどでしょう。
セルフサービスを導入すれば配膳の必要がなくなるため、接客業に集中して取り組めるようになります。ただし、接客の度合いは運営方法によって変わるため、店舗によって効果の度合いが異なる点に注意しましょう。
こちらの記事では、小さな居酒屋を経営した際の年収相場について解説しています。ぜひあわせてお役立てください。

お酒の提供方法5種類
セルフサービスといっても、お酒の提供方法はさまざまです。以下では、お店が提供するセルフサービスの主な形態について、それぞれの形態の特徴や強みを解説します。
席にサーバーを設置

セルフサービスを採用している居酒屋によっては、席にサーバーを設置している店舗もあります。卓上サーバーと呼ばれるもので、エンターテイメント性の高さから集客につなげやすいのが特徴です。また、お酒を注ぐために都度席を移動する必要もありません。
ただし、スタッフがサーバー交換に不慣れな場合、最初の1杯目は飛沫が飛びやすいというデメリットがあります。これは、サーバー内のドリンクが空になった場合も同様です。そのため、卓上や顧客の服などが濡れないよう、スタッフは十分に注意を促さなければなりません。
こうした卓上サーバーのデメリットを解決する方法としては、自動生ビールディスペンサーの導入が挙げられます。誰でもワンタッチで定量の生ビールを注ぐことができ、コンセントがあれば簡単に設置できる手軽さも魅力です。
どぶ漬けのお酒を設置
セルフサービスの居酒屋のなかには、どぶ漬けのお酒を設置している店舗も多いです。どぶ漬けとは、氷水でお酒をはじめとする飲み物を冷やすことを指します。
冷蔵庫でお酒やドリンクを冷やすと、温度が下がるまで時間がかかりますが、どぶ漬けは冷却効率が高く、すぐにお酒やドリンクの温度を下げることが可能です。そのため、ドリンクを多く提供するために、祭りの屋台をはじめとしたさまざまな場所で採用されています。
また、どぶ漬けは大量のお酒やドリンクが氷水に浸かっている見た目のインパクトも強く、そのなかから好みのお酒やドリンクを選ぶ楽しみも顧客に提供できる点も強みです。
冷蔵庫やショーケースを設置
セルフサービスの居酒屋には、冷蔵庫やショーケースを設置して、顧客が自由に持ち出せるスタイルを採用している店舗もあります。一時期流行したこのスタイルは今も人気があり、とくに日本酒の飲み放題を提供している店舗が多い傾向にあります。
卓上サーバーやどぶ漬けよりも多くの種類のお酒を並べられるため、選ぶ楽しさが倍増する点がメリットです。各テーブルに冷蔵庫をひとつ用意すると初期費用がかかるため、大きな冷蔵庫をひとつ購入する、複数のテーブルでひとつの冷蔵庫を共有といった形式が主流です。
酒樽を設置
より顧客にインパクトを与えたい場合は、酒樽の設置もおすすめです。ワインやビールなど、複数種の酒樽が並んでいる景観は、まさに圧巻の一言でしょう。インパクトがあるため、SNS映えも狙えます。
セルフサービスで少しずつ飲み比べをして、自分の好きな種類のお酒を開拓する楽しみも味わえます。
クーラーボックスでお届け
飲み放題プランを注文すると、クーラーボックスが届けられるスタイルの居酒屋もあります。クーラーボックススタイルのセルフサービスのメリットは、やはり初期費用の安さでしょう。卓上サーバーや冷蔵庫、酒樽と比較すると、かなり費用を抑えられます。
また、キャンプやバーベキューのようなアウトドア気分も味わえる点もメリットです。
こちらの記事では、居酒屋を開業するときの手順や必要となる備品、資格を解説しています。ぜひあわせてお役立てください。
まとめ

以上、居酒屋がセルフサービスを導入するメリットや、提供するサービスの種類などについて取り上げてきました。セルフサービスの導入は、スタッフの業務負担の軽減をはじめ、人件費の削減や接客サービスの質の向上など、居酒屋にさまざまなメリットをもたらしてくれます。
また、セルフサービスの種類も複数あり、自身の店舗に合ったスタイルを採用すれば、さらにメリットとなる効果の向上も期待できるでしょう。居抜きの神様では、居酒屋向けの店舗をはじめ、さまざまな飲食店向け居抜き物件を扱っています。
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